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芸術と自然の美を巡る旅  

気品と現代的感覚を備えたウエイン・イーグリングの振付と小野絢子さんの魅力

バレエ『くるみ割り人形

TchaikovskyThe Nutcracker


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 かつては、英国ロイヤル・バレエのプリンシパル・ダンサーとして活躍し、ダンサーとしての現役を引退後は、オランダ国立バレエの芸術監督として『Ruins of Time』『魔笛』『春の祭典』を新制作し、ロンドンのイングリッシュ・ナショナル・バレエの芸術監督として『レゾリューション』(『Men Y Men』『くるみ割り人形』『遊戯』の新振付を行ない、気品と現代的感覚を兼ね備えた振付を評価されたウエイン・イーグリングが、新国立劇場バレエ団の『くるみ割り人形』を新しい振付で新制作しました。物語が‘少女クララの夢’ として構成されており、理解しやすいストーリーの展開の舞台を楽しんできました。





TheNutcracker Is a two-act ballet, originally choreographed by Marius Petipa andLev Ivanov with a score by Pyotr Ilyich Tchaikovsky . "The Nutcracker"enjoyed enormous popularity and is now performed by countless ballet companies,primarily during the Christmas season. Ein Eagling choreographed the"Nutcracker" with both elegance and modern sense.



第1幕第場:

 クリスマス・イブ、雪の降る街並みを人々がパーティー会場に向かう場面から始まります。場面が次々と変わりパーティー会場に。子供たちの踊りから始まり、少女クララ、弟フィリップを始めたくさんの子供が活躍し第1場から娘11歳のクララ主役であることを印象付ける演出でした。



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 娘11歳のクララは、ドロッセルマイヤー伯父さんからくるみ割り人形をプレゼントされます。そのクリスマス・パーティーで、ドロッセルマイヤーの甥に出会います。彼はクララにとって眩しく、憧れの存在、そんな思いを抱きながらクララが眠りにつきます。



第2場:

 クララは夢の中で、甥はくるみ割り人形になってネズミの兵隊と勇ましく闘っています。夢の中でも、女の子は子ネズミ、男の子はおもちゃの兵隊としても登場し、子供のダンサーは大切な役割を果たしていました。気品と現代的感覚を備えたウエイン・イーグリングの振付と小野絢子さんの魅力_a0113718_15332226.jpg子供のクララが小野絢子さんに早変わりします。おもちゃの兵隊もくるみ割り人形がネズミたちと闘う場面は迫力がありました。クララがねずみの王様にスリッパをなげ応援、くるみ割り人形はねずみの王様をやっつけ、おもちゃの兵隊とねずみ軍団は去り、あとにはくるみ割り人形が倒れています。クララがくるみ割り人形へと近づくと、くるみ割り人形が王子様へと変身し、クララと王子が美しいパ・ド・ドゥを踊ります。



第3場:

 雪の国、雪の女王の優雅な踊りを見せてくれます。真白な衣装を女性バレリーナの踊る「雪片のワルツ」はため息が出るほど美しい群舞でした。白の世界は処女性の象徴です。雪の女王の導きによりと、夢の中でクララは、王子に相応しい大人に成長しており、2人は恋に落ちます。クララを演ずる小野絢子さんは、子供らしい演技から次第に成長していく姿を。踊りを少しずつ変化させて見事に表現していました。



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 そこでもネズミの王様に追いつめられますが、ドロッセルマイヤーの気球で粉雪の舞う森を後にします。



第2幕、

 「お菓子の国」、ねずみの王様が再び王子を襲いますが、王子は勇敢に似た闘いねずみの王様を倒します。2人の愛を祝福して、スペインの踊り、アラビアの踊り、花のワルツの踊り、中国の踊り、ロシアの踊りなど国々の個性あふれ楽しませてもらいました。「花のワルツ」は、序奏にはハープが効果的に用いられ、ハープのカデンツァの後、ホルンにより主題が提示され、弦による有名な旋律のワルツです。にウィーン風の旋律がフルートに、情熱的な旋律がヴィオラ・チェロ演奏され、2つは結尾部でまとめられ交響楽的なクライマックスに達します。美しい音楽に合わせての、オレンジの衣装をまとった群舞は、息をのむほど美しい世界を味あわ

せてくれました。



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 この素晴らしい「花のワルツ」で舞台が盛り上がった後、静かに音楽が始まり、このバレエの最大の見せ場「金平糖の精の踊り」が始まります。王子と金平糖の精2人によるグラン・パ・ド・ドゥ。金平糖の精のバリ気品と現代的感覚を備えたウエイン・イーグリングの振付と小野絢子さんの魅力_a0113718_15372972.jpgエーション王子のバリエーション、再び王子と金平糖の踊るコーダと踊り続きます。音楽の起伏やアクセントが大きい上、肩乗せ、リフト、片足のつま先でもう一方の足を素早く蹴り出して行う回転するなど大きな動きと、細部の繊細な表現を要求され、チャイコフスキーの三大バレエの中でも最も難しいと言われる金平糖のグラン・パ・ド・ドゥですが、福岡雄大さんとの息の合った踊りにサポートされ、小野絢子さんの女王の威厳を感じさせ、細やかで美しいステップが魅力的でした。今回の舞台では、クララと金平糖の精を小野絢子さんが踊つたので、小野絢子さんの踊りの表現力をたっぷり楽しめてよかったと思いました。小野絢子さんは、主役を踊るようになってからずっといろいろな舞台を観てきましたが、確かな技巧に加えて表現力がどんどん豊かになっていきます。現在日本を代表するバレリーナになったとこを確信しました。



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第2場:

 少女クララは楽しい宴の美しい夢の世界からさめて、現実の世界の子供に戻りますが、クララは人間として成長し、ロッセルマイヤーの甥との未来の幸せを感じさせる舞台となっていました。 

  

 主役の小野絢子さん、福岡雄大さんを始め、ソリストの方々、定評ある群舞のすばらしさを新鮮な演出で楽しませていただきました。



音楽: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

振付: ウエイン・イーグリング

クララ:小野絢子

王子 福岡雄大

衣裳: 前田文子

照明: 沢田祐二

指揮: アレクセイ・バクラン

管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団

合唱: 東京少年少女合唱隊

20171028日 新国立劇場オペラパレス)







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by desire_san | 2017-11-06 15:50 | バレエ・演劇 | Comments(15)
Commented at 2017-11-06 22:11 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Haruma_Takahsshi at 2017-11-06 22:19 x
こんばんは。
ウエイン・イーグリングの名前を聞いて思い出しました。
英国ロイヤル・バレエでの アレッサンドラ・フェリ とウエイン・イーグリングの「ロミオとジュリエット」は今や伝説となっています「ロミオとジュリエット」の中で最高といえるアレッサンドラ・フェリによるジュリエット! フェリがウエイン・イーグリングとともに踊る愛のパ・ドゥ・ドゥでは、まさにシェイクスピアが描いたジュリエットそのものです。振付家のケネス・マクミランが再びロイヤル・バレエで活躍を始めた時期に見出した彼のミューズが、このジュリエットを踊るイタリア人バレリーナ、アレッサンドラ・フェリでした。フェリは、自らこのジュリエットを踊る事を熱望し、実現させ、大成功を収め、ジュリエットと言えば、真っ先にフェリのこの舞台が語られるほどになりました。
Commented by Mariateria at 2017-11-08 11:57 x
こんにちは。
いつもながら丁寧な鑑賞記を興味深くは拝読させていただきました。『くるみ割り人形』は、時空を自由自在に移動するというコンセプトに基づいたバレエで、認識「魔法」をキーワードにして物語が展開しています。ピーターライト版では、ドロッセルマイヤーは昔王宮に勤めていて、ねずみ退治の仕掛けを作った魔術師であったが、ねずみたちを殺されてい復讐心に燃えたねずみ王妃は、魔術師の甥のハンスに呪いをかけて醜いくるみ割り人形に変身させてしまった。その呪いを解くには、愛と勇気を持つ少女の助力を得てねずみ王を倒す必要があり、友人の娘・クララに白羽の矢を当てたという前置きがあるそうです。ドロッセルマイヤーの魔法がねずみ王の魔法と対立していと考えると、このバレエの巧妙さがわかるような気がします。イーグリングは英国ロイヤルバレエに所属していたので、今回の演出でもピーターライト版の一部を踏襲した演出でしたね。
Commented by desire_san at 2017-11-08 16:10
Keiko_Kinoshitaさん  コメントありがとうございます。
確かに、今まで見た演出と比べてプリマバレリーナの小野絢子さんの踊りが存分に楽しめロマンチックな演出でよかったと思います。脇役のソリストの踊りも変化があり、コールドバレエも素敵でしたね。、
Commented by desire_san at 2017-11-08 16:16
Takahsshiさん、
今や伝説となっているアレッサンドラ・フェリによる「ロミオとジュリエット」の舞台のロメをの役をイーグリングが踊っていたことは初めて知りました。ジュリエットと言えばイタリア人バアレッサンドラ・フェリこの舞台が語られるほどのミューズとなった影にイーグリングの存在があったのですね。
Commented by francescouno at 2017-11-08 16:44 x
私も観てきました。クララを踊っていたのは木村優里で、若々しい踊りでした。でもイーリングの振り付けを観ると、小野綾子と福岡雄大でも観てみたいなあと、思ったところです。次に小野綾子が踊るときには観に行くつもりです。
Commented by desire_san at 2017-11-08 17:06
francescounoさん、コメントありがとうございます。
木村優里さんは、私も診たことがありますが、新国立バレエ団の若手のエース的な存在ですね。小野綾子さんは、30歳を過ぎていますが、今回のクララでは少女のような踊りを見せてたいました。、
Commented by ふっこ at 2017-11-08 19:09 x
こんばんは。御覧になっていらっしゃったのですね。わたくし、オーケストラに乗っておりました。今回、新制作ということで、リハーサルからゲネプロ本番まで、いつもより緊張感のある日々でした。関われて良かったと思っております。
Commented by ウエストエンダー at 2017-11-08 20:03 x
詳細なレポート感謝です。舞台が蘇ってきました。やっぱり小野さん素晴らしかったです。純粋な少女であるクララと、少し大人になった女性と、両方をきっちり踊り分けていますね。それからやっぱりコールドは素晴らしい。国宝にしてもいいですね!
Commented by ウッスー at 2017-11-09 07:55 x
こんにちわ
拙ブログにコメントを頂きありがとうございました
スリッパ、この演出ではないんだぁ~ ?、と思ってましたが、途中であったんですね(笑)
Commented by sunamimethod at 2017-11-09 12:23 x
こんにちは
このたび、私のブログにコメントを寄せていただきありがとうございます。
今回のくるみ割り人形は、ご指摘の通りクララの成長物語ですが、主役ダンサーの成長物語の側面もあったと思います。私は小野、木村、米沢さんを3日連続で観劇しました。それぞれの成長ぶり、完成度にクララの演技を通じて感銘いたしました。
また、この演目は、ご慧眼の通り、ヴァリエーションに富んだ曲目が最後に「花のワルツ」で交響楽としていったん収束し、その後GPDDで大人のクララが登場するような大構成になっていると思いました。







Commented by desire_san at 2017-11-09 14:31
ふっこさん、コメントありがとうございます。
オーケストラに参加されて方に、ブログを見ていだいて大変うれしいです。
この素晴らしい舞台に参加されたのはすばらしいと思います、大きな喜びを体感されたこととご拝察申し上げます。
Commented by desire_san at 2017-11-09 14:34
ウエストエンダーさん、私のブログを読んでいただいてありがとうございます。
小野絢子さんは、見るたびに表現力が豊かになっていくように思います。
新国立バレエ団のコールドバレエの美しさも最高ですね。
Commented by desire_san at 2017-11-09 14:37
ウッスーさん、私のブログを読んでいただいてありがとうございます。
この演出では、クララがスリッパを投げるシーンは重要視していなかったようですね。
Commented by desire_san at 2017-11-09 14:47
sunamimethodさん、コメントありがとうございます。
小野さん、木村さん、米沢さんの3人のクララの舞台をご覧になったのですね。
私も同じ演目で比べたことはありませんが、3人にそれぞれの個性と魅力を感じます。
クララの成長の演技も、それぞれの個性と魅力を感じられたのでしょうね。
「花のワルツ」と大人のクララが登場の関係のご説明は大変勉強になりました。
ありがとうございました。

by desire_san