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芸術と自然の美を巡る旅  

ボッティチェリの初期から晩年までの画風の変遷と魅力

ウフィツィ美術館展
Uffizi Gallery & Sandro Botticelli
ボッティチェリの初期から晩年までの画風の変遷と魅力_a0113718_1133125.jpg


 東京都美術館で、初めてのウフィツィ美術館展が開かれました。フィツィ美術館に所蔵されている作品に加え、アカデミア美術館、パラティーナ美術館、捨て子養育院美術館などフィレンツェを代表する美術館からの作品が展示されていました。その中でボッティチェリの作品を追って、彼の作品の変遷と魅力をレポートしてみました。



This exhibition will trace the development of Florentine art from the 15th to the 16th century through works from the collection of the world-famed Uffizi Gallery, Florence’s oldest art museum, founded to house the art collections of the Medici family. The Uffizi Gallery is renowned for its excellent collection of works by Sandro Botticelli, one of the greatest painters of the Italian Renaissance. Through paintings by Botticelli—including his famed Pallas and the Centaur—and works by Andrea del Sarto, Jacopo da Pontormo, Agnolo Bronzino, and other leading figures of 16th-century Florentine art, some 80 pieces in all, this exhibition will convey the essence of the astonishingly rich and varied Florentine Renaissance.

ボッティチェリの初期から晩年までの画風の変遷と魅力_a0113718_11401648.jpg フィレンツェ・メディチ家の当主ロレンツォ・イル・マニフィコは、芸術擁護活動に非常に力を入れた人物で、弟のジュリアーノとともに、芸術家や文学者らと交流し、自らの美術コレクションを見せて、芸術家を育てました。フィレンツェでのルネサンス美術の開花は、フィレンツェの一族メディチ家に支えられていました。金融業で財力を得たメディチ家は、芸術家たちを支援しました。特に最盛期ロレンツォ豪華王は、フィレンツェの芸術の見事な成果に憧れる他国の君主たちに対する外交手段とするため、ポライウォーロ、ヴエロッキオ、ダ・ビンチら招くなど、フィレンツェにイタリア各地から優れた才能が集まり育っていきました。しかし、マザッチオ、ピエロ・デラ・フランチェスカ、マンテーニャ、ダ・ピンチ、ミケランジェロ、ラファエロなどはある程度フィレンツェの美術を吸収すると、フィレンツェを出て、他の地で活躍しました。これは、フィレンツェ人の趣味は好みがはげしく、感性の鋭い、感覚人間で上品で気高くどこか弱さがある繊細さを求めていたようです。

 そのフィレンツェ人の好みに驚くほど合っていたのがボッティチェリといえます。ボッティチェリは、フィレンツェのメディチ家の庇護を受け生涯にフィレンツェで活動したフィレンツェ人の好みと美意識を象徴する画家といえます。今回の美術展では、なかなか見る機会がなかった初期の聖母子像から、ボッティチェリの代表作のひとつ「パラスとケンタウロス」、そして晩年のサヴォナローラの影響を受けた宗教感情みなぎる作品まで、ボッティチェリの初期から晩年までの作品を見ることができました。

 ボッティチェッリはフィリッポ・リッピの工房で1464年から1467年まで修行時代しました。従って、この時期ボッティチェッリの聖母像にはフィリッポ・リッピの影響が顕著でウフィッツィ美術館蔵のフィリッポ・リッピの「聖母子」を手本としていのです。

Sandro Botticelli Hani I was born in the city of Florence. He was initially trained as a goldsmith. He was apprenticed to Fra Filippo Lippi. Influenced by the paintings of monument of Masaccio anche, it Botticelli seemed from learned Lippi through more intimate and detailed manner. As has been recently discovered, during this time, his work, drawn with clear contours were caratterizzata by the concept of numbers, completely would show the modeled form of light and shadow you can reduce the strong contrast to a minimum.

ボッティチェリの初期から晩年までの画風の変遷と魅力_a0113718_1134611.jpgサンドロ・ボッティチェリ 「聖母子と天使」
1465年頃 テンペラと油彩、板 捨て子養育院美術館
 ボッティチェッリの最初期の作品で、フィリッポ・リッピの作品の模写かと思うほど画風の類似性が顕著です。構図に安定感を持たせている建築物を背後に、聖母子に幼子イエスを支える天使が寄り添う図像は、フィリッポ・リッピが生み出した構図です。衣服の襞(ひだ)や装飾にみられる繊細な線描や、聖母の清楚ではかなげな表情と聖母子の親密な描写が印象的ですが、これもフィリッポ・リッピ特有の表現です。フィリッポ・リッピの華麗な画風を素直に学んだボッティチェリ初期の瑞々しい作品です。

 ボッティチェリは師のフィリッポ・リッピとシャナ派の巨匠シモーネ・マルティーニの繊細な描線による叙情表現の伝統にさらに磨きをかけ、瀬賛意美の極地まで高めようとしました。しかし僧侶なのに女性を身ごもらせるなど奔放なフィリッポ・リッピの描く聖母はどこか女性の色香があり、まじめ人間のボッティチェリの聖母は人間味をあまり感じないような気もします。ボッティチェリはシモーネ・マルティーニのように純粋に神キリストを生んだ聖母を描きたいという気持ちがあり、人間の女性に対する意識は希薄だったかもしれません。

ボッティチェリの初期から晩年までの画風の変遷と魅力_a0113718_1137744.jpgサンドロ・ボッティチェリに帰属 「聖母子(海の聖母)」
1475-80年 テンペラ、板 アカデミア美術館
 小さなテンペラの板絵で、窓枠の向こうに海の風景が広がります。フィピッポ・リッピの画風から脱皮し、ボッティチェリ作品典型のイエスを膝で支える聖母子像として描かれています。イエスが右手に握る柘榴(ざくろ)は、受難を象徴します。聖母の透明なヴェールや、紺碧の衣服に映える金糸の刺繍の繊細な描写は、前の作品と比べると、画家の技量の熟練が感じられます。フィピッポ・リッピの息子で、ボッティチェリ工房の徒弟となったフィリッピーノ・リッピの作品という説もあります。

 ボッティチェッリは、フィリッポ・リッピの工房を後にし、アントニオ・デル・ポッライオーロやアンドレア・デル・ヴェッロッキオの工房に出入りし、彼らから影響を受け絵画様式を徐々に進化させました。ヴェッロッキオの影響は、「バラ園の聖母」「セラフィムの聖母」「聖母子と天使たち」に現れています。人物像は「窓」のような絵画の縁に遠近法的に配置され、背景の建造物は観念的空間となっています。構図は次第に進化し、遠近法で描かれた理論的空間と現実的人物像の空間の調和を図っています。ボッティチェッリは初期の模範から徐々に距離を置き、同時代人の画家たちの様式と本質的に異なる様式を生み出すことで、当時のフィレンツェの芸術の孤高の存在となりました。

In these works, the influence of Gothic realism is enhanced by the study of Botticelli of antique. If can be understood is pictorial means, charming leave for the subjects themselves of their ambiguity. Complex meaning of these paintings, mainly focuses on poetry and philosophy of the humanities was a contemporary of artists, continue to receive a wide range of academic interest. Work, does not indicate the specific text. Rather, each is dependent on some of the text for its significance. As illustrated the "grace" as having a linear rhythm, characterized by Vasari by John Ruskin, its beauty, of no doubt. Photo, a soft continuous contours and pastel color has a linear style of emphasis Botticelli

ボッティチェリの初期から晩年までの画風の変遷と魅力_a0113718_11372756.jpgサンドロ・ボッティチェリ「パラスとケンタウロス」
1480-85年頃 テンペラ、カンヴァス ウフィツィ美術館
 半人半獣のケンタウロスは、暴力や肉欲など、人間の獣性を象徴と言われています。学問の女神パラス(ミネルウァ)が左手に斧のついた大槍を携え、右手でケンタウロスの髪をつかんでいます。パラスがケンタウロスを支配するこの作品は、新プラトン主義の「理性による獣性の統御」の表現と言われています。勝利と平和の象徴といわれるオリーブを頭部や体に巻き付けた女神パラスは凛々しく、女性らしい甘美で憂いのある表情を浮かべています。パラスの白い衣に散らされているダイヤモンドの指輪を組み合わせた模様は、メディチ家の紋章といわれる。その視線はケンタウロスを見ていませんが、女性とは思えないたくましい肉体は、明らかにケンタウロスより優位であることを示しています。

 新プラトン主義、古代文化を説得的方法で再評価することで、古代文化が内包する異教性の非難と人文主義の運動を結び付けました。倫理的模範として古代の美徳を積極的に提案し、キリスト教の理想と古典文化の理想とを一致させようとしました。新プラトン主義の表象芸術に与えたこれらの理論の影響は大きく。美および愛は新プラトン主義の芸術の中心的な主題となりました。ボッティチェッリは新プラトン主義者たちの考えを完全に認め、理論化された美を彼独自の憂鬱で感傷的な性格で個人的な解釈加えて視覚的に表現しようとしました。代表作「プリマヴェーラ」「ヴィーナスの誕生」も新プラトン主義の影響を受けています。

Pallas and the Centaur, one of the best-known Botticelli masterpieces in the Uffizi Gallery’s collections, will return to Japan after a hiatus of 34 years. Botticelli, who enjoyed the patronage of the Medici, a family celebrated for its vigorous support of the arts, is a painter closely associated with the Uffizi Gallery. Along with Pallas and the Centaur, which is thought to be produced for the Medici, the exhibition will also display his fresh and vibrant, early period Madonna and Child and works of strong individuality from his late years.

 ロレンツォ豪華王の死後、息子のピエロは女と快楽に溺れ、フィレンツェ人から見放されてしまい、最終的にメディチ家は追放されました。フェラーオで生まれボローニャで修業を積んでサヴォナローラは、ロレンツォ豪華王の末期、フィレンツェの腐敗した享楽生活を激しく告発し、素朴な神への信仰を説きました。サヴォナローラ大聖堂の説教壇の上から、すでに病床にあったロレンツォ豪華王を痛烈に非難しました。ヴォナローラの武器は天性の弁舌の才能だけでしたが、多くのフィレンツェ人がサヴォナローラに心酔しました。ロレンツォの死後、サヴォナローラの人気は高まる一方でした。ボッティチェリはサヴォナローラの思想に一時かなり心酔しました。

"Like many of Florence, Botticelli to had come under the domination of Savonarola, his art, was converted from decoration to deeply pious - mysterious Nativity I bear all the signs of this change. Botticelli, searches for his psychological development of artists through the Madonna, in the deepening of insight and expression in the rendering of Mary of physiognomy, Steinmann tell the proof of influence of Savonarola on Botticelli. Steinmann is Botticelli, believe rather that the psychological impact under Botticelli of Savonarola drew, emotional virgin is followed directly from the teachings of the Dominican monk.

ボッティチェリの初期から晩年までの画風の変遷と魅力_a0113718_1138059.jpgサンドロ・ボッティチェリ、「東方三博士の礼拝」
1490-1505年(もしくは1500年頃) テンペラ、板 ウフィツィ美術館
 東方三博士がイエスの降誕を祝う場面はキリスト教絵画のこの伝統的なテーマです。荒涼とした原野に建つ頑強な岩の厩にいる聖母に抱えられたイエスが、三博士の一人に祝福を授けています。ボッティチェリは聖母子を中心に据え、群衆を円環状に配す革新的な構図で描いています。ボッティチェリは何度もこのテーマを描いていますが、初期の作品から聖母子を中心とした求心的な構図を試みているようです。ヨセフの左側にいる僧侶はドメニコ会修道士サヴォナローラという説もあります。

ボッティチェリの初期から晩年までの画風の変遷と魅力_a0113718_11384612.jpgサンドロ・ボッティチェリ「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」
1505年頃 油彩、カンヴァス パラティーナ美術館
 聖母マリアは上半身を深く前に倒し、イエスの体を聖ヨハネに預けようとしています。頬を寄せて抱き合うイエスと聖ヨハネの姿は、後に聖ヨハネがイエスに洗礼を授けるエピソードを暗示しています。二人の間には、聖ヨハネの持物である葦でできた十字架があります、この構図は十字架降下を想起させる場面となっている。プロポーションを引き伸ばされ、画面に沿うように体を屈折した聖母は、とりわけ晩年のボッティチェリ作品にみられる、不安定で個性的な表現になっています。
 
 サヴォナローラの理想は独裁政治で、享楽的な現実主義のフィレンツェの人々に修道士のように未来への信仰に生きることを強要しました。このような禁欲的な生活を強いる独裁政治は反発を買い、サヴォナローラは焚刑に処せられました。ボッティチェリはサヴォナローラの思想に一時かなり心酔していたころ神秘主義的なうつろな不安定な絵画を描いています。サヴォナローラの焚刑後のボッティチェリは創作意欲を失い、活動も僅かになってしまいます。晩年の作品「神秘の降誕」では硬質で細かく、小さい描写になっています。難解なギリシャ語で、黙示録にある災いと勝利が描かれていると、銘文で示していますが奇妙で難解な作品です

参考文献
ブルーノ サンティ (著), 関根 秀一 (訳)「イタリア・ルネサンスの巨匠たち14 ボッティチェリ 」1994/2/1
アサヒグラフ別冊「ボッティチェリ」西洋編朝日新聞社 編
ロナルド・ライトボーン(著), 森田 義之、小林 もり子訳)「ボッティチェリ」西村書店



















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by desire_san | 2014-12-05 11:40 | フィレンツェ美術の旅 | Comments(43)
Commented by 梅屋千年堂 at 2014-12-05 21:49 x
こんばんは。
さっそくお邪魔しました。
dezireさんのブログは大変勉強になります。
ワタシも「チューリヒ美術館展」「ボストン美術館展 華麗なるジャポニスム展」を
観てきましたので、そちらの記事も興味深く拝見させていただきました。
日本にいながらにして、巨匠達の作品を間近で観られるというのは
本当に悦ばしいことですね。
と言いつつも、いつかきっとフィレンツェに行って
日がな一日どっぷりとルネサンスの世界に浸ることを夢見ています。
Commented by Masayuki_Mori at 2014-12-05 22:46 x
ルネサンスの町と言われるフィレンツェですが、ルネサンスの三大巨匠の大作は、フィレンツェにはあまりませんね。フィレンツェ市民はマザッチョ、ドナテッロ、ブルネルスキなどなどの新しくて力強い、天才に拠る作品を好まずベルティ、ロッビア、ボッティチェリのようなゴシック様式の繊細さを好み市民の通俗的な趣味似合わない天才がフィレンツェ外に出て行かざるを得なかったようです。ボッティチェリの作品は、中世美術に比べると立体的でも、レオナルドやミケランジェロの作品に比べれば、奥行きはなく、平面的いです。フィレンツェ市民の趣味に迎合した美意識の、ギベルティやロッビア、フィリッポ・リッピやロッビアやボッティチェリの作品をフィレンツェで好かれ生き残ったというるのではないでしょうか。
Commented by desire_san at 2014-12-05 22:53
梅屋千年堂さん、コメントありがとうござています。
私は実はフィレンツェに3度も行っています。しかしボッティチェリの「パラスとケンタウロス」は、冬季用でみた方が印象に残りました。不思議なものですね。あまり多くの傑作があると、印章が薄れてしまうような気もします。
Commented by いっこさん at 2014-12-05 22:55 x
はじめまして。
早速おじゃましました。
美術展だけでなく、オペラやバレエ、旅行など、幅広く紹介されているのですね。
「チューリッヒ展」には私も近いうちに行く予定です。今年はスイス関連の展覧会がいろいろとあって興味深いですね。
Commented by desire_san at 2014-12-05 22:57
Mori さん。ご指摘の通りだと思います。マザッチョ、ドナテッロ、ブルネルスキも、レオナルドやミケランジェロゆラフアエロも。現在の自分の作品に満足せず、常により高きものを求めました。そういう人は、フィレツェには合わなかったようですね。
Commented by desire_san at 2014-12-05 22:59
いっこさん 和父子のブログをいろいろ見て頂いてありがとうございます。いろいろ書いていますので、ご興味のあるものがありましたら、ぜひ観てください。
Commented by ごみつ at 2014-12-06 01:11 x
こんばんは。

拙ブログにコメントをいただき有難うございました。
早速、おじゃまさせていただきましたが、dezireさんの記事、ものすごく勉強になります!
また追って、他の展覧会の記事もゆっくり読ませていただこうと思います。

私もメディチ家の歴史は是非、勉強してみたいと思ってます。
それにしても、やっぱりボッティチェリの作品は素晴らしいですね。私は「聖母子と天使」にとても心を魅かれました。
Commented by desire_san at 2014-12-06 06:39
ごみつさん、ありがとうございます。
ボッティチェリの作品は独特の繊細な魅力がありますね。
この頃のイタリアの歴史は面白いですね。
Commented by powanksyfu-no at 2014-12-06 12:31
初めまして、
ご訪問ありがとうございます。
おかげで、こちらのブログを知ることができ私的にはかなり嬉しいです
美術館見て歩くのは大好きですが、やはり現地で見るのに勝るものはないように思います。
今回ようやく、年末にイタリアのウフィツィ美術館、行ってまいります!
上野で見て火がついてしまいました。
他にもローマ、ベネチアに回ってくる予定ですので沢山の美術鑑賞楽しんでくるつもりです。
色々こちらで知識を入れて行ってまいります❤
読ませていただきます。
Commented by desire_san at 2014-12-06 15:13
powanksyfu-noさん、
イタリアのウフィツィ美術館は新装して、1階と2階に分けれられ、見やすくなりましたが、見たい絵を決めておかないと、展示館で見るのが難しくなりました。じっくり見ると1日係りになります。
Commented by komichi at 2014-12-06 23:33 x
こんばんは!
dezireさんのブログ拝見して、とてもていねいに解説されていることに驚きます。
ボッティチェリもメディチ家の運命と重なり合うように激動を生きた画家でもありますね。
初期の作品からは大らかとも思える華やかな女性美が感じられ、メディチ家の人々から喜ばれただろうと想像しました。
それにしても「パラスとケンタウロス」は当時広間に掛けられていたということですから、装飾の多いインテリアの中、かなり強烈なテーマの絵画をものともしない西洋貴族のエネルギーを感じ、日本人のわびさびとは対極にある文化だと再認識させられます。
また訪問させていただきます。
Commented by 山脇由美 at 2014-12-07 09:05 x
ボッティチェリもすばらしい画家ですが。私はこの時代の最大の画家はマザッチョだとおもいます。マザッチョはブルネレスキ、彫刻におけるドナテルロとともに、絵画の面で「近代的表現」を創始した人物といえます。ルネサンス期の新しい絵画技法である遠近法を開拓しました。マサッチョはジョットのように輪郭線に頼らず光の明暗で量感を表し、背景の山なみに描写にも遠近法が用いられ、深い空間を感じる作品を制作しました。彼の作品は、ピエロ・デラ・フランチェスカやオンテーニャに大きな影響をあたえました。
Commented by Montecarro at 2014-12-07 09:14 x
ボッティチェッリは、色や形態はフィリッポ・リッピの作風の影響があり、理想的な美しさを持った女性として表現されています。しかしボッティチェッリには、少しメランコリーな空気があり、「剛毅」では、人物像に比べて、椅子などの周りの色彩が抑えめとなっているので、人物像が際立っている感じです。
Commented by desire_san at 2014-12-07 09:21
komichiさん、コメントありがとうございます。
「パラスとケンタウロス」はの日本で改めてみるとすばらしい傑作だ感じました。「パラスとケンタウロス」は当時広間に掛けられていたのでか。パラスの凛として威風堂々としてが、広間に映えたでしょうね。
Commented by desire_san at 2014-12-07 14:12
山脇さん、 Montecarroさん、イタリアではルネサンスとフィレンツェ・ルネサンスは別の美術の潮流と言う見方をしています。山脇さんが書かれておらりるように、マザッチヨ、ブルネレスキ、ドナテルロ、ピエロ・デラ・フランチェスカや、オンテーニはフィレンツェ・ルネサンスではなく、ルネサンスに分類します。フィリッポ・リッピボッティチェッリ、フィリーピーノ・リツピ,ウッチェルロなどは純然たるフィレンツェ・ルネサンスの画家で、ルネサンスとフィレンツェ・ルネサンスは別の美意識と考えてよいのではないでしょうか。
Commented by Ruiese at 2014-12-08 00:02 x
ボッティチェリの作品は日本で見る機会が少ないですが、今回のウフィツィ美術館展で、珍しい初期の作品が見れたのは良かったと思いました。「パラスとケンタウロス」は最盛期のさくひんらしく、さすがにはくりょくがありましたね。
Commented by Karmero at 2014-12-08 00:53 x
ルネサンスには、神を絶対視し人間を罪深いとする教皇の思想が支配した中世を暗黒の時代として、暗黒から人間を解放しようする運動というみかたがあります。ルネサンスの意義として、「個人の解放」「ヒューマニズム」の理念が協調されました。現在は、中世=暗黒時代、ルネサンス=明るい近代への序曲という単純な見方から、中世の文化の豊かさが見直され、ルネサンス以降も魔女裁判が続き暗黒な部分が残っていた事も指摘されています。しかし美術的にはルネサンスに多彩な人材が輩出し、大きな進歩と飛躍があったことは間違いないようです。
Commented by つぶ at 2014-12-08 10:13 x
おはようございます。
ブログ訪問&コメントありがとうございます(●^o^●)

フィリッポ・リッピとボッティチェッリ、女性の描き方はずいぶん違いますよね。どっちも好きですが。
ボッティチェッリはあまり、人体の研究には熱心ではなかったのでしょうか?プロポーションがちょっと微妙ですよね。


Commented by ステラ at 2014-12-08 16:42 x
こちらでははじめまして、
コメントをたどって記事を読ませていただきました。作品
の写真と一緒に時代背景などもわかりやすくまとまってい
てとても参考になりました。ボッティチェリは最後まで
フィレンツェに残り、その影響を一番強く受けていたので
すね。そうした時代背景も知りながらいつかイタリアへ美術館めぐりの旅へ行きたいと思いました。これからもよろしくお願いします。
お願いします。
Commented by abby819lucky at 2014-12-08 16:57
拙ブログへのご訪問とコメントをありがとうございます。事情で迅速にレスなど出来ず申し訳ありません。
こちらの記事では、ボッティチェリの絵画の変遷を時代背景と合わせて的確にまとめられており、理解が深まりました。ありがとうございました。
海外にも広く行かれているようで羨ましいです。私はフィレンツェは未踏の地です。やはりパラスよりも本場でプリマヴェーラを観たいと憧れを強くしました。
Commented by chocolat_cosmos at 2014-12-09 17:48
desireさんの丁寧で明解な記事を拝読するのがいつも楽しみです。
そして同じ作品が並ぶ展覧会を自分なりにきちんと観たはずですのに、
もう1歩、より深い愉しみを逃したような気持ちになってしまいます。
これからも多くのことを教えていただきたいです。
今回の展覧会をきっかけに、あらためてヴァザーリの「芸術家列伝」読んでみたいな、という気持ちになりました。いつものようにまた、いつか、きっと、ですが。
Commented by pleiad-subaru at 2014-12-09 21:49
はじめまして、ままままです。
私のブログにお越しいただきありがとうございました。
desireさん 詳しくまとめていらしてとても勉強になりました。
過去ログもおいおい見せていただきますね。
Commented by umitosora14 at 2014-12-11 00:03
ウフィツィ美術館展も開催されてたんですね
東京はいろいろ開催されて良いですね~
ウフィツィ美術館は随分前、フィレンツェで訪れたのでとっても懐かしいです
ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」や「春」が特に気に入って、カードを買ったりしました
記事を読ませて頂いて、ボッティチェリの画風の変遷を初めて知りました
フィレンチェは街自体が美術館のようで、また、行って味わいたいところです♪
Commented by Wartervom at 2014-12-11 14:35 x
フィリッポ・リッピは現実を感じさせる空間構成と、流麗な線描と繊細かつ豊かな色彩による人物の世俗的で甘美な表現をおこなう独自の様式を確立。世俗や官能と聖性を併せ持つフィレンツェ派の巨匠で、隆盛してゆくフィレンツェ派の発展に重要な役割を果たしました。息子のフィリッピーノ・リッピ類稀な画才を持ったがかでした。カルメル派の巨匠マザッチョにも絵画を学び、強く影響を受けたと推測されます。リッピの弟子でフィレンツェ派最大の画家のひとりサンドロ・ボッティチェリに対しても、マザッチョとボッティチェリの接点ともなったと言われています。
Commented by TECNOMRK at 2014-12-11 15:05 x
ボッティチェリの画風の変遷、たいへんべんきょうになりました。フィリッポ・リッピ、ボッティチェリ、息子フィリピーノ・リッピという師弟関係にあり、3人の絵は類似性があり、違いが良く分かりませんでした。聖母子の優美さにおいてはリッピ父が絶賛されており、作家のフランチェスコ・カタルッチョ氏によると、聖母子における父リッピの薄い半透明なベールの描き方は絶妙、一方、同様の構図のボッティチェリのベールは雑巾みたいだといっていました。私が見ても良く分かりませんが、そういう見方もあるのでしょうね。
Commented by desire_san at 2014-12-11 15:38
つぶさん フィリッポ・リッピとボッティチェッリ、女性の描き方はずいぶん違いが見ていておわかりですか。私は聖母子のような同じテーマの作品ではなかなか区別がつきません。あえて言えば、フィリッポ・リッピの方が生身の女性の魅力を感じるような気がします。
Commented by desire_san at 2014-12-11 15:44
ステラさん、Karmeroさん。コメントありがとうございます。私もイタリアへ美術館めぐりをしていますが、色々な潮流があり、フィレンツェルネサンスだけがルネサンスではなく、 Karmeroサンがご指摘のようにルネサンス=明るい近代への序曲という面だけでなく、やはり光と影の部分がるることをかんじました。
Commented by desire_san at 2014-12-11 15:48
umitosora14さん、ウフィツィ美術館展は2度行きましたが、傑作の数が膨大で、1日かけてみても良いくらいすごい作品群でした。今回の美術展も一部の作品を除くと普段はお蔵入りして後悔していない作品がほとんどだそうですが、それだけでもこれだけの充実した美術展になるウフィツィ美術館の所蔵品のレベルの高さは驚くばかりです。ボッティチェリについてだけ書きましたが、他にも心に残った作品はたくさんありました。
Commented by desire_san at 2014-12-11 15:51
Wartervomさん、TECNOMRK さん、フィリッポ・リッピに関する貴重な情報ありがとうございました。フィリッポ・リッピは私も大好きで、テーマによってはボッティチェリより魅力ある作品を描く画家だという認識を持っていましたが。コメントを読ませていただいて、整理ができました。
Commented by maano-flower at 2014-12-12 12:22
こんにちは。
早速お邪魔しましたが、とてもお詳しく今になってあの絵は、なんて思ったりもしました。
色や構図のみならず、時代を知ることでより楽しく鑑賞できるものですね~。これからも拝見させて頂きます!
Commented by desire_san at 2014-12-12 14:13
maano-flowerさん、コメントありがとうございます。
画家による構図や色彩感覚の違いを観るのは楽しいですね。
また、美術や海外旅行の記事を書きますのでもよろしくお願い致します。
Commented by kaorunchoko at 2014-12-14 12:23
desire_sanさん こんにちは!
記事読ませていただきました。
私は、絵画に詳しくないので、本当に見た作品が好みかどうか…位しか分らず、
歴史的背景を、きちんと学んであればもっと良いと思うのですが…
「海の聖母」の透けるようなレースの感じや、衣の質感、色合いがとっても綺麗だったのと、
「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」の綺麗さに感動しました。
勉強不足で何も分かっていませんが、機会があって行けるなら美術館展等に行き
本物を観たいと思っています。
歴史的な事や、師弟の事等詳しく書かれたブログとても勉強になりました。
ありがとうございます。

Commented by desire_san at 2014-12-14 23:10
kaorunchokoさん、「海の聖母」から「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」まで、イタリアルネサンス美術の魅力が感じられてよかったですね。また時々美術展があるとレポートを書いているので、よろしかったらまたご訪問下さい。
Commented by ruki_fevrier at 2014-12-21 23:06
こんばんは。先日はコメントありがとうございます。
ウイフィツィ展、ボッティチェリの初期から晩年まで網羅された展示は本当に見ごたえがありましたね。
desireさんの仰る通り、彼は人間の女性に対する意識が希薄というか、苦手のように感じますね。
あくまでも二次元の女性の理想像を描いていた、そんな感じがします。
サヴォナローラへの心酔によって画風が変化してしまったのは本当に残念。
そんな風に思いながらdesireさんの解説を拝読しました。
Commented by desire_san at 2014-12-22 00:03
ruki_fevrieさん、私のブログを読んでいた陀ありがとうございます。
ボッティチェリより、女好きのフィリッポ・リッピの方が女性の人間としての魅力をうまく表現していると環するるのは、私だけではなくて、何か嬉しいですね。
これを機会に、よろしくお願い致します。
Commented by ディック at 2014-12-31 13:50 x
 『パラスとケンタウロス』にはあまり魅力を感じず、二つ並んでいた《聖母子と天使》、《聖母子、洗礼者聖ヨハネ、大天使ミカエルとガブリエル》にすっかり魅せられました。
 《聖母子と天使》はフィリッポ・リッピの構図だそうで、《聖母子、洗礼者聖ヨハネ、大天使ミカエルとガブリエル》のほうは、調べてみてもネットにはあまり情報がない。どこまでボッティチェリ自身の作品なのかわからない、工房で誰かが描いたのかも知れない、ということでしょうか。
 そもそもボッティチェリの実物を見たのは初めてで、ぼくがルネサンス美術の世界に入ってきたのもここ一年のことですから、経験が浅すぎるのですが…。
 今年はフランスとイギリスの庭園を見に行くことができたのが初めてのヨーロッパ旅行でした。
 一度そうして外へ出てしまうと、イタリアへも行きたい。とくにフイレンツェとローマだけでもいいから、じっくりと街と美術館だけをめぐりたい、と思うようになりました。
 フィレンツェはボッティチェリほか、ルネサンス美術の宝庫だそうですし。
Commented by desire_san at 2014-12-31 15:10
ディックさん、 コメントありがとうございます。
画集で見ている頃からボッティチェリはイタリアルネサンスの象徴のように思えて憧れていました、『パラスとケンタウロス』はかなり前に1度日本に来ていますが、その優美な美しさに魅せられました。数年前初めてフィレンツェに行き、『ビーナスの探勝』や『プリマべーラ』をみてボッティチェリの魅力を生で味わい、感激しましたが、マザッチォ、シモーネ・マルティーニ、アンドレ・デル・サルト、ピエロ・デロフランチェスカなどたくさんの個性的な巨匠の存在を知り、すっすりルネサンス美術の虜となってしまいました。年明けにはまたボッティチェリがくるそうですが、東京にいてルネサンス美術を見れるのは幸せですね。
もう今年も最後の日となりました。来たるべき年の ディックさんのご多幸をお祈り申し上げます。
良いお年を!
Commented by artstable67 at 2015-05-16 22:09
トラックバック有り難うございました。こちらの「ウフィツィー美術館展」は見逃しておりましたので、大変勉強になりました。女好きのフィリッポ・リッピと女性に縁のないボッティチェリ。。その視点で描かれた絵を見ると興味深いですね・・
これからもブログは意見させて頂きます。
Commented by desire_san at 2015-05-17 09:22
ご丁寧にありがとうございます。
女好きのフィリッポ・リッピの画風を、女遊びをしない真面目なボッティチェリが継承し発展させ、リッピの息子も育ててフィレンツェルネサンスを発展させ守っていったというのは運命的で、ボッティチェリという人の人間性にも魅かれますね。Bunkamuraのボッティチェリ展についてもレポートを書きましたらお知らせしますので、これを機会によろしくお願い致します。
Commented by primex64 at 2015-06-18 11:24
拙blogへのコメントありがとうございました。
年末のウフィツィ美術館展は行けなかったため興味深く拝読しました。恐らく、Bunkamuraの展示内容よりは大規模だったのではないでしょうか。私が鑑賞した作品では一連の聖母子シリーズ、それと受胎告知が印象的でした。それとパトロンであったメディチ家の銀行・金融関連の世俗的絵画や各種の器具(今で言うところのバンキング・マシン)も面白かったです。仰っている通り、フィリッポ・リッピの影響は見られるものの、より清廉な作風・絵柄だと思いますね。フィリッポ・リッピや先達との関係性を取り上げた解説パネルもありました。
Commented by kayapiee777 at 2015-06-23 15:11
コメントどうもありがとうございました。
美術館の雰囲気が好きで、時々お友達と一緒に鑑賞しています。
ただ絵画などの知識は全くなくて、雰囲気を楽しんで癒されています。
Commented by desire_san at 2015-06-24 00:04
kayapiee777さん、コメントありがとうございます。
私も美術館の雰囲気が好きで、人が少ない時は、絵に囲まれた部屋で座って静かに過ごすのがたのしみの一つです。
Commented by artstable67 at 2015-07-05 10:51
先日は拙ブログへのコメント有り難う存じました。
こちらの展覧会は見逃したものでしたので、ボッティチェリの作品を一同に日本でご覧になられたのを羨ましく拝見しました。ボッティチェリの一生と画風の変化がよく理解でき興味深く読ませて頂きました。
フィリッポ・リッピの工房を出た後、アントニオ・デル・ポッライオーロやアンドレア・デル・ヴェロッキオの工房にいた事は初めて知り大変勉強になりました。

by desire_san