紅葉の志賀高原
Photo : Shiga Highlands of autumn leaves

写真:紅葉の志賀高原(写真で内容とは関係ありません。)
フィルム時代とデジタル時代でカメラの使い方も変わってきましたが、それにともないレンズに対する要求や使い方も変わってきました。プロ級のアドアマやカメラ・レンズに詳しい友人の監修をいただいて、デジタル時代のレンズの使い方の基礎知識を整理してみました。
Shiga Highlandsis a ski resort and hiking spot, located in the Jōshin'etsu-kōgen National Park in the highlands of Yamanouchi, Nagano, Japan. The main focus is the "Relationship between Nature and Human Being", which exhibits the nature of Shiga-kōgen. Around October Autumn this whole area is the beautiful scenery in the foliage Shiga Kogen..
望遠レンズ
望遠レンズが必要な理由は?と聞かれたら何とお答えになりますか。多くの方は「望遠レンズは遠くの物を大きく撮れる」と答える方が多いかもも知れませんね。しかし答えとしてはこれも完全な正解とはいえません。
フィルム時代とデジタル時代の大きな違いは粒状ノイズがないこと。従って画素数が充分大きく、高感度のノイズがない状態で撮影すれば、トリミングによる拡大はかなりのレベルまで可能です。コンパクトカメラのデジタルズームというのは、結局トリミングして拡大しているのと同じなのです。風景写真で、遠くの物を大きく撮りたいなら、解像度の優れた標準レンズで撮影して、解像度のレンズで撮って、遠くの見たいところだけデジタルで拡大した方が、適当な価格の望遠レンズで撮影するより、遠くの写真も鮮明に撮れるのです。これはデジタル一眼レフが進化したからできる技です。
始めにこんなことを書いたのは、遠くの被写体を大きく撮影ためだけに望遠レンズを使っている方に、それだけなら他に方法があることを言いたかったのですが、これはあくまで極論と理解してください。正論を言えば、一眼レフカメラで写真を撮影するということは、そのままで作品として完成した写真を撮ることを目標とすべきです。後でトリミングしたり、画像の色や彩度などを大幅な修正するのは、本来邪道です。撮ったままの写真を作品とすることを目標としなければ、写真は上達しないと思っています。
最初に少し混乱を招くようなことを書いてしまいましたが、これは望遠レンズに対する誤解をリセットして、改めて望遠レンズの特性は何かを考えてみたかったからです。望遠レンズの基礎に戻って考えてみましょう。
・遠くの被写体をズームに撮影できる。
・レンズの画角が狭いので、被写体の形状の歪みがなく、背景もシンプルになる。
・被写界深度が浅いのでボケがでやすい
・近くの物と遠くの物の距離を圧縮され、距離感がでない。
の4点です。
レンズの画角が狭い、被写界深度が浅い、の特色は、人物のポートレートを撮るとき重要です。背景をシンプルにし、ぼかすことで写真のモデルを引き立たせます。望遠レンズを使う最大のメリットは「背景をシンプルにし、ぼかすことで写真の目的とする被写体を引き立たせる」ことです。
花のような小さな被写体の場合は、中望遠のマクロレンズが効果的です。望遠マクロは、画角が狭く背景を整理しやすく、また被写体深度が浅く、ボケも非常に強くなり、背景の形が表現されず色だけにすることも可能です。
初めにそれだけではないことを言うために、遠くの被写体を大きく撮影するという望遠レンズの使わなくても望遠レンズで撮ったような写真を撮れるような書き方をしましたが、高性能の高級な望遠レンズで遠くの被写体を大きく撮影した写真には、遠方の景色でも微妙な立体感が表現され、上記のトリミングで拡大した写真は表現力など遠く及びません。遠く離れた鳥の写真やスポーツ写真のような動いている被写体は高性能の望遠レンズがもちろん必要です。また、画素数が大きいと言っても限界があるので、大サイズにプリントするときは、望遠レンズを使うべきです。言いたかったのは、望遠だけのためだけなら、その目的で高級な望遠レンズを使用する方は別として、望遠レンズには、望遠機能意外に、重要な生かすべき特性があるということです。

標準レンズ
肉眼で見たときの印象に近い写真を撮るという意味で、標準レンズで撮影することが、写真の基本だと思います。画角は、人間の目の見える範囲に近いので、見た目に近い範囲が撮れます。標準レンズは比較的F値は明るく、最新のデジタル一眼レフカメラでは、イメージセンサの感度が高いので、暗い所でもファインダー内で画像を確認することができ、夕景、夜景でも比較的容易にピントが合わせられます。F値が明るければシャッタースピードも速く出来、手振れ防止に効果も大きく効きます。
標準レンズの撮影では、35ミリのルサイズ一眼レフカメラなら一般的な50ミリのレンズを通して、被写体を撮るとします。必要なだけ被写体に近づいて撮るのが、基本だと思います。被写体を肉眼で見た時の印象に撮れるはずです。ある程度被写体に近づけば、ボケの表現も可能です。また、標準レンズは絞って引きの構図で撮影すると広角的な表現もできます。このように、標準レンズを上手に使えば、状況で状況で。幅広い表現が可能です。私の場合もそうでしたが、一眼レフ初心者は広角から望遠までカバーできるレンズを使いたがりますが、そのような一見万能に見えるレンズは、基本的性能をレベルダウンして成り立っている場合が多いのです。 便利なものに頼らず標準レンズをまず使いこなすことが重要です。
昔の偉大な写真家の多くは、単焦点の標準レンズを使って、すばらしい最適な位置に動きまわりながら優れた写真を残してきました。本当に写真をうまくなりたいなら、標準レンズで撮影することに徹して、腕を磨くのが早道かもしれません。(カメラがAPS-Cサイズのイメージセンサのカメラの場合は、35mm換算で50mmのレンズを使用。普通の50mmレンズは、約80mmになります。)
広角レンズ
広角レンズ必要な理由は?と聞かれたら何とお答えになりますか。多くの方は「広角は広い画面が撮できる」と答えるかも知れません。これも完全な正解とはいえません。
広角レンズの特性は何か、基礎に戻って考えてみましょう。
・広い画面の被写体を1枚の写真に撮れる
・狭い場所でも被写体全体を写せる
・近い物は大きく、遠い物は小さ撮影され、遠近感が強調され。
・被写界深度が深いので、近くの被写体にもピントが合い。全体としてピントが合いやすい
・被写界深度が深いのでボケが出にくい。
広い画面の被写体を1枚の写真に撮れる、という理由で広角レンズを使っている人が多いですが、レンズの周辺が歪んで形が歪んでしまいます。街並みを撮ったら垂直なはずの左右の建物が内側に傾いていることを経験された方も多いと思います、記録としてはいいかも知れませんが、作品にするなら安易に広角側を使うのは感心しません。風景写真に広がりを持たせたい、被写体深度が深いことを生かし奥の方までピントが合った奥行きのある写真を撮りたいなど、目的を明確にして、周辺の画像の歪みを配慮した上で、広角レンズを使うことが望ましいのです。
広角レンズの使い方の基本は、できるだけ被写体に近づいて撮るということです。
レンズに被写体がぶつかるくらいに近づいて撮影すると、広角レンズは画角が広くなんでも写り込んでしまうので、写真の主役が何かが強調されます。写真の主役を強調し、広角レンズの効果で画面の中に入り込んだ脇役や背景の写真の構成を鮮明にできるのです。

補足
画角とボケは、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサの大きさによるところが大きく、本来のフィルムカメラと同じフルサイズ一眼レフと比べると、売れ筋のAPSサイズセンサーの一眼レフは大幅に広角なことを考慮しなければなりません。広角レンズでの画像の歪も同様です。
デジタル一眼レフはCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサを中心とした電子技術の製品で、高性能のフィルムに機械的に画像を映していたフィルムカメラとは全く別の技術で成り立っています。飛躍的な高感度、手振れ補正機能の大幅な改善などで、手持ちで夜景撮影やスローシャッター速度での撮影もできるようになり、三脚の使い方もフィルム時代と様変わりしつつあります。プロの写真家でも、技術の変化に追いつききれていないという人もいますが、写真家は技術を追う人ではなく、表現で見る人を感動させるのが仕事なので、フィルムカメラしか知らなくても、作品がすばらしければそれで良いのです。
写真をプリントする意味について
写真は、タッチなど材質感も表現の一部として表現力を持っている絵画などのアートと違って、ネットの写真画像で、構図や色、光表現など写真のレベルをある程度知ることができます。ネットで見てあまり良いと思わなかった絵画の実物を見たら思いのほか良かったという経験をお持ちの方は多いと思いますが、ネットで見てあまりで良く見えない写真が本物は良かったなどという経験はほとんどないと思います。 一般の写真は絵画と違って銀塩写真も含めて、所詮工業技術が根幹にあるので、超えられない限界というものがあるのです。
ネットで見てあまりで良く見えない写真がプリントでは良かったということは普通ありませんが、パソコンやネットで見て良いは写真がプリントして良い写真とは限りません。 銀塩写真プリントの色彩などの表現力はモニターやプロジェクターの表現力よりはるかに高いのです。 これは重層効果など銀塩写真プリントの高度に蓄積された画像技術は、画質だけを目的に開発されたわけではないモニターやプロジェクターの画像表現と比較にならないほど高いのです。
それに加えてタブレットも含めてパソコンで見ているのは透過画像であり、人間の眼は反射画像に対するより、透過画像対してに甘いのです。海外旅行で教会に行くと、美術的に価値のある壁画より、透過で見るステンドグラスの方が人間の眼に美しい印象に残ってしまうのも、透過透過画像対して人間の眼が甘いことの現れです。モニターやプロジェクターで人の目をごまかすのは簡単です。コントラストと彩度を高めに調整すれば、光の条件がよくない写真でも、たいていの人は「きれいな写真だね」と褒めてくれるでしょう。
プリントしてみる人に美しいと感じさせる写真を目標としなければ、写真は上達しないと実感しています。モニターで見てある程度よく撮れているという写真は、それで満足せず、ある程度大きいサイズにプリントしてみることです。ある程度の大きさにプリントすると、色彩や光の表現も含めた構図の凡庸さなど、作品として不足しているところが見えてきます。自分のプリントと上手な仲間や雑誌などの優れた写真を比べることで、写真を見る眼を鍛え、鍛えた厳しい眼で自分の写真プリントを検証する、その繰り返しが写真の上達には必要不可欠だと思います。
人に見てもらえる写真を目指して
写真が難しいのは、ただきれいなだけでは絵ハガキと変わりません。絵ハガキも一応プロが撮っているので、そのレベルも簡単に撮れるものではありませんが、写真展などで他人に交通費と時間を使わせてまで見せる価値がある写真は、撮影者が被写体を見たときの感動を写真をも見る人に伝え、自ら主張できる写真表現がなければならないと思っています。もちろん、そのような写真は撮るのは大変難しいです。写真を作品にしたいなら、被写体のどこの美しさを伝えたいか、自分どの表現を見てもらいたいか、その写真でそれが見る人に伝わるかを、プリントを見て考え、検証することの繰り返しが必要だと思います。自分はもちろんですが、アマチュアでもプロでも感動や表現が伝わつてくるような写真を撮るのは。なかなか撮るのは難しいものだと感じています。
個人的な話ですが、プロの写真家でも、ネットで見てよほどすばらしいと感ずる写真家の写真展しか行来ませんが、それでも見に行って良かったと感ずるのは半分くらいです。いくら技術が進んでも、ロバート・キャパや土門拳のような昔の写真家を超える写真を見る機会はめったにありません。デジタル技術の進歩でカメラの技術はいくら進歩しても、芸術は進歩とは別の次元にあるようです。
最近東京の新国立美術館で写真展があったアンドレアス・グルスキーのような写真家は、巨大な写真画面で独自の空間を作りこみ、まるでシーグラム絵画のように、見る人をその世界に包み込んでしまいます。失われつつある世界を記録しようとしているセルゲイ・ゴルシュコフ、 ロバート・キャパ以来のフォトジャーナリストといわれるビル・フレイクス、 光の魔術のように光により愛を表現するクリフ・モートナーなどは、写真表現の限界に挑戦し芸術性を追求している写真家もいます。日本人でも、高度一万メートルから、ダイナミックな瞬間を作り出す航空写真家、徳永克彦、 ヒマラヤ山脈の中でも秘境といえるヒマラヤ極地、カラコルムの迫力ある自然を伝える藤田弘基、鮮烈な色彩感覚と大画面で見る人を圧倒する蜷川実花など、優れた絵画に匹敵する美意識を感しさせる写真家もいます。そこには輝くばかりの芸術的才能が感じられます。
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Shiga Highlandsis Photo Gallery
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重要性をひしひしと感じる今日この頃です。
ただ、デジタルだと膨大な数の写真が撮れてしまうので、
すべてプリントするわけにもいかず、非常に悩ましいのですが。
dezireさんもおっしゃるように、ただ美しいだけでなく、
見た人の心になにかのメッセージを伝えられるような
そんな作品を撮りたいです。
写真を趣味とする私にも、大変参考になる記事です。
ただ、望遠レンズを使わず、トリミングすればよいというお話は、一眼レフを使う意味がないような気がします。
一眼レフはトリミングしないように撮影するのが基本だと思います。
はじめからトリミングや画像をソフトで修正することをかんがえて撮影していたのでは、写真は上達しません。
お分かりになって極論として書かれているのだと思いますが、トリミングや画像習性はは最後の手段だと思います。
私も100枚に1枚くらいしかプリントはしていません。友達などに見せるのはほとんどネットの写真サイトです。
ただ、モニターでこれは結構良いのでは、という写真は4つ切りワイド以上にプリントしてみることにしています。プリントしてみると、満足できる写真でないことが多いですが、何が自分の写真に足りないのかが見えてくるので、勉強になります。私のレベルでは、プリントは人に見せるためというより、自分の勉強用ですね。
トリミングや画像をソフトで大きく修正することは作品を作る上では邪道だと思っています。
ご指摘のように誤解を招く記述なので修正致します。
ありがとうございました。
リバーサル(ポジ)フィルムは、20年前奈良で撮影していた時期の終わり頃に使ってみました。同時刻に同一被写体をネガ・ポジ両方で撮り比べると、ポジフィルムの方が色数が絞られ、驚いたのを覚えています。
desireさまは風景写真が中心とのことですが、アオサギのお写真、素敵ですね。
「ももさへずり*寧楽編」で、鹿+風景の写真をアップしましたので、よろしければご笑覧ください。明日には町なかの鹿もアップする予定です。

