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プッチーニ唯一の喜劇オペラとヴェリズモ・オペラの傑作

プッチーニ              レオンカヴァッ

『ジァンニ・スキッキ』 『道化師』

Gianni Schicchi & Pagliacci


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『ジャンニ・スキッキ』プッチーニの唯一の喜劇であり、ダンテの神曲の「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」から発想を得た三部作、『外套』『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』の3つのオペラの中で、軽妙で機知に溢れた『ジャンニ・スキッキ』最も上演機会も多いと言われています。

道化師』は、ヴェリズモ・オペラの傑作で、緊張感みなぎる熱いドラマと感情を歌い上げる音楽の連続で、第2場の劇中では、劇芝居と現実が交錯します。





GianniSchicchi is a comic opera in one act byGiacomo Puccini to an Italian libretto by Giovacchino Forzano, The aria "Omio babbino caro" is one of Puccini's best known, and one of the mostpopular arias in opera.


"Harlequar"is a masterpiece of Velizmo Opera. It is a series of music that squirrels hotdrama that is full of tension and songs that sing emotions, in the play duringthe play, the dramatic play and the reality intersect.

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『ジァンニ・スキッキ』

Gianni Schicchi by Giacomo Puccini

 ダンテの神曲の「地獄篇」の中に親戚を騙して遺産の遺言状を書き換えた罪で地獄に落とされた男のことが記述されていますが、このオペラは非常に世俗的な欲を扱った台本になっています。この後プッチーニは『トゥーランドット』を書きますが、終幕途中で絶筆となったため『ジャンニ・スキッキ』はプッチーニが完成させた最後のオペラとなりました。


あらすじ  

【全1幕】


 
時は1299年、舞台はフィレンツェ大金持ちブオーゾ・ドナティ息を引き取ったところ。その邸宅に集まった親戚9名は悲しんでいたものの、全財産を修道院に寄付するという遺言状があったため、頭の中は遺産相続のことでいっぱいでした。一族の若者リヌッチョは、自分の婚約者ラウレッタとその父ジャンニ・スキッa0113718_12530868.jpgキを呼び、どうしたらよいか相談します。「持参金なしには結婚させない」と娘の父スキッキに対して言い放ったので、スキッキも怒って帰ろうとします。そのときそのとき娘のラウレッタが「私のお父さん」を歌い、愛するリヌッチョと結婚するにはお父さんの協力が必要なの、とラウレッタは父スキッキに自分たちの結婚のために一肌脱いでほしいと懇願します。


 スキッキの作戦は、スキッキが死んだブオーゾになり代わってまだ生きていることにして、遺言状を書き換えてしまおうというものでした。スキッキに言い寄り一族、スキッキは、遺言状の書き換えがばれたときは共犯者全員が両手首を切断されてフィレンツェから追放されると一族に伝えます。


公証人が到着して遺言状の書き換えが始まります。スキッキは、前の遺言状を撤回し、修道院にはわずか
a0113718_12540517.jpgな金額を寄付し、現金は一族で等分することにし、他の財産も平等に分け与えたので一族は大喜びでした。その後スキッキは、一番価値があるロバ、家、粉ひき場について、親愛なる友人・ジャンニ・スキッキに与えるとしました。スキッキは「この家は私のものだ」として一族を追い払います。十分な資産を得て、娘のラウレッタとリヌッチョの結婚も実現しました。


 

 このオペラはプッチーニ唯一の「オペラ・ブッファ」です。ブオーゾ・ドナティの遺言状を一族がみんなで開いて読むところなど、2分ほど音楽のみの部分があります。オペラの随所でライトモティーフが使われ、ジャンニ・スキッキが随所に「さらばフィレンツェ」と歌うことによって、一族を脅したりすかしたりするところなどは、プッチーニは、オペラ・ブッファでも巧みな力量を感じさせます。ヴェルディが『ファルスタッフ』、ワーグナーが『マイスタージンガー』とオペラの巨匠が奥の深い喜劇を作曲しましたが、プッチーニが唯一作曲した喜劇『ジァンニ・スキッキ』は痛快な機知と笑いの人間喜劇で、実際にその舞台を観て、イタリア・オペラブッファの傑作を体感することができました。


 短い序奏から始まり、そのモティーフを巧みに使用して劇の世界に誘います。みんなにスキッキに相談しa0113718_12544045.jpgようと説得するとき、リヌッチョ役の灰野正志さんが「フィレンツェは花咲く木のような」「フィレンツェをより豊かに輝かせるために、芸術や学問に通じた者たちが訪れる」と美しいアリアでジャンニ・スキッキのことを歌いましたがが、それは芸術の都フィレンツェの発展を歌っているようにも感じました。


 協力を嫌がるスキッキを説得する場面では、娘のラウレッタ役の阿相聡子さんが、あの有名なアリア「私のお父さん」を透明感のある美しい歌を歌いあげました。


 ジァンニ・スキッキ役の堀内士功さんなは、張りのある力強い歌声で、強い存在感を出していました。相続人のメンバーもそれぞれ個性的な歌唱と演技で、舞台に厚みを持たせていました。斉藤育雄さん指揮の村田千晶さんのピアノ演奏はプッチーニの音楽を巧みに表現していて、歌手陣のアンサンブルとの相乗効果により、舞台全体に広がりと奥行きを持たせていて楽しめる舞台でした。





「道化師」

Pagliacci by Ruggero Leoncavallo


 旅劇団の道化師座長が、若い劇団の花型女優の妻ネッダの浮気に苦しみ、村人の集まる中で、演技と現実を同化してしまい、妻に相手の名を迫るうちに、ナイフで刺し、そこにあらわれた情夫も刺し殺してしまうという、血なまぐさいオペラ。激情と嫉妬が渦巻くドラマを、ナイフによる殺傷事件で幕を閉めるという、ヴェリスモ現実オペラの典型といえる作品です。


あらすじ

【プロローグ】

 幕が上がる前にトニオが道化師の姿で現れ、「人を笑わせる商売の道化役者も、普通の人間。悲しみや苦悩を感じるのはいっしょです。これは人生の一コマを描いた現実の話です」と前口上を述べます。

 

【第1幕】

 19世紀後半イタリアの南部のカラブリア地方。聖母マリアが天に昇った記念日、聖母被昇天祭の祝日、カニオを座長とする旅芝居一座が村にやってきました。村の人たちが輝かしい合唱で迎えます。


 座長カニオの妻は一座の女優ネッダで。ネッダは嫉妬深い夫に嫌気がさし、「空飛ぶ小鳥のように自由になりたい」と歌います。


 座員のひとりトニオが現れ彼女に言い寄りますが、ネッダは笑い飛ばすだけで相手にしません。トニオは「俺はひねくれ者で醜いことを知っている」と歌います。



a0113718_12554298.jpg ネッダはこの村にシルヴィオという愛人がいました。ネッダとシルヴィオは密かに会っていました。シルヴィオはネッダに、「ああ、青い小鳥は自由にさえずり・・・」と歌い、駆け落ちの約束をしました。それを見ていたトニオは、カニオに教え、カニオが現場に飛び込んできますが、シルヴィオは逃げ去った後でした。カニオは妻のネッダに「今逃げた男の名前を言え」と怒鳴りますが、ネッダは言いません。芝居の時間が迫ってきていました。座長カニオは道化師の衣装を着け、白粉を顔に塗りながら、自分の苦悩を笑えと鼓舞しつつ、「衣装を着けろ」と歌いながら泣きます。

 

 

【第2幕】

 村人たちが集まり芝居が始まります。芝居は現実と似ていて、女優ネッダの扮するコンビーナが、道化師である夫の留守中に恋アルレッキーノを家に呼んで、アルレッキーノがコンビーナに愛のセレナーデを歌っているところに、夫が帰ってきてしまうという話です。夫のカニオが舞台に登場し、ネッダの扮するコンビーナに詰め寄りますが、カニオはもう芝居なのか現実なのかわからなくなっていました。


 観客には迫真の演技に見え大喝采を浴びます。カニオは「俺はもう道化ではない」と歌い、本気でネッダに「愛人の名前を言え」と詰め寄ります。ネッダが「嫌だ」と挑発的に断ると、カニオは逆上して、近くにあったナイフでネッダを刺してしまいます。ネッダは最期に「助けて!シルヴィオ」と叫び観客の中からシルヴィオが飛び出してきますが、カニオは獣のように振り向きシルヴィオも刺し殺してしまいます。カニオは呆然とナイフを落とし、トニオが「これで芝居は終わりました」というと、カニオが泣き崩れて舞台が閉じます。




 道化役はその笑いのマスクの下に悲しい顔を隠しています。「道化師」のカニオは座長としての責任感や信頼もある一人前の強い男ですが、ネッダに惚れていて、彼女のために我を忘れてしまうほど情熱的な激しい性格の男として描かれています。


 陰惨なストーリーでしたが、村人たちのワクワクするような合唱、ネッダの「鳥の歌」「シルヴィオとのa0113718_12562988.jpg二重唱」劇中劇でのアルキレオーノが歌うセレナード「愛しのコロンビーナ」などのたくさん美しい歌、カニオ「衣装をつけろ」、「もう道化師じゃないじゃない」という緊張感と情熱を込めた歌と、歌心が凝集された傑作オペラに時間を忘れて夢中になりました。


 村人達の前で演じられる「劇中劇」の中で、「道化師」の音楽も激しく劇的で、カニオ役の富澤祥行さんは、言葉の強さとアクセントが明確で、感情を爆発的にぶつけるような歌唱でも中高音が安定していました。劇超劇でのカニオとネッダのやり取りは迫真の演技で迫力がありました。


 ネッダ役の渡海千津子さんは、「鳥の歌」で自由へのあこがれを夢見る乙女の心を輝かしい歌声で歌っていました。シルヴィオ役の若尾隆太さんとの愛の二重唱、劇中劇でのアルレッキーノ役の宇佐美洋一さんとの恋の歌の掛け合いでも可愛いらしく女性を感じさせる歌声で歌いつつ、カニオトの激しいやり取りと歌い分けていたのはさすがだと思いました。


 第1幕でシルヴィオ役の若尾隆太さんが歌ったネッダへの恋のアリア 劇中劇でアルレッキーノ役の宇佐美洋一さんが歌った「愛しのコロンビーナ」もロマンチックな美しい歌唱で魅力的でした。村人たちの歌う心がウキウキするような合唱も、悲劇的な舞台を明るく彩り効果的だったと思います。


 斎藤育雄さんの指揮と河崎恵さんのピアノは、第1幕序曲の哀愁ある音楽、第2幕初めの輝かしい音楽などで舞台に色合いを加え、舞台全体に心地よい余韻を与えてくれました。

2017.2.16 関内ホール)




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by desire_san | 2017-02-17 12:41 | オペラ | Trackback | Comments(0)
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