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芸術と自然の美を巡る旅  

ドラクロワの画業の集大成ともいえる傑作『ライオン狩り』初来日

『ボルドー展』から

Fromthe "Bordeaux Exhibition"

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 フランス・ボルドー市の協力で、25千年前頃に制作された『ローセルのヴィーナス』、1世紀末に作られた『少女の墓碑』などの貴重な古代遺物や、1870年のボルドー美術館の火災で大きな損傷を受けたウジェーヌ・ドラクロワの『ライオン狩り』をはじめとする約200点を超える美術作品や歴史資料を展示する展示会が東京西洋美術館で開催されました。その名から個人的に特に印象の残った2点4について感じたところを書いてみました。






Muséedes Beaux-Arts de Bordeaux is the fine arts museum of the city of Bordeaux,France. Established in 1801 by the painter Pierre Lacour,[1] it is one of thelargest art galleries of France outside Paris. The museum is housed in adependency of the Palais Rohan in central Bordeaux. Its collections regrouppaintings, sculptures and drawings. The painting collection is the largest oneand its strong points are works by French and Dutch painters.



ウジェーヌ・ドラクロワ『ライオン狩り』   1854-1855年 ボルドー美術館


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 ドラクロワはボルドーで幼年期を過ごしました。この作品は1855年のパリ万博のために政府の注文で制作され、ボルドー美術館に保管されていましたが。1870年の美術館の火災で画面の一部を失いました。


 人と猛獣の戦いを通じてほとばしる自然の生命力に対する畏怖や憧れ画家独自の雄渾な筆遣いと鮮やかな色彩で描き出されています。馬をつれたアラブ人たちに躍りかかる2頭のライオン。左側で馬と人物を押さえ込んでいるオスは牙をむき出しにしてほえたけているようです。メスも馬の背中に鋭い爪を立て、血を滴らせています。中央で剣を持った男性が反撃を試みますが、ほかの人物は地に伏して敗北感が漂っています。おどろおどろしい動物たちと人間の生死をかけた闘いの絵画は、グロテスクともいえますが、観る人を強烈にひきつけます。一見眼をそむけたるような惨たらしさですが、なにしろ過ごす迫力にだんだんひきつけられていく不思議な魅力を持った作品でした。

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 隣に、オディロン・ドランが、この『ライオン狩り』の火災で上部を失う前の構図を今に伝える模写がありました。ドラクロワの描いた全体像は、この模写のような構図であるとすると、ライオン狩りをする人間が主役となり、おどろおどろしさが影をひそめ、整理された構図の“普通の絵画”だったと推定されます。


 しかし、火災で上部が失われた『ライオン狩り』はライオンに象徴される自然の恐ろしさが強調され、絵画として圧倒的な迫力が与えられ、オリジナル以上の傑作となったのは、まさに芸術の面白さです。この構図になってドラクロアの力量がなかったら見るに堪えない、ドラクロアにしか書けない作品に生まれ変わったのです。オリジナルはドランの模写からしか推定できませんが、おそらくその迫力はオリジナルから損なわれるどころか、かえって迫力が増しているのはないでしょうか。この作品は、ドラクロワの画業の集大成にふさわしい傑作だと感じました。


 ドラクロアの師である新古典主義の画家、ゲランの『フィードルとイボット』も新古典手記の代表的スタイルを表す作品で、印象的でした。




ペルジーノ『玉座の聖母子と聖ヒエロニムス、聖アウグスティヌス』

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 ラファエロの師、ペルジーノの大型祭壇画。ペルージャの教会からナポレオン軍に押収され、ルーブル宮に展示された後、ボルドー美術館に納められました。画面左手は、緋色の枢機卿の服をまとい、自ら編纂したラテン語の聖書を読む聖ヒエロニムス、右手にアウグスティヌス修道院の守護聖人、聖アウグスティヌス、立ち姿で祝福する幼子キリストが特徴的ですが、やはりこの絵の魅力はいかにも清純さがあふれる聖母はリアの姿です。ペルジーノのマリアは恋をしてしまいそうな初々しい乙女なのです。






















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by desire_san | 2015-09-08 05:46 | 美術展 & アート | Comments(4)
Commented by rollingwest at 2015-09-09 06:10
芸術の秋を先どりで素晴らしい~
Commented by desire_san at 2015-09-09 17:17
rollingwesさん、紅葉の秋ももうすぐですね。
Commented by snowdrop-momo at 2015-09-12 07:47
関東では芸術の秋が始まりましたね。葡萄酒のボルドーにこんなに多様な芸術が集まっていることに驚きました。ペルジーノの画風や、顔だけの天使は、ラファエロの「聖母の戴冠」を思い出させます。空の青が紅葉の秋を呼んでくれそうです。

あれから初心に帰って、小さな旅行記を9月1日から5回に分けて書いてみました。5回目でダルマツィアの詩人の詩を引用したときは、行ったことのないクロアチアの海を、貴ブログで閲覧しました。ありがとうございます。
Commented by rollingwest at 2015-09-19 06:40
シルバーウイークは素晴らしい秋の好天が続きそうですね!200名山登山は行かれないのですか?
これから長崎・上五島の観光旅行に行ってきます。ついでに雲仙岳を登頂する計画ですが、雲仙普賢岳の頂上に入る時に噴火したらどうしよう・・!口永良部・桜島・阿蘇と火山活動が北上しているのですから・・。

by desire_san