ブログトップ | ログイン

dezire_photo & art

desireart.exblog.jp

芸術と自然の美を巡る旅  

若手俳優のフロントランナー_池松壮亮_綾瀬はるかに自然体の笑顔を演出

『あなたのそばで明日が笑う』

「東日本大震災10年」


若手俳優のフロントランナー_池松壮亮_綾瀬はるかに自然体の笑顔を演出_a0113718_15393859.jpg



今年36綾瀬はるかさんと池松壮亮さんが主演のした「東日本大震災10年 特集」ドラマ『あなたのそばで明日が笑う』が放送されました。ドラマは、宮城県石巻市を舞台に、震災で行方不明となった夫を待ち続ける一人息子の母・真城蒼(綾瀬さん)が、震災を知らない建築士と出会い、心を通わせていく様子を軸に展開。周囲の人との交情を織り交ぜながら、物語は進みます。ドラマには綾瀬さんが真城蒼、池松壮亮さんが建築士の葉山瑛希、高良健吾さんは蒼の夫・高臣、阿川佐和子さんは高臣の母・浅子、土村芳さんは高臣の妹・遥を演じました。








宮城県石巻市を舞台に、瑛希(池松壮亮)蒼、(綾瀬はるか)ら、いまを生きる人々が、もう一度、“笑顔を取り戻す”姿が描かれています。



テレビドラマには殆どでない俳優・池松壮亮さんの演技が絶妙でした。普段着でメイクもしていない池松壮亮さんが、サンダル履きのように自然体で居場所を求めて移住して来た建築士・葉山瑛希として石巻に現れ、動震災で行方不明となった夫を待ち続ける蒼(綾瀬はるか)に出会います。ドラマは池松壮亮さんのペースで進み、心を閉ざして反発を感じていた蒼が心を開いていきます。いつも自意識の女を演じていた綾瀬はるかさんが、池松壮亮さんの存在感の強さに引っ張られて、だんだん可愛女性になっていきます。綾瀬はるかがこんなに可愛く見えたのは、大沢たかおと共演した『仁』以来でしょうか。



震災に限らず、どんなに相手のことを大切に思っても、その悲しみを完璧に背負うことは無理だと、池松壮亮さんは語ります。俳優は役を纏うことで別の人生を追体験することはでき、なにかを感じることできるわけです。池松壮亮さんは10年前に被災地にはいなかったので、どんなに頑張っても絶対に当事者にはなれない。当事者の方々の10年と、それ以外の人たちの10年はあまりにも違うと思います。池松壮亮さんが演じた瑛希もそうですが、当事者になれないから諦めるのではなく、それでも、苦しみや悲しみを持つ相手にできることは寄り添うこと、コロナがあり、アーティストの相次ぐ死があり、あの日から10年を向かえようとしている自分自身が感じる人間のあらゆる実存危機を考えていたことがこの作品へと自分自身を突き動かす原動力となったような気がすると池松壮亮さんが語ります。



このドラマのヒロイン真城蒼は夫を亡くし、遺品も姿も未だ見つかっていません。震災によって大切な人を失った方に対して、「区切りをつけて前に進もう」とは決して言えないのです。「区切られたくない」という気持ちは分かるが、蒼も本当は区切りを付けたいはずです。出来ることなら前に進みたい。そんな区切りなんて付けられないという人物を主人公に据えているのがこのドラマのポイントです。生きていく上で人間には「区切り」が必要だし、時代の転換期には区切って振り返らざるえない。命や愛に限りがあり、区切りがあることをこのドラマ提示しています。「区切らなくていい」と伝える一方で、「区切る」ことの大切さも伝えることはが重要なことなのではないかと池松壮亮さんが語ります。



被災者を見守ってくれる、被災地を応援する、忘れてはいけないあの日と被災者を描くという美談は数多く報道されていますが、被災者の繊細な気持ちは皆分かっていないように感ずるものが多いと思います。このドラマは被災者の繊細な気持ちを宿していて、それだけでなく、もう一歩踏み込んだ内容になっていると思います。








【あらすじ】

真城蒼は震災で行方不明になってまだ何も見つかっていない夫高臣のことを「亡くなってないよ」と知人に言っていました。蒼は高臣とこの地で本屋を営んでおり、震災から10年の節目にその本屋を開店しようと想い、建築士・葉山瑛希に設計を委託していました。蒼は、高臣が営んでいたブックス草原を再現したく本でいっぱい本屋を開業したいと提案しますが、瑛希は今どき難しいと反論します。「葉山さんは石巻に来て半年ですよね。…この町のことを知っているみたいに話さないで下さい」と2人は喧嘩別れしします、後日、蒼は瑛希に謝りとお願い事をすします。「分かると分からないってどうやったら超えられるのですかね。真城さん、この町のこと案内してもらえますか。この町のことを教えてください。」映画館があった場所。夫はエキストラの物語を想像するのが好きだ、と言っていた。地震があった日、非難した高台の日和山へ。高臣は防寒着を取ってくるからと家に戻った。「なんであのとき、引き止めなかったのだろう」蒼は悔やみます。



海岸で待っても来なかった高臣を見つけて、駆け寄った蒼に高臣は、「連絡かえしてよ」「ごめん、今日プロポーズしようと思ったのだけど、指輪落としちゃって」グダグダなプロポーズだった。その指輪は見つかっていない。まだある。カニを見ながら、高臣が別の姿で会いにくるのではないかって蒼は思う。遺体も何も見つかっていない。10年経っても、今も高臣を待っていて、どうしても探してしまう。朝起きるたびに、今日目の前に現れるかもって思ってしまうから、区切りをつけたい。だから蒼は本屋を始めるのだ。「高臣を待っている」と他人に話したのはこれが初めてだった。未来に向かっていける本屋にしたいと蒼は語る。10年、20年後も来たくなるような、カフェスペースもあって放課後に立ち寄れるような・・・。



 転校が多かった瑛希は居場所を作りたくて建築士になった。石巻は居心地がいいのか聞くと、「居心地、悪くないですね」と答える瑛希。



 ある日、蒼は海岸で指輪を探す。…夜遅くまで探したが見つからない。その足で、瑛希の職場へ行き、本屋建設の中止をお願いした。本屋を作ったら、高臣が戻ってこない気がするから、と。



 蒼の息子・六太は同級生の女の子・風花と映画を作っている。母を笑わせたる映画にしたいと思っているので、母に亡くなった父のことを話してほしい、と聞いた。蒼は「まだ亡くなってないよ」という。映画祭当日。六太の作品が上映された。風花が「ちょっとお連絡返してよお」と六太のもとへ。テトラポット付近で指輪を探していた。落としたらしい。蒼は思い出す。高臣が指輪を見つけられなくて…「指輪ないんだけどさ、結婚してくれない?」「ハッハッハ」「そうなるよねえ?」「今日はさ見つからなかったけど、また探しにこよう」「また探そう。私、高臣くんと過ごす他愛ない時間が楽しいな。あと、結婚しよう!」



 映画祭の帰り道。蒼は「なんで知っってるの」と六太に聞く。瑛希に教えてもらったという。その後、蒼は高臣の話を六太にする。高臣が夢で逢いに来てくれたことの日記も見せた。



 蒼と瑛希は再会した。蒼は指輪を探し続けることで希望を持っていた。「後ろを向くことで前に進んじゃダメかな?」と蒼。「区切りなんてつけなくていいんじゃないですかね。どっちが前でどっちが後ろかなんてわからないですよ」と瑛希。瑛希は本屋ができたら熊本県へ仕事で行くという。「絶対いい本屋にしたい」と決意する蒼。



そして「BOOKS草原」が開店した。浜辺にて。蒼と瑛希は指輪を真剣に探したが見つからなかった。

「蒼さん、そばにいてもいいですか?」瑛希は石巻に残るという。高臣にはなれないが一緒に待つことはできると。蒼は瑛希に熊本へ行ってほしいと伝えて・・・「近くにいることがそばにることじゃない。遠くにいても寄り添おうことってできると思う。瑛希さん、離れていても私のそばにいてくれますか?」







       ★  ★   



若手俳優のフロントランナー_池松壮亮_綾瀬はるかに自然体の笑顔を演出_a0113718_14413400.jpg



 俳優の池松壮亮さんが、日本映画界で最も権威のある「2019年第93回キネマ旬報ベスト・テン」にて、主演男優賞を受賞しました。


 現在の芸能界は、20俳優が百花繚乱といえます。その中で特に人気が高いのは、菅田将暉、坂口健太郎、山崎賢人、福士蒼汰、神木隆之介、横浜流星、三浦春馬、野村周平、林遣都、そして2021年の大河ドラマの主役に抜擢された吉沢亮などイケメン俳優で占められます。しかし、映画監督など映画人の多くが20打俳優のフロントランナーとして挙げるのは、20代で出演映画54本、トム・クルーズや是枝監督も絶賛する池松壮亮さんだと思ったていました。



池松壮亮さんは、2010NHK総合テレビの「終戦特集ドラマ」として放送され第65回文化庁芸術祭優秀賞を受賞した『15歳の志願兵』で戦争に対し関心を持っていなかったが純粋であるが故に周りの空気に飲み込まれ予科練習生に志願する主人公を演じたのを見た時から注目していましたので、映画界の最高賞を取って、池松さんが名実ともに日本のトップ俳優になったことは感無量です。



 池松壮亮さんは、199079日生まれの29歳。福岡県出身。10歳のときに、福岡で子役をしていた姉と一緒に「劇団四季」のミュージカル「ライオンキング」の子役ヤングシンバの役を演じました。映画初出演は2003年、ハリウッド映画『ラストサムライ』(エドワード・ズウィック監督)トム・クルーズ演じるオールグレン大尉と心を通わせる少年・飛源を演じて、第30回サターン賞では若手俳優賞にノミネートされました。トム・クルーズは『ラストサムライ』の時点で素晴らしい俳優だったと改めて絶賛らしました。



池松壮亮さんの知名度を一気にアップさせたのが、『MOZU』(羽住英一郎監督)で、記憶喪失の殺し屋・新谷を演じた時でした。殺し屋の血を目覚めさせた新谷は、不気味な狂気を放ち、瞬く間に敵を殺害、血を浴びながら人を殺す存在感は強烈なインパクトを与え視聴者を騒然とさせました。



2014年には池松壮亮さんが出演した映画の公開数は8本。中でも、家族の絆を再構築する姿を描いた『ぼくたちの家族』(石井裕也監督)では、家族なんて茶番だと決め付けている次男を演じていました。「ぼくたちの家族」、「海を感じる時」(安藤尋監督)石井監督は池松さんに対し「怒りのようなメラメラしたものを秘めていて、心の中が暴れているのが目に出ている。なので、アップを撮るとドキッとするような顔をするタイプ」と評し絶賛しました。兄の役で主役だった妻夫木聡さんは、自然体で自分の弟になりきっつているのがすごく、存在感の強さに引っ張られるようで、頼りになる弟のような存在だったと実力を認めていました。



『紙の月』(吉田大八監督)では、夫との関係に悩む主人公の主婦(宮沢りえさん)の不倫相手を好演。「第27回東京国際映画祭」コンペティション部門作品として選ばれました。吉田監督は、「宮沢さんの新しい表情を引き出す役割として、自信をもってこの作品に池松さんを頼んだ」と、全幅の信頼を寄せていたと語っています。三浦大輔監督は、『愛の渦』でも池松さんを使っています。



2016年には10本もの出演映画が公開され、個性的なキャラから、高校生、歳の男まで演技の幅の大きさを見せました。大ヒット実写映画『デスノート』(金子修介監督)の10年後の世界を描いた『デスノート Light up the NEW world』(佐藤信介監督)では竜崎、『セトウツミ』では大阪の男子高校生、『永い言い訳』(西川美和監督)では、主人公の人気作家のマネジャーを演じ、342人の子持ちでは内面が成熟し俳優としての凄みを感じさせました。『海よりもまだ深く』(是枝裕和監督)では、是枝監督が、池松さんについて「若いのに色っぽい。決して自分の生理を超えて声を張ったりとかしないし、カメラに向かって芝居をしようとか、こざかしいことを一切しないから、お芝居にうそがない」と絶賛しました。池松さんは「第71回カンヌ国際映画祭」でパルムドールを受賞した是枝監督の映画『万引き家族』にも出演しています。



2017年には、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』で石井作品に3度目の出演。日雇いの仕事をしながらひたむきに生きる青年を演じ、更に評価を得ました。池松さんは石井監督の最新作『町田くんの世界』にも出演。には『万引き家族』のほか、木村大作監督の『散り椿』と名だたる監督作にも出演していました。



2018年塚本晋也監督が初めて時代劇を手掛けた映画『斬、』で主演を務め、第75回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に出品された塚本晋也監督の『斬、』は,監督が演技はすべてが好きな池松さんの出演が前提で作った映画だそうです。俳優としての塚本さんの凄まじいものがあり、恐ろしい目で一秒先に何が起こるか分からない面白さを映画に持ち込みます。池松さんは、その対極にいて一瞬のセッション、セッションで演技が出来、池松さんの繊細な感度と交信し合い、瞬発力って演技の感覚もあって、身体からも先に瞬発が出て身体性と感覚が合わさって凄い存在感でダイナミズムができるのです。身体と顔と演技は一体で、ある暗さと純粋な明るさも備えている存在感と身体性は唯一無二と塚本晋也監督は最高の評価をもっていたようです。



2017年、『映画夜空はいつでも最高密度の青色だ』では現代の市井に生きる日雇いの仕事をしながらひたむきに生きる青年を演じ絶賛されました。2018年『宮本から君へ』何事にもひたむきで、正義感が強く自分を曲げられない不器用な男、宮本浩と、蒼井優さん演じる中野靖子との愛とともに、2人に訪れた過酷な試練が強いタッチで描かれています。



これまでに公表されている出演映画は54本。1913年以降は出演する殆どすべての作品で映画賞を受賞しています。受賞超大作からミニシアター作品まで、主人公から脇役まで様々な役に出演し唯一無二の演技を見せています。池松さんに対する数々の監督たちの評価をみると、奥底に秘めたものまでうかがわせるような圧倒的な演技力への絶賛が多く、2度、3度と同じ監督の作品に出演しているのも特徴で、その裏には監督たちがそんな池松さんの演技力に信頼を寄せ、池松さんもそれに応えているのがうかがえます。共演者や監督から全幅の信頼を寄せられています。



最近のテレビドラマや大手映画会社の映画が、犯罪を扱う刑事ものや医療を扱う医者ものが多くなり、天才医師や敏腕刑事などの主人公で、庶民の生活感や生活のリアリティーが希薄になる傾向あります。俳優・池松壮亮の魅力は、自然体で社会の底辺を支える若者の心の動きをリアルに表現できることにかけて傑出していることです。天才や敏腕など特別な能力を背負わなくても自然体で主役はできる若手俳優は希少です。人気を求めず高い評価に驕ることなく自分の演技の未熟さを克服して色々な役を経験して一層の表現力の向上に励む池松さんはどこを目指しているのでしょうか。成長を続ける池松さんがさらに躍進して唯一無比の俳優に育つような予感を感じます。





池松壮亮さんの受賞歴

2013年度

5TAMA映画賞 最優秀新進男優賞(『横道世之介』、『上京ものがたり』)

福岡インディペンデント映画祭2013 主演男優賞(『家族の風景』

14TAMA NEW WAVE ベスト男優賞(『家族の風景』

2014年度

27回日刊スポーツ映画大賞 助演男優賞(『海を感じる時』、『紙の月』、『ぼくたちの家族』)

36回ヨコハマ映画祭 最優秀助演男優賞(『ぼくたちの家族』、『紙の月』)

88回キネマ旬報ベスト・テン 助演男優賞(『ぼくたちの家族』、『海を感じる時』、『紙の月』ほか)

38回日本アカデミー賞 新人俳優賞(『ぼくたちの家族』、『愛の渦』、『紙の月』)

57回ブルーリボン賞 助演男優賞(『海を感じる時』、『紙の月』、『ぼくたちの家族』)

39回エランドール賞 新人賞(『愛の渦』、『三谷幸喜 大空港2013』、『大人ドロップ』、『MOZU』、『ぼくたちの家族』、『春を背負って』、『私のハワイの歩きかた』、『海を感じる時』、『紙の月』

24回日本映画プロフェッショナル大賞 主演男優賞(『愛の渦』、『海を感じる時』ほか)

2016年度

2016年には母校の日本大学藝術学部から、第10回日藝賞が贈られ。

2017年度

9TAMA映画賞 最優秀男優賞(『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』、『続・深夜食堂』、『デスノート Light up the NEW world』、『永い言い訳』)

39回ヨコハマ映画祭 主演男優賞(『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』)

32回高崎映画祭 最優秀助演男優賞(『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』)

2018年度

33回高崎映画祭 最優秀主演男優賞(『斬、』)[68]

2018年度全国映連賞男優賞(『斬、』)[69]

7回ジャパンアクションアワード ベストアクション男優 優秀賞(『斬、』)[70]

2019

41回ヨコハマ映画祭 主演男優賞(『宮本から君へ』)[71]




映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』石井裕也監督

冒頭から、東京の夜景が詩情豊かに映し出され、ふわりと物語に誘われていきます。描かれるのは私たちと地続きの、息苦しさを抱えて生きる人間たち。東京で生きる若い男女が、もがきながら心の拠り所を見つけていく様を、独特の表情豊かな演出で紡ぎ出しています。主人公たちの心の中に入り込むような感覚が心地よい作品だ。


看護師として働きながら、夜はガールズバーで作り笑いを浮かべる美香(石橋静河)と、日雇い労働者で、左目がほとんど見えない慎二(池松壮亮)。東京という大都会で、家族と離れ孤独な美香と、日雇い労働者仲間に囲まれていても、将来が見えず漠然とした不安を抱える慎二が出会い、偶然に再会し、二人でビルの隙間から見える青白い月を眺める。夜空の下では少し素直になれる二人の距離が近づいたり、さりげなく日ごろは他人に言えないような本音を漏らしたり。そんなささやかな瞬間が少しずつ積み重なる様に、胸が熱くなる。


底辺を生きる男たちのささやかな幸せと絶望、死が隣り合わせの危険な仕事、脱落すれば二度と会えないかもしれない仲間たち、孤独な日雇い中年労働者、単なる青春ストーリーではなく、人間賛歌、その底辺にあるリアリズムにも肉薄する手腕を発揮し、ヒリヒリさせられる瞬間が何度も訪れるのだ。



いつになく早口、ハイトーンで、どこか落ち着きがない慎二を演じる池松壮亮は、新たな魅力を発揮している。本作が初主演となる美香役の石橋静河は新鮮だが演技的には全く初心者らしく常に神経を張り巡らしている美香役とのコントラストも見事だ。自分は人とは違って変わっていると感じ、居場所がないように思えた二人。最後にささやかな幸せを見つける様が眩しい。二人が度々目にした路上の女性シンガーが、「がんばれ」と謳いあげるメロディーは、応援歌のように映りもするが、その女性シンガーも最後は成功を手にし、シンガーの姿がラッピングされたツアートラックが通り過ぎる。ささやかな悦びと共に生きる人たちの横で、東京で大きな夢を掴む人もいる姿を敢えて見せた石井監督。どちらになろうとも、自分の居場所を見つければ、それは大きな希望になる。そんなメッセージに思えた。



映画『宮本から君へ』

文具メーカー「マルキタ」で働く営業マン宮本浩(池松壮亮)は、笑顔がうまくつくれない、気の利いたお世辞も言えない、なのに、人一倍正義感が強い超不器用な人間。会社の先輩・神保(松山ケンイチ)の仕事仲間である、自立した女・中野靖子(蒼井優)と恋に落ちた宮本は、靖子の自宅での食事に呼ばれるが、そこに靖子の元彼・裕二(井浦新)が現れる。裕二を拒むため、宮本と寝たことを伝える靖子。怒りで靖子に手を出した裕二に対して、宮本は「この女は俺が守る」と言い放つ。この事件をきっかけに、心から結ばれた宮本と靖子に、ひとときの幸福の時間が訪れる。この事件をきっかけに、心から結ばれた宮本と靖子に、ひとときの幸福の時間が訪れる。


ある日、営業先で気に入られた真淵部長(ピエール瀧)と大野部長(佐藤二朗)に誘われ、靖子を連れて飲み会に参加した宮本は、気合いを入れて日本酒の一升瓶を飲み干し、泥酔してしまう。見かねた大野が、真淵の息子・拓馬(一ノ瀬ワタル)の車で送らせようと拓馬を呼びつけた。そこに現れたのは、ラグビーで鍛えあげられた巨漢の怪物だった……!泥酔する宮本と、宴会を楽しむ靖子、二人の間に、人生最大の試練が立ちはだかる。究極の愛の試練に立ち向かうべく、愛する人のため宮本浩が"絶対に勝たなきゃいけないケンカ"に挑む!生きることには喜びも多い反面、痛みも大きいということを、宮本の生きざまを通して届けたかったんです。彼に痛みが伴わないと、この映画は絶対に完成しないと思っていたので、僕はどんな痛みでも引き受けるつもりで演じていました。


本作の見どころはー。「傷つきたくない人が増えている世の中で、宮本は一瞬の幸せを勝ち取るために、傷だらけになりながらリスクをとって戦っています。その姿は、究極の人間賛歌。この映画を見たみなさんには、“明日も仕事をがんばろう”とか、何かに前向きになれるメッセージを感じ取っていただけたら、僕も傷だらけになったかいがあったなと思います」





参考資料

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia

池松壮亮(イケマツソウスケ) | ホリプロオフィシャルサイト

池松壮亮の映画作品 | 映画-Movie Walker

人物情報 - 池松壮亮 - 人物 - Yahoo!映画

池松壮亮のニュース(芸能総合・241) - エキサイトニュース

池松壮亮:29歳で出演映画54本 トム・クルーズ、是枝監督映画人

池松壮亮さん「ただ演じることのみが、俳優の喜びではない」








by desire_san | 2010-11-10 02:07 | 日本の旅と文学・映画・ドラマ | Comments(0)

by desire_san