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芸術と自然の美を巡る旅  

ヴェルディのグランドオペラの最高傑作

ヴェルディ『アイーダ』

Giuseppe Verdi " Aida "


ヴェルディのグランドオペラの最高傑作_a0113718_17133725.jpg


 ヴェルディ作曲のオペラ「アイーダ」は、1998年の新国立劇場開場記念公演として、イタリア・フィレンツェ出身のフランコ・ゼッフィレッリの演出・衣装・舞台美術で上演されました。この舞台は新国立劇場の人気舞台となり、開場5周年、10周年と記念特別講演で上演され、今年開場15周年として再び上演されることになりました。



The opera "Aida" of the Verdy composition was performed as a New National Theater opening commemoration public performance in 1998 for the production, clothes, and stage fine arts of the Franco Zeffirelli, of the Italy Florence native. This stage turned into a popular stage in New National Theater, will be performed by the 5th anniversary of opening, the 10th anniversary, and a commemoration special lecture, and will be again performed as 15th anniversary of opening this year.

 フランコ・ゼッフィレッリは、建築を学んだ後ルキノ・ビスコンティの助監督として映画界に入り、映画監督としてオリビア・ハッセーら十代の若手を主役に抜擢した『ロミオとジュリエット』でシェイクスピアの映画化作品では最高の大ヒットを記録しました。その後オペラに活躍の場を広げ、ヴェルディやプッチーニなどのイタリアオペラで、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場、ロンドン・ロイヤル・オペラなど世界の主要歌劇場で、オーソドックスな演出の美しい舞台作りあげました。新国立劇場開場のヴェルディ作曲「アイーダ」でも装置や衣装など美麗で豪華絢爛な舞台を見せてくれました。

《あらすじ》
ヴェルディのグランドオペラの最高傑作_a0113718_18541560.jpg第1幕第1場、古代エジプトの首都メンフィスのファラオの宮殿。若い武将ラダメスは、自分がその将軍に任命され勝利を得たらひそかに愛する奴隷アイーダを妻にしたいと夢みている。ラダメスを愛するファラオの娘アムネリスは、自分に仕える奴隷女のアイーダが恋敵と直感している。ファラオは広間に人々を集め、前線の使者からエチオピア軍侵略の報せを受けてラダメスを最高司令官に任命する。アイーダは実はエチオピア王の娘で、祖国への愛とラダメスへの愛の間で苦しむ。
第2場、メンフィスのフター(火の神)の神殿の内部。ラダメスの戦運を祈る儀式。巫女たちが踊り歌い、祭司長ランフィスはラダメスに神剣を授ける。

第2幕第1場、アムネリスの住居の広間。エジプト軍は勝利。王女は侍女達に囲まれラダメスの帰りを待つ。アムネリスは、ラダメスが死んだと聞くとアイーダが激しく動揺するのを見ての彼女の恋心を知り、ファラオの娘と本気で張り合うのかと彼女をののしる。
第2幕第2場、テーベの城門の前。民衆や祭司たちがエジプトの勝利を讃えている。ファラオ、高官、祭司などが登場し、凱旋してきたエジプト軍とラダメス将軍を迎え、アムネリスはラダメスに勝利の冠を授ける。アイーダはエチオピアの捕虜の中に国王の身分を隠した父アモナズロを発見して動揺する。ラダメスが戦勝の報償として彼らの釈放を望み、ファラオはアイーダとアモナズロを残し残りの捕虜を釈放する。ファラオはラダメスを王位後継者アムネリスの夫とすると宣言する。は喜びに震え、ラダメスは絶望感を感ずる。

ヴェルディのグランドオペラの最高傑作_a0113718_18545410.jpg第3幕第、夜のナイル河畔。アムネリスが司祭長ランフィスに導かれてイシスの神殿に入る。ラダメスに呼び出されたアイーダは故郷に思いをはせる。そこにアモナズロが現れ、アイーダにラダメスからエジプト軍の機密を聞き出せと迫る。ラダメスが現れアイーダへの愛を誓うが、アムネリスから逃亡の誘いを受け軍備の手薄な場所を漏らしてしまう。アモナズロが姿を見せ、エチオピアの王であること明かしラダメスを味方に引き入れようとする。神殿から現れたアムネリスに現場を目撃され、ラダメスは自ら捕えられ、アイーダとアモナズロ逃げる。

第4幕第1場、王宮の広間。ラダメスへの愛を諦めることが出来ないアムネリスはラダメスにアイーダを忘れるなら命を助けると説得するが応じない。アムネリスは祭司長ランフィスに許しを求めるが、ランフィスは「祖国の裏切り者だ」と許さず、アムネリスは絶望し祭司たちを呪う。
第2場の、地下牢に生きたまま封じ込まれたラダメスは、彼と死をともにするためにしのび込んでいたアイーダと再会する。地上ではアムネリスが「死者に平和を」とラダメスの安らぎを祈り、地下牢ではアイーダとラダメスが身体を寄せ合いながらあの世での幸せを心に描きながら死を待つ。

The Franco Zeffirelli, went into the motion-picture world as Luchino Visconti's assistant director, after studying construction, and it recorded the highest smashing success with Shakespeare's cinematization work by "Romeo and Juliette" who promoted the youngman of Olivia Hussey teens to the leading role as film directors.Beautiful stage making of the production orthodox in Italy opera, such as the Verdy and Puccini, in the main opera houses in the worlds, such as Milan and La Scala Opera House, a Vienna national opera house, a New York metropolitan opera house, and the London royal opera, which extends the place of activity in opera after that.The Verdy composition "Aida" of New National Theater opening also showed the gorgeous stage, such as equipment and clothes.

ヴェルディのグランドオペラの最高傑作_a0113718_18555035.jpg 「アイーダ」は19世紀イタリアオペラのあらゆる要素が盛りこめられたグラントオペラで、壮大なスペクタクルのオペラです。ゼッフィレッリの演出はグラントオペラの雰囲気を今に伝えるものです。アイーダ・トランペット10台を擁して「凱旋行進曲」が演奏される第2幕の「凱旋の場」は、生きている馬2頭舞台に乗り、合唱団・バレエ団を加えると200人以上が舞台に上に立つ豪華絢爛なもので、日本では新国立劇場の舞台装置でなくてはできないものだと思います。第4幕最後で地下牢が沈んで行ったあとに残る寺院の美しく巨大なスケール感を残す演出も秀逸でした。



ヴェルディのグランドオペラの最高傑作_a0113718_1857028.jpg 「アイーダ」は音楽の聴きどころや見どころも満載でした。第1幕第1場、始まってすぐに歌われる美しいテノールのアリア「清きアイーダ」は純情・熱血の武将・ラダメスの微妙な恋の感情をオーケストラの演奏で聴かせました。ラダメスが期待を胸ふくらませているところに、アムネリスとアイーダが登場し独白でお互いの心中を推し量る二重唱、3人の心のざわめきを管弦楽がつたえ三重奏で三角関係の火花を散らし始める場面も聴き応えがありました。ラダメスを送る人々の叫びに思わずアイーダが唱和してしまう「勝ちて帰れ」は祖国の敗北を願ったことを恥じエチオピアの勝利を祈りますが、それは恋人の死を願うことを意味することに気付きます。 苦悩するアイーダは死の神に救済を求めます。アイーダの複雑な心情の変化を音楽の変化で表現していました。
第2場となり 神殿で行われる儀式の演出、東洋的な雰囲気が漂い、美しいコーラスと巫女達の緩やかな踊りが幻想的な美しさでした。
 

ヴェルディのグランドオペラの最高傑作_a0113718_1857552.jpg 第2幕第1場はでは、アムネリスとアイーダの二人の心理が交錯する女同士の対決の二重唱は引き込まれました。
第2場は勇壮な凱旋の場、「エジプトと聖なる国土の守護神イシスの神に栄光あれ」の合唱とアイーダ・トランペットの響きの迫力があり、戦勝を祝うバレエが花を添えてました。 アモナズロが捕虜の釈放に国王の慈悲を請いそれに司祭たちが猛反対し、ラダメスが哀願するアイーダ―を見て愛を独白しそれを見て嫉妬に苛立つアムネリスと、様々な個人の思いを込めた独唱に合唱による群衆の声も加わった壮大なアンサンブルで舞台は最高潮になりました。

 第3幕、河畔を表す船が優雅、オーボエに導かれて、アイーダが切々と歌う「おお、わがふるさと」は美しいアリアでした。アイーダの異国での美しい生活を誘いにラダメスがすべてを捨てる決意する愛を確かめ合う愛の二重唱までは美しい場面でしたが、アリア軍の手薄な所を漏らしてしまうと、アモナズロが現れて雰囲気が一変してアイーダ、ラダメスも含めたドラマテイクな歌のやり取りは迫力がありました。

ヴェルディのグランドオペラの最高傑作_a0113718_18582466.jpg 第4幕第1場、死を望むラダメスに対し、王妃アムネリスが歌う「あなたを愛し、ひどい苦しみを味わいました。泣き通しで夜を明かしました。祖国も、王座も命も、すべてあなたに捧げます」の部分は、アムネリスの女性的な優しさと弱さが表現されていてアムネリスの女性としての魅力を感じました。
第2場、神殿の舞台がせり上がりながら上下2段の舞台となります。下の地下牢ではラダメスとアイーダが美しい愛の二重唱「さよなら大地の涙よ」で愛を誓いながら死んでいきます。上の神殿内部ではアムネリスが恋人ふたり一緒とも知らず「あなたの上に平安がありますように」恋人の冥福を祈ります。ふたりの愛と対照的にアムネリスの寂しさが印象に残りました。

ヴェルディのグランドオペラの最高傑作_a0113718_1859376.jpg タイトルロールのミカエラ・カロージが、第1幕では少し表現にムラがあるような気がしましたが、舞台が進むに従い調子が出てきてアイーダの悲劇性を音楽で情感をこめて表現していました。アムネリスのマリアンネ・コルネッテイは、声量も表現力も豊かで、最大の聴かせどころの第4幕第1場は圧巻でした。ラダメスのカルロ・ヴエントレは、澄んだ声で声量も豊かで、歌唱も演技も誠実で募力がありました。アモナズロ役の堀内康雄も開国人歌手に聴き劣りしない巧みな表現で歌を聴かせてくれました。新国立劇場合唱団の合唱はいつもながらすばらしく、オーケストラと合唱の責め合う第2幕第2場など、ドラマのクライマックスを最大限に盛り上げてくれました。

 リッカルド・フリッツァ指揮東京交響楽団の演奏は、初めは正確を期した安全運転という感じでしたが、舞台が進むに従い演奏に熱気が入ってきて、アイーダ、ラダメスとアイーダ、ラダメスの人間ドラマ、アムネリスの怒りや嫉妬や威嚇の表現などではオーケストラの演奏が独唱と一体となって人間ドラマやそれぞれの感情を表現していました、
(2013年3月17日 新国立劇場オペラパレス)



















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by desire_san | 2013-03-30 19:00 | オペラ | Comments(39)
Commented by Joli at 2013-03-31 00:17 x
dezireさん

私のブログへのコメントをいただきありがとうございます。
amebaブログ以外の方からのコメントは珍しく、私の記事がどうして検索に引っかかったのか興味があります。

ところで、dezireさんのことは、実は以前から知っていました。私が最も愛する作品『影のない女』の記事を読んだことがありました。

その方からコメントをいただけて嬉しいです。

今回のアイーダは歌手も演出も演奏も素晴らしいものでしたね。

また5年後に観たいですね。
Commented by Masayuki_Mori at 2013-03-31 06:04 x
新国立劇場のゼッフィレッリの演出、宮殿をはじめとする舞台美術、衣裳や装身具に至るまで、歴史的考証に基づいた解釈で完璧に視覚化、破格のスケールで古典絵画を思わせる演出でしたでした。メトロポリタン・オペラでも、古代エジプトを再現した古典的演出を採用しています。パリ・オペラ座での公演では、バレエを重視するオペラ座のことゆえ、ヴェルディも第2幕のバレエ音楽を大幅に拡充してグランド・オペラ的色合いをより濃くした舞台で成功したようです。この作品は現代演出もころ見られているようですが。あまり好評のものはないようです。「アイーダー」には、豪壮な凱旋の場などに観客のロマンや期待があり、ヴェルディの意図に沿ったグランドオペラとしての運出が求められるのだと思います・
Commented by desire_san at 2013-03-31 06:16
Joli さん コメントありがとうございます。
Rシャトラウスノ「影のない女」やワーグナーのオペラについて書くときは、哲学的な考察が必要な場合が多く、論理が比較的組み立てやすく、かえって書きやすいですね。 それと比べるとイタリアオペラは筋立てが単純で、音楽を中心に書かなければならないので、どちらかと言えば書くのに苦労します。
5年後、またこの演出のアイーダが上演されたら、また三田ですね。
Commented by desire_san at 2013-03-31 06:18
Moriさん、コメントありがとうございます。
。「アイーダー」には、豪壮な凱旋の場は可決だと思います。それを省いた現代演出にすると、作品自体の魅力を半減してしまうのではないでしょうか。
Commented by katsura1125 at 2013-03-31 08:56 x
こんにちは、初めて訪問させていただきました。
「アイーダ」は本当にすばらしかったですね。
dezireさんの写真は美しく、とくに山や花がきれいなので感動です。
また時々拝見させていただきます。
Commented by bunbun at 2013-03-31 09:41 x
アイ―ダのコメントありがとうございました。きれいなブログで感心しました。私の場合はぼけ封じのための覚書の様なものですのでとてもこの域に達しません。3/17の記事でアイ―ダはカロージの歌唱になっていましたがキャンセルしたはずです。
Commented by 平石悟 at 2013-03-31 10:21 x
グランドオペラと書かれていますが、「アイーダ」で壮大なグランドオペラといえるのは凱旋の場だけで、他の部分は、主役3人を中心とした心理ドラマで音楽も繊細な表現です。当時、ドイツ国王ヴィルヘルム1世の勝利宣言でかつてイタリアを支配していたナポレオン3世が排除され、それがイタリア統一に綱が乗ました。ヴェルディは、神意を持ち出す国王ヴィルヘルムは神の力を借りてヨーロッパの一番良い部分を破壊されてしまうことを危惧していました。
Commented by 平石悟 at 2013-03-31 10:22 x
続きです。エチオピアに勝利した古代エジプトの勝利の場である凱旋の場には、勃興する帝国主義が正義の名、神の名において戦争をおこし、民衆を抑圧する政治に対するヴェルディの怒りを反映していると考えられます。繊細な音楽の中に、華やかな凱旋の場を持ち込んだのは、ヴェルディの逆の狙いあったと推測されます。
Commented by 平石悟 at 2013-03-31 10:22 x
続きです。主役3人を中心とした心理ドラマでで奏でられる美しい繊細な音楽にくらべ、豪壮で華やかな凱旋の場の音楽は、今でいえば、スポーツの行進曲のようなもので、なんと表面的で空しいものか、聴く人に感じさせたかったのかもしれません。ただ、ヴェルディは行進曲のような凱旋の場の音楽も人々を魅了するような名曲にしてしまった、天才音楽家がなしたパラドックスかもしれませんね。
Commented by 足短かおじさん at 2013-03-31 12:01 x
オペラ「アイーダ」の素晴らしい紹介記事ですね。
今回の舞台演出、オーケストラと独唱、合唱との一体感など、記述されている感想は、現実味と迫力が感じられます。
他のブログも幅広い分野に及び流石です。
Commented by Riggolet at 2013-03-31 12:39 x
こんにちは、「アイーダ」の生演奏を聴かれたようですね。すばらしい舞台で良かったですね。

「アイーダ」というば、ムーティが若い頃指揮したニューフィルハーモニア管の盤です、演奏全体が生命感に満ち溢れていますし、カバリエやドミンゴ、コッソットなどの歌手たちも最高で、彼の最高の名演奏です。後は、3回の録音のあるカラヤンの演奏で、カレーラスなど名歌手をそろえおすすめの演奏です。
Commented by 風水茶房 瑞光 at 2013-03-31 12:41 x
はじめまして
 基本的にヴェルディの中でこのオペラは特殊なのかもしれません。
まずはギャラが格段に違っていたと思うし、その分気合が入って作ったという感じがします。
ですから演出も
おっしゃる通り、ゼフィレッリのように豪華な演出が合うと思います。ここでビスコンティの話が出てくるとはとても懐かしい思いをしました。
あと「ロミオとジュリエット」。この映画は、緩急をうまく使って、躍動感を画面いっぱいに効果的にもたらせた素晴らしい映画だと思います。当然ニーノロータの音楽も最高ですが。。。。
さてと
今回の「アイーダ」は東京交響楽団が意外と良い演奏をしていたし、舞台上での金菅が破たんしなくて、合唱とともに良い音場を作っていたと思います。あと東京シティバレエも思いのほか良かったですね。そんなこんなで、良い舞台になったと思います。
Commented by desire_san at 2013-03-31 12:51
短かおじさん 、風水茶房 瑞光さん コメントありがとうございます。
現代演出が多い中で、「アイーダ」 はゼフィレッリの演出のようなグランド・オペラ的な演出がまだ世界の歌劇場では多いようです。あの凱旋の場を着ぐるみと風船のパレードのようにされては興ざめになってしまうからでしょうか。 個人的にはバレエは脇役ですが、せっかく新国立劇場で行うのだから、新国立劇場のバレエ団を使って、もっと華やかに演出したら、一層よいのではと思いました。
Commented by kinami-Tutom at 2013-03-31 14:28 x
新国立劇場のオペラ「アイーダ」は、毎回好評のようですね。私は1998年の新国立劇場開場記念公演オで「アイーダ」を体験しました。豪華絢爛な舞台は、まさにグランドオペラですね。
自宅で「アイーダ」を楽しむときは、アイーダ:ミレルラ・フレーニ (ソプラノ) / ラダメス:ホセ・カレーラス (テノール) / アムネリス:アグネス・バルツァ (メッゾ・ソプラノ) という最高の歌手をそろえ、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団 という最高の布陣で1976年に録音したヴェルディ:歌劇「アイーダ」の全曲盤です。とにかくアリアもオーケストラも合唱も最高です。
Commented by スズキ at 2013-03-31 19:06 x
私の素人ブログにコメントいただきありがとうございました。演出のゼッフィレッリ氏について、何も知らなかったのですが、映画監督として活躍されていた方だったのですね。アイーダの徹底した演出は何度思い返しても身震いするほどです。
Commented by shumiudo at 2013-03-31 23:35 x
「アイーダ」の舞台は素晴らしかったですね。
「アイーダ」がこんな豪華絢爛な舞台になったのは、アイーダ初演のときからです。「アイーダ」のカイロでの初演は1871年12月24日、そのとき舞台美術担当者たちが参考にしたのは、十九世紀の初めにパリで出た『エジプト誌』などでした。フィリップ・シャプロンがデザインした第一幕第一場の装置を、『エジプト誌』のなかの、古代テーベの遺跡で知られているナイル河の上流の村、カルナクのアマン=ラ神殿跡です。 
Commented by shumiudo at 2013-03-31 23:37 x
先ほどのお話の続きです。「アイーダ」の第二場のヴルカン神殿や第三幕のイシスの神殿は、エジプト学者のオーギュスト・マリエットベイ(1821~81)の指示によるもので、パリ・オペラ座の博物館には彼自身の水彩画による登場人物の衣装のデザインも残されています。しかし、第四幕第二場をヴルカン神殿とその床下の地下牢との二重舞台にするというプランは、ヴェルディ自身の発案だと言われています。一八七六年にパリのイタリア座で上演するにあたって、劇場の支配人兼演出家のレオン・エスキュディエに宛てた手紙には、この地下牢とは広い地下室のことで、カイロでの初演の際には彼の意向に反して狭い地下の洞穴のようになっていたとも述べられています。
Commented by shumiudo at 2013-03-31 23:41 x
さらにつづれますね。「アイーダ」の初演は、当局の大宣伝と各国からの招待客多数を招いて行われたカイロでの世界初演は大成功にうちに終りましたが、ヴェルディ自身は招待を断り、初演にも立ち会いませんでした。その理由は、あまりにも事前の宣伝がオーバーで、これでは芸術が芸術でなく、商売のためのイヴェントや娯楽のための旅行、狩りなどと同じになってしまい、オペラとしての成功不成功は二の次で、世間の注目をひくことだけが公演の目的にもなりかねないという
不満からだったと言われています。まるで『アイーダ』が将来イヴェント的な野外公演としてもてはやされていく危険性を見越してのような話でした。
Commented by shumiudo at 2013-03-31 23:44 x
ヴェルディの「アイーダ」のイタリアでの初演は、作曲者ヴェルディ立ち会いのもとでミラノのスカラ座でのイタリア初演が行われたのはその1月半後の1872年2月8日で、ヴェルディ自身はカイロでの世界初演よりもこの方を重視し、最強の配役で臨んでいます。タイトル・ロールはカイロでの作曲者が初演の二か月前に見出したアントニエッタ・ポッツォーニに代わって、ソプラノドラマティコの第一人者、テレーザ・ストルツが務め、33回アンコールを受けるほどの大成功を得ています。この公演の大成功はヴェルディ自身も大満足だったと思います。
Commented by tigersandcatlover at 2013-04-01 10:13
拙ブログへのコメントありがとうございました!
こちらへ寄せていただいて、あんなしょぼい内容を読んでいただいたことに大汗であります(笑)むちゃ勉強になります~~。

ゼッフィレッリのアイーダは前回のスカラ座来日とあわせて二度目なのですが、昨今の現代的な演出ばやりのオペラはちょっと苦手なので、こういう演出の舞台は嬉しいです。

またこれからも更新楽しみに寄せていただきますね。
Commented by desire_san at 2013-04-01 13:05
tigersandcatloverさん
「アイーダ」は最近現代演出が多いようですが、やはりあの凱旋の場がないと楽しみ半減ですね。私も現代演出は苦手です。
新国立劇場の愛好者の多くはその傾向にあるようで、たとえばプッチーニ「西部の娘」のホモキの段ボール箱を積んだ現代演出はかなり評判が悪かったようです。それ以来か、新国立劇場では、現代演出は少なくなったような気がします。私にとってはうれしいことです。
Commented by Keiko_kinoshita at 2013-04-01 14:23 x
こんにちは。ごぶさつしております。
新国立劇場のヴェルディの「アイーダ」は、昔の「ベンハー」や「クレオパトラ」「十戒」のような映画の場面を生でもているような凱旋の場に感激し、2回も見てしまいました。この演出の舞台は、5年に一度開演されるようで、同じ演出をこんなに続けて上演されるのは、凱旋の場など演出がすばらしいからでしょうね。この演出家ゼッフィレッリが、映画「ロメオとジュリエット」の監督だったとは初めて知りました。
Commented by 吟遊詩人 at 2013-04-01 17:05 x
ヴェルディ「アイーダ」をグランド・オペラを代表しているかは疑問を持っています。グランド・オペラは、皇帝ナポレオン時代のフランスで、パリのオペラ座を中心に流行したオペラの様式で、大規模なオーケストラ編成、豪華な舞台衣装、スペクタクル的な舞台、バレエも重要な要素としていました。そういう意味では「アイーダ」もそうですが、バレエも踊り子と客の社交の場を提供するなど興行面を重視し、ヴェルディが追求した芸術的なオペラとは一線を画するものです。グランドオペラの代表作は、マイアーベーアの『悪魔ロベール』(や『ユグノー教徒』、ロッシーニの『ギヨーム・テル』などをアベルべきではないでしょうか。
Commented by desire_san at 2013-04-01 17:18
吟遊詩人 さん、コメントありがとうございます。
ランド・オペラの流行は、ご指摘にも関連しますが貴族と異なり昼間は仕事に忙しい新興ブルジョワ層の人たちが一日の仕事の疲れを癒すため娯楽として豪華絢爛で単純明快なグランド・オペラを好み、その要求にあわせてくつられた経緯はあります。しかし、グノーの『ファウストのような芸術的にもすぐれた作品も生まれていますし、ワーグナーの『ニーベルングの指環』やヴェルディの『アイーダ』、ムソルグスキーの『ボリス・ゴドゥノフ』などは、グランド・オペラの壮麗さを発展させた作品で、ヴェルディが喜ぶかは別としてもグランドオペラの傑作とよんでいいと思います。
Commented by Mistoro_37 at 2013-04-01 18:24 x
オペラ「アイーダ」の作曲が依頼された背景には、、「スエズ運河の開通」と「カイロのオペラ劇場の完成」があり、オペラ「アイーダ」は、エジプト太守イスマイル・パシャに作曲を依頼されてました。題材の提供を当時のエジプト考古学者の頂点にいた考古局長のフランス人オーギュスト・マリエットに依頼していました。オペラ音楽の作曲をイタリアのヴェルディ、フランスのグノー、ドイツのワーグナーの大作曲家3人に依頼することにしました。ヴェルディは二度までも作曲を断理ましたが、デュ・ロークルがヴェルディにオペラ「ドン・カルロのフランス語台本を作成したという縁を利用して、自分の原作を使ったオペラの作曲をヴェルディに勧めました。「歌劇王」のヴェルディの豪華な舞台を使ったオペラの原作者になるというデュ・ロークルの出世欲によるものだったといわれています。オペラ劇場はエジプトやヨーロッパのブルジョア達の虚栄心を満たすための「一大パーティー会場」と化し、ヴェルディは初演に参加しませんでした。

Commented by Ruiese at 2013-04-01 18:50 x
こんにちは。
むずかしそうなお話がコメントされていめるのでコメントするのをためらってしまいましたが、とにかく楽しかったです。σ(゚ー^*)
舞台に本物の馬がでてきたのはおどろきましたね。 
Commented by ゆりこ at 2013-04-01 21:24 x
こんばんは。
今年は劇団四季のミュージカル「アイーダを見ました。
オペラで見ていたので、やはりオペラ歌手の方が歌がずっとうまいですね。
演技はまあまあでした。
オペラを知らなかったら楽しめる舞台だったかもしれませんね。
久々のミュージカルでしたが、オペラを知ってしまったら少し贅沢になったしまったのかな。 (# ̄ー ̄#)
Commented by Haruna_Takahash at 2013-04-02 12:39 x
こんにちは。
新国立劇場の「アイーダは古代エジプトにタイムスリップな豪華な演出でしたね楽しめましたね。

私はオーストリアで毎年開かれる音楽祭音楽祭で「アイーダ」を見ました。クレーンで吊り上げられた巨大な仮面、巨大な青い靴にグロテスクな人形などさながらお化け屋敷のようでした。音楽や歌は素晴らしかったので、あまりに奇抜な演出が残念でした。ワーグナーならともかく、時代背景を大切にするヴエルデイがこの舞台を見たら、怒って帰ってしまうのでないかとさえ思えました。オペラは本場の海外で見た方がよいという幻想が砕かれたような経験でした。現代演出もある程度の原作者の意図を考える節度を持ってほしいと思いました。
Commented by Sanrise_777 at 2013-04-02 16:48 x
始めまして。
私も「アイーダ」行きました。
回線の場の舞台上の大行進は、スペクタクル映画の撮影現場を生で観ているようで、その豪華な舞台にに酔いしれました。
ご説明を読んで、その時の感激が目な浮かんできました。
Commented by 美晴駒 at 2013-04-02 20:08 x
始めまして。
オペラは生で聴いたことがありませんでしたが、「アイーダ」の行進曲はよく耳にいます。
分かり易い小瀬説明を読み、オペラのどのような場面で使われているのかよくわかりました。
Commented by シュタイントギル at 2013-04-02 23:24 x
desireさん
私のブログにコメントありがとうございます。ヴェルディの歌劇、観る度にその深さがわかり惹きつけられていきますね。desireさんは視覚重視で観ていらっしゃるのでしょうか。とても美しいブログ構成ですね。私は心理面重視で見ていこうと思っています。
Commented by desire_san at 2013-04-02 23:47
シュタイントギル さん ありがとうございます。
本来美術鑑賞からいろいろな芸術にテリトリーを広げた経緯から、視覚重視的な書き方になってしまいますね。私は視覚、音感も含めて感性でいろいろな芸術を楽しんでいます。心理面重視ということと、感性的にとらえることと違いはよくわかりませんが、絵画でいえば、絵の意味を探るようなイコノロジー的な見方は重視していないと思います。何が書いてあるか、何が言いたいかより、絵画でも音楽でもその一瞬の輝きの美しさに感動する方ですね。
Commented by Keibuihapakunij at 2013-04-03 21:56 x
ベルギー王立モネ王立劇場の「アイーダ」を見ました。アイーダが、 Norma Fantini、アムネリス役がIldiko Komlosiでしたが、どちらも美人でかっこよく、歌も甲乙つけがたい出来でした。Norma Fantini当初新国立劇場のに出演するよていだったそうですが、代わりに出演された歌手もすばらしい出来だったようですね。新国立劇場のオペラもどんどんレベルが上がっているようで、ますます楽しみですね。
Commented by Saruwatari at 2013-04-03 22:04 x
4幕はラダメスとアイーダという愛し合う二人が墳墓のなかに生きながら閉じ込められて死を待つシーンをトスカニーニは、この場面は悲しみじゃない、喜びだ、無上の喜びなんだといったそうです。ヴェルディの「アイーダ」は観念的に「トリスタンとイゾルデ」の影響を強く受けているという説もあるそうです。
Commented by Mwntova at 2013-04-03 22:15 x
「アイーダ」fは、スエズ運河開通に象徴されるように・西欧帝国主義がその頂点に制作されたという時代背景があります。『凱旋の場の合唱にエジプトと国王をもっと賛美させた演出は、普仏戦争に勝利したヴィルヘルム国王に対する賛美とダブります。最近ののアイーダの現代演出は、は舞台に象が登場したり・、車がずらりと並んだりといった偉大なモニュメントで観客を圧倒すねか、それに反逆するかのように、グロテスクななオブジェを肥大化させて様なものが登場させる歪な構造のアイーダが生れています。これは「アイーダ」という作品が制作された時代の歪な歴史的背景に起因するのかもしれません。
Commented by Hakujakou at 2013-04-03 22:22 x
新国立劇場の「アイーダ」の丁寧な鑑賞録をたのしく読ませていただきました。
「アイーダ」を歌舞伎座の「愛陀姫」と比較して論じたものがありますので、ご興味がありましたら、よんでもてください。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~kabusk/butai57.htm
Commented by ayaka-loves-opera at 2013-04-06 14:06
こんにちは。先日は拙ブログへのコメントありがとうございました!私が感情的に書きなぐっているのと違って…詳しくて勉強になるブログを書いてらっしゃるんですね!なのに私のも読んで頂いてお恥ずかしいです…
私は2009年にプラハ国立歌劇場が来日したときに抽象的な演出のアイーダを観たことがあります。それもよかったのですが、やはりアイーダはこういう豪華な演出が似合いますね!また観たいです。
Commented by PhotoConcerto at 2013-04-08 23:45 x
 dezireさん、すっかり遅くなりましたがコメントありがとうございます。
 演出という意味では、いろいろと突っ込み所がありそうですね。今回も古代エジプトを彷彿させるような豪華絢爛な舞台でしたが、カイロオペラハウスでの「アイーダ」初演から140周年の2010年には、8年ぶりにピラミッド前の「ピラミッド広場劇場」で3000人を越す出演者で上演されたそうです。この時期友人がカイロ駐在だったもので、行こうかどうかと随分と考えたのですが結局無理という事になりました。野外では新国立劇場のような手の込んだ演出は無理にしても、ライトアップされたピラミットを背景にあるいは日没後の薄明かりに浮かび上がるピラミッドを背景に?上演されるアイーダはどんな感じなのかなと、今回改めて思いました。まさに古代エジプトに舞い戻ったような雰囲気だったのでしょうか。
 数年後、「ピラミッド広場劇場」で再び上演されるであろうアイーダ、その頃にはエジプトの政情も安定して、アイーダが世界各国に放送されて楽しめたら良いな・・・・などと考えてしまいました。
Commented by desire_san at 2013-04-09 13:10
PhotoConcertoさん、コメントありがとうございます。
カイロのピラミッド広場劇場での「アイーダ」は創刊でしょうね。
「アイーダ」初演の熱気を彷彿させるものではないでしょうか。
以前、中国北京の首里城で「トーランドット」が上演された映像を見ました。
オペラはいろいろな表現ができる芸術ですので、音楽主体の公演とは別に、演出を主体にした講演も、また別の発見があるような気がします。

by desire_san