市川亀治郎と永作博美の舞台初共演
Hisashi Inouye "rain"

新国立劇場で、初めて演劇を見に行きました。井上ひさし作、栗山民也演出の「雨」という作品で、現在の歌舞伎界でトップクラスの才能といわれ、シェークスピアの舞台からテレビドラマまで幅広く活躍する市川亀治郎と、実力派女優、永作博美の共演の舞台でした。
In New National Theater, I went to see theater for the first time.It was a stage of costarring of Ichikawa Kamejiro who is called top-class talent and broadly from Shakespeare's stage to a teleplay on the present kabuki community. He plays the active part in the work the "rain" of Hisashi Inouye and Tamiya Kuriyama production, The partner is Hiromi Nagasaku.
江戸で金物拾いし浮浪者のような生活をしていた徳は、ある日東北・平畠の紅花問屋の当主・喜左衛門と間違えられました。喜左衛門には平畠随一の器量よしの妻女房、おたかがいることもあり、喜左衛門になりすまそうと平畠に行きます。始めは見ら背の人や役人なども、喜左衛門そっくりの徳のなりすましを疑いませんが、利き腕が違う勝ちがう、紅花の知識がないことで疑いをもたれますが、女房、おたか自分が知っている喜左衛門の身体だと主張し、疑いが晴れます。

喜左衛門が囲っていた芸者が喜左衛門と身体が違うといったことが気になり、ある日おたかに身体のことは嘘を言ったのではないかと正すと、おたかは黙って白装束の羽織袴を特に着せます。見る間に舞台反転し、徳の切腹の場となります。目の前に並んだ役人から、喜左衛門はおたかを守るために江戸から来た役人にきりつけ、江戸から巡剣士が来るので、切腹しなければならないといわれます。徳が成り代わった喜左衛門は切腹する運命になっていたのです。

おたかは、始めから喜左衛門の偽者だと分かっていたのだと思います。芸者を囲うやり手の喜左衛門より、実直に自分に惚れている偽者の徳の好ましく思っていたのかも知れません。それは、切腹した徳を優しく抱きかかえるラストシーンからもうかがえます。しかし紅花問屋を守るために、感情を切り捨て、徳を喜左衛門になりすまさせて切腹させたのでしょう。
おたかを演じた永作博美さんは切腹の場面までの満面の笑顔、かわいらしさと、徳の切腹の場面の厳しい表情、切腹後徳を抱きかえる慈愛と淋しさの表情の落差が大きく、犠牲を払ってでも力強くしたたかに人が生きぬいていく強さを演じ、ある種の凄みを感じました。

前半は、聞き取りにくい平畠なまりの言葉は分かりにくいですが、なにか心地よいところがあり、井上ひさしのリズムカルで躍動的な言葉の面白さを感じる世界でした。この前半のなんともいえない心地良さは、徳の目線で東北・平畠の魅力を表現しようとしていたのかも知れません。後半はストーリーの展開とともに引き込まれていくダイナミックな演出でした。初めての生の演劇の舞台鑑賞でしたが、充実感を感じた舞台でした。
(2011年6月19日、新国立劇場・中劇場)
市川亀次郎オフィシャルサイト

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弊ブログへのコメントありがとうございます。
舞台を観るまでは、永作さんの丸い顔立ちや現代的な体型が時代背景にあうのかしら?
と半信半疑で、亀治郎さん観たさ、井上作品観たさに行ったのですが。
もう、良い意味で期待を裏切られました。
芯の強い女性、背負った家の重さなどが、ひしひしと伝わりました。
観て良かったー。
またお互いに素敵な作品に出会えますように♪
とても素敵な舞台で感激しましたが、こうして美しい写真とともに劇評が書かれると、一段と印象深く感じられます。
素敵な舞台ですね。観に行きたくなりました。
以前、亀次郎さんがあるドラマで秀吉を演じられたときも、出世していく過程を見事に演じ分けてらっしゃいました。
やはり実力派ですね。
紅花の生命力を感じる画も魅力的ですね。
三谷幸喜さんの演目を数年前に観て以来、舞台はだいぶご無沙汰ですが、「雨」は興味を惹かれますね。かねてから観てみたかった井上ひさし原作物と最近心境著しい永作博美さんの演技。
島にいるとなかなか予約しなくてはならない舞台は難しいのですがチャンスがあれば是非にと思いました。
またdezireさんのブログに折々に寄せていただきます。

永作博美さんは、私は映画「八月の蝉」の演技にすっかり魅了されました。役の上では子どもを誘拐するという悪役なのですが、その子への愛情は深く、最後に別れなければならないフェリー乗り場でのシーンは泣けてきました。
江森盛夫
当方のブログをご訪問いただきありがとうございました。
舞台は私は見に行ったことが無いです。
しかし、役者さんの実力がそのまま生で出てしまう情け容赦の無い切迫感を感じますね。
編集は効きませんからね。
あと1日だけなら良いですが、普通は何日間もやるでしょうから、体力と気力の維持も大変そうですね。
内容もなかなか濃いものだったようで、満足されたようですね。
私も機会があれば舞台を観に行ってみたいものです。

井上ひさしらしい人情ものですね。すべてが分かったうえで運命を受け入れる永作博美の演技をぜひ観てみたいものです。映画『太陽がいっぱい』でフィリップ(モーリス・ロネ)になりすますトム・リプリー(アラン・ドロン)を想起しました。「なりすまし」モノにはゾクゾクするようなスリルがありますが、それを物語の大ネタにするとは、さすが井上ひさしですね。
『八日目の蝉』をまだ観ていないので終わらないうちに行かねばと思っています。ではまた。
亀治郎さんの手の細かい演技は素晴らしいですね。以前蜷川幸雄さんの歌舞伎版「十二夜」を観た時も手などの細かい仕草がすごく女性的でしたし、蜷川シェークスピアの「じゃじゃ馬ならし」の時にはオーラすら感じました。
永作さんのメリハリのある芝居も良かったですし、脇役の一人一人の個性も際立っていましたね。
あと井上ひさし先生のセリフの一つ一つがすごいと改めて感じました。
演劇の方はほとんど見ないので詳しくはありませんが、GW中映画「八日目の蝉」の舞台小豆島を訪れた際に女優、永作博美さんについていろいろとお聞きする機会がありました。
舞台や映画等々お忙しいのです。
これからも一ファンとして応援してゆきたいと思っております。

永作博美さんは、自立した女性の雰囲気があり、明るい笑顔も魅力的で、私たち女性にも人気があると思います。映画、ドラマが中心で、舞台出演は珍しいのではないでしょうか。
以前は、深津絵里さんが、最近では中谷美紀さんが舞台初挑戦で、難しい一人三役に挑戦するようです。実力のある女優は、舞台で観客に生で演技力を評価してもらいたいのでしょうね。

市川亀治郎さんは、若いのに色々な役をこなす上手な俳優だと思っていましたが、舞台で生で見ると、歌舞伎でも天才と言われるだけあって、身体の動きなどテレビでは分からない優れた演技力を見られるのですね。将来が楽しみな俳優ですね。

今度は演劇に挑戦ですか。美術、バレエ、ミュージカル、オペラ・・・どんどんテリトリーを広げていきますね。次は歌舞伎、能、狂言、人形浄瑠璃、落語・・・・まだまだ楽しめるものはありますよ。(笑)
色々なものに興味をもたれて、生き生きと生活しておられるのをいつも応援しています。
