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芸術と自然の美を巡る旅  

官能の愛と純粋な愛にさまよう男に命をささげた純潔の乙女

ワーグナー『タンホイザー
Wagner “ Tannhäuser und der Sängerkrieg auf Wartburg “

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 ワーグナーが作曲した全3幕で構成される中期オペラの傑作「タンホイザー」が、世界的なヘルデン・テノールのスティー・アナセン、欧米の主要歌劇場に次々と出演してメトロポリタン歌劇場にも出演予定のミーガン・ミラー、新国立劇場で大人気のエレナ・ツィトコーワを迎えて新国立劇場で上演されました。




 「タンホイザー」(正式名称『タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦』(Tannhäuser und der Sängerkrieg auf Wartburg)は、性愛と聖愛の間で苦悩する優柔不断な騎士を純粋な乙女の愛が救うという中世の騎士物語とヴィルトブルグの歌合戦が組み合わせられた荒唐無稽な話ですが、すばらしい音楽が物語に説得力を持たせています。優柔不断な騎士タンホイザーにも美しいアリアを歌わせて魅力的な人物のように仕立てています。



With Tannhäuser, Richard Wagner took an initial step toward what would be called the Musikdrama (music drama), in what would be a break from the Italian.



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 「タンホイザー」初演時のドレスデン版では、第1幕のフィナーレ、第2幕のタンホイザーとエリザベートの愛の二重唱など伝統的なオペラ様式で書かれていました。しかし16年後ヴェーヌスベルグの部分を全面的に書き変えパリ版と呼ばれる改訂版になりました。すでにワーグナーは「トリスタンとイゾルデ」を書き終えていた後なので、オーケストレーションは格段に進歩し、色彩的で官能的な音楽が展開し、ヴェーヌスが一際存在感を強調されました。



 ヴェーヌスベルグの官能の世界は、美しい音楽と開放的な歌でまるで舞台が悦楽の園の小宇宙のようになりました。ヴィルトブルグの清純な世界も音楽とエリザベートの清純な歌が聴衆を清浄な世界に聴く人を浸らせます。キリスト教的中世の世界の貞淑、清純な乙女エリザベートの素朴な感情の深さを歌う音楽と、異教の愛の神ヴェーヌスのいるヴェーヌスベルグの高揚した音響の響きという対比でオペラが展開していきます。



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 第1幕の官能の女神ヴェーヌの虜になっていた中世の騎士・タンホイザーは、「ヴェーヌス賛歌」でヴェーヌスを賛美しますが、歌の途中で転調してヴェーヌスから離れ、自由や闘争、死や破壊の顎枯れを歌います。彼は愛欲の日々に飽きて人間世界に帰ります。



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 タンホイザーは地上へ生還しヴォルフラムのとりなしでエリザベートと再会し、愛の二重唱を歌います。タンホイザーはヴィルトブルグの歌合戦に参加します。テーマは「愛」、愛欲を敵視するヴィルトブルグの人々には、ヴェーヌスを賛美し官能を肯定することは断じて許せないことですが、タンホイザーは歓楽の世界を歌いヴェーヌス賛歌を公然歌うことにより自分がアウトサイダーであることを宣言し、ヴェーヌスベルグに滞在していたことを漏らしてしまいます。非難を浴びるタンホイザーに、エリザベートは恩赦を願いて出ます。タンホイザーはエリザベートの清純な心にうたれてローマに巡礼の旅にでます。



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 しかし熱烈な謝罪の心で」救済を願いましたが、ローマ方法王から救済は拒否されます。ことの詳細は有名なアリア「ローマの語り」でヴォルフラムに語られます。「自暴自棄になってヴェーヌを求めると、ヴェーヌスが現れ、ヴェーヌスとタンホイザーとヴォルフラムの激しい三重唱を展開します。ヴォルフラムがエリザベートの名を呼ぶと、我に返ったタンホイザーにエリザベートの記憶がよみがえり、救済者としてのエリザベートを認識します。エリザベートが命を捧げたことで、タンホイザーは救済されます。タンホイザーはアリア「愛の女神よ」を歌いながら救済を憧れつつ死んでいきます。 


Opera tradition of the "number operas"*. Tannhäuser marks an important step in the process of perfecting the Musikdrama some years later, and we felt it fitting to perform it in celebration of the 200th anniversary of the composer's birth. Artistic Director Otaka Tadaaki has made his opinion known that he is not one for productions that end up being "reinterpretations that go too far", to the detriment of the original appeal of the music and storyline. This is why he has always kept close tabs on the direction that new NNTT Opera productions are taking during the creative process. This production was the season opener in 2007, when Wakasugi Hiroshi had just taken over as artistic director. The lucid and visually stunning production has become part of the NNTT Opera repertory, and proved itself to have a wide appeal across diverse audiences.




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 徳と秩序の世界の世界、現実と想像・想像の世界、タンホイザーはどちらにも安住を見出せず、彼の魂は死ぬまで休まることなく壊滅的な生を奔走します。そんなタンホイザーにワーグナーは危険で抗しがたい魅力を発するアリアを与えています。タンホイザーの「ローマの語り」のアリアはエリザベートの命を懸けた救済に説得力を持たせます。なんとも男の身勝手と言える強引なストーリーが違和感なく聴衆を感動の中に引き込んでいきます。




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 対照的にヴォルフラムは、タンホイザーを理解し共感するが熱い情熱に衝き動かされることなくヴィルトブルグに安住する道を選びます。ヴォルフラムはタンホイザーの対立軸の人物として、バリトンの魅力を聴かせるヴォルフラムの「夕星の星」など美しいアリアが与えられています。

 


 清純なエリザベートは「殿堂のアリア」で素朴なあふれる喜びが歌われ、「喜びでこの殿堂に挨拶を贈ろう」の有名な行進曲につながっています。しかし、歌合戦で歌うタンホイザーの歌はエリザベートの内面に不思議な生を呼び起こし、彼女に今まで経験したことのない感情と欲望が生まれます。エリザベートにはいままで体験したことのない至上の喜びと比べれば他の歌手の歌は味気なく感じられてきます。タンホイザーのヴェーヌスベルグ滞在が露見した後の「あやめ下さい」のアリアが物語を引っ張り。緊迫した音楽のやり取りのも迫力があります。ヴィルトブルグの人々の中でただ一人エリザベートはタンホイザーに共感を覚えます。



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 ヴィルトブルグの社会ではエリザベートは性的に汚れていない純粋無垢の乙女でなければならないが、タンホイザーを弁護することで自分の魂に抱えているアウトサイダーの性質をのぞかせる。しかしタンホイザーの贖罪を乞うことは彼女の中のエロスを断念することで、天の仲介者、聖女になることを意味します。ローマから罪の許しいを得て帰還する巡礼者の中にタンホイザーの姿がなかったとき、彼女は聖母マリアに帰依していきます。エリザベートは聖母マリア像の前にひざまずき一心に祈ります。エリザベートの「全能の処女・マリア様」と華やかな音楽とアリアがヴェーヌの「愛しい人よ、あの洞窟をご覧なさい」のアリアと重なり、ヴェーヌスベルグの官能の世界からヴェーヌスベルグの清浄に移行させます。


 ワーグナーのオペラの根本理念の一つに「救済の思想」があります。前の作品「さまよえるオランダ人」が清純な乙女ゼンダの貞潔なる心と献身より「魂の救済」がなされたように、「タンホイザー」ではエリザベートの愛と自己犠牲の死によってタンホイザーの「魂の救済」がなされます。ワーグナーにとって「愛」は肉体を超越して尊厳であり、人間を浄化、昇華し神の世界を啓示するものです。「魂の救済」は死と背中合わせとなります。


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 第一幕で歌われる「ヴェーヌス賛歌、」が官能の世界を象徴するとすれば、「巡礼の合唱」は「巡礼の合唱」は人間の苦行の果ての喜びを崇高に歌っています。マリアの像の前でエリザベートは跪いて歌うアリア「全能の処女・マリア様」とともにタンホイザーの「ヴェーヌス賛歌、」と対立軸をなします。「ヴェーヌス賛歌、」が輝かく華やかなアリアであるため、アリア「全能の処女・マリア様」と合唱「巡礼の合唱」の出来がこのオペラをどのように聴衆に聴かせるかを左右し、歌手と合唱団の力量のバランスで印象が変わってくるかもしれません。




Stig Andersen will sing the challenging title role. Singing the role of Elisabeth will be Meagan Miller, a rising star with a radiant tone and charming stage presence. On the podium will be up-and-coming German conductor Constantin Trinks, who is also conducting La Boheme here in January 2012. Tannhäuser features a wonderful overture and plenty of sublime musical moments throughout. Audiences can look forward to the powerful ensemble work between the soloists and the chorus of male voices, and even a major ballet scene. The work is a fine embodiment of Wagner's aesthetic ideal of opera as Gesamtkunstwerk, or "all-embracing art form", and makes for a fitting choice for performance as we celebrate the bicentenary of his birth.



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 タイトルロールのステイー・ナンセンは、張りのある若々しい甘い声と豊かな声量でリリックな雰囲気の強い声の表現もあり、タンホイザー役にはまっていました。甘い声でヴェーヌス賛歌から転調し、強い声で自由になりたい気持ちを表現する歌の切り替えもよかったです。また、歌合戦の場面では他の歌手と比べ際立って甘い声がヴィルトブルグではアウトサイダーであるという雰囲気がよく出ていてよかったと思います。



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 エリザベート役のミーガン・ミラーはウイーン国立歌劇場を始めドイツ語圏の一流のオペラハウストで活躍する人気歌手ですが、美人で背が高く、気品や気高い雰囲気があり、歌声は高音部が軽やかで輝きと希望にあふれ、中低音には深みがあり、何よりも豊かな声量で圧倒的な存在感はエリザベート役にピッタリでした。タンホイザーが生還してエリザベートと再会し、ここでオペラの中で死んでいく恋人たちに唯一許された喜びの愛の二重唱では、ヴェーヌス賛美の気持ちを捨てきれないタンホイザーに比べ純愛を貫くエリザベートが声量で圧倒していたのは演出の意図に会っていてよかったと思います。「おやめなさい」以降のアリアも高潔な女王の性格が表現されていてよかったと思いました。




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 ヴェーヌス役のエレノ・ツィトコーワ新国立劇場では「こうもり」のオルロフスキー公爵役で人気を博した歌手ですが、ヴェーヌスの妖艶な雰囲気と威厳のある強い表情とタンホイザーに対する女心をうまく表現していました。エリザベートとヴェーヌスとの声のバランスも良かったとこ思います。


 ヴォルフラム役のマーティン・ガントナーは、背が高くスマートで歌も魅力的で見せ場の「夕星の歌」もすばらしかったです。ヘルマン役のハンス・チャマーは体が大きく威厳があり、堂々とした歌は存在感がありました。



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 新国立劇場の合唱はいつもながらすばらしかったです。「タンホイザー」の「大行進曲」など多くの合唱の名曲が歌われ、ドイツオペラの合唱が舞台を引き締めていました。歌合戦の部分のバランスはよかったです。タンホイザーが中心にヴォルフラム、ヴァルターが廻りを囲み、その廻りをヒーテロルフ、ラインマル、ハインリッヒが囲み、一番外側に合唱というスタイルですが、声の質が甘いタンホイザーの歌が良く引き立ってよかったと思いました。


 演出はオーソドックスで新国立劇場の舞台装置のレベルをうまく利用し、序曲が始まると幕が開き、舞台がせりあがりながら組み立ってきて、その後のヴェーヌスブルグを表していきます。歌手が登場するまでのバレエはやや単調で長く冗長に感じました。歌がなかなか始まらずこのバレエがすごく長く感じました。序曲が非常に長いのでこの間聴衆を退屈させない工夫がほしいところです。歌手が凍傷してからはテンポよく話が進み、特に第2幕は演劇として見ても大変面白いものだったと思います。



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 全体しては歌手のバランスが良く実力のある歌手で配役が揃い、合唱、オーケストラとも水準が高く、十分満足できる内容でした。なによりも無理なストーリーを説得力をもって聴かせてしまうワーグナーの音楽のすごさ、素晴らしさが焼付きました。

2013.1.26 新国立劇場オペラパレス)








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by desire_san | 2013-02-02 13:26 | オペラ | Comments(28)
Commented by maru33340 at 2013-02-03 12:12
blogへのコメントありがとうございます
今年はワーグナーの年ですね
Commented by osamukunn at 2013-02-03 12:47
こんにちは。
さきほどは拙いブログに訪れていただきありがとうございます。

新国立劇場の「タンホインザー」良かったようですね。
私は地方在住ですんで、新国で一度もオペラを観たことがありません。
是非、観てみたいです。

これからも、よろしくお願いします。

Commented by desire_san at 2013-02-03 16:44
maru33340さん osamukunnさん コメントありがとうございます。
ワーグナー・ヴェルディ生誕100年らしいですが、新国立劇場のワーグナーはこれを最後にしばらくやらないようですね (ー○ー)=3
Commented by 失われたアウラを求めて at 2013-02-04 23:18
こんばんは。昨年の新国立劇場の《ローエングリン》が非常に見事な舞台でしたので、今回の《タンホイザー》は、割りを食ったのかもしれませんが、desireさんのおっしゃるように十分立派な舞台であったと再認識できました。
Commented by satin at 2013-02-05 02:49
dezireさん、こんばんは。写真をたくさん集めてこられたのですね。自分のブログではぶつぶつ文句も言ったのですが、全体としてけっこう楽しめる上演でした。新国立劇場のプロダクションは、ほかの劇場ではできない工夫があって、毎回発見があります。
以前、滋賀のびわ湖ホールで見た「タンホイザー」は、歌はそれなりによかったのですが、プロダクションのおもしろさと完成度では一歩譲るものがあると思いました。

首都圏在住ではないので、めったに行けないのが残念なのですが、3月の「アイーダ」はチケットを買っていて、こちらも期待しています。

ヴェルディとワーグナーのお祭りの年にしては、日本ではワーグナーの上演があまりに少ないのがわたしも残念です。新国立劇場は、「指環」の後なので、これもしかたないのかもしれません。
Commented by desire_san at 2013-02-05 07:21
失われたアウラを求めて さん、 satin さん コメントありがとうございます。
新国立劇場のオペラは世界でも一流の演出家が運出しているのと、新国立劇場の舞台自体がいろいな仕掛けができて表明設備が優れているので、演出効果が行かせるのも魅力だと思います。舞台に水を張れねのはここだけではないでしょうか、
私も次回は「アイーダ」です。3回目ですが、馬も含めてエジプトの王朝や軍隊の衣装を着たの異常を何百人もの人が舞台に乗って歌うのは壮観ですね。
Commented by grazia36jp at 2013-02-05 08:24
desiresanさま、コメントをありがとうございました。
私の子供のような感想・・お恥ずかしい限りでございます。
desiresanさまの感想、楽しく拝読させていただきました。
知らないことが多くて面白かったです。
曲の背景や内容をわかって聴くと、新しい感性で聴けそうです(*^。^*)
Commented by desire_san at 2013-02-05 10:02
grazia36jpさん ありがとうございます。
”子供のような ”ご謙遜しすぎですよ (笑) 音楽にはいろいろな感じ方があってそれが面白いと思います。皆様のいろいろな感想を読むのは楽しいです。
Commented by ai_worldtravel at 2013-02-05 22:08
YahooでコメントいただいたAiです。新国立でタンホイザーやったんですね。素晴らしい解説を読ませていただきました。勉強になりました。今年はワーグナー生誕200周年でウィーンでも色々なワーグナー作品をやりますが、この作品は今シーズンありません。またやったら観に行きたいです。ほかのも読ませていただきますね。
Commented by saftradz_007 at 2013-02-06 17:43
タンホイザーは私が最初に聴いたワーグナーの作品です。「オランダ人」では何故ゼンタが命がけで船長を助けようとしたのかわかりにくいですが、「タンホイザー」も何故タンホイザーがヴェーヌスベルクへ行く事になったのかが全く説明されていないのでわかりませんでした。ご説明を読ましていただき少しわかったような気がしますが、音楽抜きでは成り立たないような気がします。それを聴かせてしまうところがワーグナー偉大な力であり、好き嫌いに分かれるのもそこにあるのかも知れません。
Commented by Quartter-Z at 2013-02-06 17:45
ワーグナーの「タンホイザー」は「愛の本質とは何か」を考えさせられます。ワーグナーのオペラの魅力はそれに尽きると思います。音楽はもちろんストーリーの含蓄の深さも魅力ですね。ヴォルフラムはエリーザベト一途に見えますが、エリーザベトと同様タンホイザーに魅かれます。「夕星の歌」についてですが、ワーグナーはなぜあそこで「夕星の歌」を入れたのか。「夕星」とは「金星」「宵の明星」、歌詞ではドイツ語で「金星」「宵の明星」は、Abendsternのほかに「Venus(ヴェーヌス)」でもあるそうです。ヴォルフラムも迷いがあり、分別があるから心に秘めていますが、内面の葛藤を持っていることが「夕星の歌」の歌になっているように思います
Commented by Wagnerian at 2013-02-06 17:47
エリーザベトが激怒した騎士たちからタンホイザーをかばう瞬間の場面に私は心を震わせました。ご説明のように、エリーザベトはあの時自分の本質に気が付いたような気がします。あのとき歌う歌は、本質をとらえたソリストが歌うと迫真の舞台になりますね。それまでリーザベトはヴェーヌスのツィトコーワにおされ気味でしたが、あの瞬間から主役は完全にリーザベトになりました。
Commented by Taapheno at 2013-02-06 17:47
「夕星の歌」のようなあれほどの名曲をワーグナーはヴォルフラムに歌わせたのが、疑問に思っていましたが、深い意味が込められていたのだと気が付きました。エリーザベト一とは別の形ですが、ヴォルフラムが他の人とは異なりタンホイザーに魅かれるのは、ヴォルフラムにもタンホイザーの愛に対する価値観に共鳴していたからなのではないでしょうか。それを示すためヴォルフラムにすばらしい曲を歌わせたのではないでしょうか。
名曲にはその役の葛藤が秘められていることが多いようですね。そ葛藤をソリストが表現したとき、迫力あるシーンが生きてきて芸術になるのだと思います。
Commented by Margaret at 2013-02-06 17:48
歌と演奏に集中していいオペラを見ました。領主ヘルマンが投げかけた「愛の本質について歌い上げよ」の言葉、エリーザベトの命をかける心か、内に秘めに秘めたヴォルフラムの心か、ヴーヌス賛歌を歌うタンホイザーとか、よく理解できていませんでしたが、丁寧なご説明を読んで理解できたような気がします。それにしてもワーグナーは見た後感動して拍手すればお終りというわけには行かず、3時間余の緊張の後に劇場から解放されてからもあたまの中に音楽が鳴り続けるようですね。
Commented by Kaivelt_hemecow at 2013-02-06 17:56
オペラ座における「タンホイザー」初演上演は反感をかいましたが、詩人ボードレールが弁護しました。ボードレールは『欧州評論』4月1日号に4章から成る長文の評論「リヒャルト・ワーグナー」を発表します。ワーグナー自身の著作やリストによる評論を踏まえながら、ワーグナーの音楽理論や楽曲の説明を行っています。ボードレール全集』全6巻(阿部良雄訳/筑摩書房)にあります。これで風向きが変わり音楽界にワグネリアンが急増しました。フランスのワグネリアンたちに多大の影響を及ぼしました。
Commented by Merodica-555 at 2013-02-06 17:57
ワーグナーのオペラは演出過多で、舞台に気をとられて、目で聴くことを余儀なくされ、音楽に集中できない、耳で集中して聴いてもらいたいと思います。歌と音楽をよく聴けば、頭の中で自ずと場面が浮かぶだろう。演奏会形式で鑑賞することでワーグナー音楽自体が持つ素晴らしさを認識してほしいと思います。
Commented by Hendorica at 2013-02-06 18:09
全回も聴きましたが、今回の方が配役が良かったとおもいます。タンホイザーを歌ったスティー・アナセンは、その昔、ベルリン・シュターツオパーの「パルジファル」コンサート形式日本公演で、風邪をひいたエルミンクの代役で、楽譜を見ながら必死に歌っていた歌手。ここまでの歌手になったのかと感慨深かった。演技力があり、しっかりと歌っています。。私は大いに共感を覚える。領主ヘルマンのクリスティン・ジグムンドソン、ヴェーヌスのエレナ・ツィトコーワも十分に満足。ヴァルターの望月哲也、エリーザベトのミーガン・ミラーもいい。女性陣は、容姿的にもきわめて美形。二人の歌手を似た雰囲気にしたのは、エリーザベトとヴァヌスの裏表の関係を強調するためでしょう。
Commented by Carbonara at 2013-02-06 18:11
「タンホイザー」(日比野秀吉 訳)の全曲日本初演は1947年7月12日~8月3日まで、藤原歌劇団によって帝国劇場で行われました。(1920年山田耕筰の指揮で部分的な上演が行われています)メンバーはタンホイザー:藤原義江、木下保 エリーザベト:三宅春恵、笹田和子 ヴェーヌス:砂原美智子、滝田菊江 ヴォルフラム:宮本良平 領主:下八川圭祐 牧童:城須美子 他に石井獏舞踏団、東宝交響楽団(合唱51名、バレエ21名、管弦楽50名)指揮:M・グルリット、美術:三林亮太郎、演技指導・振付:青山圭男、演出:近衛秀麿三宅春恵が参加して、笹田とともにエリーザベトを歌ったことが注目されました
Commented by Angerieta at 2013-02-06 18:28
私も全体として良い公演だったと思いますが、リンクスの指揮葉不満でした。ゆっくり、しみじみと、そして繊細に演奏したいのかもしれないが、メリハリがなく、盛り上がりに欠け手痛ように思いました。ドラマティックな要素がかなり不足。平板なワーグナー。官能性もあまり感じられなかった。東京交響楽団も、きちんと合わない。ちぐはぐな感じが残りました。

Commented by Regoret at 2013-02-06 18:29
タンホイザーはたしかに歌も音楽は素晴らしいのですが、結末が好きでは有りません。ハッピーエンドなら良いのですが、あれでは神と教皇の権威だけが強調されてしまいます。ローエングリンでもそうですが、ワーグナーには弱者への思いやりが感じられません。本人自体さほど道徳的な生き方をしたとは思えません
Commented by camelstraycat at 2013-02-07 12:15
こんにちは、先程は拙ブログにコメントありがとうございました。
ワーグナーはスケール感があって、ちょっと哲学的なところが好きです。
キャストもオケも健闘していたと思います。
ただローエングリンであの水準のものを観てしまうと・・ちょっと耳が贅沢に慣れてしまったのかもしれません。
私もアイーダ楽しみです。
Commented by Eno at 2013-02-07 16:05
新国立劇場のタンホイザー、洗練されたきれいな舞台でしたね。声楽陣のレベルも高くて、十分楽しめました。
Commented by desire_san at 2013-02-07 18:17
ai_worldtravelさん、 camelstraycatさん、Enoさん
コメント頂きありがとうございます。
ワーグナーのオペラは理念のある密度の濃密でスケール音楽が魅力ですね。 新国立劇場のタンホイザーは正統派のの舞台で全体のバランスがよく楽しめました。camelstraycatさんが書かれておられるように現代最高のローエングリンのひとりといわれるフォークトの舞台は彼の存在感がすばらしかったですね。来シーズンはワーグナーがないのはさびしいですね。見落としていた「ニュルンベルクのマイスタージンガー」かの再演か、「パルジファル」 をやってほしいですね。
Commented by Mike at 2013-02-08 01:38
コメントありがとうございました。
dezireさんの解説、非常に楽しく拝見させてもらいました。場面場面の的確なコメント、本当に素晴らしいです。小生はオペラは3回目の初心者ですが、このタンホイザーをみてオペラファンになりそうです。では、これからも、よろしくお願いします。
Commented by desire_san at 2013-02-08 06:31
Mike さん、コメントありがとうございます。
タンホイザーは楽しめるオペラでしたね。ワーグナーのオペラは見れば見るほど新しい発見がありますね。
Commented by Ruiese at 2013-02-11 14:39
昔ドイツでベルリン・国立歌劇場オペラで、「タンホイザー」を見ました。ルネ・コロが主役だったと思いす。重厚な舞台だったという思い出があります。写真を見ながら読ませていただき、かなり現代的な新鮮な演出に感じました。今は、ワーグナーもだんだん阿カルマ華やかな舞台になったのですね。楽しく読ませていただきました。
Commented at 2017-10-04 12:56
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by desire_san at 2017-10-05 13:55
dd907さん、ご丁寧なコメントありがとうございます。
私は化学技術を中心として研究開発が本職ですが、美術、音楽、オペラなど、大学でいえば文学部美学科の人が読むような本を、感動的な作品に出合ったのをきっかけに多く読んでいます。
プラハの春についてはカウフマン監督の『存在の耐えられない軽さ』を見ました。

ワーグナーは、飯守泰次郎さんが新国立劇場の音楽監督になって『リング』をすべて新演出で上演しているのでずっと見ています。今月最後の『神々の黄昏』を見に行きます。ワーグナーの音楽は、色彩と空気感とダイナミックに訴えかけて来るところはワーグナーと共通するものがあると思いますが、ワーグナーの音楽は重層的で、様々ライトモチーフの音楽を多用に重ね合わせてくるところがすごく、聴く人を酔わせる要素が強い遁辞ます。アリアがなくてもオペラが成立する音楽の力は正に凄い、だから自ら「楽劇」と呼んだのがよくわかります。日本人の持つ特有の「正義が勝つ、という勧善懲悪の世界観」は、ベートーヴェンをはじめとしたドイツオペラも似たようなもので、ベートーヴェンの唯一のオペラ『フィデリオ』などは、ベートーヴェンの温雅を聴くためだけのオペラと割り切らないと楽しめませんね。

ワーグナーは子指摘のように、楽劇では「深遠な至高の世界」を展開していますが、私生活は目茶苦茶で、ワーグナーに関わり合った人はみんなひどい目にあう、疫病神のような人だったようです。それは自分でも自覚していたようで、彼の柵日野を丁寧に見ると、ワーグナー自身を投影したような人物が登場しているので、おもしろいですね。