ブログトップ

dezire_photo & art

desireart.exblog.jp

心に残った旅・芸術とアートとの出会い   

最も人気のあるオペラ「椿姫」をテーマにしたバレエ

バレエ「椿姫」
Ballet "La Traviata"

a0113718_22565512.jpg


 「椿姫」は「三銃士「モンテクリスト伯」を書いたアレクサンドル・デュマの息子、アレクサンドル・デュマ・フィスが書いた最初に書いた小説「椿を持つ女」を自ら戯曲にした作品が原作です。ヴェルディがこの原作を「ラ・トラヴィアータ」(道を踏み外した女)と改題してオペラ史上最も人気のあるオペラが生まれました。

 「ラ・トラヴィアータ」の人気は、ヴェルディの優れた音楽にあることは言うまでもないですが、薄幸の美女のドラマティックな悲劇というストーリーにもよるところが多く、バレエ化もされています。バレエではヴェルディの音楽を使わず、ショパン、リスト、ベルリオーズなど別の作曲家の音楽に振付けたいくつかのバージョンがあります。私は、この有名な「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」のバレエでの舞台を二つの音楽・演出で鑑賞しましたので、その感想を書いてみました。





The"La Traviata", is popular story of dramatic tragedy of unhappybeautiful woman. The opera "La Traviata", excellent music andbeautiful ariasare marked by Great composer Verdi . Famous "LaTraviata" are also there is also a stage of ballet. Ballet "LaTraviata" is the very beautiful romantic ballet .


最初の作品は、20036月シルヴィ・ギエムがマルグリット(椿姫)を演じた「マルグリットとアルマン」でした。そして今回新国立劇場で、牧阿佐美演出でスヴェトラーナ・ザハロワが演じた「椿姫」です。



a0113718_2257551.jpg

 シルヴィ・ギエムの「マルグリットとアルマン」は、フォンテイン、ヌレエフの伝説のバレエと言われた作品をシルヴィ・ギエムプロデュースしたもので、音楽がフランツ・リストの「ピアノ・ソナタロ短調」、フレデリック・アシュトン振付で相手役のアルマンをニコラ・ル・リッシュが演じました。


 舞台は、①プロローグ②二人の出会い③二人の田舎での生活④舞踏会での侮辱⑤椿姫の死の5つのエピソードからなっていました。マルグリットを演ずるギエムが、華やかで女王のような高級娼婦、アルマン出会い恋に落ちた可愛らしい女性、病に倒れて命を落とす悲壮感あふれる姿を見事な踊りで演じ分け、起伏のあり見ごたえのある舞台でした。

 特に、アルマンとの出会い、真っ赤なドレスで踊る表情、恋の喜びを知り幸福感が全身からあふれる生き生きとした可愛らしさは少女のようでした。ボレロや現代的作品で見せる生々しい激しい舞台を演ずるシルヴィ・ギエムとは全く別人のようで、シルヴィ・ギエムの表現力の素晴らしさに心を奪われました。赤・白・黒の衣装も見事に着こなしバレエ界の大スターの風格がにじみ出た舞台でした。


a0113718_2305434.jpg

今回の今回新国立劇場の舞台は、ベルリオーズの音楽に牧阿佐美が振付けたオリジナル作品で、マルグリットがスヴェトラーナ・ザハロワ、アルマンがデニス・マトヴィエンコという配役でした。


11場では舞踏会でマルグリットとアルマンが出逢い、乾杯のシーンの後二人きりになり、アルマンが愛の告白を行いパ・ド・ドゥを踊ります。2場ではアルマンとマルグリットの田舎での楽しい生活。そこへ現れたアルマンの父から息子と別れるように説得を受け、マルグリットはアルマンに別れを告げます。第21場では、仮面舞踏会が舞台、再び戻ってほしいと願うアルマンとマルグリットのパ・ド・ドゥ。そして伯爵と決闘と札束を投げつけてマルグリットを侮辱して立ち去るアルマン。2場は死にかけているマルグリットの寝室にアルマンがやってきて、瀕死のマルグリットとパ・ド・ドゥを踊ります。最後はマルグリットの死で終わります。


a0113718_232840.jpg

サロンの豪華なシャンデリア、絵画のような田園風景など舞台装置、美しい衣装など上品な雰囲気の舞台でした。ザハロワのマルグリットは第一幕は純白のドレスで現れ、清楚で気品があり、踊りもしなやかで妖精のような美しさでした。


しかし、ギエムの「マルグリットとアルマン」の舞台と比べると展開が淡々と進んで行き、平坦で深みがなかったように感じました。その大きな要因は、ベルリオーズの音楽とバレエの振り付けが、一体にとなって恋の喜び、幸福の感情の高まりや、恋人との別れや病射に対する悲しみを表現しきれていないのではないかと思いました。



a0113718_2374892.jpg

特に、第1幕アルマンの父から息子と別れるように説得を受け、マルグリットはアルマンに別れを告げるシーンや、最後の瀕死のマルグリットとアルマンがパ・ド・ドゥを踊り、マルグリットの死で終るシーンは音楽とストーリーが乖離しているようで違和感がありました。ザハロワが巧みに踊りで表現している感情表現を音楽が薄めてしまっているようにさえ思えました。音楽に起因すると思いますが、ザハロワのマルグリットも華やかな美しさだけが際立って、高級娼婦から恋する乙女、悲劇のヒロインと変貌していく姿があまり感じられず、彼女の「バヤデール」などと比べるとクールで覚めているような感じもしました。



a0113718_2385990.jpg

作品全体としては淡々としたものに感じましたが、美術と衣裳が美しく、第2幕前半の仮面舞踏会の新国立ダンサーの個性を生かした群舞や、第2幕の舞踏会や村人たちの踊りなど群舞も美しく一時の夢の世界に誘われました。愛のパ・ド・ドゥなどザハロワの踊り自体はさすがに感情を巧みに表現していてレベルの高いバレエを味わうことができました。全体としては、夢の世界のように美しい舞台だったことは事実です。ギエムのドラマティ久な舞台を知らなければ、これはこれでよかったと感じたのかもしれません。

2010年7月3日、新国立劇場)








[PR]
by desire_san | 2010-07-04 23:10 | バレエ・演劇 | Trackback | Comments(23)
トラックバックURL : https://desireart.exblog.jp/tb/10923126
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by やっくん at 2010-07-05 18:57 x
私はバレエにはあまり関心を持っていませんが、友人の女性がバレエをやっており、こういう舞台を見たら泣いて喜ぶでしょうね。
Commented by ラムダ at 2010-07-05 20:19 x
 わたしのブログにコメントをありがとうございます。
 わたしには、バレエの「椿姫」のイメージがわかなかったのですが、写真を見せていただき、感想を読ませていただいて、どんな感じか少しわかったような気がします。ありがとうございます。
Commented by iwamoto at 2010-07-05 20:55 x
先ほどは、どうも。
ギエムは我が家で最も人気のあるダンサーです。
やはりドラマチックな歌の替わりに、ドラマチックな踊りが無ければ、バランスしないのでしょう。
ベルリーズは本人自身の偏芯が、曲には反映されてないように感じます。 音楽の持つルール性かも知れません。
演出によるのでしょうが、皆、ヴェルディのオペラは頭に入ってますものね。 実際に見比べると、仰るような感想になりそうです。
Commented by SMP at 2010-07-05 23:14 x
はじめまして、こんばんは。
拙ブログにお越しいただき、ご笑覧の上、コメントまでいただきましてありがとうございました。
私は、ギエムの「マルグリットとアルマン」をDVDでも観たことがないので比較はできませんが、ザハーロワの公演は、目を見張るような演劇性よりもささやかな演劇性に優れた舞台だったと思います。
それにしても、物語性、演劇性、音楽性、舞踊性、さらに衣裳や舞台装置などの美術性、すべて満足させることは至難の業でしょうね。
Commented by 茶トラ at 2010-07-06 00:02 x
コメントありがとうございます。

とても素敵な舞台でした。

新国のバヤデールでザハロワ産を拝見でいるのが、楽しみです。
Commented by lanolanolano at 2010-07-06 13:29
こんにちは。2種類を見比べられていいですね。
振付家の思いとか、ダンサーの個々の魅力などを知ることができますし、自分の好みもはっきりしますしね。
私もまたいろいろ見にいきたいものです。
Commented by mycantik_colors at 2010-07-06 17:07
遊びきました♪
観察力の凄さ、素晴らしいですね。
本当にバレエがお好きなのがよくわかります♪
まだ見たことのない「椿姫」も見てみたくなりました。
Commented by kokkom at 2010-07-06 17:19
こんにちは! 
ブログをお訪ねくださって有難うございます。
素敵な写真にうっとりしています、バレエは大昔に、6年ほど習ったことがありますが大好きです。
深い理解での感想を読ませていただきました。
Commented by ゆりこ at 2010-07-06 17:23 x
ベルりオーズの音楽はオーケストレーションが素晴らしく、偉大な作曲家だと思いますが、今回の「椿姫」の舞台をみるがぎり、あまり音楽として向いていないというご意見でしょうか。
Commented by takashi at 2010-07-06 17:32 x
バレエ「椿姫」は、デュマの原作戯曲のバレエ化と考えてよろしいのでしょうか。オペラ「椿姫」とは全く違う音楽を使ってるととすると、このバレエはオペラ「椿姫」とどのような関係にあるか教えてください。



Commented by desire_san at 2010-07-06 17:44
皆様、ブログにコメントいただきありがとうございます。

ゆりこさんのご質問にお答えしたいと思います。
ベルりオーズは、オーケストレーションに優れた作曲家で「ロメオとジュリエット」「イタリアのハロルド」などはオーケストレーションの素晴らしさが魅力です。
今回のようにバレエの音楽にベルりオーズの音楽が使われますが、プロコフィエフの音楽が多く成功しているのに対して、ベルりオーズの音楽を使った舞台はあまり成功したという話を聞きません。今回もあまり成功していなかったのではないでしょうか。
プロコフィエフとベルりオーズの音楽に根本的な音楽の性質の違いによるものがあるのでしょうか。

Commented by desire_san at 2010-07-06 17:53
takashiさんのご質問にお答えします。
バレエ「椿姫」は、ヴェルディの音楽を使っていないので、正確に言えば、デュマの原作戯曲をバレエ化です。
しかし、バレエの演出家は、ヴェルディのオペラ「椿姫」に触発されて、ヴェルディのオペラ「椿姫」を意識してバレエを組み立てているようです。
それなら、ヴェルディの音楽を使えばよいと思うのでしょうが、ヴェルディの音楽は、バレエ音楽とはまったく違った作り方をしているので、バレリーナはヴェルディの音楽では踊れません。バレエ「カルメン」では、ビゼーのオペラの曲を使ってバレエが作られているのとは対照的です。やむを得ず全く別の音楽を使って、ヴェルディのオペラの雰囲気を出そうと苦労しているようです。
Commented by kurukuru at 2010-07-07 00:35 x
2003年、ギエムのマルグリットご覧になっているんですね。
アルマンがル・リッシュですし、羨ましい限りです。
リストの曲でアシュトンの振付だったんですね。
2008年にパリ・オペで上演した「椿姫」はショパンの曲でジョン・ノイマイヤーの振付です。
いろんな、舞台を見くらべると、楽しいですよね。
Commented by yunyu-a at 2010-07-07 09:05
こんにちは。
私は、ノイマイヤーの「椿姫」しか観たことがありませんが、原作も好きなので映画やオペラも観たことがあります。牧阿佐美版も気になったいたので、desire_sanさんのレビュー興味深く拝見さえていただきました。新国のDVDシリーズで発売してくれないかしらと思っています。
Commented by 岡崎久 at 2010-07-07 19:57 x
いつもブログ紹介のメールをいただきありがとうございます。毎回楽しみに読ませていただいています。
以前カルメンのバレエ版やアイーダのミニージカル版を見ましたが、椿姫はバレエ版もあるのですね。
詳しく内容が書かれていて、私も一度見てみたくたりました。
Commented by remisara at 2010-07-09 00:00
こんばんは。先日はコメントありがとうございます。

牧阿佐美版の「椿姫」があったんですね~。
ノイマイヤー版しか知らなかったので驚きました。
ザハロワのマルグリット、美しすぎますね~。
きっと舞台もため息が出るくらいでしょうね。一度見てみたいです。
Commented by marupuri23 at 2010-07-09 12:15
はじめまして。
先日は拙ブログにお越しいただきましてありがとうございました。
dezireさんの記事を拝読させていただきました。山や絵画、オペラなどがお好きでいらっしゃるところが、同好の士と感じまして、嬉しいです!
これからもどうぞよろしくお願い致します。

バレエの《椿姫》は、どの版も観たことがありませんが、どうしてもヴェルディ《ラ・トラヴィアータ》のイメージが強いため、バレエでの表現は選曲を含め難しい部分があるように思います。
ノイマイヤー版の《椿姫》は評判が良いようですので、ぜひ観てみたいですね。パリ・オペラ座の来日公演で演目に載せてくれると嬉しいのですが。
同じくパリ・オペラ座でサシャ・ヴァルツ振付の《ロミオとジュリエット》が2007年にありましたが、これはベルリオーズの交響曲《ロミオとジュリエット》を使用したものです。オペラ座のサイトで流れていたその曲のロマンティックさにうっとりした覚えがあります。
実際に観ているわけではなく、評判がどうだったのかは分かりませんが、有名なプロコフィエフ&マクミランのものとは大分趣きが違うようなので(ヴァルツは前衛的ですし)、これも観てみたいものです。
Commented by marupuri23 at 2010-07-09 12:17
コメントの続きです…(字数が多くて反映されなかったので)。

ギエム&ル・リッシュの《マルグリットとアルマン》は、2大スターの共演で、さぞ素晴らしかったのでしょうね!
ギエムは10数年前に《白鳥の湖》オデットで一度観たきりですが、大変力強い踊りで、古典作品でも独特さがあるなと感じました。
ル・リッシュは今年3月のパリ・オペラ座日本公演《ジゼル》で観ることができました。端正で、安定感も抜群ですね。TVで放映されたオペラ座《バレエ・リュス・プログラム》内の、《牧神の午後》が素晴らしくて印象に残っています。
Commented by paris-aujourdhui at 2010-07-10 00:39
こんばんは。先日はコメントをいただき、ありがとうございました。

素晴らしい観察力をお持ちですね。私のブログでの記事など、お恥ずかしい限りです。

その後、パリ・オペラ・ガルニエでの「バヤデール」、ウィーン国立歌劇場での「真夏の夜の夢」を観る機会に恵まれました。いずれブログに感想を書こうと思っていますので、また遊びに来てください。
Commented by cocodargent at 2010-07-12 00:08
こんばんは。
ザハロワの舞台、ちょっと残念だったみたいですね。というか演出でしょうか?

シルヴィギエムのマルグリットとアルマンを観てしまったので、私も同じ感想を持つのかもしれません。踊り手と作品との相性に加え、演出の要素は大きいですよね。

今月末にノヴォシビルスクバレエのバヤデールを観に行きます。アップできたらしますね。
Commented by aki at 2010-07-15 23:00 x
こんばんは。せっかくご訪問いただいていたのに、コメントが遅くなって申し訳ございません。
色々なジャンルが盛り込まれた素敵なブログですね。私の趣味ともかなりかぶっていて楽しく読ませていただきました。
このバレエ「椿姫」の音楽等への感想も似ていて、共感いたしました。

そうなんですよねー、この作品もとても素敵なのですが、「マルグリットとアルマン」の振付とリストの曲をつい比べてしまったりするのですよね、私の場合はノイマイヤー版とショパンがベストなのですが、やはりそれだけ多くの芸術家の創作意欲をかきたてる素晴らしい世界観、ということなのでしょうね。。

よろしかったら今後ともどうぞよろしくお願いいたします^^。
Commented by houseofflowers at 2010-07-15 23:06
バレエも素敵ですよね!!
私は、昨年パリのオペラ座で鑑賞しました。
あんなに素晴らしい環境で、しかも日本よりお手ごろ価格で楽しめるなんて、本場が羨ましくてたまりません。
日本でも、もっと親しみやすい価格になって欲しいなぁ、、、と思います。
Commented by kerennminaku at 2010-07-19 22:43
こんばんは。
コメントありがとうございます。
テレビニュースで公演があるのを知りました。
その時は時既に遅しでした。
再演されるなら是非観たいと思っております。