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芸術と自然の美を巡る旅  

世界最高のドン・ジョヴァンニ・クヴィエチェンの最高の舞台とモーツアルトの魅力

モーツアルト『ドン・ジョヴァンニ
Mozart "Don Giovanni"

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 今や世界最高のDonGiovanniと証されるポーランド出身のバリトン歌手、マリウシュ・クヴィエチェンが出演するというので、新国立劇場で「ドン・ジョヴァンニ」を鑑賞してきました




オペラを聴かない音楽愛好家は、ベートーベンを史上最も偉大な作曲家と思っている人が多いようです。確かにさまざまなクラシック音楽のジャンルで最高傑作といえる作品を生み出してきました。モーツアルトの傑作オペラの舞台を経験したことのない音楽愛好家は、多分モーツアルトよりベートーベンの方が偉大な音楽家だと言うでしょう。しかし,オペラの世界では偉大なベートーベンもモーツアルトに遠く及びません。



Itseems that there are many people who regard Beethoven as the greatest composerin history among the music aficionados who do not hear opera.The work which canbe called crowning work in the genre of classical music various to be sure hasbeen produced.Probably the music aficionados who have not experienced the stageof Mozart's masterpiece opera will say that he is a musician in which Beethovenis greater than Mozart.However, in the world of opera, great Beethoven does notbecome precocious distantly Mozart.



世界最高のドン・ジョヴァンニ・クヴィエチェンの最高の舞台とモーツアルトの魅力_a0113718_12444430.jpg ベートーベンの音楽は、善、愛、叡智の勝利に向かって・・・・途中で悩んで混沌とする部分もありますが、それはベートーベン自身が混沌と格闘しているだけで、決して彼が善、愛、叡智の勝利を疑っているわけではない、だから最後に待っているのは決まりきったように善、愛、叡智への賛歌です。だから夫婦愛・勇気の賛歌『フィデリオ』のような寒気のするような作品しか作れなかったのです。ベートーベンは、人類の善、愛、叡智の勝利を妨げるもの、野卑、凡庸、無知、怠惰、不貞といったものを蔑視する感覚があったのでないかと思います。




Beethoven'smusic heads for the victory of the good, love, and wisdom.... Although there isalso a portion which worries on the way and it makes confused,It is a song inpraise to the good, love, and wisdom that, as for, it is therefore waiting thatas for it Beethoven itself is not only fighting confusedly and he does notnecessarily suspect the victory of the good, love, and wisdom at the end, asdecided.Therefore, only a work which the cold like the song in praise"Fidelio" of conjugal love and courage carries out was able to bemade.Beethoven thinks whether there was any feeling which despises humanbeings' good, love, the thing that bars the victory of wisdom, vulgar,mediocrity, ignorance, idleness, and the thing of being unchaste



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 『コシ・ファン・トツテ』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』のような傑作は、ベートーベンは思いもよらなかったではないでしようか。善悪の観念もないプレーボーイを主人公にした『ドン・ジョヴァンニ』や、女性の貞節を試す『コシアァントッテ』のようなオペラを作らないどころか、こんな題材で音楽を作るモーツアルトを理解できなかったのでないでしょうか。





では、モーツアルトは何を考えて、こんな下劣?な題材を好んでオペラにしていたのでしょうか。これについても吉田秀和氏は興味深い論評をしていますので引用します。


世界最高のドン・ジョヴァンニ・クヴィエチェンの最高の舞台とモーツアルトの魅力_a0113718_12463268.jpg モーツアルトは貞節を蔑視するようなことは決してなかった。いや、彼は何一つ蔑視したりしない。彼の音楽の及ぶところ、高尚な人間も、野卑な人間も、強欲な人間も、美しい貴婦人も、醜い老婆もみんな尊い!蔑視できるものなどあるだろうか?(吉田秀和 『モーツアルトを求めて』)







モーツアルトのオペラの魅力は人間賛歌だと思います。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』でも野卑で下賎なドン・ジョヴァンニをはじめ、主役、脇役など多くの登場人物に美しいアリアや愛の二重唱を歌わせています。モーツアルトの音楽の光が及ぶところ、野卑、高尚、凡庸、優秀、無知、有能など関係ない!子の世に生まれて愛を感じる者はみな美しいとモーツアルトの音楽は歌っているのです。




 モーツアルトという人はロココの文化の中にいながら、ブシェやフラゴナールの絵画のように、いかにもこれがロココだというようなオペラは作曲しませんでした。ロココは優雅で典雅で美しいとだけ強調されていますが、そのロココの芸術の隠された裏の部分が何も説明されていなません。モーツアルトはロココのスカートをまくって、人間の本質を見つめて19世紀のオペラのお手本をイタリアに示してやったような気がします。モーツアルトの旋律は、その典雅で上品な耳障りの良い音楽の単調ともいえる連続ように聞こえますが、それによって、極めて対照的に登場する装飾音が、いたって刺激的な旋律となってきます。



モーツアルトの音楽は本質的にコンチェルタントな音楽であり、各要素の個性化による美の拡散、鏡のような反射と分光の芸術なのだと思います。バッハの崇高な、無欠の和声的ポリフォニーに対し、モーツアルトは動いてやまず、七彩の色をこもごも放つポリフォニーコンチェルタントの様式における最高度の完成度を実現しました。





Ithink that the charm of Mozart's opera is a human song in praise.The opera"Don Giovanni" is also vulgar and is making the duet of beautifularia or love the bottom sing many characters, such as the leading role and asupporting player, including Don Giovanni.Vulgar, loftiness, mediocrity,superiority, ignorance, owner ability, etc. are not related! Mozart's music issung if those that are born in a child's world and feel love are beautiful.




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 今回の新国立劇場の『ドン・ジョヴァンニ』でも、ドンナ・アンナ、ドンナ・エルヴィーラ、ドン・オッターヴィオの長いアリアを始め、多くの登場人物の歌うアリアや重唱などアンサンブルがモーツァアルトのオペラの楽しさを満喫させてくれました。


 




 特にタイトルロールのマリウシュ・クヴィエチェンは、期待にたがわず、甘い魅力的で、情熱的な表現や力強い表現は、まさにドン・ジョヴァンニそのもので、メチャクチャなキャラクターなのに女性が魅かれていく男という役柄に説得力がありました。他の配役もバランスのとれたもので、ドン・ジョヴァンニとのアンサンブルは絶妙でした。合唱も含めて軽妙でバランスがとれたものでした。これぞ「モーツアルトのオペラ」という感じで、楽しめる公演でした。

画僧の写真提供:新国立劇場)






参考資料

アニー・パラディ (), 武藤 剛史 ()

『モーツァルト 魔法のオペラ』2005

エドワード・J・デント 著 /石井宏 訳 /春日秀道 訳

     『モーツァルトのオペラ』草思社1985

西本晃二 著『モーツァルトはオペラ』音楽之友社2006

絹川文仁『モーツァルトのオペラ「ドンジョバンニ」の一分析』

千葉経済大学短期大学部 研究紀要 2008








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by desire_san | 2012-04-28 23:41 | オペラ | Comments(5)
Commented by camelstraycat at 2012-04-23 13:43
desire_sanさま
先ほどは拙ブログにお越しいただきありがとうございました。
クヴィエチェンのジョバンニは本当に素晴らしかったですね。
私も大満足でした。
Commented by edc at 2012-04-24 07:43 x
はじめまして。ブログにコメントをいただきやってきました。

オペラ鑑賞も様々な見方、感じ方があって、身近な人以外のそれを知るのも楽しみのひとつです。こちらにはおもしろそうな記事や写真がたくさんありそうです。ゆっくり拝見します。

よろしくお願いします。

Commented by ちょこ at 2012-04-29 18:57 x
はじめまして。
ブログへのご訪問&コメントありがとうございます!

クヴィエチェン、本当に素敵でした〜
ジョバンニは女の敵ですがあのセレナーデにはあらがえないかも。

モーツァルトのオペラが人間賛歌であるというのはとても共感できます。登場人物はみんな長所だけでなく欠点も含んでいて、それでいて魅力的。それはやはり彼が人間を愛していたからではないかと思います。
Commented by jasmine at 2012-05-01 00:05 x
こんにちは。コメントありがとうございました。本当に素敵なドン・ジョバンニでしたね。モーツァルトのオペラは何度も見ていた気になっていたのでチェックしていたかったのですが、行ってよかったです。最近はモダン演出が多いですけど、今回のはシンプルでよかったし。アーティスティックなブログですね。素敵です!時々訪問させていただきますね。トラバもさせていただきますのでよろしくお願いします。
Commented by michikoinsf at 2012-05-07 11:08
こんにちわ。マリウシュ・クヴィエチェンはポーランド人ということですが、多分私の知らない人だと思います。可能だったら、名前に英語かポーランド語表記してくださると、検索しやすいかな〜なんて思ってるんですけど。それではまた。

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