ダンテの『神曲』 ”地獄篇” “煉獄篇” “天国篇” で構成したオペラ
プッチーニ『三部作』
『外套』『修道女・アンジェリカ』『ジァンニ・スキッキ』
Giacomo Puccini. “Il tabarro”“SuorAngelica”“Gianni Schicchi”

ジャコモ・プッチーニは、『蝶々夫人』の完成後、それまでの抒情的悲劇ドラマの世界から脱して、新しいオペラに踏み出そうと考えていました。当初は、20世紀初頭のセーヌ河の人夫たちの薄汚い生活を描き、殺人が行われるという異常な雰囲気は、プッチーニにとって新オペラへの打開のためには、適切な材料に感じられました。オッフェンバックのオペラ『ホフマン物語』の3部構成もプッチーニにヒントを与えました。
Puccini, after thecompletion of "Madame Butterfly", to be out from the world of lyricaltragedy drama, had been thinking of step forward in the new opera. Trilogyopera "Trilogy" of Puccini is the opera Puccinitried to consist of "Hell" "purgatory Hen" "heavenHen", following "DivineComedy" of Dante, .
三部作というのは、もともと3枚の絵という意味で、宗教絵画の祭壇画のような3幅の連作を楽しむ習慣をオペラにも当てはめようとしました。
『外套』は1916年に完成しました。他の2作の題材はめどが立っていませんでしたが、フォルツァーノという劇作家から『修道女・アンジェリカ』と『ジァンニ・スキッキ』の提供を受けました。プッチーニが『修道女・アンジェリカ』を作曲しているとき、フォルツァーノは3部作の第3部『ジァンニ・スキッキ』の台本を持ってきました。この物語はダンテの『神曲』第30歌からヒントを得たものでした。
『ジァンニ・スキッキ』は好評で迎えられましたが、他の3作は不評でした。プッチーニが最高傑作と自負していた『修道女・アンジェリカ』は特に恐ろしく不評でした。『三部作』の初演はローマのコンスタンツィ劇場で行われ、『ジァンニ・スキッキ』は喝采を受けました。この傾向はロンドンでも同じで、『ジァンニ・スキッキ』が独走を続けて人気を保ちました。
ダンテの『神曲』の地獄篇に相当します。ディリズモ風の陰惨な悲劇です。ディリズモとは、日常的な情景、出来事、人物を生き生きと描いていく手法で、その現実社会をその背後の社会情勢や思想と変わりなく、喜びも悲しみも一つの真実と表現します。音楽は、強烈で直接的な劇的効果を単純明快に狙います。ソロの激しいフレーズをもつ管弦楽は熱狂的な状態を表現します。鋭利な気迫は一瞬にして燃え尽きてしまう傾向もあります。
Il tabarro is an opera in one act by Giacomo Puccini toan Italian libretto by Giuseppe Adami, based on Didier Gold's play Lahouppelande. It is the first of the trio of operas known as Il trittico. Michelewonders aloud if Giorgetta is still faithful to him and ponders who might havechanged her so much. He reviews the list of men who have shared in their livesbut dismisses each of them as improbable. Michele lights his pipe and Luigi,seeing it from afar, thinks that it is Giorgetta's signal. He returns to thebarge and is confronted by Michele. In the ensuing fight, Michele gets theupper hand and forces Luigi to confess his affair before killing him and hidingthe body under his cloak. Giorgetta returns to the barge, feigning remorse, andMichele opens wide the cloak to reveal her dead lover.
ダンテの『神曲』でいえば、煉獄篇ということになります。『修道女・アンジェリカ』の物語は、17世紀の末期ひとりの修道女が罪情熱の結果産み落とした息子の死を知って希望を失い、修道院内で自ら命を絶とうというものでした。登場人物はすべて女性で、男声の力強い表現に欠ける危険はありますが、プッチーニはそれをクリアーしました。『三部作』の中で最も評判が悪かったですが、プッチーニはこの作品に最も自信と愛情を感じていました。
Suor Angelica is an opera in one act by Giacomo Puccini toan original Italian libretto by Giovacchino Forzano. Nunin the 17th century of the end alone is to lose hope to know the death of theson of worm drops a result of sin passion, it was that you Tetractys their ownlife in the monastery.
ダンテの『神曲』では天国篇に相当します。プッチーニ全作品中でも珍しい喜劇です。ワーグナーが『マイスタージンガー』、ヴェルディが『ファルスタッフ』と歴代のオペラの巨匠が奥の深い喜劇を作曲しましたが、プッチーニも60歳になり、『三部作』の第3作に唯一の喜劇を作曲しました。ジァンニは13世紀末フィレンツェに実在した人物と言われています。この痛快な機知と笑いの人間喜劇は、19世紀前半に幕を下ろしたイタリア・オペラブッファのリバイバルともいえ、この種の作品の中で傑作と言われています。
『三部作』のそれぞれの作品は、『外套』はディリズモ風の陰惨な悲劇、『修道女・アンジェリカ』、宗教的・抒情的作品、『ジァンニ・スキッキ』はオペラブッフアの伝統を引く喜劇と特徴づけることができます。情熱と情熱の相まった『外套』宗教的神秘感のある『修道女・アンジェリカ』、生き生きとした人間ドラマ『ジァンニ・スキッキ』、これらが最終的に相補って統一されたドラマ体験をすることができます。プッチーニのオペラの3つの要素とは「甘味な抒情性」「激しい感情表現による劇的緊張」「笑いの役割を果たす人物をどんなドラマにも登場させる喜劇性」だと思います。特に最後の「喜劇性」は、甘みやうまみを効果的に仕上げる香辛料のようなもので、これがプッチーニのオペラの重要な特徴と考えられます。
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また、繰り返しになりますが、物語が分かりやすいメロドラマで、しかも「泣かせる」ことを大いに意識していることも、プッチーニの特徴だといえるでしょう。青春物語(《ラ・ボエーム》)、歴史もの(《トスカ》)、ジャポニスム(《蝶々夫人》)、エキゾチズムとグランド・オペラ(《トゥーランドット》)と、1作1作新しいジャンルに挑戦していったのも、大作曲家たるゆえんです。ただ本質的には、背景が壮大であっても、室内的なメロドラマであることは変わりなく、重厚な大河ドラマを好んだヴェルディとは、対照的な趣味を持っていました。
プッチーニ後まもなく、映画が登場し、オペラは大規模娯楽の地位を追われます。以後のイタリア・オペラは、大衆から遠いところへ行ってしまいますが、その境目に位置し、もっとも大衆に近い場所まで「オペラ」を連れて行ったのが、プッチーニだったのです。