フランス革命を舞台とした「ヴェリズモ・オペラ」の最高傑作
Umberto Giordano " Andrea Chénier "

19世紀に入り、現実をそのまま表現する写実主義の流れが西洋の美術や文学で現れます。絵画ではクールベ、文学ではフランスのフローベール、バルザック、イギリスのディケンズが写実主義の芸術を展開します。オペラの世界でもこの影響を受け、それまでの神話や英雄伝などの歴史物を題材としたロマン主義と異なり、同時代の人間の日常生活を写実的に捉える「ヴェリズモ・オペラ」という新しい性格のオペラが19世紀末に制作されました。
Andrea Chénier remains popular with audiences.One reason that the opera has stayed in the repertoire is due to the magnificent lyric-dramatic music provided by Giordano for the tenor lead, which gives a talented singer many opportunities to demonstrate his histrionic skill and flaunt his voice.
「アンドレア・シェニエ」はジョルダーノがオペラ作曲家として歴史に名を残した彼の最高傑作であるとともに「ヴェリズモ・オペラ」最高の大作いえる作品です。イタリアオペラの数ある名作の中でも、とりわけロマンティックで情熱的な愛のドラマに酔える作品が「アンドレア・シェニエ」です。フランス革命を舞台に詩人シェニエと伯爵令嬢マッダレーナの出会いから悲劇的な結末までが、美しくダイナミックな音楽で描かれています。日本ではあまり上演されませんが、フランスやイタリアでは人気作品です。このオペラの特色は、まずストーリーが面白いこと、舞台は18世紀末のフランス革命の時代。伯爵令嬢マッダレーナは、貧困の民を省みず遊び興ずる貴族を批判し、真実の愛の崇高さを歌う詩人シェニエのも即興詩に感動し心惹かれていきます。伯爵家の従僕の息子として、同じ館で幼い時からマッダレーナに恋焦がれ、同じ思いを寄せ続けてきたジェラールも、シェニエの詩に感動します。彼は階級社会の差別に怒りを感じており、伯爵家を飛び出すことになります。
5年後、ジェラールは革命政府の高官に出世し、マッダレーナの伯爵家は没落します。革命政府に批判的なシェニエは当局に狙われる身になっています。シェニエとマッダレーナは監視の目をしのいで密会しお互いの愛を確めあいます。しかし、マッダレーナを探すジェラールに見付かって、シェニエは捕らえられ革命裁判にかけられます。
二人の愛の強さを知り、愕然とし、自分の立場を利用してシェニエを追い落としマッダレーナを自分のものにしようとした自分を恥じます。彼は革命政府への忠誠心とマッダレーナへの愛の間で心が揺れ動きます。結局ジェラールはシェニエの弁護に回りますが、民衆は血に飢えており、シェニエに死刑判決が下ります。シェニエを愛するマッダレーナは女死刑囚と入れ替わりシェニエが囚われている監獄へ入ります。再会した二人は永遠の愛を誓いますが、二人には断頭台が待っています。フランス革命の大きな波に翻弄されていく3人の魂の叫びを情熱的に歌い上げたドラマティックなオペラです。

オペラ好きの人にはもうひとつの面白さもあります。この作品の台本を書いたイリッカは、プッチーニの傑作「ラ・ボーエム」や「トスカ」の台本も書いた人です。面白いのはプッチーニの「トスカ」やヴェルディの「トラヴィアータ」(椿姫)の世界を視点を変えて描いていることです。詩人と画家、革命と内乱という設定は「トスカ」と似ています。「アンドレア・シェニエ」の重要な場面となっている社交場はと「ラヴィアータ」の舞台と似ています。これらの作品との大きな違いは、フランス革命という歴史の現実を強く表に出しているところです。そういう意味で、私個人的には、個人の出来事という表現に割り切っている「トスカ」や「トラヴィアータ」より、歴史の現実に押し流されていくという表現をしている「アンドレア・シェニエ」の方が話に説得力があり、現代に通ずるものを感じる点でも面白い作品だと思っています。これこそがが「ヴェリズモ・オペラ」最高の大作といわれる理由ではないでしょうか。
このように素晴らしいオペラが日本であまり上演されず、知名度が低いのは、ジョルダーノという作曲家が他にこれと言った名曲を作っておらず、日本の学校の授業ではまず教わらないこと、「ヴェリズモ・オペラ」がこの「アンドレア・シェニエ」を頂点に、この後はやはり日本ではなじみの薄いルルーチアの「アドリアーナ・クルヴルール」くらいしか優れた作品が作られなくなってしまったことがあります。いくら優れた作品でも多く人に知られていなければ人気が出るはずもありません。人気のなさに加えて、この作品はハイレベルの歌手が揃わないと上演できず、ハイレベルの歌手はギャラが高いため、一般に知名度の低いこの作品では採算がとれそうもないということもあまり上演されない理由かも知れません。そういう意味では、今回の上演は私にとっては待ちに待った上演といえます。ジョルダーノの音楽の威力と魅力は胆な転調が音楽的昂奮に繋がって激しい音楽によって劇場的昂奮を生み出す才能において、プッチーニに匹敵するほどの作曲家でした。その音楽によって語られるドラマの実質が伴わない場合、音楽の刺戟と昂奮は空転してしまい、抑制と気品の欠如が露呈される結果となることもありました。『アンドレア・シェニエ』はそのドラマの激しさと巧みな作り方のお陰で、ジョルダーノの音楽の威力と魅力を十分に生かすことができた作品といえます。ヴェリズモ・オペラの影響から抜け出せなかったことだけでなく、ジョルダーノの作曲手法・旋律様式等にも限界があったのかもしれません。
この強力な二人に負けないように、準主役のジェラール役には、イタリアオペラ界の次代を担うスター・バリトン歌手として、来年のボローニャ歌劇場来日公演でも主役級に出演する、アルベルト・ガザーレをあてていました。さすがに存在感があり、高貴なイメージが敵役的なジェラールを魅力的に演じていました。理想と愛情の狭間で揺れる自分自身を自虐的に歌う「祖国の敵」は第3幕を飾る名歌唱でした。
Andrea Shienie is a popular opera in Italy.
This stage is often presented also in here Florence.
The stage in Japan seems to have been production with the feature.
The stage director in the stage that you saw is a famous person in the world.
You were able to spend happy time.
ではまた!お元気で。
The Italian who went to Japan also said that opera Palace in Japan was a good theater.
You can also appreciate a real Italian opera in Japan and it is happy.
Please look at an Italian opera in Italy when you come to Italy next time.
またイタリアに来てください。
オペラは、「喋々婦人」や「カルメン」のような有名な作品しか見た事がありませんが、「アンドレア・シェニエ」というオペラはかなり優れた作品の用ですね。私の知らない世界があるのを知りました。ありがとうございます。
「アンドレア・シェニエ」というオペラがあることは知りませんでした。ブログを読ませていただき、初めてしりました。
話は変わりますが、有名なオペラだと聴いて、「ルチア」というオペラを以前見に行ったことがあります。desireさんは当然ご存知でしょうね。すごく陰惨な話で、後味も悪く、行くのではないと後悔したのを覚えています。どうも、狂乱の場のアリアが有名なそうなのですが、あまりにも悲惨な話で、悪趣味としか思えませんでした。
なんでもそうでしょうが、有名だから行くという発想は良くないですね。自分の価値基準をもっていなければならないのでしょうが、なかなか難しいですね。(笑)
これから、時々訪問させていただきますが、よろしくお願いします。
ステージで全員が倒れていくエンディングは印象的でした、通常は断頭台へ向かう馬車に乗り込むのですが。
1961年のNHKホールでの映像では、馬車へ向かうデル・モナコがずっこけてしまう、というのがありました。
http://www.youtube.com/watch?v=kbjAKdZ8FT0
いつも分かりやすいご説明や感想が大変勉強になります。
「アンドレア・シェニエ」というオペラのことが良く分かりました。
私もいつか聴いてみたいと思います。
目まぐるしく廻り舞台が回転するのには、観ている私も眼が廻ってしまいましたが、舞台に乗っていることは目が廻らないのかといらぬ心配をしてしまいました(笑)
こういう舞台なら、もう一度でも観たいですね!
私はクラシック音楽は良くコンサートに聴きに行きますが、オペラは生で聴いたことがありません。ブログを読ませていただき、オペラは生の舞台を観なければ良さが分からないものだということが良く分かりました。今まではオペラは高いので、映像で観ていました。このため、あまりオペラが好きになれなかったのかも知れません。ぜひ生で鑑賞したいと思いますので、機会があったら誘ってください。
又、色んなオペラ体験を聞かせて頂ければ幸いです。
早速、読ませていただきました。
とても詳しい説明、熱のこもった感想、綺麗なブログにビックリです!
deseireさまの真面目さや熱心さが現れていますね。
私は今回、たまたま友人が出演しておりましたが、当日いただいたプログラムを見ると、合唱の方にも別な知人の名前を発見し、途中から、群集の一人ひとりの顔をオペラグラスで確認するなど、別な行動にも走っていたので、ちょっとばかし、筋から外れた行動も取っておりましたのです。苦笑
新国立劇場は、初めてだったのですが、大変良い劇場でした。
また、皆さんがお書きのように、演出もおもしろかったですよね。
オペラは、一般的にはまだまだ敷居が高いと思いますが、こうして話題にする方が増えることで、公演に足を運ぶ方が増えるといいですね。
「アンドレア・シェニエ」というオペラは魅力ある作品のようですね。私はジョルダーノという作曲家のことは全く知らなかったので、このオペラも初めて知りました。ブログを詠ませていただき、ストーリーも面白そうで、素敵なアリアや愛の二重唱など良い歌がたくさんある作品であることを知りました。次の機会にはぜひ聴きに行ってみようと思います。ありがとうございました。
素敵なオペラを体験できたようですね。オペラは値段が高いので、私はもっぱらN響のコンサートで我慢しています。dezireさんのブログは、オペラやバレエが主体でコンサートの記事が余りありませんが、クラシックのコンサートはあまり聴かないのですか? やはり音楽と舞台芸術が合体したような総合芸術を鑑賞していると、音楽だけのクラシックのコンサートは物足りないですか?オペラのすばらしさは、このブログを読んでいても伝わってきますが、私にはチケットの値段がハードルになっていますね(笑)
「アンドレア・シェニエ」、新国で上演されていたのですね。ノルマ・ファンティーには以前新国のガラ・コンサートでノルマを歌っているのを聴いて大変素晴しい声だと感心したのを覚えております。
大変詳しいレポート&解説、楽しく拝読させていただきました。
このオペラは初演時に観たので、今回はパスしましたが、素晴らしい舞台だったとのことで、本当に良かったですね!
特に演出はオペラの本場(ヨーロッパ)に引けをとらない、レベルの高いものではなかったでしょうか。こうした作品ならば、今までオペラを観たことがない方々にも、オペラの魅力が伝わるのではないかと思います。
新国立劇場では、来年の大野さん指揮「トリスタンとイゾルデ」、そして大好きな「マノン・レスコー」を新演出で観ることができるので、今から楽しみにしています。
またdesireさんの感想を楽しみにしておりますね。
拙ブログへのコメント有り難うございました。dezireさんもオペラが好きなのですね。
私もこの演目は見に行き,とても感激しました。
ストーリーがいいのはもちろんですが,歌も演出もよかったですね。
お書きになっていらっしゃるように最後の場面でのマッダレーナとシェニエの二重奏は特によかったと思います。
私のようにこのオペラについてまったく知識のないものにとっては、非常に役に立つ内容でした。申し上げたようにオペラ「アンドレア・シェニエ」については、全く知識がありませんのて、何のコメントもできませんが、とにかく大変参考になりました。ありがとうございました。
このような作品があることは初めてしりました。原作を読んでみたくなりました。ありがとうございます。
ブログへの書き込み有り難うございました。
コンサートの感想等に関しましては 私は いまいち楽しみ切れなかったところもありますので
自分のほうのブログのコメントにてレスをさせて頂きます。
現在、グルメ中心のブログになってしまっていますが コンサートの雑感は 足を運んだ際には 必ずアップしておりますので
今後とも もしよろしければ 覗きに来て頂けると幸いです。
僕も dezireさんのブログへ 時々 遊びに来させて頂きますので どうぞ宜しく御願い致します。
ご承知で書いておられると思いますが、 「アンドレア・シェニエ」がヴェリズモ・オペラに分類されるかどうかは、議論の分かれるところです。
ブログのほかの記事も読ませて抱きましたが、どれも研究会のテキストに使えるような内容で感服しました。近くに住んでおられるなら、研究会のメンバーに入っていただいたり、レクチャーをお願いしたいくらいです。これからも時々訪問させて頂きますが、よろしくお願い致します。
P.K.Shumeさんのコメントを読ませていただきました。「アンドレア・シェニエ」がヴェリズモ・オペラに分類できないと言う見解賛成です。「カヴァレリア・ルスティカーナ」、「道化師」、それにプッチーニの三部作のひとつ「外套」が典型的なヴェリズモ・オペラですが、とれも陰惨な暗い作品で殺人事件が絡んでいます。ですから、私はヴェリズモ・オペラと言われる作品は好きではありません。
私もdesireさんとおなじく「アンドレア・シェニエ」を見ましたが、ヴェリズモ・オペラとはとても思えませんでした。舞台は華やかでロマンチックな歌がたくさんあり、雰囲気は「トスカ」や「椿姫」の世界です。今回の新国立劇場の舞台を演出された方も、ヴェリズモ・オペラと解釈していたらこんな華やかな舞台にしなかったと思います。
難しいことは分かりませんが、 (;-_-;) 「アンドレア・シェニエ」はすごく良かったです。名前も知らない行きましたが、素敵な歌に感激でした。\(^ 0 ^)/
新国立劇場の「アンドレア・シェニエ」はすばらしい演出で、歌手陣も実力のある人がそろっていたようですね。私も今度は新国立劇場でオペラを見てみたいと思いますので、お勧めの舞台があったら紹介して下さい。
私は歴史が好きで、フランス革命にはある種の憧れの気持ちを持っていました。ブログを読ませていただき、フランス革命にもいろいろな面があることを知り、啓発された気持ちです。オペラは見た事がなく、全く分かりませんが、この記事はたいへん興味を持って読ませてもらいました。まと時々ブログを覗かせてもらいます。新しい記事を書かれたら、ロールしてくださると助かります。よろしくお願い致します。
このようなかなりマニア向けのオペラの話題に、書き込みがさかんなのに驚いています。desireさんのブログにはオペラ通の方がたくさんおられると言うことですね!
「アンドレア・シェニエ」がヴェリズモ・オペラかどうかはの議論は面白いと思いました。私も「アンドレア・シェニエ」はロマンチックな雰囲気があり、陰惨な現実を表現したヴェリズモ・オペラとは違うような気がします。専門家がどのような基準でオペラを分類しているか分かりませんが、要は聴く側がどう楽しむかが重要に思えます。私としては、「何でもいいじないか、すばらしい舞台なのだから」という気持ちです。議論に水をさすようなコメントをしてすみません。
「アンドレア・シェニエ」は若かりし頃のホセ・カレーラスものをDVDで見たことがあります。公演の頻度が少ないオペラなのでライブを見る機会があまりありません。一度ライブで見たいと思っています。
ブログを読んだあと、図書館から借りてきてCDでこの曲、聴きました。
desireさんのブログに書かれているように、愛の二重唱がすごくいいですね。すっかりこのオペラのファンになりました。いつか、生の演奏で聴きたいです。
すごい内容で驚きました。いろいろな分野のことを詳しくお知りなんですね。このオペラの記事の内容も分かりやすく、内容が充実していてすばらしいです。
また新しい記事を書いたら、メールしてくださると感謝いたします。
ジョルダーノが「アンドレア・シェニエ」を発表したとき、無名の作曲家だったため、上演に苦労したそうです。。「カヴァレリア・ルスティカーナ」の作曲者マスカーニが高く評価をしてくれたことが「アンドレア・シェニエ」を上演できるようになったことに大きな力になったという話しもあります。「アンドレア・シェニエ」がヴェリズモ・オペラに分類される背景には、このようなこともあねのではないでしょうか。

