印象派・新印象派・後期印象派の名画
六本木の国立新美術館で開催されているオルセー美術館展2010「ポスト印象派」を見てきました。オルセー美術館から出品されたこの事態の傑作を通じて、印象派からこれに続くポスト印象派に流れが良く分かるように展示されていました。以下代表作を中心にこの美術展を振り返っていきたいと思います。
最初の「最後の印象派」のコーナーでは、モネ「日傘の時世」「睡蓮の池・緑のハーモニー」「ロンドンの国会議事堂・霧の中の陽光」など、自然を瞬間的に色彩表現としてとらえ、光と色の微妙な変化を主観的に表現した作品が並んでいました。シスレー、ピサロなどの代表的な印象派の作品では、異なる純粋色を細かく配置して視神経を刺激し、色彩の輝きを際立たせる印象派の手法を感じ取ることができました。
「スーラと新印象派」のコーナーでは今までの美術展では見られないほどスーラを中心とした新印象派の絵画を体系的に取り上げていました。新印象派は印象派が直感的につかんでいた色彩表現を理論化して、細かい無数の色点のコントラストによって光線の微妙な効果を最大限に発揮させようとしました。計算しつくした画面構成や形態の秩序を重視したため、特にスーラの作品では静的で音のない不思議な空間を感じさせます。ピサロが新印象派の画風で描いた珍しい作品もありました。
セザンヌ「サント・ヴィクトワール山」「水浴する男たち」「玉葱のある静物」
セザンヌはしゼンの形態を球、平面など基本的な形態に集約して再構成し、自然を写すのではなく、物の実在と画面構成を追及し、絵画の中に新しい画面を生成していく、現代絵画的感覚を美術界に持ち込んだ先駆者といえます。
キュビズムから展開していった現代絵画はセザンヌが出発点て言われ、美術史に最も大きな影響を残した画家と言えます。パレットナイフで塗りつけたような粗く力強いタッチは、何の変哲もない題材に対しても動感と強い構成力を感じさせるところにセザンヌの絵画は不思議な魅力があります。「セザンヌとセザンヌ主義」のコーナーでは、ゴーギャンやセリュジェが残したセザンヌ風の絵画やモーリス・ドニの「セザンヌ礼賛」も展示されており、セザンヌが当時の前衛的芸術家に与えた衝撃の大きさを見ることができます。
ゴッホ「馬車・アルル郊外のロマのキャンプ」「アルルのゴッホの寝室」星降る夜」
ゴッホの作品の魅力は、強烈な色彩と内的生命力の強さにあると思います。ゴッホは印象派時代に接し印象派の技法を使った明るい画風で熱狂的に絵描き続けた時期もありますが、「馬車・アルル郊外のロマのキャンプ」のようなこの時期の作品も、モネ、ピサロ、シスレーなど印象派本流の画家たちより強烈なインパクトを持っています。晩年の「星降る夜」では自然の象徴とも言える星の光と、文明の象徴とも言えるガス灯の光と対比させることで、強烈な印象を見る人に与えています。
ゴーギャン「黄色いキリストのある自画像」「タヒチの女たち」
ゴーギャンはポンタヴァンに移り、印象派の外光的描写を捨てて、独自の装飾的画風に向いました。ゴーギャンはポンタヴァン派。ナビ派に大きな影響を与え、当時から若い画家たちの支持を受けていましたが、世間からは受け入れられず、孤独と絶望との闘いの日々だったようです。「黄色いキリストのある自画像」は彼の新しい表現を見つけるための苦悩を表現した作品ともいえます。
結局ゴーギャンは文明社会に苦悩する日々から逃れ「楽園」を求めてタヒチに向います。「タヒチの女たち」ではタヒチの原始性と神秘性を、原色を中心として総合的に使って生き生きと象徴的に表現しています。
ゴーギャンの芸術の魅力は、一種の象徴性と苦悩の経験に元づく内面性ではないかと思います。2009年に東京国立近代美術館で開催された「ゴーギャン展」で紹介された大作「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」では生から死のイメージが画面に沿って流れるように描かれていてゴーギャン芸術のの本質が内面性にあることを理解できます。
アンリ・ルソー
「蛇使いの女」
純粋無垢の精神によってとらえられた素朴な映像力と斬新な造形秩序により感動的に表現されていいます。ジャングルの植物の緻密な表現、緑色の鮮やかさ、黒で表現された笛で蛇を操る女性が神秘的な妖しさと幻想的な情景を生み出しています。
ギュスターヴ・モロー「オルフェウス」
細緻な構成と繊細で鮮烈な色彩による躍動感は独自の象徴的、耽美的世界を形成しています。モローはルドン、を始め世紀末美術に大きな影響を与えました。
セザンヌ、ルノアールより、ゴッホ、ゴーギャンの方が好きです。
スーラもいいですね。
年とともに好みが定着してきた感じをもっています。
フランスの美術館の中でも、オルセー美術館は最高でしたから、思い入れもあって(^-^)。
あの建物も素晴らしいんですよね~。
今回の展示は粒ぞろいのようですね。
楽しみにしています。東京で行くか、京都で行くか・・・と思っていたら、この展示は京都ではやらないのですね・・・。
8月16日までに東京かぁ、ちょっと難しいかも(^^;
展覧会のサブタイトル「モネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ルソーからナビ派まで傑作115点」という言葉がすべてを表している展覧会だと思えます。
いつも本などの小さな画面でしか見たことがないです
大きさや色彩がリアルに感じることが出来るんでしょうね。
日本でも作品が見られるのは素晴らしいことですね
東京 わぁ~私にも余りにも遠すぎます。
オルセー美術館展は平日の昼過ぎに入館したのですが、
それでもすごい混雑ぶりでしたね。
ゆったりと観覧できなかったのが少々残念でしたけど、
見応えのある名画揃いでした。
ルソーの作品はほんとに独創的ですね。
オルセー美術館には出かけたことがなかったので良い機会と見に行ったのですが、あまりも人の多さにびっくり。ゆっくり鑑賞することができず残念でした。
インパクトの強かったのは、やはりゴッホ、ゴーギャン、それにルソー、モローでした。
持っているものの強さが他と違うのですね。
私も6月に行きましたが、時間も大分経った今、こうしてひとの感想(とひとくちに言っていいのか)を読ませていただくとなかなか新鮮です。
確かにスーラがいっぱいでしたね!個人的にはスーラの間、みたいな展示のしたかに結構感動いたしました。
不思議なことですが、日本の浮世絵に影響を受けたという画家の作品に親しみを覚えました。浮世絵だってぜんぜん詳しくないので、単なる好みってことなんでしょうかね・・
きれいな色。これは実物をみないと。価値ありました!
貴女のブログの解説を見て 思い出しています
とてもまとまっています いつもながら感心しています
オルセーが改装中ということで良い絵が沢山来ていましたね
美術史の勉強にもなりますよね
私はたまには美術館にという気持ちで
出かけましたので、専門的なことは詳しくないですが、
写真などで目にしたこともある有名な作品を
間近で見ることができて、本当に見応えがありました。
オルセー美術館展には行ってないので、記事を読ませていただき
すばらしい作品が展示されているのを感じました
印象派以降というつながりですが、いろいろな方面へと展開されていて
寄せ鍋みたいに誰でも好きな一点が見つかりそうです。
国立新美術館には行ったことがあります。受付のお嬢さんに「写真撮ってもいいですか?」って聞いて建物をバシバシ撮りました。
写真がお上手なので美術館自体の写真も紹介していただけないでしょうか。もう紹介済みでしたらごめんなさい。
六
印象派のこれに続くポスト印象派の流れが余り分からなかったのですが
desireさんのオルセー美術館展の2010「ポスト印象派」では、噛み砕いて書かれているので、分かりやすいです。
音楽や山、それから絵画。desireさんのブログから多くの彩を感じています。
8月に入りオルセー美術館展出かける予定です。
パリに行くといつもオルセー美術館の近くに滞在していたので、歩いて美術館に足を運んだものです。
まだ「ポスト印象派」展は観ておりませんが、ゴーギャンやルソーをじかに観られる愉しみは、東京ならではですネ。
そう云えば、ゴッホ展も開催ですね。なんだか、印象派が熱いですネ。
ゴッホ、ゴーギャンはぜひ見たいし、ルソーも興味深いですね。
ゆっくりと鑑賞という訳にもいきませんでしたが、
日本ではこちらの美術館だけの展示で次にはもう海外に巡回してしまうそうなので、貴重な鑑賞の機会となりました。
セザンヌが描いた「サント・ヴィクトワール山」をぜひ見たいと思いました。昨年フランスへ旅行し、セザンヌが生涯もスケッチしていたというサント・ヴィクトワール山をバスの車窓から眺めました。夕暮れ時で、石灰岩の山肌が、薄いピンクからオレンジ色に変わっていく情景を見ました。セザンヌも同じ風景を見たのかしら?と不思議な感覚を感じました。ぜひこの機会に見てみたいです。
時々お邪魔させていただいておりました。
オルセー美術館の絵画は見ごたえがありますね、私も見に行きました。パリのオルセー美術館の3階には時間を沢山作っていかないと勿体ないですね、又パリに出かけられる機会があったら是非ゆっくり鑑賞したいものです。
気になる展覧会なのですが生憎時間がとれずまだ観られておりません..こちらでモローも展示されていることを観て脚を運べたらよいと想いました。今年はデューラー展やヴァザーリの回廊展もありますね。
絵画の背景にある象徴主義の文学運動やベルクソンの思想、思想史にも絵画好きな方が目をむけてくれたらよいなと思っております。