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芸術と自然の美を巡る旅  

不道徳な話を音楽の力で気品ある恋物語に仕上げたフランス・オペラの傑作

マスネ『ウェルテル』

JulesMassenet “Werther”

不道徳な話を音楽の力で気品ある恋物語に仕上げたフランス・オペラの傑作_a0113718_18074931.jpg



 マスネの「ウェルテル」は、新国立劇場でマスネのオペラをとりあけていた時期に、「マノン」、「ドン・キショット(ドン・キホーテ)」に続いて、2002年「ウェルテル」を鑑賞しました。それ以来12年ぶりにMETライブブューイングで、「ウェルテル」を鑑賞し、マスネのオペラの魅力を改めて感ずることができました。 
 



“Werther” is an opera in four acts by Jules Massenet to a French libretto by Édouard Blau, Paul Milliet and Georges Hartmann, loosely based on the German epistolary novel “The Sorrows of Young Werther” by Johann Wolfgang von Goethe which was based both on fact and on Goethe's own early life.

【第1幕】 ドラマティクな音楽のドイツの田舎町ウェツラーの大法官の娘シャルロットの母の死の場面で始まります。 母の葬式の場面は事情的な音楽で進みます。シャルロットがまだ子供の弟妹たちの世話をしています。

不道徳な話を音楽の力で気品ある恋物語に仕上げたフランス・オペラの傑作_a0113718_8342533.jpg 若き詩人ウェルテルの登場、夢見る若者をロマンティクで繊細なアリアで表現します。愛らしい子供たちの魂をたたえ、子供たちに愛情を注ぐシャルロットに無垢の美しさを感じ、彼の心に恋が芽生えます。

 シャルロットには婚約者アルベールがいますが不在のため、ウェルテルと舞踏会に行くことになります。静かなワルツで踊るウェルテルとシャルロット、ふたりに恋が芽生える様子が音楽で表現されています。舞踏会の帰り道、ウェルテルのロマンティクで焦熱的なシャルロットへの愛を表現したアリア、シャルロットがウェルテルの愛の告白のアリアに酔わされていく演技が説得力を感じます。しかし、シャルロットはアルベールと婚約することを亡き母と誓っていると伝えウェルテルを振り切ります。
 

【第2幕】 それから3か月が過ぎて秋になり、シャルロットとアルベールは結婚生活をしています。家族の平穏な生活を重んじるアルベールに、シャルロットは何か心が燃えない心を演技で表現しています。ません。 そんな二人の姿を見てウェルテルは心が張り裂けそうになります。ウェルテルはシャルロットを本当に愛するのは自分だというアリアを歌います。ウェルテルの美しく情熱的なアリアは、人妻を愛してしまう非常識なウェルテルが。常識人アルベールより魅力的に感じさせてしまうのは、マスネの音楽の力です。

 シャルロットの妹ソフィーが明るく若々しいソプラノでアリアを歌います。シャルロットもウェルテルに好意を持っており、いっしょに踊ろうと言います相手にしません。ウェルテルはシャルロットと二人になると、シャルロットへの想いをぶつけ、この二人の歌の掛け合いは愛の2重唱のような雰囲気があります。シャルロットはとりあえずクリスマスまで離れるように言いますが、死を決意するウェルテルの力強いアリアを歌い、引き留めるソフィーを振り切って去っていきます。
 第2幕までは、美しいウェルテルのアリアの連続で、観客の心にウェルテルの魅力を植え付けているように感じました。
 

【第3幕】 シャルロットの家。アルベールは留守にしています。ウェルテルから来た手紙を読み、シャルロットは心を悩ましています。ウェルテルの手紙を読みながらシャルロットは美しい音楽のアリアを歌います。魅力的な文章のウェルテルの手紙を破り去ることができず、手紙を読みながら、かつての子供たちとの暮らしを今に甦らせ、ウェルテルが去って穴が開いてしまった心の隙間を埋めることができないことを情緒的に歌います。続けてクリスマスイブの日にウェルテルがかけつけてこない不吉な予感を歌います。この複雑な気持ちを表現する数々のアリアは、その演技力とともにすばらしいものでした。第3幕前半はシャルロットのアリアが続き、シャルロットの一人舞台という感じでした。

不道徳な話を音楽の力で気品ある恋物語に仕上げたフランス・オペラの傑作_a0113718_839514.jpg そこにウェルテルが現れます。ウェルテルはシャルロットに会えないくらいなら死んだ方がよいと情熱的に歌います。ウェルテルが歌うアリア「春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか」は陶酔的といえるほど美しい曲です 自分の感情を抑えて無関心を装うシャルロット。 二人の歌の掛け合いはマスネ独特のロマンチックな歌の世界です。「オシアンの詩」に託して愛を告白する詩人ウェルテルの歌の世界に、シャルロットも観客も酔わされていきます。劇的なシャルロットの愛の告白にウェルテルは彼女を抱き寄せます。二人は抱き合うようにして歌います。しかし、大人であるシャルロットはこれが破滅的な恋であることを知っており、ウェルテルを振り払って立ち去ります。一人残されたウェルテルは絶望しシャルロットとの関係に終止符をうつのだと言い去っていきます。ウェルテルが残した手紙を読んだアルベールは、使いに拳銃をウェルテルのところに持って行かせます。それを知ったシャルロットは不吉な予感を感じ、急いでウェルテルの元に向かいます。
 

【第4幕】舞台の奥にウェルテルの小さな部屋をセットし、ウェルテルの孤独を演出しています。ウェルテルはためらいつつピストルを計り、拳銃で自らの胸を撃ちます。瀕死のウェルテルが倒れているところに、シャルロットが駆けつけてききます。助けを呼ぼうとするシャルロットをウェルテルは必要なのは君だけだと言って制止します。二人の歌の掛け合いを演じ抱き合います。息が絶えつつあるウェルテルは優しく穏やかな声で、愛している君の腕の上で死ねるなら幸せだと歌うと、とうとうシャルロットも彼を愛していたことを認めます。自分を見失いようにしてあなたを失ってしまったと最後の口づけをしますが、ウェルテルは死を待つのみです。屋外から子供たちの歌が聞こえてくると、天使の歌声が聞こえてきて神様の無何有が来たとウェルテルが甘く優しい最後の歌を歌い、自分の墓をひそかに訪れるひとりの婦人のことを思いながら息が絶え、シャルロットがひとり残されます。

Massenet will make opera the autobiographic novel "a trouble of young Werther" of Goethe from whom the opera "Werther" became a best seller in the second half of the 18th century in 100 years.The Ibsen's "house of a doll", and Chekhov's "three sisters", a "sea gull" and "the garden of a cherry tree" were written, and this time was the time when theater was prosperous in.It is said that the opera of Massenet's heyday also has a large dramatic element.The interlude was well used for the place which tells a tale, and the technique in which the talk advances between interludes is taken.This is taking out atmosphere like theater or a movie.

不道徳な話を音楽の力で気品ある恋物語に仕上げたフランス・オペラの傑作_a0113718_8402288.jpg オペラ『ウェルテル』は、18世紀後半にベストセラーとなったゲーテの自伝的小説『若きウェルテルの悩み』を100年後にマスネがオペラにしたものです。この時期はイプセンの『人形の家』、チェーホフの『三人姉妹)』『かもめ』『桜の園』が書かれ、演劇が盛んだった時代でした。マスネの全盛期のオペラも演劇的要素が大きいと言われています。 物語を語るところに間奏曲を上手に使い、間奏曲の間に話が進行する手法をとっています。これが演劇や映画のような雰囲気を出しています。

 人妻に対して暴走するウェルテルは、考えられないほど不道徳で非常識なものです。ラブシーンもある不道徳な脚本にマスネの気品ある音楽をつけて、気品ある芸術性の高いオペラにしています。ウェルテルのアリアは、限りなく純粋で、現実の世界として説得力を感じしまうほど音楽に力があります。限りなく甘美な旋律の美しく音楽は純愛物語のような雰囲気です。

 マスネは、物語にあわせて音楽が作れ、ストーリーの展開に変化に合わせて音楽を変えられるという意味では、最高のオペラ作曲家とも言えます。音楽の強弱、厳しさと甘さをフレキシブルに表現できる作曲家です。『ウェルテル』でも物語の展開に従って劇的に変化する音楽が特徴です。また『ウェルテル』は『マノン』に比べると室内楽的傾向の音楽で、楽器のソロも巧みに用いています。音楽の変化とともに演奏の変化も求められます。

不道徳な話を音楽の力で気品ある恋物語に仕上げたフランス・オペラの傑作_a0113718_8431144.jpg これはフランスの作曲家特有のものかもしれません。どんな大作曲家でもこのようにフレキシブルに音楽を変えていくことができるわけではないように思います。例えば同じ「マノン」の脚本をオペラにしたイタリアのプッチーニのオペラとマノンのオペラを比べると違いは顕著です。プッチーニの『マノン・レスコー』もドラマティクで情熱的な音楽のオペラですが、音楽はまさにプッチーニの世界いう感じです。それに対してマスネの『マノン』の方が物語に観客を引き込み酔わせていく雰囲気があり、これに比べるとプッチーニの作品の方が客観的に見られるような気がします。

Massenet can make music in accordance with a tale, and can also call it the No.1 opera composer in the meaning that music is changeable into deployment of a story according to change.He is a composer who can express musical strength, severity, and sweetness flexibly.The music which changes dramatically according to deployment of a tale also by "Werther" is the feature.Moreover, "Werther" is the music of a chamber music tendency compared with "Manon", and also uses the solo of the musical instrument skillfully.Change of a performance is also called for with a musical change. The immoral affair with a married woman is the pure love story in France Opera. This is the charm of playful opera.

 『ウェルテル』にはワーグナーの影響があるという見方もあります。このオペラを作曲する前、マスネはワーグナーの『ワリキューレ』や『パジルハル』の管弦楽法に心酔し、マスネ特有の旋律の美しさに加えて、ワーグナー的な精神の葛藤の表現を融合させて完成させた作品という見方もあります。

 確かに、破滅的な恋に向かって歌うウェルテルの陶酔的に観客をも酔わせるアリアはワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』の世界を連想させます。恋愛を描いているのに愛の2重唱がなく、あくまでウェルテルとシャルロットの歌の掛け合いで結ばれない二人を演出しているのも『トリスタンとイゾルデ』を思わせます。最後の場面の死と愛・セックスというよりもワーグナー的と感じました。ウェルテルの愛のアリアは、これでもか、これでもかと繰り返され、観客を酔わせていくところはワーグナーの世界と共通するものを感じさせます。ただワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』のように神がかり的な雰囲気でないのは、音楽に一世代前のロッシーニのようなバロック風のロマンチックな音楽を用い、オシャレな恋愛音楽劇に仕上げているからだと思います。

There is also a view that it has influence of Wagner in "Werther."Before composing this opera, Massenet is fascinated with the orchestral music method of Wagner's opera, and, in addition to the beauty of a melody peculiar to Massenet, also has a view of the work which was made to unite expression of conflict of the Wagner soul and was completed.

 今回の演出は伝説的な舞台演出家リチャード・エアで、オペラの演出は今回が6作目ということですが、マスネのオペラ演劇性を見事に生かしていました。これは、ふたりの主役の歌手の作品の深い理解に基づく歌の表現力と高い演技力によるところも大きいと感じました。また典型的フランスオペラ独特の雰囲気を出すため、フランス語にたけたキャステイングであったことも良かったと思います。

不道徳な話を音楽の力で気品ある恋物語に仕上げたフランス・オペラの傑作_a0113718_8375763.jpg 主役のウェルテルは、天国のように美しい旋律を透明感を持って歌い、第2幕ではシャルロットが人妻であることに対して激情的表現と崩れて壊れそうな繊細な表現を流麗に歌いこなし、第3幕では魂の叫びのような激しい情熱、第3幕では自殺することで安らかな心境に至る感情表現が求められます。ウェルテル役のヨナス・カウフマンは状況や感情が劇的に変化するこの難役を、幅広い表現ができる歌唱力に加えて、すばらしい演技力で軽々とこなしていました。幕間のインタビューでも、苦労して演じているように見せない様に指導を受け、自らも精進していると言っていました。たしかにヨナス・カウフマンはウェルテル役になりきっていました。

 シャルロットは子供たちを愛する母性と第2幕以降人妻であることを表現するため、ソプラノではなくメゾ・ソプラノに歌わせています。それに対して若いソフィーのソプラノのアリアは、限りなく明るく子供的な雰囲気を出してしています。それに対してシャルロットのアリアは、大人の落ち着きがあり、あくまでも冷静であろうと努力するところが感じられ、大人の女性を印象付けます。シャルロット役のソフィー・コッシュは、ロマンチックで繊細さが要求させる歌唱力と俳優並みの演技力を見せていました。

 映画館での上演のため、生演奏のような解放感のあるオーケストラの響きは味わえませんでしたが、これぞMETといえるレベルの高い新演出の舞台映像で、マスネのオペラの魅力を満喫できました。

指揮:アラン・アルタノグル     演出:リチャード・エア
ヨナス・カウフマン(ウェルテル)、ソフィー・コッシュ(シャルロット)
リゼット・オロペーサ(ソフィー)、デイヴィッド・ビズィッチ(アルベール)
ジョナサン・サマーズ(大法官)
(2014.4.14、東劇)























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by desire_san | 2014-04-23 23:43 | オペラ | Comments(23)
Commented by Haruna_Takahash at 2014-04-24 09:12 x
マスネのオペラについて上手にまとめられていて大変勉強になりました。
マスネの「マノン」とプッチーニのこのオペラとの違いはおもしろい見方ですね。原作は小説「マノン・レスコー」、娼婦の心を持つ純粋な小悪魔マノンと、それに振り回されるデ・グリュー物語ですね。私は二人に違いについて次のように考えます。①マスネ父子とか、宗教とかいろいろなテーマが込められ、プッチーニは男女の愛が中心で他はお構いなし。②原作により近くマノンの娼婦性を表現しているのがマスネ。賭博場にも行き、贅沢のためにデ・グリューを裏切るマノンの姿も描かいたいます。プッチーニのオペラでは、娼婦性を弱め、贅沢好きな愚かな女性と「トスカ」のヒロインに近く、プッチーニ好みのヒロインという感じです。マスネのヒロインは、罪の意識のない娼婦性、例えばデ・グリューという恋人がいながら、金めあてに裕福な男に身を任せます。その間恋人をなぐさめるためと別の少女をデ・グリューに送り込み、彼が傷つくと「きっと私が悪いのですわ」こんな性格を音楽で美化し、ロマンティックなオペラに仕上げてしまうのはマスネの凄さだと思います。
Commented by 山脇由美 at 2014-04-24 09:27 x
内容はもちろんですが、「アンドレア・シェニエ」を Track Backされていのを興味深く感じ。コメントさせていただきます。「ウェルテル」も「アンドレア・シェニエ」も詩人ですが、アンドレア・シェニエは政治的闘士で、即興詩も政治色が強く、辞世の歌も生への執着が大きく現実主義的です。それに対してウェルテルは、自然を賛美しそのロマンチストぶりは浮世離れしています。現実的にはフランス人の方が現実的、イタリア人の方が夢想的という傾向があるように思いますので、オペラの違いは作曲家の気質によるものなのでしょうね。
Commented by Ich at 2014-04-24 11:51 x
こんにちは。METライブとは、あまりよく存じませんが映画なのですね。
マスネの「ウェルテル」をご覧になられたようで、手に取るように音楽が聴こえてきました。名曲「タイスの瞑想曲」のように甘い美しい旋律が貴殿の表現によって伝わってきます^^
Commented by merle1010 at 2014-04-24 13:32
またお邪魔しました(^^) マスネご覧になったんですね!私は行けなくて残念だったのですが、こちらでまた丁寧な解説を読んで、あー見たかった~!との思いを強くしております。予告編を見たのですが、カウフマンはさすがのルックス、演技力、歌唱力でしたね。他にも興味深い記事がたくさんある様子で、また遊びにきますね~!
Commented by Mchappykun at 2014-04-25 01:13
こんにちは。
私のブログのトラックバックとコメントを残して下さり、ありがとうございました。
オペラ、お詳しいですね。とても的確にオペラの内容を把握し、言葉で表現されていらっしゃり、感服しました。
ヨーロッパもあちこちご旅行なさっているのですね.ほんの少し読んだだけですけれど、とても素敵なブログです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
Commented by Merodica_55 at 2014-04-25 09:08 x
こんにちは。よく整理された解説と感想、場面を思い出しながら読ませていただきました。「ウェルテル」のウェルテルのアリアは、「椿姫」のヴィオレッタを男女入れ替えたように感じてしまいました。、ウェルテルとヴィオレッタの共通点は自分だけが主観的、叙情的、ドラマチックに感情を高めています。そんなウェルテルやヴィオレッタに周りはみな、社会の調和を乱す彼にかき回されていく展開です。マスネは法務官と子供たちが歌うクリスマスの歌に集うシャルロット、ソフィーと人々平和的な日に、夢ばかり歌うウェルテルは滑稽な存在に映ります。しかし後半に入ると舞台はシャルロットを巻き込み心理ドラマに一転します。dezireさんも書かれているようにウェルテルのアリアに観客も酔わされて、壮絶な結末も真実味をを感じて舞うのですね。
Commented by desire_san at 2014-04-25 09:43
Takahashiさん、マスネとロッシーニの違いにつてコメントありがとうございます。目から鱗のお話もあり勉強になりました。
Commented by desire_san at 2014-04-25 09:45
山脇さん、「アンドレア・シェニエ」との違いについてご説明ありがとうございます。確かにイタリア人とフランス人の違いだけでは説明できませんね。
Commented by desire_san at 2014-04-25 11:10
Ichさん、METライブとは、世界的歌劇場であるアメリカ・メトロポリタンオペラが、舞台を映像に撮り、世界中の映画館で手ごろな価格でアメリカ・メトロポリタンオペラを楽しんでもらおうというプロジェクトです。映像とはいえ、生の舞台の1/10くらいの価格でメトロポリタンオペラの舞台を味わうことができるので、また日本でめったに上演されないような演目があれば行って見ようかと思います。
Commented by desire_san at 2014-04-25 11:14
merle1010さん、コメントありがとうございます。
カウフマンのウェルテルがはルックス、演技力、歌唱力ともに最高でしたね。あんな男性に愛されたら、破滅的な恋に陥ってしまいそうな雰囲気がよく出ていました。
Commented by desire_san at 2014-04-25 11:17
Mchappykun さん、ご訪問ありがとうございます。
音楽、美術、旅行などで撮った写真なと何でもありのブログです。せひまたご訪問を!お待ちしています。
Commented by desire_san at 2014-04-25 11:21
Merodicaさん、「ウェルテル」は「椿姫」と表裏一体の関係にあるという見方は考えてみもしませんでしたが、Merodicaさんのコメントを読むと説得力がありますね。多くのオペラに共通の図式のようなものがあるのでしょうか。
Commented by Keiko_Kinoshita at 2014-04-25 13:37 x
いつもながら明確で説得力のある解説とご感想を興味深く拝読させていただきました。マスネが生きた時代は、スタンダール、バルザック、フローベール等のリアリズムの時代で、ポスト・モダンでリアルなストーリーですが、音楽は1世紀前の甘味でロマンチックなバロック風音楽の同じような音楽が続きます。マスネはワグネリアン的なスタイリッシュな音楽を志向しているところもありますが、その手法は、アリアや重唱の間に、“速い・遅い・速い”のテンポを繰り返す定型的なリズムの舞曲を多く用いた18世紀バロック時代の擬古典的なスタイルといえます。普通いないような女性をヒロインとした「アイーダ」に代表される反時代的ヴェルディのオペラとは対極をなすオペラと言えるかも知れません。
Commented by 山脇由美 at 2014-04-25 15:50 x
ご説明とコメントを興味を持って読ませていただきました。dezireさんにはご存知のことと面ますが、マスネは19世紀後半を支配していたヴェルディとは違うオペラを作ろうとしたと思われます。「マノン」では、バロック時代の宮廷舞曲を多く取り入れ独特のバロック様式を再現し、時代設定の17世紀バロックの爛熟と退廃の匂いを活かしました。管弦楽曲の間奏曲に台詞を語らせ、アリアにヴァイオリン・ソロに乗せて語らせる手法はマスネ独特のものと考えられます。これらによりロッシーニらロマン派初期のオペラ・コミックの再構築を行ったという評価もあるようです。
Commented by kawamuko at 2014-04-26 07:52
はじめまして、Kawamukoと申します。
私のヘタレなブログにお越しいただいて、ありがとうございました^^;
メトのウェルテル、私はまだ観たことがないのですが、この記事を読んで
ぜひ観たくなりました。
カウフマンといえば私にとっては「ファウスト」の印象が強烈
なのですが、彼のウェルテル役、まさにウェルテルが憑依した
ような演技が観られそうですね~!
Commented by 深夜便 at 2014-04-26 21:23 x
dezireさん、こんばんは。

『オシャレな恋愛音楽劇』という表現には、とても新鮮味がありました。マスネの作品でとても好きな「タイス」も、視点を180度変えれば、『オシャレな恋愛音楽劇』と言えるかもしれません。

(「タイス」をこのように言ってしまうのは、不道徳かもしれませんが、「ウェルテル」と同じく「タイス」もそのような題材ですから。)

ところで、METのライブビューイングは、エンターテイメントに徹しきっていることが好きです。そこが、市販の映像や、他のライブビューイングと異なることと思えます。
Commented by desire_san at 2014-04-27 08:34
Kinoshitaさん、山脇さん、マスネの音楽に対する貴重なお話ありがとうございます。マスネの音楽がバロック時代の擬古典的なスタイルてせあることや、ヴェルディとの違いなど大変勉強になりました。
Commented by desire_san at 2014-04-27 08:39
kawamuko さん、コメントありがとうございます。
カウフマンは「ファウスト」でこご覧になられたのですね。「ファウスト」は好きなオペラですが、なかなか観る機会がありません。、「ウェルテル」で魅了されたカウフマンの「ファウスト」ぜひ観て歌を聴きたいですね。
Commented by desire_san at 2014-04-27 08:47
深夜便さん、コメントありがとうございます。
マスネは「タイス」まだ観ていませんが、「マノン」なども悲劇的ストーリーをオシャレな恋愛音楽劇に仕上げている気がします。ご指摘のようにMETのライブビューイングは、エンターテイメントに徹することで、生の舞台と比較したくなる気持ちを持たせないように仕向けているのかもしれません。
Commented by 失われたアウラを求めて at 2014-04-27 22:28 x
こんばんは。ご無沙汰しております。METのライブビューイングで、『ウェルテル』鑑賞とはうらやましい限りです。マスネのオペラは、名前ばかりよく目にしますが、お恥ずかしい話、きちんと観たことがありませんでした。貴殿のブログを読ませて頂き、興味深く感じましたので、昨日、さいたま芸術劇場の資料室に行って見てきました。テレビ映画風の映像で、歌劇場での公演収録ではありませんでしたが、音楽はおっしゃる通り、なかなか立派で、大変聴き応えのある作品でした。家に「タイス」の録画映像もあることが判明しましたのでこれから観ようと思っております。
追伸。最近、「山」にも関心が向かっており、先月はジョージ・マロリーに関する本を2冊ほど読みました。山の写真も時々拝見させて頂いております。
Commented by desire_san at 2014-04-28 11:22
失われたアウラを求めてさん、コメントありがとうございます。
マスネは「タイスの瞑想曲」で知られていますが、オペラに興味を持つまでほとんど聴いたことがありませんでした。新国立劇場でプッチーニとは別の世界の「マノン」の舞台の魅力を知り、私にとって重要なオペラ作曲家となりました。「タイスの瞑想曲が含まれるオペラ「タイス」は、原作がアナトール・フランスで、娼婦タイスが修道士アタナエルによって改悛されますが、アタナエルもタイスに恋してしまうという、宗教。道徳と人間の本質を問いかけるような作品だそうです。全幕で鑑賞できる機会があったらぜひ一度体験したいと思います。
Commented by Namiko at 2014-05-09 00:18 x
コメント下さってたのに、確認が遅くなってしまい、今ごろの返信ですみません!
ブログ、素晴らしいですね!あまり詳しくないので、映画館でプログラムを買いましたが、こちらの方がずっと詳しくて感動しました!しかも英語まで!!(ただ今英語勉強中です)
母とじっくり読ませていただきました!ありがとうございます!また楽しみにしています!他のページも興味津々で、しばらく読みふけりそうです・・・・
Commented by desire_san at 2014-05-09 08:06
Namikoさん、私のブログを読んでいただいてありがとうございます。
これを機会によろしくお願い致します。

by desire_san