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心に残った自然とアート   

平安朝貴族文化を今に伝える絵画芸術

国宝「源氏物語絵巻」    五島美術館
Genji Monogatari Emaki
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 東京都世田谷区の五島美術館の開館50周年を記念して、愛知県名古屋市の徳川美術館と五島美術館が所有するすべての源氏物語絵巻を展示する企画が10年ぶりにありました。この絵巻が描かれた当初の姿を想定復元模写した作品が、本物と並べて展示され、想像力をかきたてられる企画展でした。



The Tale of Genji is a famous illustrated hand scroll of the Japanese literature classic The Tale of Genji from the 12th century, The surviving sections, now broken up and mounted for conservation reasons, represent only a small proportion of the original work

a0113718_7521299.jpg 紫式部の「源氏物語」が1000年も過ぎた今も愛読者がいる魅力は、政争を背景に人間自身を見つめて、現代にも通ずる恋愛、人の幸せ、儚さを描いているところにあると思います。地位、名誉、財産、才能、美貌を兼ね備えた源氏が数々の恋をしますが、結局恋の成就も真幸福には至らない、登場人物に真に幸福な人がこない、女性は恋愛感情と母親に揺れるなど21世紀の現代に読んでも説得力があります。

 「源氏物語絵巻」はこの日本文学史上の最高傑作といえる小説を絵巻にした作品です。
源氏物語五十四帖の各帖から主要な場面を選び、文章と対応する絵を組み合わせた名場面集となっています。現存するのはその一部で、徳川美術館と五島美術館に保管されています。今回の企画展では両美術館の「源氏物語絵巻」が一同に展示されました。

Genji Monogatari Emaki is the earliest text of the work and the earliest surviving work in the Yamato-e tradition of narrative illustrated scrolls, which has continued to impact Japanese art, arguably up to the present day. The painted images in the scroll show a tradition and distinctive conventions that are already well developed

a0113718_753369.jpg 初めて「源氏物語絵巻」を見ることになり、西洋絵画や近代絵画に慣れていた私の眼には新鮮でしたが、多少違和感を感ずるところもありました。
中空から見るような高い視点で、視覚をさえぎるような天井や壁などを可能な限り省略して、物語の人物の動きを伝えるように表現する「吹抜屋台」の手法は人物の複雑な配置を上手に紙面にまとめている点は、そのような描き方に慣れていなかったため、新鮮に感じました。

 登場人物の顔は、目は細い線を引き僅かに瞳だけを描き、鼻をくの字型に曲がったかたちで描く「引目鉤鼻」の手法が使われています。人物の顔が類型化されているように見えますが、研究者によると、これは当時の画家の技量や観察眼が足りなかったわけではなく、抽象化された顔は高貴の象徴で、個性的な表情を卑俗とするこの時代の風習があったからだそうです。顔の表現は化粧の仕方も含めて階級的な文化の記号だという説もあります。登場人物は、顔よりも衣装の色や形で身分を示し登場人部を区別しています。また「引目鉤鼻」の描き方の中にも、細い線を引き重ねてつり上がり気味の目で嫉妬の表情を微妙に表現見える部分もあり、作者は類型的に見える顔にも感情表現をこめていたのかも知れません。一方では、引目鉤鼻はさまざまな表情を同時に表現する仏像の複相的な表現と共通するものがあるという考え方もあるそうです。

a0113718_754186.jpg  「源氏物語絵巻」では絵巻の限られたスペースの中に物語の場面全体を凝縮して表現するため、独自の空間感覚が見られます。人物の大きさを主観的に変化させたりするため、奥にいる重要人物を大きく描いている構図もあります。「源氏物語絵巻」の場面の多くに、室内を描くときに末広がりの構図を採用している例があり、遠いものを末広がりに大きく描く「逆遠近法)」で描いているのではないかと思う絵もあります。しかしいろいろな場面の絵を良く見ると、ひとつの絵の中で描かれている人物により視点が変わったり、細部が描かれている視点で見ると全体として統一感がない作品もあります。西洋美術のように、遠近法や逆遠近法のようなルールがあるわけではなく、階級意識や価値観も含めた当時の朝廷人のもの見方で自由に描かれていると考えた方が良いのかも知れません。
 絵画のほかに、詞書も美しい色紙に流麗な仮名文字で書かれ、何が書いてあるか分からなくても眺めているだけで美しいと感じました。

a0113718_7554922.jpg 初めに「源氏物語絵巻」を見たときは非常に斬新に感じましたが、今回非常に多くの作品をみていくと、どの絵も家屋の中に平安貴族の装束をまとった男女を描いた絵ばかりで、顔も類型的で表情も乏しく、物足りなく感じてしまう面もあります。
源氏物語絵巻と並んで三大絵巻と言われている「伴大納言絵詞」や「信貴山縁起絵巻」も以前実物を見た事があります。「伴大納言絵詞」は、「応天門の変」という歴史上の事件を背景にした迫力ある画面で、人物も躍動感が溢れていて人々の表情も生き生きとしていたように覚えています。「信貴山縁起絵巻」は画面は右から左に時間が流れ行くように描かれていて、過去から未来に挟まれた現在だけが見えているようで、自分の時間が物語の時間展開を共有しているような不思議な気持ちにさせる作品でした。線や彩色は軽妙で、人物や風景、風俗、庶民の暮らしが生き生きとした描写で描かれてしたのが印象に残っています。

a0113718_7574461.jpg さらに絵巻物芸術として範囲を広げてみると、「日本最古の漫画」とも称される「鳥獣人物戯画」を昨年見る機会がありました。「鳥獣人物戯画」は当時の世相を動物や人物を戯画的に描いたもので、特にウサギ・カエル・サルなどが擬人化して描かれた甲巻は圧倒的な躍動感に感激しました。さらに時代を下ると、春から始まり冬で終わる四季の山水の変化を、雄大な構図でドラマチックに描いた雪舟の水墨画「山水長巻」、山中の霧が露となり川、海へと流れ、最後は竜となって天に昇るという水の変化を、自然の風景の中に雄大に描いた横山大観「生々流転」のような芸術性の高い絵巻もあります。

 もちろん、時代背景の全く作品と比べるのは無理な話ですが、絵巻物芸術の代名詞とも言える「源氏物語絵巻」の本当の魅力は何かを考える上で、他の絵巻物芸術との違いを問い直してみることは意味のあることだと思いました。

a0113718_7585169.jpg 確かに、「源氏物語絵巻」は絵画芸術という観点で見ると、絵巻物芸術の最高傑作とは言えないかもしれません。しかし、類型的で表情が乏ししい引目鉤鼻も、見方を変えれば、高貴な人物を感じさせる表現で、源氏物語の雰囲気を表現するには最善の表現法かも知れません。)を優先させたということを評価するべきかもしれません。確かに「源氏物語絵巻」に囲まれた部屋で時間を過ごすと、平安朝文化の雰囲気が伝わってくるのを感じます。描かれている絵は、顔料の色あせや劣化はありますが、色遣いが美しく、平安の美意識を感じます。「源氏物語絵巻」が日本絵画史上を飾る名作である所以は、絵画的として芸術的に傑作であることよりも、書である詞書や体裁を含めて、王朝文化の美意識を現在に伝える点にあるのではないかと思いました。

 本物の「源氏物語絵巻」と並んで、「源氏物語絵巻」復元模写プロジェクトとして現代の日本画家の洞察と経験も動員して復元されたの「平成復元模写」版の「源氏物語絵巻」も展示されていました。
平成10年からX線撮影や顔料分析といった現代の高度な技術による科学分析を用いて、失われたはずの図柄や模様、色彩を解明して、これを元に制作したものです。不思議なもので、「復元模写」よりも顔料の色あせや劣化した本物の方がずっと魅力的でした。しかし、消えかかっている部分に何が描かれているかが良く分かり、良い企画だと思いました。

(2010.11.13}













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by desire_san | 2011-09-14 23:42 | 日本の美術・文化遺産 | Trackback(1) | Comments(42)
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Tracked from ディックの本棚 at 2010-11-20 18:46
タイトル : 源氏物語の1000年/横浜美術館
 横浜美術館の新しい企画展だ。  しかし、この企画展は、美術館の展示というよりは、博物館の展示に近い。アートに触れて楽しむというよりも、「おお、この時代にこのようなことが行われ、当時の遺物としてこのようなものが伝えられていたのか…」と驚く、そんな展示....... more
Commented by 智子 at 2010-11-15 09:15 x
こんにちは。
私も見に行きました。平安王朝の雰囲気がなんとも素晴らしかったです。ただ。非常に混んでいて、入場制限で1時間も待たされました。
復元模写も非常に色がきれいで驚きましたが、あまりに本物と感じが違って伊いて、本当に平安時代に描かれた時はこんな作品だったのか疑問に思ってしまいました。
Commented by takashi at 2010-11-15 09:17 x
こんな展覧会があるとは知りませんでした。情報ありがとうございました。
ぜひ会期中に行って見たいと思います。
Commented by ゆりこ at 2010-11-15 09:27 x
こんにちは。最近は毎日desireさんのブログをのぞいていますよ 。(^-^*)
もっと頻繁に新しい話題を載せてもらいたいと思いますが、毎回かなりレベルの高い記事をしつかり書いていらっしやるので、毎日なんて簡単にはかけませんよね。 (笑) 
この方面のことは全く知りませんでしたので、大変勉強になりました。
desireさんのブログで勉強させていただいたので、五島美術館に出かけてみたいと思いました。
Commented by 大山明 at 2010-11-15 09:36 x
大変ご無沙汰しています。ブログは自宅のパソコンにも会社のパソコンにもお気に入りに入れて、仕事で疲れたときなど気分転換に(失礼!)見せていただいています。今もこっそり会社で読んでいるのですよ。(笑)
私は名古屋に住んでいるので、徳川美術館で「源氏物語絵巻」で見た事があります。こんなに奥深いお話は始めて聴きました。今度徳川美術館に行く機会があったら、この記事を心に留めて行きたいと思いました。
また時々メールなどくださいね!私も面白い話があったらメールします。
Commented by カレンの母 at 2010-11-15 10:55 x
源氏物語も読んだことがなく何も知識がない私ですが、当時の貴族の生活や、人間的な営みが今においても知ることができて興味深いものなのでしょうね。
当時の人も同じよなことに悩んでいたと思うと、親しみがわきます。

源氏物語も絵巻も機会を見つけて触れてみたいと思いました。
Commented by KEN_yokohama at 2010-11-15 11:05 x
10年に一度の展覧会と聞くと何かと思いましたが「国宝源氏物語絵巻」でしたか?

世界でも最高傑作の小説「源氏物語」の絵巻、拝見してみれば素晴らしい日本芸術であることが良く理解できました。友人の画家に紹介して一緒に行きたいと思います。
Commented by やっくん at 2010-11-15 11:42 x
五島美術館というと東急の創業家五島家が設立したものでしょうか。こういうものは滅多に見ることの出来るものではありません。
保存状態はいいようですね。伊那からは名古屋も近いですし、徳川美術館には一度行ってみたいと思っていました。
Commented by hayachoh at 2010-11-15 12:39
2009年に「源氏物語1000年紀」でいろいろな企画があって私も興味を持ちました。
講座にも通ってみたのですが、やはり眠くなってしまって挫折しました。
「源氏物語絵巻」も一度は見ておいたほうがよいかな、と思って出かける予定です。
Commented by 自由人 at 2010-11-15 13:20 x
こんにちは。
ブログコメントありがとうございました。
なかなか名古屋まではいけないので東京で徳川美術館の所蔵物が展示される場合は優先して鑑賞にいっております。

また記述されていた、静嘉堂の源氏物語屏風も見たいと切望していますが、同じ国宝の曜変天目と比較しても、なかなか展示されないのでまだ鑑賞する機会に恵まれていません。


Commented by Ruiese at 2010-11-15 13:30 x
こんにちは。desireさんは日本画にも詳しいのですね。
私も長い行列にならんで 「源氏物語絵巻」を見てきましたが、知識がないのでなんとなく見てきただけで終わってしまいました。desireさんがブログに書いてくださると分かっていたら、待っていればよかったと後悔しています。ブログの予告などしていただくと嬉しいのですが、お忙しい中で書いていらっしやるので難しいでしょうね。
とにかく、ご説明をよませていただいて大変勉強になりました。
ありがとうございました。
Commented by イタリアーノ塾 at 2010-11-15 14:43 x
すべての源氏物語絵巻を展示する企画で紫式部の「源氏物語」などの素晴らしい傑作をブログで紹介していただいたことは、貴重なすごいアイディアと思います。私は母国イタリアに住んでいるので、興味はあるので、見れないものを見せていただいたことがてもうれしいです。写真だけでも興味のあるイタリア人に紹介したいです。
Commented by tadasu24 at 2010-11-15 14:45
ブログへご訪問頂きありがとうございました。

これだけ揃うのは、二度とないかもしれませんね。
もちろん、私も、五島美術館の「源氏物語」を見に行くつもりです。

その折には、ブログにアップいたしますので、また良かったらお越しくださいね。
Commented by Yumi at 2010-11-15 17:56 x
今晩は。 「源氏物語絵巻」の本物を見たなんてすごいですね。
「伴大納言絵詞」、「信貴山縁起絵巻」「鳥獣人物戯画」から雪舟の「山水長巻」、横山大観の「生々流転」まで全部全部恩物を見たのですね。
本物志向の熱心さには驚きです。(笑)私は全て画集でしか見た事がありません。大変羨ましいですが、ブログは楽しく読ませて頂きました。ありがとうございます。
Commented by rollingwest at 2010-11-15 20:08
源氏物語は2年前に円地文子訳を全巻読みました。(結構時間がかかりましたが・・)
五島美術館はわりと近いので是非この機会に行ってみようと思います。
Commented by masako_texas at 2010-11-15 20:23
desire_sanさん
こんばんは。
これは今もみられるんですね。何十年も前に一回見に行きましたので、(こんなに沢山ではなかったような。)又見に行ってみたくなりました。
一つひとつがとても美しいその当時の姿があって、学生時代衣装の歴史の学習にしょっちゅう出て来て夢に出てきそうになったのを思い起こしました。
そんなことに関係なく眺めると、ワクワクしてきますね。
素敵なお庭もあることだし(今もそうですか?)行って見ようかと思います。ありがとうございます。
Commented by knarumi15 at 2010-11-15 21:48
今晩は
私のブログへコメントありがとうございました。
さっそく源氏物語を読みにやってまいりました。
私の知識の薄さ 全然わかっていなかったので
大変勉強になります…いつもながらわかりやすく、
素晴らしい解説と写真に感動いたしました。
地方にいながら豊かな知識を得られる素敵なブログへの次なるご招待楽しみです。
ありがとうございました。 
Commented by kirafune at 2010-11-15 22:50
こんばんは!
いつも格調高い記事に圧倒されています。
源氏物語、何度でも読みたい本ですね。
絵巻も、本物を見てみたいです。
勉強になりました。
ご紹介、ありがとうございます。
Commented by sumi2211 at 2010-11-16 00:15
こんばんは。旅の記憶のsumiと申します。
先日はコメントをいただきまして、ありがとうございました。

充実した素敵なブログで、感心いたしました。
イタリアの旅行記なども、これから読ませていただきますね。
旅も美術展も大好きなので、またお邪魔したいと思います。
リンクをいただいてもよろしいでしょうか?

Commented by NAO310 at 2010-11-16 00:27 x
ブログへコメントいただきありがとうございます
魅力的な展示ですが立て込んでいたて出かける事は出来そうも無く残念です
復元画の色彩にも興味津々です
Commented by vetroluna at 2010-11-16 12:29 x
desireさん、ブログへのコメントありがとうございます。

こちらの記事、興味深く読ませて頂きました!
絵巻の中の登場人物の顔の書き方に細やかな表情が表現されているとは思いもよりませんでした。
まさに”目からうろこ”です、ありがとうございます。
残念ながら、開催期間中東京へ行く機会はありませんが、
こちらを読まれて展示会に行かれる方は羨ましいですね。
次の記事も楽しみにしています。

Commented by shizushizu131 at 2010-11-16 22:31
こんばんは、いつも貴重な情報、ありがとうございます。
源氏物語の絵巻ですか・・・。うりざね顔のご先祖のめくるめく世界観ですね。貴重な展示会なのに知りませんでした。チャンスあれば見たいです。
イタリアの旅行記も楽しく読ませていただきました。
うらやましい限りです。
Commented by htt-bird at 2010-11-16 22:34
「源氏物語絵巻」の解説、大変勉強になりました。
あのノッペリした顔の描き方自体に意味があることを初めて知りました。
Commented by tkomakusa1t at 2010-11-17 16:45
源氏物語絵巻の解説丁寧で良くわかりました。
源氏物語は途中で挫折して昨年も又途中まで。。
源氏物語絵巻の絵を見たいです。
Commented by おーちゃん at 2010-11-18 12:59 x
desireさん こんにちは

源氏物語・・・・・・。
うーん、遠い平安時代の話でちょいと・・・・・。
このような古典などは、自分は入り口にも近づけません。

しかしながら文学や美術についてはとんと無知な自分ですが、
このような作品が日本に残されていて、しかも1000年の時を
経てすら、現代の人々にもいろいろと感動を与えてくれるという点では
素晴らしいの一言に尽きます。

現代では、いろいろな技術で復元でも製本でも可能でしょうが
当時(おそらく活版の技術は無いと思う)、原本のほかに写本などが
なされて、いろいろな人に読まれたのでしょうか?
だとすれば、当時の人々(貴族か?)の文化レベルの高さを感じます。
また、その後もきっちりと保管され伝承されたということは、その後の
社会でも相当に文化に対するきっちりとした考えが続いてきたのでしょう。

このような日本文化に対する理解を深める教育がもっとしっかり
なされてもいいような気がします。

少々、脱線でごめんなさい。





Commented by コデマリ at 2010-11-18 21:14 x
源氏物語絵巻の美術展は見に行きたいと思いながら、行かれないのでこちらで観させていただきました♪
平安貴族の雅な世界ですね。
復元された絵の新たな発見もありそうですね。
下の川村美術館は以前に行った事あります。(^^)
Commented by 酔漢 at 2010-11-18 23:09 x
今晩は、
 ハンドルネームをtourist2004jpから「酔漢」に変えました。
 休肝日を意識的に忘れてしまう老境の私にとってjustfitの名前と思っています。
 さておき、私はこれまで源氏物語絵巻を教科書等で断片的にしか見る機会がなく、芸術的評価について考えたこともありませんでした。
 しかし、desiresanの判り易い講評を読んで、しっかり納得できました。
 歴史や西洋美術等に造詣の深い貴方だからこそ理解しうることだと改めて思っております。
 大船山以降も山の紅葉写真を載せていますのでお寄り下さい。
Commented by mifune at 2010-11-19 08:31 x
ご案内をありがとうございます。この興味深い企画展は、久々の国宝大集合で、本当に凄い企画です。私も先週10日に行きましたが、開館前から50名ほどの行列ができる人気ぶりでした。徳川美術館は東京在住の私からすれば、やはり遠い存在でした。その所蔵絵巻も併て、一堂に会する機会は次回10年を待たねばならず、この機会は本当に貴重です。ここで、少し当該絵巻について考察を展開したいと存じます。
Commented by hayami at 2010-11-19 08:34 x
たしかに、仰るとおり現代の鑑賞者から観ると様々な点で特徴的な作品です。この絵巻は、昭和のはじめ、益田鈍呑翁によって分断され、以来桐箱に収蔵されての保管となりました。絵巻の分断は賛否両論ありますが、古来長らく巻かれた状態で保管されてきて折癖や撓みが生じたと想像されますが、それなりに1000年近くを引き継がれてきたので、問題はなかったと思われます。しかし既に現状で、とても大切に保管されていることも事実です。
Commented by mifune at 2010-11-19 08:35 x
そして絵巻であったという形態が、今の我々と平安当時の鑑賞者との時空の壁を形成している、と思います。おそらく平安当時の鑑賞者=多くは貴人であったでしょうが、この人々は絵巻物を右から左に開きながら、「詞書」を読み絵を眺め、そして作中の登場人物たちに感情移入しながら、ため息をついていたことでしょう。そしてここでの大きな違いは、当時の貴人たちにとっては源氏物語は「常識」であったことです。当然の教養として「源氏物語」は貴人たちの日常に何度も登場し、これを元にした比喩やことば遊びも日常だったことでしょう。ですから、たったあれだけの「詞書」から、その帖の情景を思い起こし、絵に描かれた人物をどの人物が源氏であり、紫のうえであり、夕顔であり、柏木であるか、を特定できたのでしょう。
こうして「常識」の再確認と、そのうえで展開する物語への思い入れを深める道具としてこの絵巻は大切に大切に愛読し、そして何度も眺めいったと想像します。貴人の常識としての源氏物語と、片や当時を偲ぶ我々とが如何に繋がるか、今回の展示ではその辺りに思いを廻らせても興趣深いと存じます。
Commented by pengin at 2010-11-19 08:37 x
源氏物語について、何度も読ませていただきました。横浜美術館で1000年記念をした時、行きました。石山寺にも3年ほど前に、行ってきました。下鴨神社にも行ってみました。詳しい内容をありがとうございました。梅干し博士の逆日本史と言う本を、10年ぐらい前に読みました。
十二単について、絵で見るようにきれいではなかったとのことです。それに、高貴の人はヒバコ(字は忘れました)で用を足し、お付きが処分したため、雨の日等は処分出来ずに、臭いがこもったとのことです。香が焚かれたのは臭いを消すためだとありました。高貴な人ほど食べるものが限られていたため、カッケの人が多かったそうです。そしてその下ぶくれの顔は、御簾で隠していたとありました。顔を洗ったり髪を洗うことも少なかった為に、皮膚病の人も多かったそうです。せっかく素敵な内容に水をさしてごめんなさい。でも、文学的にも、絵としても素晴らしいと思います。私も近いうちに、五島美術館に行きたいと思います。
Commented by dezire at 2010-11-19 08:44 x
平安貴族の日常の常識は、現代に住む我々には理解できないものが多いのでしょうね。そういう価値観が全く違う我々に、平安時代の雰囲気を感じさせるこの絵巻はやはりすごいと思います。
Commented by c21kyosin at 2010-11-19 11:59
先日は、私の拙いブログにコメントいただき、ありがとうございます。
閲覧者数の極めて少ないブログなものですから、ご覧いただいただけでも、とても嬉しく感じております。

また、我が町のイベントを、とても詳しく記されていらっしゃったので、
本日の投稿にリンクを貼らせていただいてしまいました。

ご迷惑でしたら、削除いたします。

美術方面の記事は、ほとんどありませんが、
また、お暇な時などにご来訪下さい。

「上野毛LOVE」筆記者 兼益
Commented by bitekiR at 2010-11-19 18:34 x
日々美的へのご訪問、どうもありがとう存じます。とても専門的な記事を丁寧にアップされていて、感激いたしましたし、勉強させていただきました。
これからも、素敵な記事を楽しみにしております☆
Commented by kyonshogo at 2010-11-19 18:47
こんばんは!
コメント遅くなりましたm(_ _)m

10年ぶりというめったに見れない作品を
見れたことは貴重な素晴らしいことですよね!

本日、ゴッホ展を見に、新国立美術館へ
行って来ました。
そちらでも、浮世絵を参考にしたということで
展示されていましたよ。
日本の絵画というのは、奥深いですね!
Commented by hoshi at 2010-11-20 09:43 x
この展覧会は、あまり話題になっておらず、人もあまり来ていないのを不思議に思います。この展覧会が終わると、五島美術館が二年間改修のために閉館となるそうで残念です。吉田五十八の名建築で、庭とあわせてみてきました。
Commented by J,J.monetto at 2010-11-20 09:49 x
五島美術館もは地元の人でないとどこにあるかあまり知られていないからだと思います。地元の私でも場所もわかりにくい場所にあり案内の表示も少なく客をたくさん呼ぼうという意思を感じません。静嘉堂文庫美術館となると、もっと分かりにくい場所にあり意識して調べないと行けません。どちらの美術館も多くの人に見せるのが目的で作られた美術館ではなく、五島家、岩崎家の所蔵する美術品を個人で持っていると税金が高く保管に経費がかかるので、美術館組織にした背景があるようです。全国にある不便で行きにくい美術館は、このように見せることが目的で作られた美術館でなく、財産を保管するためにある美術館という話もあります。
Commented by ディック at 2010-11-20 18:44 x
2008年は源氏物語の存在が確認されてから1000年にあたると言われ、各地でイヴェントがありました。横浜美術館でも「源氏物語の1000年」という企画展示がありました。
しかし、その企画展は、美術館の展示というよりは、博物館の展示に近い。アートに触れて楽しむというよりも、「おお、この時代にこのようなことが行われ、当時の遺物としてこのようなものが伝えられていたのか…」と驚く、そんな展示でした。
サントリー美術館の鳥獣戯画の絵巻の展示はぼくも見に行きました。源氏物語の屏風絵、絵巻物などと、鳥獣戯画も含め、総じて dezire さんと似たような感想を抱きました。
Commented by chariot at 2010-11-21 15:29 x
こんにちは。
ていねいな解説、有難うございます。
源氏物語絵巻展には行きたいと思っているのですが、かなり混んでいるようなので躊躇しているところです。
Commented by 6-gousitsu at 2010-11-21 18:37
こんばんわ
私のブログにコメントありがとうございます
そして、遅くなってすいません
美術館に行きたいけれど、どこで何をやっているか調べる元気もなく、今回の情報とっても助かります
まだ会期中なのでぜひ見に行きたいと思いました
ありがとうございます
Commented by phantom at 2010-11-23 21:25 x
徳川美術館と五島美術館の所有する絵巻を揃って展示するという企画は
のちのち、凄い展示企画だったと記憶されそうな良企画ですね。
一昨年に観た篤姫の輿入れの籠の内装はやはり源氏物語が描かれてました。

そういえば、私も数年前に鳥獣戯画は観まして躍動する動物達の素晴らしさに感動しましたが、その時一緒に展示されていた放屁合戦絵巻や勝絵絵巻などの鳥獣戯画に通じるユーモア性に大感動したのを思い出しました。
Commented by clara-yu1968 at 2010-12-27 10:51
クララです。
ご訪問ありがとうございました。さっそく伺わせていただきました。
源氏物語!が目にとまり、こちらにコメントさせていただきます。
http://clarayu.exblog.jp/i24
スタジオで開催しいた源氏物語のお話を聞く会です。
講師の山田先生のお話は毎度ワクワクし通しです。
http://pub.ooburoshiki.com/ 山田さんのブログです。
源氏物語は舞台生涯かけて取り組みたいものです。
10年前に上演した創作フラメンコ公演『愛はむらさき~源氏物語の女たち~』
第二弾思案中です。
来年は、与謝野晶子やお能の隅田川をテーマに創作していきたいと思っています。
またお邪魔させていただきます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
Commented by mitsu-sk at 2012-05-21 19:20 x
「僕のがらくた」のブログ訪問ありがとうございました。素晴らしいブログですね。分野がすごい!五島美術館の国宝源氏物語絵巻展に見に行きたかったです。 拙宅にも京都の骨董店で入手した江戸期の源氏物語断簡があります。保存程度は大変良好です。骨董店の主人もこれ程劣化が少ないのは珍しいと言っていました。 当該断簡もブログに掲載してあります。

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