ダ・ヴィンチの新たに発見された作品の落札額508億円は高いか?安いか?
ダ・ヴィンチ 『サルバトール・ムンディ』
Leonardo da Vinci"Salvatore Mundy"
巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたキリスト画『サルバトール・ムンディ』(救世主)が11月15日、アメリカ・ニューヨークの競売で、4億5031万2500ドル(約508億円)で落札されました。落札価格は当初、1億ドル(約112億円)前後と見られていいましたが、4倍以上に跳ね上がり、美術品のオークションで落札された史上最高額となったそうです。
美術史上最大の巨匠といわれるレオナルド・ダ・ヴィンチですが、ダ・ヴィンチが描いた絵画で現存しているのは20点に満ちません。ダ・ヴィンチはなぜ絵画作品が少ないのかは、下記をクリックするとリンクして読むことができるので、ご参照ください。
『サルバトール・ムンディ』はイエス・キリストの肖像画で、1500年ごろの作品とみられ、1475年- 1485年に描かれた『受胎告知』、1483年に描かれた『岩窟の聖母』などの傑作よりやや遅く、1505年/1507年に描かれた『モナリザ』とほぼ同時期の作品で、まさに円熟期の作品と言えます。
本物を観ていないのではっきりしたことは言えませんが、モニターで画像を見る限り、青いローブを身にまとったキリストが右手で天を指さし、左手に水晶玉を持っている構図、救世主キリストの顔は気品と慈愛を感じさせる美しさは比類なく、『モナリザ』の時代に近いほど『スフマート(ぼかし技法)』の表現が円熟していると思われます。もしかしたら、ダ・ヴィンチの代表的な傑作となりうるかも知れません。
ダ・ヴィンチの新たな絵画作品の認定は、ロシア・サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館にある『ブノワの聖母』が1909年に発見されて以来ですので、なんと1世紀以上を経ての、ダ・ヴィンチ作品の認定となります。
ダ・ヴィンチの『ブノワの聖母』ロシアが誇る美の殿堂、エルミタージュ美術館の至宝です。ロシア皇帝ニコライ2世が購入したことから『ブノワの聖母』と呼ばれることとなったということです。私もエルミタージュ美術館でこの作品をじっくり見てきましたが、レオナルド・ダ・ヴィンチ初期の作品『ブノワの聖母』で、やや硬さを感じ、聖母マリアの左手や幼児キリスト右脚の厳しい明暗や境界線の表現などに硬さが見られ、レオナルドの作品の魅力が充分感じられず、レオナルド・ダ・ヴィンチ屈指の名作とは呼べないと思いました。
それでも、レオナルド独自の技法『スフマート(ぼかし技法)』によって表現され、聖母の輪郭は、暗い背景に溶け込み、慈愛に満ちた聖母の人物をより際立たせていおり、気品や慈愛に満ちた聖母の表情は優雅かつ繊細に描かれていて、、作品を観た時は、これぞダ・ビンチの作品と感動しました。
『サルバトール・ムンディ』の絵のサイズは64.5x44.7cmでルーブル美術館の『モナリザ』が77cm×53cmなので、モナリザより少し小さいようですが、一世紀以上前に発見された『ブノワの聖母』の48×31cmよりもずっと大きく、それだけでもエルミタージュ美術館の『ブノワの聖母』よりかなり価値田が高いと考えられます。
本物を見ていないのではっきりしたことは言えませんが、モニターで画像を見る限り、救世主キリストの顔は気品と慈愛を感じさせる美しさは比類なく、『モナリザ』の時代に近いほど『スフマート(ぼかし技法)』の表現が円熟していると思われます。
今回の競売された『サルバトール・ムンディ』は、2012年1月、ロンドン・ナショナル・ギャラリーでレオナルド・ダ・ヴィンチ展で一度公開されましたが、その時はまだ絵の表現の汚れや加筆が残されたままの状態だったので、色調は精彩と輝きが充分でなく、ダ・ヴィンチの真作か否かの議論があったようです。アメリカに移って、絵画の汚れや加筆の部分の洗浄、修復作業が、この絵画本来のすばらしさを取り戻したともいわれています。
美術史上最大の巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチの円熟期の最高レベルの傑作だとしたら、まさに世界の美術史を飾る至宝です。 私が買える額ではないので無責任な言い方かもしれませんが、世界の美術史を飾る至宝が、” 508億円 “ は、決して高くはないのではないでしょうか。 ちなみに日本の1回の衆議院議員選挙にかかる費用は事務的費用だけで588億円、政党助成金は年によって多少変わりますが、年間330億円強です。
この記事を読んだ方は上のマークをクリックして下さい。
ダ・ヴィンチ 『サルバトール・ムンディ』を見るために、ロンドンナショナルギャラ―でのレオナルド・ダ・ヴィンチ展に行きました。これは私の個人的な印象ですが、全体に力がなく、きわめて影の薄い、存在感が希薄な作品に見えました。色調は精彩と輝きをまるで欠き、くすんで沈んだ調子にに見えましたが、その後アメリカで作品を洗浄したということなので、その後どうなったか興味がありますね。
私も当時ロンドンで仕事をしていたので、ダ・ヴィンチ ロンドンナショナルこの作品を実際見ても、レオナルドらしさがギャラ―でのレオナルド・ダ・ヴィンチ展で「サルバトール・ムンディ」を実際にを見ました。 以下は、私の個人的な感想です。
感じられたのは、祝福の仕草で掲げられたキリストの右手の描写でした。ルーヴルの「洗礼者ヨハネ」に近いも技巧が認められました。左手に持った水晶の玉の描写や衣裳の襞の表現は、ダ・ヴィンチらしい技量の冴えが感じられませんでした。肝心のキリストの顔の表現は、好き嫌いがあるのかもしれませんが、私には生気がなく亡霊のような少し薄気味悪い感じでした。ブログの画像は、アメリカで綿密な洗浄をした後のの者でしょうが、かなり印象が違うように見えますね。私がロンドンで見た印象では、ダ・ヴィンチの真作でないか、真作だとしても、全面的にひどく傷んだ作品のように感じました。その後、汚れを落とし、飢えにか描かれていたものを落としたりして、修復したらしいので、その後の「サルバトール・ムンディ」を見る機会があるのかどうか分りませんが、是非観たいものですね。
ダ・ビンチの絵画についてテレビBSで4人のモナリザという番組が放映されていました。モナリザのキャンバスに描かれた下絵に残されている女性の分析をされていました。フィレンンツエに戻った彼が苦悩の中描かれた作品かもしれませんね。テレビでこの絵画を見たとき、モナリザと同時代に描かれたものではないかと思いました。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーでレオナルド・ダ・ヴィンチ展で 『サルバトール・ムンディ』を実際に観られたご感想など、貴重な情報をありがとうございました。
私はロンドンで見ていませんが、皆様の持たれたご感想は、私も大変共感しました、
皆様のコメントを読んで、ロンドンで公開された後、アメリカに移って、絵画の汚れや加筆の部分の洗浄、修復作業が行われたことを書き加えました。
この後の作品を見ないと本当のところはわかりませんが、
この絵画本来のすばらしさを取り戻した可能性はあると思います。
「最後の晩餐」でキリストの横にいるのがヨハネではなく、マグダラのマリアだという推定は、
男女や貴賤に区別なく接していたイエスの弟子に女性が居なかったとも思えないこと、磔刑や十字架昇華もキリストの復活に、12使徒ではなくも常にマグダラのマリアが登場していることからもありうる話ですね。
イエス・キリストの一番弟子は、マグダラのマリアであるという説は、色色今季をもあり、ミケランジェロのピエタの女性は、マグダラのマリアだという説もあります。ローマ教皇に仕えたミケランジェロや、ダ・ヴィンチがは当代一流の文化人で高い教養を持っていた人なので、密かに、この説を信じていた可能性は、十分あると思います。
ダ・ヴィンチの「サルヴァトール・ムンディ」は、中東の石油関連の王子が落札し、中東の方に美術館が模様ですか。そうなれば、いずれ日本にも来るかも知れませんね。
ブログは今月で終了されるそうで、今までいろいろ楽しませていただきありがとうございました。私はまた新しい記事を載せますので、ご訪問ヲお待ちしています。今後もよろしくお願いいたします。