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心に残った旅・芸術とアートとの出会い   

シエーナを奇跡的に守った聖母マリア信仰と世界一美しい大聖堂 sanpo

シエーナ 聖母マリアの街

Thecity of the Virgin Mary · Siena


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世界でも稀にみる美しい中世都市・シエーナは、めざましい時勢の変化と適当な距離を置き、伝統と文化を守り通し、美しい孤立を保ってきました。夜、中世の街並みの路地を歩くと、その昔「沈黙の街」といわれたシエーナの静けさを味わうことができます。





ゴシックの街・シエーナ

文字をクリックするとリンクして、内容を見ることができます。)



その昔、キリスト教徒と異教との間で争いが起こりましたが、聖フランチェスコの力によって終止符が打たれました。聖フランチェスコは、シエーナの街を天国に近づけた聖者で、それ以来シエーナは宗教心の強い都市となりました。シエーナの芸術家は、聖フランチェスコのおかげで、神の世界を自らの素朴な精神でとらえ、絵画や彫刻、詩の世界に表現しました。シエーナの芸術には、その豊かな宗教心が基盤にありました。



13世紀中ごろ。ローマ教皇派とローマ皇帝派の争いは、シエーナをフィレンツェとの争いに巻き込むことになりました。当時シエーナにはフィレンツェと戦う戦力はなく、シエーナは都市の命運をかけて戦わねばなりませんでした。統領に選ばれたブオナグイダは、聖母マリア像の前にひざまずき、マリアの加護を願いました。市庁舎の鐘が鳴り響き、市民も裸足になって聖堂の前に集まって、母マリアに祈りを捧げました。シエーナ市民の祈りが届いたのか、シエーナは、モンテタルトの戦いに奇跡的に勝利することができました。



モンテタルトの勝利50周年を記念するため、画家ドゥッチョは、シエーナを守護した聖母に捧げるために祭壇画を描きました。この祭壇画はシエーナの不幸と悲しみを取り除いたことを記念した祭壇画で、シエーナの市民の奮起と詩的な興奮を呼び起こしました。ドゥッチョは、聖母の姿をほっそりと気品を備えた姿で描き、シエーナの人々に光を投げかけ永遠の安静と幸福を与えました。「聖母マリアの街」の女性は、美しく身を着飾って聖母にひざまずいて、いつも聖母マリアのように美しく、優しくありたいと祈りました。シエーナでは、マリア信仰が公的な性格を帯びて制度化され、市全体に関わる最も厳かな儀式は、シエーナ大聖堂の主祭壇で行われました。



ドゥッチョ『マエスタ(荘厳の聖母)』

           1308 - 1311年 シエーナ大聖堂付属美術館



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ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャはフィレンツェ派のジョットに比肩する偉大な画家でした。ドゥッチョが大聖堂の主祭壇のために制作した『荘厳の聖母』はそれまでに見たことのない聖母の栄光を称える絵画でシエーナの市民を驚嘆の念で満たしました。ドゥッチョはこの新しい構図の聖母像に対して、金箔を多用したビザンチン的色彩によって張り詰めた強い霊的憧れを映し出し、流れるような豊麗なリズムにより、感情の動きの優しく抒情的な表現に成功しました。この傑作はドゥオーモ付属美術館で観ることができます。




シエーナ大聖堂

標高310mシエーナで最も高いところにあるカルテル・ヴェッキオの丘とサンタ・マリアの丘の上に、サンタマリアアスンタ大聖堂・即ちシエーナ大聖堂(ドゥオーモ)が建っています。遠くから見ると、山上の窪みに泊まる優雅な白鳥、黄土色、煉瓦色、灰褐色の屋根の海に浮かんだ白い巨船のようにも見えます。白く澄明な大聖堂は、シェナの市民の汗と血で汚れた情熱や憎悪を昇華させて、魂を天に運んでいく聖なる箱舟のようにも見えます。



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13世紀半ばに建てられた大聖堂の外観は、全体として白大理石で、所々にシエーナ産の赤い大理石と、プラート産の暗緑色の大理石でアクセントつけられ、壮麗そのものです。暗緑色の大理石は白石と交差しながら縞模様を描き、ドームも白大理石の縞模様とともに独特な均衡性とリズムを醸し出しています。




聖堂の屋根の上にすらりと伸びた塔は、ロマネスク風の窓があり、その窓は階を上がることに増えていきます。円蓋は二本の円柱状の小円柱の連続を作り、優雅な小さなアーチの付いた円筒壁之上に乗っています。高い鐘塔と円蓋は、全体としてどっしりと構えた重厚な雰囲気で、ゴシック建築のような上昇志向の不埒さは微塵も感じません。



ファサードは、ぜいたくに使われた大理石の豪華さにも増して、芸術家たちの美麗な装飾に目を奪われます。白地の間隙を縫うようにピンク色の大理石の装飾帯が編み上げる玄関口、中段から上段は尖塔、彫刻、モザイク、小回廊で飾られ。豪華絢爛で圧巻です。側面では2本の柱がこの構造を囲み、頂点を経て非常に細い尖塔で終わり、建物の上向きの運動量を強調しています。側面には2つのロッジアがあり、全体には3つの黄金の尖端があります。左から右に3つの黄金のモザイクでマリアの提示、聖母戴冠とキリストの降誕、最後の晩餐が描かれています。




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シエーナ大聖堂の見学はファサードに隣接する2つの印象的な塔から始まります。内部には螺旋階段があり、ドゥオーモの屋根に通じています。右の通路の星の丸天井の上に到着する神聖な寺院の「上」を歩き、大聖堂の「内側」と「外側」を見ることができます。色とりどりのステンドグラスの窓には使徒の表現を見ることができます。床、主要な彫刻の記念碑とパンテオンとドームの内部の眺めで大聖堂の中にでます。



内部には多角形の柱で三つの廊下に分けられた室があり、2つの廊下に分けられた翼廊と深い聖歌隊があります。翼廊交差が六角形で構成され、大聖堂の中央のサイド通路内の正方形と長方形の、分割されたフランスのゴシック柱によって星空の青で飾られた、非常に高く、尖ったアーチと洗練さ穿孔を備えた光窓全体の内部を照らす翼廊があります。全体の内部構造は、シエーナの紋章の色を基準にした、白黒の2色が優勢で、洗練されたキアロスキュロ効果を生み出しています。




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クーブラから火が入るわずかな時間を除いて堂内は薄暗く陰鬱な気分になります。しかし、眼が暗さに慣れてくると、内部の柱も壁も、全体が暗緑色と白の縞模様でできていることが分かります。落ち着いてみると、ドゥオーモ床全体を飾る紅、黒、白の高貴な色大理により描かれたモザイク画とおびただしい装飾に驚かされます。頭上を見上げると12角形の円蓋、クーブラの下には白と黒の背の高い支柱が床まで伸びています。中央身廊と聖歌隊は、497年から1502年の間に製作した171本の法王の胸像の上に敷居があります。聖歌隊の後壁の中央にキリスト、時系列に沿った教皇の連続で時計回りに進み、そのシリーズの長さと完成度は素晴らしいです。教皇の下のアーチの中には、16世紀に2段階で彫刻された363の皇帝の胸像があります。非常に興味深いのは、柱の端にある教会のいたるところにある歴史的な街です。




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右側廊のキージ礼拝堂を始め多くの礼拝堂が、幾多の名匠による彫刻、絵画、金銀細工を施されており、地下にあたるサン・ジョバンニ礼拝堂は、15世紀美術の粋を集め、色彩のポリフォニックな会話を展開する華麗な内部空間を誇示しています。

ピッコロミニの祭壇のすぐ後にピッコロミニ図書館があります。これはシエーナの大司教、枢機卿フランチェスコ・ピッコロの書籍の膨大なコレクションを収容するため、翼廊の前に左身廊に沿って配置されています。大理石のテーブル、内部は2段階でそれに取り組んだルネサンス期のイタリアペルージャの画家・ピントゥリッキオのフレスコ画が一面に描かれています。




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それからドームのバルコニーに沿って歩くと、高い祭壇、中央にあるマリアアスンタのアーモンド、そして彫刻の傑作が並ぶドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャの窓のコピーが思い浮かぶことができます。左の通路からは、Sドメニコの大聖堂、メディチの要塞、洗礼者ヨハネの礼拝堂のドーム、セネーゼモンタニョーラまでの素晴らしい景色を眺めることができます。S.マリアデッラスカラ病院の景色とカウンターファサードのバルコニーからドゥオーモ広場を見下ろすファサードの後ろに出ます。中央の身廊の壮観な眺めと古代世界の哲学者との象嵌を通して、教皇と皇帝の頭によってマークされたリズムを伴っています。



シエーナ大聖堂はとても広く、シエーナの美的気遣い、繊細さの真骨頂ともいえる装飾芸に満たされていました。大聖堂内、床面装飾、天国の門、ピッコロ―ミニ家の図書室、洗礼堂、クリプタ、大聖堂付属美術館、大聖堂付属美術館からのパノラマと、床面装飾と天国の門など見どころ満載で、見学に3時間ほどかかりました。






参考文献

片山伸也『中世後期シエナにおける都市美の表象』中央公論美術出版、2013

林 直美, 篠 利幸『シエナ―イタリア中世の都市 (京都書院アーツコレクション) 1999

石鍋 真澄『聖母の都市シエナ―中世イタリアの都市国家と美術』1988

池上俊一『シエナ-夢見るゴシック都市』中央公論新社〈中公新書〉、2001








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by desire_san | 2019-02-23 19:06 | イタリア・ルネサンス美術の旅 | Trackback | Comments(10)
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Commented by 平名 at 2019-02-28 01:38 x
年齢が半分以下の時に一度だけ往った事があります。
懐かしい、、 けどもっとチャンと観るべきだった!!
 チャンスが有れば⁉ 
Commented by desire_san at 2019-02-28 14:25
平名さん、コメントありがとうございます。

シエーナは、イタリアでも最も好きなの街のひとつで、延べ3日行きました。3回に分けて書いていますので,リンクを張りましたので、よろしかったらそちらもご覧頂けると嬉しいです。


Commented at 2019-03-09 07:18
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Frontiea at 2019-03-09 18:07 x
シエナのドゥオーモは、フィレンツェのドゥオーモの建設に刺激され、それ以上のものを造ろうと設計の改造が行われたましたが、頓挫し、その後1376年から1382年にファサードとアプスが完成し、オルガンは1376年に造られました。 入るとすぐ床が目に入る。白と黒の石で造られたモザイクは,精巧に加工されとても美しい。身廊はピントリッキオPinturicchio 、ベッカーフミBeccafumiなどシエナ派の画家40名が製作に加わりました。身廊左壁面奥にA.ブレーニョによる「ピッコローミニ家の祭壇」(1463)があり、その4体の彫刻はミケランジェロ、一つはヤコポ・デッラ・クエルチャが制作しました。主祭壇にはヴェッキエッタVecchiettaによる聖体容器がある。1880年8月21日ドゥオーモを訪れたワーグナーはこの聖堂に感動し、同行した画家のジュコフスキーにそれをスケッツチさせ、これが後に「パルジファルParsifal舞台神聖祭典劇」の舞台装置のモデルになりました。
Commented by Keiko_Kinoshita at 2019-03-09 18:12 x
私はいつもドゥオーモに来ると、よくこれだけ凄いものを造ったと感嘆します。内部の装飾、絵画など見所が多く、見るのには最低でも2時間位かかる。ピッコローミニ図書館には、ピントリッキオの描いたフレスコ画「ピウス3世の戴冠」があり、この絵は美しい色彩で、これが16世紀初頭に描かれた絵には見えない程保存もよく、生き生きと情景が描かれていました。1階にあるジョヴァンニ・ピサーノが制作した10体の彫像は以前ファサードを飾っていたものだが、下から見上げるのを考慮して、首を突き出すように造られていますが、内在するエネルギーの爆発を感じるような迫力ある彫像でした。美術館には、シエナ派の巨匠ドゥッチョの祭壇画「マエスタ」がある。主要画面の他に30枚のパネルがあり、それらの作品はいずれも繊細で優美に描かれていました。私はいつもこの美術館に行った時は、シエナでは「ファッチャトーネ」と呼ばれる大ファサードに出ます。新大聖堂の未完成に終わった建物正面の最上部で、ここから中世の街シエナが一望に見渡せ特にカンポ広場も全体が見えます。2006年8月にここを訪れた時は、沈み行く夕日の黄金の光と紫色になった空が美しく時の経つのも忘れて見入っていました。
Commented by Quautrewos at 2019-03-09 18:52 x
私は、国立絵画館・ピナコテカ・ナツィオナーレに行きました。 ピナコテカ・ナツィオナーレは、15世紀に建設されたブオンシニョーリ宮殿内に設けられた絵画館で、中には12世紀末から17世紀前半ごろまでのシエナ派の傑作、シモーネ・マルティーニの「幼な児を抱く聖母」、ドゥッチョ「フランシス会士の聖母」、A.ロレンゼェッティの2点のヨーロッパ最初の風景画と「聖母子」、他にベッカーフミ、ドメ二コ・ディ・バルトロメオ、ソドマ、ネロッチョ、ジョヴァンニ・ディ・パオロなどシェナ派の画家達の作品が多数あります。サンタ・マリア・デイ・セルヴィ教会 は1234年にシエナに定住した聖母マリア下僕会会士セルヴィティが13世紀に建設を始めた。内部には13世紀から16世紀にかけてのシエナ派の絵画が飾られていました。シエナとフィレンツェが争ったモンタペルティの戦いで、シエナに捕虜として連れてこられた画家コッポ・ディ・マルコヴァルドCppo Di Marcovaldoが自由の身になった1261年に描いた「ボルドーネの聖母」、マッテオ・ジョヴァンニ作「嬰児虐殺」、ピエトロ・ロレンツェッティのフレスコ画「ヘロデの宴」「洗礼者ヨハネの死」など名画が飾られていました。教会の外に出ると左側に門があり、入って見るとそこからマンジャの塔が中央に聳え、左にドゥオーモがあり、シエナの街が一望に見渡せ素晴らしい景色でした。


Commented by desire_san at 2019-03-11 20:37
snowdrop-momoさん  コメントありがとうございます。

シエナの夜の街は本当に静かで、「沈黙の街」という感じですよ。

シエナの大聖堂は、シェナの街を形成している建築様式とはずれていて、ほんとうに「箱舟」のように浮いて見えるのですよ。

詩的な雰囲気を持った街ですね。

Commented by desire_san at 2019-03-11 20:44
Frontieaさん  コメントありがとうございます。

シエナのドゥオーモについての詳しいお話ありがとうございます。

シエナの中世の街並みにあって、シエナのドゥオーモだけがフィレンツェのドゥオーモを意識して、設計の改造が行わたので、この建物だけがフィレンツェ的な雰囲気を残しているのですね。

内部装飾の壮麗さは、ほんとうにすごいですね。


Commented by desire_san at 2019-03-11 20:53
Kinoshitaさん  コメントありがとうございます。

ドゥオーモの内部のピッコローミニ図書館のフレスコ画「ピウス3世の戴冠」は、私も感激しました。

ドゥッチョの祭壇画「マエスタ」はじっくり見てレポートしましたが、だんだん疲れてきて、30枚のパネルなどかなり見落としていますね。

沈み行く夕日の黄金の光と紫色になった空の夕景が、また美しかったようですね。

ありがとうございました。




Commented by desire_san at 2019-03-11 21:00
Quautrewosさん

国立絵画館・ピナコテカ・ナツィオナーレの情報をありがとうございました。

ここに行くと、シエナ派の絵画がたくさん見られたのですね。

ピエトロ・ロレンツェッティのフレスコ画「ヘロデの宴」「洗礼者ヨハネの死」など名画は、見たかったですね。