薄命の天才作曲家・ベッリーニの最後の傑作オペラ
ベッリーニ『清教徒』
Vincenzo Bellini.” I puritani

オペラ『清教徒』は傑作『ノルマ』が完成の4年後、33歳の若さで亡くなったベッリーニの最後の作品です。時代は17世紀英国クロムウェルの清教徒革命の時代での内乱を背景に、国王派の騎士アルトゥーロと議会派の貴族の娘エルヴィラが愛し合います。ベッリーニは自然でショパンやワグナーたちも魅了した美しい旋律が特色ですが、その中でも『清教徒』は高貴で美しい楽想に充ちた作品で、ソプラノが超絶技巧を駆使する「狂乱の場」、テノールの「ハイF」の名場面もあり、「ベルカントものの最高傑作」と評されています。ヒロイン・エルヴィラの夢の世界を交錯されて描いた今回のバリオペラ座の演出は、ベッリーニの原作の意図に沿った演出だそうです。
I puritani is an opera in three acts by Vincenzo Bellini. It is his last opera. Its libretto is by Count Carlo Pepoli, based on Têtes rondes et Cavaliers by Jacques-François Lancelot and Joseph Xavier Saintine, which is in turn based on Walter Scott's novel Old Mortality. It was first produced at the Théâtre-Italien in Paris, 24 January 1835.
第一幕
議会派清教徒の城主であるヴァルトン卿の娘、エルヴィラの結婚式当日。ブルーノと清教徒の騎士達が、敵方スチュアート王家に対して敵意を燃やしながら夜明けの合唱をしています。エルヴィラ、アルトゥーロ、リッカルド、ジョルジョ達の朝の祈りが聞こえてきます。騎士達はエルヴィラの結婚を祝う、リッカルドが戦場に赴く前、ヴァルトン卿は愛娘エルヴィラと結婚することを認めていましたが、エルヴィラは王党派の騎士アルトゥーロ・タルボに心奪われており、を断られてしまい「ああ、永遠に貴女を失ってしまった」と沈んでいます。仕官ブルーノはリッカルドに再びの出征を勧めますが、「私は恋に燃えているのだ!」と立ち去ります。脚本では、この場面でヒロインのエルヴィラは登場しないが、今回の演出では鉄格子のスケルトンの城が舞台の中心にあり、その中でヒロインが歩き回っていました。ヒロインは傷ついた兵士の中で夢見る乙女のような生活しており、現実との矛盾を演出していました。彼女の見ている夢と現実が交錯てるような雰囲気を醸し出しています。
ヒロインはベットで目覚めます。結婚相手をまだ知らず思い悩んでいるエルヴィラは、叔父のジョルジョは相手に望まぬ相手との結婚を無理してすることはないと伝え、「愛する叔父様、私の清らかな望みを」ジョルジョはエルヴィラを優しく慰め、「結婚相手をお前が愛しているアルトゥーロにするようにヴァルトン卿を説得してきた」と告げます。恋人アルトゥーロが王党派の為に父親から結婚の許しが出ないので苦しんでいた彼女は、叔父の話を聞いて喜び、二重唱「貴方は私の胸に」を歌います。
皆がエルヴィラとアルトゥーロの結婚を祝い、アルトゥーロはエルヴィラに対する愛を謳えて「愛しい乙女よ、貴女に愛を」を歌います。そこに前国王カルロ(チャールズ)一世の妃であるが、身分を隠してヴァルトン卿の城に幽閉されている貴婦人エンリケッタとヴァルトン卿に伴われて入って来ます。ヴァルトン卿はエンリケッタに「イギリス議会が貴女を召喚している」と告げ、出頭すれば処刑される彼女は絶望感に襲われます。アルトゥーロはエンリケッタに身分を尋ね、彼女が前国王の妃であとを知り驚きます。王党派のアルトゥーロは死罪になるエンリケッタに同情し、彼女を救出しようと申し出ます、彼女は花嫁のエルヴィラの事を思い彼の申し出を断ります。花嫁衣裳を身に纏ったエルヴィラが浮き浮きした様子で現れ、エンリケッタにヴェールを整えるように頼んで無邪気にヴェールをエンリケッタの頭上に置き、自分を呼ぶ声に応え「私は美しい乙女」と歌いそのを場去ります。アルトゥーロはヴェールをかぶったエンリケッタを自分の花嫁であるかのように見せて彼女と城から脱走しようとします。リッカルドは、アルトゥーロに決闘を申し込みますが、連れの貴婦人が自らヴェールを取るので、女性がエルヴィラではないと知り二人の逃走を黙認します。そこに戻ってきたエルヴィラは、リッカルド達からアルトゥーロの婦人を伴っての逃走を聞き、恋人に捨てられたと誤解して悲しみと絶望から錯乱状態に陥ります。ヴァルトン卿は逃げた二人の追跡を命じます。第一幕では、ヒロインのエルヴィラの家は鳥かごのように見えます。スケルトン策でできているような家で隠れる手所もありません。彼女の心は脆いところがあり、彼女の心は乱れ気が狂いそうになるところをうまく演出で表現していました。彼女は革命と現実の犠牲者であることを浮き出しています。このように物語は深刻で厳しい状態なのですが、音楽はあくまで軽く華やかな雰囲気があり、ヴェルディの演劇的オペラとは違って、観客は感情移入しにくいのではないかと感じました。
第二幕
前奏曲は軽やかな音楽で、ヒロインの夢の世界を描いているようにも、おとぎ話なのかと思うような音楽で幕が開きます。ヒロイン・エルヴィラと叔父のジョルジョの住む家は、バスチーユを連想させる槍のようなスケルトンの建物です。哀れなエルヴィラの部屋から出てきたジョルジョが現れ、彼女が発狂に至った経緯を語り聞かせます。「乙女は愛のために死ぬのだろうか」ジョルジョは悲しみの歌を歌います。書類を持ってリッカルドが登場しアルトゥーロに最高会議が死刑を宣告したと皆に告げます。
ヒロイン・エルヴィラが登場し、狂乱の演技で歌います。気の狂ったエルヴィラは、錯乱状態ながらも恋人との楽しかった日々を回想し、アルトゥーロが帰って来ないのなら死を望むと絶望的な気持ちを吐露します。エルヴィラの狂乱で「優しい声が私を呼んで、さぁいらっしゃい愛しい人よ」と歌う。このエルヴィラの狂乱の場は真に迫っていましたが、音楽が軽やかで明るさがあるため、ドニゼッティの「ルチア」のような凄惨な雰囲気ではなく、何か希望が残っているかのように感じます。その後、エルヴィラは美しいアリアを歌います。狂っているはずの女性に、ロッシーニのような美しいアリアを歌わせる、ベルリー二の演出は秀逸だと思いました。深刻な場面なのに音楽はあくまで軽やかに進み、ヴェルディの重厚な音楽で話が展開するオペラとは一味違った作品に仕上がっています。
ジョルジョはリッカルドに向かって「エルヴィラがこの様になったのは君がアルトゥーロと妃エンリケッタの逃亡を黙認したからだ」と責め、恋敵だったリッカルドにアルトゥーロを助けるように諭します。自業自得だと言い張っていたリッカルドもやがてジョルジョの熱心さに心を動かされ、アルトゥーロへの憎しみを捨てますが、明日の王党派との戦いでは共に戦おうと誓い合います。この場面のバリトンとバスの歌のやり取りや二重唱は迫力がありました。
第三幕
序曲は風雲急を告げるような音楽で幕が開きます。大きなマントに身を包んだアルトゥーロが現れ、前国王の妃エンリケッタを逃がして、一目エルヴィラに会いたいと思って戻って来る。遠くからエルヴィラの声が聞こえる。アルトゥーロはあなたを足いているという美しい愛のアリアを歌います。2階にいるエルヴィラに向かって、アルトゥーロが愛のアリアを精一杯心こめて歌う場面は「ロメオとジュリエット」を思わせ、ふたりの情熱的な再開を演出します。精神錯乱状態のエルヴィラが恋人の姿を求めて庭に出てくる。アルトゥーロは愛の歌を聴いて、エルヴィラは錯乱状態から正気に戻っていく。アルトゥーロが身分を隠していた王妃と逃亡したことを打ち明け許しを請い、エルヴィラはアルトゥーロが今まで通り愛していたことを知る。二人が再会の喜びに愛の歌を謳い上げる。ふたりの力強いアリアは、今までの苦しみを切々と歌い、イタリアオペラらしい情熱的な愛の歌を聞かせます。そこにリッカルド率いる清教徒軍が現れ、アルトゥーロを捕らえて死刑宣告し、エルヴィラは再び錯乱状態に陥る。アルトゥーロがリッカルドとジョルジョの非難を受け処刑されようとするその時角笛が鳴り響き、クロムウェルの使者が現れてジョルジョに書簡を渡す。彼は「ステュワート王家は滅びた」と宣言し、罪人には恩赦が与えられた事を告げる。許されたアルトゥーロとエルヴィラは喜びの中に固く抱きあう。
Opera Verdi is excellent theatrical. Opera of Verdi to pull the story in heavy music. Opera of Bellini, heavy story, but there is a brightness and lightness music. Because some gorgeous aria, such as Rossini, the opera, thanks to the singer and the production excellent, I was able to enjoy from beginning to end.深刻な話が最後はうまくいきすぎとも思われる劇的なハッピーエンドですが、重厚な音楽で物語を引っ張るヴェルディのオペラと異なり、音楽はあくまで軽さと明るさがあり、ロッシーニのような華やかなアリアもあるため、終始楽しめるオペラでした。
バリオペラ座ならではのレベルの高い演出とソプラノのエルヴィラにアグレスタ、テノールのアルトゥーロにコルチャク、恋敵リッカルドにクヴィエチェンと強力な歌手陣が、ソプラノの「狂乱の場」、テノールの「ハイF」など見せ場をしっかり作り、充実した舞台でした。 この作品は私が接した初めてのベッリーニのオペラですが、ロッシーニの軽妙さやヴェルディの緊張感とも一味違った新鮮な魅力を感じました。
(パリオペラ座ライブビューイング、TOHOシネマズ川崎、2014.7.16)
にほんブログ村
懐かしいオペラのアリアが鳴り響いてきました。ありがとうございます^^
マイブログにマリア・カラスとアンナ・モッホの歌声を載せました^^;
ベッリーニの音楽はロッシーニよりも音楽がドラマ展開に効果を与えていると感じましたが、ショパンの影響があることは初めて知りました。貴重な情報ありがとうございました。

