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心に残った旅・芸術とアートとの出会い   

ノーベル文学賞有力候補だった安部公房

安部公房 『砂の女』     写真:広島  Poto; Hiroshima
Kobo Abe "Woman in the Dunes"
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  広島の名勝-縮景園|広島市中区上幟町 Shukkeien - scenic beauty of Hiroshima

 大江健三郎が、カフカやフォークナーと並ぶ世界最大の作家と位置づけ、当時のノーベル委員会委員長が、急死しなければ、ノーベル文学賞を受けていたでしょうと語った安部公房の作品から書いてみました。




 一人の教師が、昆虫採集に出かけた砂丘で、この村に来てしまったという理由だけで、理不尽にも村人たちに周りを砂で覆われた「砂の家」に監禁され、砂堀りをさせられます。 始めは脱出を試み、村人たちに抵抗するが、無理だとわかると、欺くため砂堀りに参加するようなる。 もう一人の「理不尽な扱い」をうけている「砂の女」と共に生活するうち、始めは失うことを恐れていました、安定した仕事や家庭のある生活の価値に疑問を持ち始め、「砂の家」での生活にある種の充足を感じるようになります。妻よりも、「砂の女」の方が魅力的に感じ、次々と卒業していく生徒を送り出して老いていく教師よりも、目的明確な砂堀りの方が満ち足りた生活に感じるようになっていきます。逃げるべき「砂の家」と、戻るべき「今までの生活」が逆転していきます。今までの世
界での理不尽が理不尽と思えなくなりってきます。この小説を読むと、安部公房の言葉の豊かさに圧倒されていき、次第に現代社会の常識的な妥当性と論理的な矛盾の二面性を感じてきます。

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 原爆ドーム  A-Bomb Dome

Hiroshima Peace Memorial, commonly called the Atomic Bomb Dome or A-Bomb Dome , in Hiroshima, Japan, is part of the Hiroshima Peace Memorial Park and was designated a UNESCO World Heritage Site in 1996. The ruin serves as a memorial to the people who were killed in the atomic bombing of Hiroshima on August 6, 1945. Over 70,000 people were killed instantly, and another 70,000 suffered fatal injuries from the radiation.

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           原爆ドーム


安部公房 『燃えつきた地図』 

 探偵の主人公が、根室洋という失踪人を探すうち自分を見失っていく話です。「砂の女」と同じように、常識的価値観が破壊され、世間一般で非常識価値と思われる価値観が常識を駆逐していく過程が、言葉の洪水のように溢れ出る文体で鮮やか展開され読む人を引き込んでいきます。

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           広島城

Hiroshima Castle , sometimes called Carp Castle was a castle in Hiroshima, Japan which was the home of the daimyō (feudal lord) of the Hiroshima han. Originally constructed in the 1590s, the castle was destroyed in the atomic bombing in 1945. It was rebuilt in 1958, a replica of the original which now serves as a museum of Hiroshima's history prior to World War II.

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  広島城











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by desire_san | 2012-10-12 06:59 | 日本の旅と文学 | Trackback | Comments(9)
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Commented by Akademia at 2012-10-12 07:34 x
安部公房の作品は好きで、ほとんどの作品を読みました。登場人物の価値観が反転していく様子を、豊かな言葉の表現で読者をひきこんでいくところがすごいですね。不思議な疑似体験をできるところが魅力です。ノーベル文学賞確実と言われていただけに、急死されたのが惜しいですね。
Commented by Masayuki_Mori at 2012-10-12 17:43 x
こんにちは。
私も一時安部公房に夢中になり、いろいろ作品を読みました。『砂の女』は魂に食い込んでくるような迫力がありました。理屈抜きにすごい作家だと思いました。ノーベル文学賞をみらった大江健三郎よりスケールの大きい作家だと思っています。阿部公房がもっと長生きしていたら、ノーベル文学賞は阿部公房にきて、大江健三郎のノーベル文学賞はなかったのではないでしょうか。
Commented by Haruna_Takahash at 2012-10-12 18:58 x
こんばんは。
広島の原爆ドームの写真と安部公房の小説のトピックの組み合わせいいですね。安部公房の衝撃的世界とこの写真が共鳴して、安部公房の作品をもう一度読んでみたくなりました。
Commented by rollingwest at 2012-10-14 07:23
広島原爆ドームは何度見ても痛ましいですね。小生も来月に出雲から広島を訪問する予定です。
Commented by たまゆら at 2012-10-14 07:43 x
こんにちは。
原爆ドームの写真は衝撃的ですね。広島には一時暮らしていた時があります。鯉城、縮景園の写真も懐かしく拝見しました。
Commented by desire_san at 2012-10-14 08:08
Akademia さん、Mori さん、Takahash さん  コメントありがとうございます。
村上春樹の小説は好きな世界で、今回ノーベル文学賞の受賞を逃して残念ですが、安部公房と比べると軽量級という感じがします。現代の若者に広く受け入れられるのはこの軽さが心地よいのだと思いますが、ノーベル文学賞となると、この軽さが不利だったのかもしれません。重たい安部公房の文学は、我々の世代ではまだ強い支持者がいるようですが、若い世代ではあまり読まれていないようです。
Commented by desire_san at 2012-10-14 08:10
rollingwest さん、たまゆらさん、コメントありがとうございます。
広島の原爆ドームは心に衝撃を受けました。
Commented by 平石悟 at 2012-10-14 09:05 x
今回のノーベル文学賞受賞は、村上春樹と莫言との争いだったようですね。莫言の小説は1つしか読んでいませんが、抗日運動や貧しい農民の生活を描き、それでも中国の大地を愛する、といった往年のノーベル文学賞文学のような重量感があると感じました。dezireさんがおっしゃるように村上春樹の文学の若者受けする軽さは、ノーベル文学賞の受賞競争には不利だったのかもしれません。安部公房だったら負けないような気もしますが、逆に現代の若者は世界的に、高い失業率や不安定な雇用条件などで生活に疲れていて、安部公房のような小説はあまり読まないかもしれませんね。私は村上春樹の世界より、安部公房の方が共感がもてます。
Commented by ディック at 2012-11-17 10:58 x
『砂の女』は三、四回読んだように思います。
まずは「おもしろい」! 問題は「なぜおもしろく感じるか」なのですが、学生時代にはぼく自身いろいろな閉塞感と、そこから抜け出る未来が果たして開けているのか、というような問題意識を持っていて、そこが訴えてきたような…。ところが、時を経て、会社員時代に読むとまた別の感想なのです。いま読んだら何を感じるでしょうか。