密教美術彫刻の最高傑作の阿弥陀如来、初公開された秘仏
仁和寺「阿弥陀如来」
Ninna-jiAmitābha
仁和寺は、京都府京都市右京区御室にある、888年光孝天皇の勅願により創建された、真言宗御室派総本山で、宇多天皇が落髪入寺し寺内に御室を設け、御室御所とも呼ばれました。国宝の金堂と重要文化財の中門、五重塔、観音堂など門跡寺院として格式が高く、霊宝館には、阿弥陀三尊像(国宝)、御室相承記(国宝)、吉祥天立像(重文)など多くの寺宝を所蔵しているため、以前何度か訪れましたが、阿弥陀三尊像を見ることができませんでした。今回、東京国立博物館平成館で開かれた特別展「仁和寺と御室派のみほとけ― 天平と真言密教の名宝 ―」展で、この阿弥陀三尊像を見ることができると知り、鑑賞してきまとした。
Ninna-ji is the head temple of the Omuro school of theShingon Sect of Buddhism. Located in western Kyoto, Japan, it was founded in AD888 by the retired Emperor Uda. It is part of the "Historic Monuments ofAncient Kyoto", a UNESCO World Heritage Site.
仁和寺の阿弥陀如来は、思っていたより小ぶりで、私たちと等身大の雰囲気は、私たちと同じ目線で見てくれているような優しさを感じます。童顔ともいえる目鼻立ちの面相はふっくらと丸く、また身体の肉付けも肩幅広く膝厚く、全体に丸くずっしりとした身体は、いかにも密教仏らしい力強さを感じました。
衣文は、その躰部を巡って太く深く、華やかと言えるほど賑やかに刻まれていますが、全体に緊張感がやすらぎと穏やかさを感じさせます。この仏像が制作されたのは9世紀末で、光背の二十円部と蓮弁を除いた台座は、すべて像と同時に造られたもので、分厚い堂々とした形体を示しています。
平等院の阿弥陀如来像の代表される定朝様式の阿弥陀如のような威厳や威圧感は全く感じられず、定朝様式とは全く違った美学が感じられました。東寺講堂の五大菩薩坐像のうちの国宝である金剛宝菩薩、金剛法菩薩、金剛業菩薩、金剛薩に通じ、まさにこれぞ密教の阿弥陀如来の表現を感ずることができました。
「仁和寺と御室派のみほとけ― 天平と真言密教の名宝 ―」展では、仁和寺創建当時の本尊・国宝・阿弥陀如来坐像および両脇侍立像の他に、秘仏・国宝・薬師如来坐像等仁和寺の仏像に加え、全国の御室派寺院の中から、道明寺の国宝・十一面観音菩薩立像、中山寺の重要文化財・馬頭観音菩薩坐像などの普段は公開されていない秘仏や、明通寺の重要文化・降三世明王立像、深沙大将立像などたくさんの仏像が集結していました。
それらの中で、特に心に残ったのは、道明寺の国宝・十一面観音菩薩立像でした。
その流麗な身体の線と衣文の流れは美しく、平安前期の作風と見られる腕の長い表現は“秘仏”と呼ぶのに相応しいお姿でした。
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楽天ブログのじぇりねこです。
私のブログにご訪問とコメントをありがとうございます♪
色んな所に行かれているんですね‼
ブログに
詳しい説明が書かれていてとても勉強になります(*^^*)
トーハクでの仁和寺展は普段目にする事の出来ない仏像を参拝できてとても価値の有るものでした。
この催しはありがたいですよね("⌒∇⌒")
私は、旅行でも美術展でも、記録に残しておかないと感激したこともも忘れてしまうので、ある程度整理した内容でブログに書いています。
仁和寺の阿弥陀如来は今までずっと見たかった仏像なので、念願がかなって、本当に感動できました。
この阿弥陀如来像は、もとは石清水八幡宮御本地仏として安置されていた阿弥陀如来座像で、神仏分離が行われていた明治2年、誓願寺に移安されました。阿弥陀如来座像は木造、寄木造布貼の丈六の座像で平安時代後期の定朝様で鎌倉時代から南北朝時代の頃の作と見られています。 一度ご訪問されてはいかがでしょうか。
阿弥陀如来の仏教の仏教的な意味を分かりやすくご説明頂いて、 阿弥陀如来のありがたさがよくわかりました。そうしい視点で仏像を拝観することも大切だと思いました。
詳細な展覧会の紹介をありがとうございます。
先日見てきたときの感動がよみがえりました。
仮に京都に住んでいても、これだけの仏像・美術品を
一度に、それも堂内よりは明るい光の下ではっきりと
見ることはかなわないでしょう。
東京国立博物館の快挙に拍手を送りたいと思います。
ご指摘のように、東京国立博物館で優れた仏像を見る機会は貴重な時間です。
仏像の細部の表現をじっくり見ることができるので、仏像の魅力を明確に感ずることができもすね。普段公開されていない秘仏は、東京国立博物館で見せてもらえると大変うれしいですね。
それとは別に、仏像を京都や奈良の寺院で拝観すると、その仏像が作られた時代にタイムスリップしたような、別の感動もありますね。
阿弥陀三尊来迎図で強く印象に残っているのは、国宝「高野山聖衆来迎図 」でしょうか。 阿弥陀如来が聖衆をしたがえてまさに眼前に来迎した情景は、諸極楽浄土への往生を願う念仏者の一大幻想として描き出した絵画で、数ある来迎図の中でも抒情性にあふれ、卓越した群像表現は最高傑作という意見もあります。伝当初一幅の画面で仏堂にかけられ、高位の人をも交えた念仏者の迎講(むかえこう)の本尊として用いられたものであろう。
ご紹介いただいた金沢市心蓮社の「阿弥陀三尊来迎図三尊を拝見すると、すべてが座像で左上から右下への斜め向きに来迎する様を描く優美な作風ですね。一度拝観させていただきたいですね。