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心に残った自然とアート   

ドヴォルザーク・オペラの最高傑作

ドヴォルザーク「ルサルカ」  

Alexander Dargomyzhsky; opera "Rusalka"



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 ドヴォルザークといえば、交響曲第9番「新世界より」、チェロ協奏曲、曲弦楽四重奏「アメリカ」などで有名でオペラ作曲家というイメージはありませんが、ドヴォルザークは11曲ものオペラを作曲しています。その中で最も高い評価を得ているのが「ルサルカ」です。





Rusalkais an opera by Antonín Dvořák. The Czech libretto was written by the poetJaroslav Kvapil based on the fairy tales of Karel Jaromír Erben and BoženaNěmcová. Rusalka is one of the most successful Czech operas, and represents acornerstone of the repertoire of Czech opera houses. A Rusalka is a watersprite from Slavic mythology, usually inhabiting a lake or river



 ドヴォルザークが最初の交響曲を書いたのは1865年のことですが、その年後の1870年には最初のオペラ『アルフレート』を書いています。当時のドヴォルザークはワーグナーの音楽に傾倒しており、ライトモティーフの手法や切れ目のない歌唱などワーグナーの影響の強い曲を作っていました。



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 ドヴォルザークの音楽が大きく方向転換したのはブラームスとの出会いでした。ドヴォルザーク奨学金審査のために提出した曲が芸術家協会芸術家賞を獲得したときの審査員がブラームスで、ドヴォルザークの音楽を出版社などに売り込み、個人的にも親しい交際をしてドヴォルザークを一流音楽家に育てたのはブラームスでした。



 ロマン派音楽の時代は、絶対音楽に標題音楽が混在してきて、固定楽想を提唱するベルリオーズや示導動機を提唱するヴァーグナーなど演劇、文学などの主題、コンセプトを表現することを目的とし、他の芸術の依存性を肯定する標題音楽が台頭してきた時代でした。それに対してブラームスは、音楽の音楽による音楽のための音楽である絶対音楽を追求し音楽の自立性、音楽存在の絶対性を主張した人でした。




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 ドヴォルザークはブラームスの教えに従い、交響曲など絶対音楽の曲を書き続け、交響曲第8番などで国際的名声を得て、アメリカのニューヨーク・ナショナル音楽院の音楽院院長職に抜擢され、アメリカに渡りました。アメリカでは民族音楽も吸収し、交響曲第9番「新世界より」弦楽四重奏「アメリカ」など名曲を数多く作曲しました。


 国政的名声を得たドヴォルザークですが、若いころ憧れていたオペラで評価される曲を作っていない焦燥感があったのか、オペラ創作に没頭していきました。そして、オペラ『悪魔とカーチャ』の初演で成功すると、他のジャンルには目もくれず次のオペラ制作に邁進し、生涯に11曲ものオペラを作曲しました。その最も成功した作品が『ルサルカ』でした。


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 『ルサルカ』は、人魚姫伝説に基づくロマンチックな題材です。水の精の娘・ルサルカが王子と恋をして、美しい声を失うことを引き換えに人間の形にしてもらいます。しかし声を失ったルサルカに外国の公女は心変わり、外国の公女が心は移ってしまいます。怒った水の精は王子に呪いをかけます。ルサルカは魔法使いに、王子の命を奪えば元の水の精の娘の姿に戻れるといわれます。外国の公女に見放され、自分の愚かさに気が付いた王子は、ルサルカに許しを乞います。ルサルカは王子に接吻すれば王子の命はないと告げるが、王子は心の安らぎを求めて口づけを懇願し、ルサルカは王子に死の接吻をします。



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 オペラ「ルサルカ」の音楽としての特徴は全体に漂うロマンチックな旋律です。その美しい旋律がいろいろな場面で形を変えて流れきます。その美しいメロディーが、ワーグナーのオペラのドライトモチーフのように巧妙に音楽全体に組み込まれていて、聴衆はだんだん音楽に酔わされてきます。ドヴォルザークは音楽史上屈指の天才的メロディー・メーカーと言われていますが、池辺晋一郎氏の説明によると、あいまいな和音を巧みに使い神秘的な雰囲気を効果的に出しているそうです。オーケストラの旋律の美しさがこのオペラの最大の魅力だと思います。




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 オペラ「ルサルカ」の音楽としての特徴は全体に漂うロマンチックな旋律です。その美しい旋律がいろいろな場面で形を変えて流れきます。その美しいメロディーが、ワーグナーのオペラのドライトモチーフのように巧妙に音楽全体に組み込まれていて、聴衆はだんだん音楽に酔わされてきます。ドヴォルザークは音楽史上屈指の天才的メロディー・メーカーと言われていますが、池辺晋一郎氏の説明によると、あいまいな和音を巧みに使い神秘的な雰囲気を効果的に出しているそうです。オーケストラの旋律の美しさがこのオペラの最大の魅力だと思います。



 ヒロインのルサルカは王子と恋をして人間の形になってしまうため、声を失ってしまいます。そのため、第2幕までの主なアリアは、王子のアリアと王子と敵役の公女の愛の二重唱ですが、オーケストラの美しい旋律と比べると今一つ魅力に乏しく聞こえます。声を失ったルサルカの魅力をオーケストラの旋律に込めてその美しさを際立出せるドヴォルザークの演出かもしれないと感じました。



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  第3幕のヒロインのルサルカが王子への思いを歌う「月に寄せる歌」のアリアは、このオペラの中では突出して美しいアリアでした。しかし、この第3幕も含めて主役はオーケストラの旋律で。オペラ全体をオーケストラが引っ張っているという印象を持ちました。プッチーニのオペラのような強烈な印象を与えるアリアを期待した人は肩透かしを食らった感じを持つかもしれません。



 演出は、水の精の恋物語というイメージを大切にして、ブルーを基調とした幻想的でファンタジツクな雰囲気を全幕通して感じさせる美しい演出でした。

20111123日、新国立劇場オペラパレス







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by desire_san | 2011-12-01 23:17 | オペラ | Trackback | Comments(17)
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Commented by アルチーナ at 2011-12-08 16:31 x
本当に美しい音楽に演出で、満足しました。
月に寄せる歌の旋律も何度も繰り返し出てきて本当にうっとりしますね。
ライトモチーフだけでなくストーリーや役柄の設定までワーグナーに似ていて(というより神話や物語の世界は皆そうなのかもしれませんが・・)興味深く私も公演を観ました。
Commented by クラウス at 2011-12-08 18:50 x
こんにちは。ご招待ありがとうざいます。

「ルサルカ」は好評だったようですね。オペラは興行収入などを考えると、どうしても有名どころの上演に偏ってしまいますけれど、果敢なる挑戦もしてほしいものです。

またおじゃまいたしますね。
Commented by bernardbuffet at 2011-12-08 21:24
ドヴォルザークのオペラはこれまで聞いたことがありません。そもそも存在すら知りませんでした。
写真のウオータハウス。ビクトリア時代のイギリスロマン派の絵は面白いと思うのですが、日本で紹介される機会は少ないですね。ナルシスとニンフは15年ほど前に日本に来ましたね。
Commented by elinor-marianne at 2011-12-08 21:40 x
こんばんは。

ドヴォルザークって美しい旋律が書けますよね。
このオペラは見た事がなく、「月に寄せる歌」を知っているだけですが、
ライトモティーフ使いなどワーグナーの影響を受けているようですね。

 それにしても、学生時代までワーグナーに心酔していたドヴォルザークを見出し育てたのがブラームスだった、のは、とても興味深いエピソードだな、と私は思っています。

 主演のオルガ・グリャコヴァさんが素晴らしかったようですね。
また、お知らせくださいませ。
Commented by rollingwest at 2011-12-09 06:07
芸術の秋・・ではなくて冬を満喫されておりますね。ポスターの光景はまだにこのブログ周遊された歴史名所の数々ではないかと思います。
Commented by takahashi_chiharu at 2011-12-09 10:38
ブログへのご訪問ありがとうございました。

「ルサルカ」といえばソプラノのアリア「月に寄せる歌」は有名ですが、日本で全編上演されることは滅多になかったのではないでしょうか。なぜこのタイミングで「ルサルカ」なのかはよくわかりませんが、貴重な公演をご覧になれて、よかったですね。
Commented by desire_san at 2011-12-09 18:22
皆様、ブログにコメントいただきありがとうございました。

ドヴォルザークは音楽史上屈指のメロディ・メーカーですが、オペラを11曲も作曲していますが、現在上演されるのは「ルサルカ」」も含めて数曲だけのようです。

オーケストラを作曲する才能があって、メロディ・メーカーであってもオペラの作曲はあまり成功しないようです。

音楽史上屈指のメロディメーカーで、すばらしい歌曲をたくさん作曲し、交響曲でも成功しているシューベルトでも、8曲もオペラを作曲しているのに、1曲も成功しないようです。

オペラの名作は、ほとんどオペラのスペシャリストといえるような作曲家によって生み出されています。

絶対音楽も含めて、あらゆるジャンルの音楽で名曲を作曲していて、オペラでも多数名作を作曲しているのはモーツアルトだけではないでしょうか。
Commented by 山脇由美 at 2011-12-10 17:33 x
オーケストラを作曲する才能があって、メロディ・メーカーであってもオペラの作曲はあまり成功しないとお話は、興味がありますね。

歌曲や交響曲で成功しているシューベルトが、8曲もオペラを作曲しているという話は初めて入りました。確かにシューベルトのオペラは聞いたことがありませんね。

私はオペラの作曲には、メロディ・メーカーと同時に、ストーリーメーカーとしての才能というか、演劇わイメージできる才能が必要なのだと思います。シューベルトの音楽にはストーリー性が感じられず。このあたりがオペラで成功しているR.シユトラウスあたりとの違いだと思います。

モーツアルトは作曲家としては特別で、室内楽、ピアノ曲のような絶対音楽的な曲を作曲しているときも、オペラをイメージ゜して作曲していたようです。
Commented by kana-smart at 2011-12-12 11:35
《ルサルカ》は素晴らしい公演でしたね!
ドヴォルザークのほかの、あまりポピュラーでない曲――弦楽四重奏曲とか、への興味も広がります
Commented by 失われたアウラを求めて at 2011-12-13 12:52 x
時折拝見し、美しいブログを楽しませて頂いております。(山岳写真も含めて・・・・・・・) 私は《ルサルカ》を3回鑑賞しましたが、最後の公演ではオーケストラの響きも立派で、第2幕などは相当に充実した演奏でした。
Commented by rollingwest at 2011-12-14 20:27
最後の写真が実に印象的です。
Commented by mistro at 2011-12-16 06:40 x
ドヴォルザークは終生歌劇場と深い関わりをもっていたにも関わらず、ドヴォルザークのオペラ作品は異端視されていました。それについてドヴォルザークは大きな苛立ちを感じていたようで、「イサルカ」はそのような評判を覆そうと試みて作曲されたオペラださうです。
Commented by Arnoncool at 2011-12-16 06:52 x
オペラ作曲に夢中になっていたころのドヴォルザークの言葉を紹介します。
「この5年間、私はオペラ以外の作品を書いていません。私は全身全霊をオペラの創作にそそぎたいと考えています。オペラこそ国民の心を伝える最もすぐれた表現方法だと考えるからです。音楽の中でもオペラは最も多くの聴衆を集め、繰り返し聴かれます。
私は交響曲の作曲家思われてますが、今興味があるのはドラマを創造することだと常々言ってきました。
Commented by Aira at 2011-12-25 05:49 x
久しぶりに訪問せていただきました。

人気姫の伝説をドボルザークの音楽と舞台効果によりファンタステックな夢の世界を味わってこられたようですね。

今回はこの公演を知りませんでした。再演されたら見ても見たくなりました。
Commented by liliy-717s at 2012-01-03 01:11
今晩は☆
liliy-717sです

私は、幻想的なものや物語が大好きなのでdezierさんのブログはとっても勉強になりますし、なによりも読んでいて楽しいです。
久しぶりに色々なものを積極的に観に行こうと思えました。
ありがとうございます。
Commented by 月丘羊太郎 at 2018-07-12 16:35 x
ルサルカの話題、ありがとうございます。楽しく読ませていただきました。いつもながら、とても勉強になります。
実は、私もこのオペラが大好きです。
残念ながら2011年の新国公演は行けませんでしたが、昨年の日生公演で初めて劇場で観て、素直に感動しました。
dezireさんのような文才はありませんが、自分のための記録として、ブログ「月羊記」にも記事を載せました。上はプレトーク、下は本番です。
http://hiro-moon.at.webry.info/201711/article_1.html
http://hiro-moon.at.webry.info/201711/article_3.htm
Commented by 「日生劇場 舞台フォーラム at 2018-07-12 16:41 x
ドヴォルザークの人生は、王子のそれと似ている。第2幕と第3幕は王子の側から描かれているように思う。「ルサルカ」において、王子はドヴォルザークそのものと言ってよいのではないか。第3幕では、舞台中央に机を置き、背後で王子(=ドヴォルザーク)の頭の中の世界が繰り広げられるような趣向とした

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