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心に残った旅・芸術とアートとの出会い   

プラドの至宝・ボス『快楽の園』/フランドル絵画とイタリア絵画

プラド美術館   マドリード
Museodel Prado


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 プラド美術館は15世紀以来の歴代のスペイン王家のコレクションを展示する美術館で、スペイン美術はもちろんですが、フランドル、イタリアなどの西欧絵画も充実していました。それは1617世紀、ネーデルラントなどフランドルはスペイン王室の領土で、ルーベンスもハプスブルク家のネーデルラント総督であったスペイン王女イサベルに仕えていたため、スペイン王室はフランドル絵画を多く所有していました。プラド美術館の1階はフランドル絵画、フランス絵画などの傑作が数多く展示されていました。プラド美術館を始めて見に来た人間としてはかなり変わった見方かも知れませんが、私がプラド美術館で最も作品順に紹介していきたいと思います。



PradoMuseum is a museum to showcase the history of Spain royal collection since the15th century. The Prado Museum, we were able to watch the masterpiece ofFlemish and Italian.



エロニムス・ボス『快楽の園』150304

『快楽の園』は初期フランドル派の画家ヒエロニムス・ボスが4050歳(14901510年)の画家としての最盛期に描いた三連祭壇画で、ボスの最大も作品で最も有名な作品でもあります。画集で見ていた時は複雑な寓意に満ち、多少グロテスクな作品と思っていましたが、実際の作品を見ると、色彩が輝くように美しく、たくさんの人物が絶妙に配列されて生き生きとした表現で描かれていて、その造詣感覚、画面構成力と色彩感覚のすばらしさに魅了されました。




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 左翼パネル:キリストの姿をした神がアダムにイヴをあわせる様子が描かれ、明るい色調に穏やかな雰囲気の画面に多種類の動物や植物描かれています。一方単なる平和な世界ではないことを象徴するように、下手前に食肉獣が獲物を銜えて歩き、右後方でライオンが獲物を襲っています。して。中景右端には蛇が巻き付いた木があって、これはアダムとイヴが禁断の木の実を食べる事を予感させます。中央に奇妙な形の塔が立ち、シュルレアリスム絵画のような雰囲気を感じさせます。

 中央パネル:画面の大部分を占めるのは裸体の男女の群像で、現生の快楽、性的快楽を表現しています。前景では、裸体の男女が数人のまとまりを作って配置されています。人々の姿態や行動は多様で、巨大なムール貝から男女と2組の脚が出ているのは性的な象徴のようです。異教の表象と言われるフクロウをかぶって踊っている宗教的な意味があるようで、様々な果実も描かれ快楽の世界を表現しているようです。中景では池で女たちが水浴しており、男たち彼らは馬・牛・豚やユニコーン・グリフォンのような想像上の怪獣に乗って池を囲むような動きに流れが見られます。動物に乗る行為も性的象徴とされています。遠景では、奇妙な形をしたオブジェが配置され、空中には動物や人間がゆったりと飛んでいます。描かれた人間たちは細身で生気を欠きますが、これは意図的にそう描いたのでしょう。巨大な鳥や蝶、数人の黒人が極めて写実的に池を描写されています。



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 右翼パネル:人間たちが悪魔の群れに様々な責め苦を受ける地獄を描いています。責め道具にハープ・手回し琴・笛など楽器で「音楽地獄」と呼ばれます。多様な化け物が登場し、寓意や象徴みられ、怪奇幻想を描くボスの力量が発揮されております。全体に暗色が画面を占めていますが、明色も効果的に配置されて巧みに強い印象的な画面構成になっています。中央部に立つ「樹幹人間」は2本の脚は木の幹でできていて、卵殻の胴の向こうにある顔が写実的で不気味です。心臓を思わせる赤いバグパイプは、周囲を悪魔と人間が楽しげに踊っているようですが、前景と中景では悪魔たちが人間を生前の罪に応じて責め立てています。青い悪魔が人間を飲み込んで排泄しているのは暴食の罪か、悪魔の尻の鏡が向いているのは虚飾の女の罪か、守銭奴は尻から金貨を排泄。巨大な耳がナイフを突き出して人間を切り裂いて進み、背景は戦争場面と火事で建物が激しく燃えていく様子が描かれています。ボスの想像力の豊かさが多種多様な悪魔や妖怪、地獄絵を描いています。

 この作品が書かれた1516世紀はスペインは異端審問制度の最盛期で、ボスも正統派のカトリック教徒でした。本作品の中央パネルは七つの大罪のうちの色欲の描写であり、罪を犯すことを戒める意味があったのではないでしょうか。当時の人々は絵画を純粋に芸術として鑑賞するのではなく、その中に盛り込まれた宗教的・道徳的寓意を読み取っていたと言われるので、この作品も宗教的な啓発的意味で描かれたのかも知れません。中央パネルのテーマは現世の快楽を象徴したものか、ノアの洪水以前の堕落した世界を描いたのか諸説があるようです。


 しかし私たち現代人には何を寓意したかなどはどうでもよく、スペインまで来てプラド美術館で絵画の傑作を観に来たのは、現代人の眼で純粋に芸術として鑑賞するためなのです。その観点でこの作品を見ると、怪奇幻想的・超現実的世界は我々の想像力刺激し、ひとつの絵画にこれだけ多くの人や創造の産物を描きながら、統一した画面を形成している画面構成力は見事であり、グロテスクなものもたくさん描きながら、なお明るく鮮やかな色調が印象的でこの絵を美しいと感じさせる色彩感覚もすばらしいものです。一度観ただけで私が感じたのは、この『快楽の園』はシュルレアリスム絵画の比類なき傑作であり、プラド美術館の名画の中でも至宝中の至宝といえる傑作だと感じました。


 事実、この作品はピーテル・ブリューゲル、アルチンボルド、パオロ・ウッチェロらに影響を与え、ボスと言えば『聖アントニウスの誘惑』や『最後の審判』など類まれな想像力による妖怪・悪魔・怪獣の如き異形のものを描いた怪奇幻想の画家という印象が強かったのですが、20世紀初頭に『快楽の園』が再び脚光を浴び、ギュスターヴ・モロー、ジョルジュ・スーラが共鳴し、シュルレアリスムを先導したジョアン・ミロやサルバドール・ダリ、ルネ・マグリットやマックス・エルンストたちが、ボスが描いた心象イメージは共感し多大な影響を与えました。



HieronymusBosch, The Garden of Earthly Delights, oil on oak panels, Museo del Prado,Madrid.The triptych is painted in oil on oak and is formed from a square middlepanel flanked by two other oak rectangular wings that close over the center asshutters. The outer wings, when folded, show a grisaille painting of the earthduring the biblical narrative of Creation. The three scenes of the innertriptych are probably (but not necessarily) intended to be read chronologicallyfrom left to right. The left panel depicts God presenting Eve to Adam, thecentral panel is a broad panorama of socially engaged nude figures, fantasticalanimals, oversized fruit and hybrid stone formations. The right panel is ahellscape and portrays the torments of damnation.




ファン・デル・ウェイデン『十字架降架』1435年ごろ

 初期フランドル派の画家ロヒール・ファン・デル・ウェイデンが1435年ごろオーク板に油彩で描かれた板絵です。『十字架降架』はファン・デル・ウェイデンが世界的な評価を得ようと意識して描いた大作で、キリストの死を深く嘆き悲しむ人々の、衝撃的ともいえる感情表現と精緻な空間表現が見事です。キリスト磔刑を描いたフランドル絵画の中でもっとも影響力がある作品となったと理解できます。師ロベルト・カンピンの影響によると考えられますが、彫刻のような硬い表質感と、赤、白、青を多用して鮮やかに彩られた色彩豊かな写実的な人物の顔の表現は、大規模彫刻のような印象を祭壇画に与え、絵画作品が彫刻作品に劣らない芸術であることを証明しています。




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 どの福音書にもキリスト埋葬の場面で聖母マリアに関する描写はありませんが、中世にキリスト受難の物語がより精緻化され、この物語の中でキリストの母たるマリアが果たす役割が大きくなっていきました。ファン・デル・ウェイデンの『十字架降架』でも聖母マリアはキリストの右手を自分の手にとり、頬に押し当てて涙を流しながら深い悲しみに浸ろうとしています。中央に描かれた息子であるキリストの遺体と似た姿形で崩れ落ちる弱々しい聖母マリアと、その気絶寸前のマリアを支えようとしている二人の人物の表現、新しい姿形で描かれた人物像で、ファン・デル・ウェイデンは革新的な表現手法で、聖母マリアの重要性とキリストの最後の瞬間にマリアが見せる信仰心を説いています。キリストの魂がその身体を離れたときには聖母マリアも臨死状態だったという見解がありますが、ファン・デル・ウェイデンの『十字架降架』はそれを力強く表現したものです。


 キリストの遺体を抱えている二人の男性はアリマタヤのヨセフとニコデモと考えられています。ヨセフは、キリストの遺体越しに画面左下に置かれているアダムの頭骨を凝視しています。聖母マリアの異父妹クロパの妻マリア、福音記者ヨハネ、聖母マリアのもう一人の異父妹で緑の衣服を着用しているマリア・サロメ、気絶しているかのような聖母マリア、イエス・キリストの遺体、赤い衣服を着用したニコデモ、梯子に足をかけている男はニコデモかアリマタヤのヨセフの年若い召使い、金のローブという絵画中もっとも豪奢な衣装を着用しているアリマタヤのヨセフ、印象的な姿形のマグダラのマリアが一番右に描かれていると解釈されています。アダムの頭骨はキリストの手とマリアを結んだ視線の先にあり、このことがキリストとマリアが人類の新たなアダムとイヴであるということを示唆し、この作品は人類の贖罪と救済を表現した作品という解釈もあります。


 『十字架降架』の複雑な画面の空間構成も特質に値します。画面の奥行きは肩幅程度しかないのに、描かれている人物たちは少なくとも前後五列に配置されています。最前面から、聖母マリア、キリスト、髭を生やしたアリマタヤのヨセフ、十字架、そして梯子に登っている召使いとなります。召使いの握り締めた手から画面前方に飛び出た釘が、空間構成が意図的に目の錯覚に導き、画面に神秘性を持たせています。


 中世に聖母マリア崇敬が高まりを見せ、15世紀初めごろから画家たちが十字架の下に気絶しそうな弱々しい女性としてマリアを描きましたが、ファン・デル・ウェイデンの『十字架降架』はこの種の絵画に最も大きな影響を与えた作品といわれ、16世紀初頭には聖母マリアを繊弱に表現するのはごく当たり前の風潮となりました。


 今まで多くの画家が描いた『十字架降架』を観てきましたが、ファン・デル・ウェイデンの『十字架降架』は、キリストの十字架降架の場面を見てきて描いたようで、描写力が優れているだけでなく、その場の緊迫感が説得力を持って伝わってきて、『十字架降架』の最高傑作ではないかと感じました。



Rogiervan der Weyden acquired wealth and renown around this time, most likely fromthe prestige this work allowed him.[1] It was painted early in his career,shortly after he completed his apprenticeship with Robert Campin and shows theolder painter's influence, most notable in the hard sculpted surfaces,realistic facial features and vivid primary colours, mostly reds, whites andblues. The work was a self-conscious attempt by van der Weyden to create amasterpiece that would establish an international reputation. Van der Weydenpositioned Christ's body in the T-shape of a crossbow to reflect the commissionfrom the Leuven guild of archers for their chapelOnze-Lieve-Vrouw-van-Ginderbuiten





ピーテル・ブリューゲル『死の勝利』 1562年頃

 ネーデルランド絵画の巨匠ピーテル・ブリューゲルの代表的作例のひとつ。全ての者に訪れふみにじる死の圧倒的な存在と人々の儚い抵抗という陰惨なテーマを扱ったこの作品は、当時の社会で強さを増した女性たちに対するブリューゲルの鋭い考察と風刺を示す『悪女フリート』や善徳と悪徳の対決を描いた『叛逆天使の墜落』同時期に描かれたと推測されます。骸骨の姿で表現された「死」の象徴たちは、身分を問わず全ての人々をふみにじり支配しています。左下部では王が「死」の象徴によって生命と金貨が強奪され、下中央から右部分では、「死」の象徴が、人間の生と喜びを象徴する「晩餐」を破壊し強奪や姦淫を犯しながら進軍して行きます。剣を持って必死に抗う人間も、「死」の象徴の大軍の前には虚しい抵抗です。ブリューゲルの独創性で陰惨で絶望的な場面を描写することによって、誰もが逃れられない「死」の圧倒的な存在を示しています。




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 決して見ていて気持ちの良い絵ではありませんし、まして美しいと言える絵ではありませんが、眼に焼き付いて離れないような迫力があります。絵画は芸時であり、見た目がきれいで心地よいものだけが芸術として優れている訳ではないと思います。画面構成がしっかりして絵画としての完成度が高く、見る人に死という現実をこれだけ強烈に認識させ、覚悟を持って生きることを自覚させられました。「死の舞踏」など人間の死を扱った絵画の中では比類のない優れた絵画だと思いました。



TheDescent from the Cross (or Deposition of Christ, or Descent of Christ from theCross) is a panel painting by the Flemish artist Rogier van der Weyden createdc. 1435, now in the Museo del Prado, Madrid. The crucified Christ is loweredfrom the cross, his lifeless body held by Joseph of Arimathea and Nicodemus.
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ディルク・ボウツ『幼児キリストの三連祭壇画』

 オランダ人画家・伝記作家カレル・ヴァン・マンデルが画家としてルーヴェンを中心に活躍しました。『幼児キリストの三連祭壇画』



デューラー『アダムとイヴ』  1507

 天地創造の六日目に、神が自らの姿に似せ、地上の塵から最初の男性「アダム」を創造し、アダムの肋骨から最初の女性「エヴァ」を創造し、神によって創造された最初の男女、ヘブライ語で人間を意味しています。アダムとエヴァが手にしているのは禁断の木の実である「知恵の実」で、旧約聖書ではエヴァの横に描かれる禁断の木に這う蛇の誘惑によってアダムとエヴァが知恵の実を口にし、神の怒りに触楽園を追放されたとされています。




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 デューラーは3年前『アダムとイヴ』の版画を制作したが、この作品男女というより人間美を表現した作品でした。その後ヴェネツィア留学で人体比例の研究で得た男女の違いに合った調和的な様式美の理論の研究をし、その成果とともに、デューラーが独自に築き上げた理想美をこの作品に表現したと思われます。版画は画家の古典的比例研究の頂点を、絵画は画家の創造力と探求心によって生み出した理想的比例研究の頂点を示す作品として、デューラーの重要な作品と言えます。






アンドレア・マンテーニャ

    『聖母の死(聖母被昇天)』1462年頃




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 15世紀を代表する北イタリアルネサンス・バドヴァ派の画家アンドレア・マンテーニャは、遠近法や短縮法を駆使し、独自の画風で強烈なリアリティのある作品を残しました。この作品はイタリア貴族・マントヴァ侯ゴンザーガ家の宮廷画家であったマンテーニャが公爵城の私的礼拝堂用に制作した作品で、11人の使途たちに囲まれた、年老いた聖母の人生最後の瞬間を描いたマンテーニャの代表作のひとつとと言われています。窓の外には公爵邸のあったマントゥヴァの小さな湖とサン・ジョルジョの橋が描かれています。聖母の体と魂はイエスによって天国へ導かれたとされています。イタリア美術の透視画法・遠近法を駆使した厳格な画面構成、硬質な線描、彫刻的な人体把握による重厚な画面に窓から見える風景が微妙に安らぎを加えた見事な作品でした。




フラ・アンジェリコ作『受胎告知)』1426年頃



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 初期イタリアルネサンスの15世紀初頭のフィレンツェを代表する巨匠人・フラ・アンジェリコはミニコ会士で聖なるアンジェリコと呼ばれ、宗教絵画を多く描きました。この祭壇画『受胎告知』は、フィレンツェ近郊のサン・ドメニコ聖堂のために制作されました。中央のパネルには、主イエスの生誕にまつわる逸話「神の大いなる意思により、聖母マリアに神の子イエスを宿した」ことを大天使ガブリエルが告げる場面が描かれています。左側には禁断の知識の実を食べてしまったことにより楽園を追放されるアダムとイヴが描かれており、下部には5つの祭壇画も合わせ、マリアの誕生、受胎告知による生ヨセフとの結婚、聖エリザベスへの訪問、キリストの誕生、キリストの奉献、聖母マリアの死とキリストがその魂を受け継ぐ姿、聖母マリアの生涯が描かれています。フラ・アンジェリコの聖母は、ピュアで素朴で汚れを知らない天使のようです。





ラファエロ・サンティ『魚と聖母』1513-14



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 ラファエロはバチカンで働く傍ら、ナポリのドミニコ会修道院の礼拝堂のためのこの作品を描きました。聖ヒエロニムスとトビアスの旅に付き添った大天使ラファエロが描かれているのは人々を葬る教会の役割に関連します。単純明快に見える構成の中に、三角形と四角形、対角線の複雑な関係が潜み、鮮やかな色彩が美しい作品です。聖母は幼子イエスを抱き、ライオンを伴い枢機卿は彼自身がラテン語に訳した聖書を読んでいます。大天使ラファエロは、盲目の父の目を癒した魚を手にするトビアスを聖母子に引き合わせています。ラファエロ独自の愛すべき美しい作品でした。北方ルネサンスの重厚で厳しい作品を見た後にラファエロの作品を見ると、自然と安らぎを覚えます。





ファエロ・サンティ『聖家族』



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 この作品はフィレンツェに滞在したレオナルド・ダ・ヴィンチの作品に夢中ななり、3年間ダ・ヴィンチの作品を研究していたころの作品と思われます。ラファエロはダ・ヴィンチの技法を吸収し、自らの技法として作品を描こうとしたようです。この作品は、ダ・ヴィンチの影響が顕著に表れている珍しい例で、ダ・ヴィンチのスフマートの技法も見られるように感じました。




ラファエロ・サンティ『聖家族と子羊』 (1507)



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 この作品では、聖母マリアが幼いキリストが子羊にまたがるのを助けています。その背後では、杖にもたれた聖ヨセフが見つめています。キリスト教の象徴主義では、子羊はキリストの情熱を表しています。ラファエロはペルジーノの助手として学び、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロの影響を受けて画風を発展させていきました。




ティツィアーノ 

 『アモールと音楽にくつろぐヴィーナス』1576

 伝統的にアウクスブルグでスペイン国王カール5世のために手がけられたとされる本作に描かれるのはヴィーナスを主題とした作品は、巨匠ジョルジョーネの傑作『眠れるヴィーナス』から始まり、ティツィアーノ随一の代表作『ウルビーノのヴィーナス』と続きました。ティツィアーノの『アモールと音楽にくつろぐヴィーナス』もその代表作のひとつです。



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 この作品では、ヴィーナスであることを示す伝統的な飾りなどは一切描かず、人物の風貌も極度には理想化されていません。男は卑猥な心でヴィーナスをのぞき込んでいるように感じられます。無防備なヴィーナスは、清楚で初々しい清純な顔で物憂げな表情をしているようです。ヴィーナスの肉体の美しさは際立っていて、ずっと見ていると不思議な気分になります。しかし作品全体としては絶妙に美しく、まさにティツィアーノの傑作に出会った感動を禁じ得ませんでした。


 「横たわる天上のヴィーナス像」を主題とした作品、その解釈には様々な説が唱えられ、純粋に官能を追求した快楽的作品だと解釈する研究者も少なくないが、その一方では新プラトン主義に基づく高度な寓意が示されると考え、カール5世と解釈される音楽を奏でるオルガン奏者は、美の女神ヴィーナスとの間の絆を感じつつ、決して交わることなくプラトニックな関係を保っており、「崇高なる天上の愛はプラトニックであり音楽によって愛撫される」に基づいていると考える研究者も多くいます。



Itis one of his masterpieces based on the theme of Venus by Tiziano as a featureof this exhibition of the Prado Museum "Venus relaxing with Amor andmusic".  Although it is possible to interpret this work purely as a pleasurethat pursues sensuality, but also because of the intentional drawing of men andwomen, staggers, fagus, peacocks, and other embracing backgrounds, It seemsappropriate to think that advanced allegory is indicated.

Inother words, the organ player playing music keeps a platonic relationshipwithout never intersecting, while conscious of the bond with Venus of thebeauty goddess who looks at Cupid of love. This is thought to be based on thehumanities literary book "A book of the essence of love" at the time"Sublime heavenly love is platonic and caressed by music". Inaddition, in the Prado museum, there is a collection of the same strain of"Venus to relax for music" which is said to have been drawn shortlyafter this work. In this work, a dog is drawn instead of Cupid which meansEros.




参考文献

国立プラド美術館 「プラド美術館公式ガイドブック」 (2009)

岡部 紘三 「フランドルの美術―カンパンからブリューゲルまで」               かわさき市民アカデミー出版部

高橋 達史、小林典子、西野 嘉章、他「名画への旅」

            北方ルネサンス Ⅰ- 1993 講談社





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by desire_san | 2018-04-14 17:21 | スペイン美術の旅 | Trackback(3) | Comments(11)
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Commented by Ich at 2015-01-15 12:04 x
プラド美術館・・・20代の時訪ねたことがあるのですが、今から半世紀も前でしたのでこちらの『快楽の園』記憶が甦ってこなくとても残念です。一瞬拝見しました時、まさにブリューゲル、そしてモロー、スーラー、ミロ、ダリ、マグリッド、エルンストと心象イメージが共感し多大な影響を与えたことに驚きをもってこのボスの作品を観させていただきました。そしてラファエロも・・・。あー、もう一度行きたいなー、マドリッドへ(^_^;)
Commented by desire_san at 2015-01-15 13:12
Ichさん、コメントありがとうございます。
プラド美術館は、ツアーのガイドさんは殆ど2階のスペイン美術のフロアーに連れて行って、ベラスケスやエルグレコ、ゴヤなどを案内して、1階のフランドル絵画は時間が無くなって案内しないで出て行ってしまうようです。私は一番見たかったのは、日本では絶対見られない、エロニムス・ボス 『快楽の園』 とウェイデン 『十字架降架』 が見たくてプラド美術館に来ましたので、真っ先に『快楽の園』の場所に向かいました。予定外だったのは、同じフロアーに、ラファエロの3作品やフラ・アンジェリコやマンテーニャがあったことで、1階に時間をとりすぎて、2階のスペイン絵画を見るのが駆け足になってしまいました。次回2階のスペイン絵画についてご報告しますが、1階より丁寧に見ていないので、書くのに苦労しています。
Commented by Keiko_Kinoshita at 2015-01-15 13:25 x
こんにちは。
エロニムス・ボス 『快楽の園』 について丁寧にレポートされていて、dezireさんのこの作品に対する感激と感動が伝わった来ます。画集で見るとボス の絵は『快楽の園』を始めあまりすばらしいと思わないのですが。私もプラドに来て『快楽の園』の本物の作品を見て、その色彩感覚と画面構成力のすばらしさに感激しました。画集で見るとボスよりブリューゲルの方が良いと思っていたのですが、意外にブリューゲルのたくさんの人物を描いた作品は、人々の動きがバラバラで、作品全体としてまとまりがない・・それがブリューゲルの狙いかも知れませんが・・野に対して、『快楽の園』は膨大な人物が描かれているのに、画面全体としては見事なまとまりを見せているのに驚きました。この作品こそ、本物を見ないとその魅力が分からない典型的な作品で、美術史上屈指の名画だと思っています。
Commented by Masayuki_Mori at 2015-01-15 13:54 x
プラド美術館に行かれたのですね。プラド美術館といえば、スペイン絵画を見て帰ってくる人が多いのに、1階のフランドル絵画、特にファン・デル・ウェイデンの『十字架降架』に注目するとは、さすが dezireさんですね。『十字架降架』を描いた絵画はたくさんありますが。傑作と言えば、ルーベンスのアントウェルペン大聖堂の『十字架降架』とこのウェイデンの作品が群を抜いた傑作と言われています。ルーベンスの作品はルーベンス特有のダイナミックな画面構成ですばらしい作品だと思いますが、十字架降架の場面を聖母マリアをはじめ周囲の人々の心理描写も含めて臨場感を持って描いているのが大変魅力的でした。ウェイデンの作品が『十字架降架』の最高傑作ではないかというご意見には異論もあると思いますが、私はdezireさんのご意見に一票投じます。
Commented by 智子 at 2015-01-15 14:03 x
こんにちは。
一昨年ツアーでスペインに行きました。プラド美術館はガイドさんについて廻ったので、たくさんの教科書に出ているような有名な絵画などのスペイン絵画とルーベンスの絵画をたくさん見たという記憶しかなく、フランドル絵画とイタリア絵画はあったかなくらいの記憶でした。ツアーのガイドさんの説明もガイドブックに書いてある程度の説明で、その絵画のどこがすばらしいかまでは説明してくれませんね。dezireさんの旅行記を読んで、もう一度ゆっくりプラド美術館にいきたくなりました。
Commented by snowdrop-momo at 2015-01-15 15:15
 プラド美術館はツアー旅行中に訪ねたので、出発前から見たい絵をリストアップしてのぞみました。
 デューラーやウェイデン、ボッス、ブリューゲル、いまも目に焼きついています。とくにウェイデンの涙の表現、哀しみが滴と化してあふれているような…
 それでも、自由旅行ならもっとゆっくり見られたのに、と残念に思います。
 スペイン絵画の記事も楽しみにしています。
Commented by cazorla at 2015-01-15 17:48
はじめまして。
トラックバックされていたので 来てみました。
こんにちは。
死の勝利 右下に楽器を弾いている人がいますよね。
あれが なんともこの絵のポイントなんではないかと
個人的には思ってます。
この絵 ずっと見ていても飽きないですね。
Commented by bernardbuffet at 2015-01-15 20:40
プラド美術館は短い時間、駆け足で見ただけでしたが、じっくりと時間をかけて過ごしたい美術館です。
パテニールとの出会いが印象に残っています。
ここにあるデューラーは見損じていました。
Commented by rollingwest at 2015-01-15 22:25
世界屈指の美の殿堂として知られるプラド美術館は世界の3本指に入るくらいの芸術の宝庫なんでしょうね。いつか行ってみたいです!
Commented by Ruiese at 2015-01-16 12:24 x
一昨年国立西洋美術館で開催されたラファエロ展でプラド美術館から、『聖家族と仔羊』がきていましたね。聖母マリアと父ヨゼフに見守られて、幼児キリストが仔羊にまたがっている絵でした。羊にまたがるということはキリストの将来の受難を意味しているそうです。その時その絵が気に入って、絵葉書を買いました。
Commented by 平石悟 at 2015-01-16 12:40 x
ファン・デル・ウェイデンは初期フランドルを代表する画家ですが、代表的な作品を見る機会は少なく、『十字架降架』 をじっくり見る機会があって良かったですね。
私は彼の代表作『最後の審判 』を偶然。フランスのボーヌにあるオテル・デューのギャラリーで公開しているのに巡り合い見ることができました。高さ2m、幅5mに及ぶ大作で、中央パネルのもっとも高い位置にはキリストが描かれ、その下に天秤を持つ大天使ミカエルが描かれ、左翼の天国へと導かれる人々と、最右翼の地獄へと追いやられる人々が描かれていました。 ミケランジェロの『最後の審判』のように生々しい表現と異なり、金色を背景に色彩豊かな非常に美しい作品でした。