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芸術と自然の美を巡る旅  

ラファエル前派と唯美主義の魅力と美術史に果たした役割

ラファエル前派 英国の夢  リバプール国立美術館品展

The Pre-Raphaelite Brotherhood: British dream


ラファエル前派と唯美主義の魅力と美術史に果たした役割_a0113718_07410074.jpg
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス『デカメロン』

 ロセッティ、ミレイ、ハントらがラファエル前派を結成し活躍した19世紀中頃のリバプールは、工業製品を輸出する英国随一の港町として栄えていました。リバプール国立美術館は、ラファエル前派の傑作を有する美術館として世界的に知られ、今回多数のラファエル前派の傑作を見ることができました。





Liverpool NationalMuseum of Fine Arts has been known worldwide for owning a large number of Raphaelmasterpiece of pre-school.From this time Liverpool National Museum of FineArts, a masterpiece of a large number of Pre-Raphaelite Brotherhood wasgathered in "Bunkamura Museum".


 ロイヤル・アカデミーに代表される当時の正統的美意識は、均整のとれたラファエロ美術を理想美していました。画家たちは、ラファエロ的理想的タイプ、画家を志す者は調和のとれたポーズ、人物配置、構図、色彩などの規則を守らされていました。特に、英国ロイヤル・アカデミーは疑いもせず17世紀イタリアの絵画様式を伝統として受け入れ、ターナー、コンスタブルなど一部の例外はあるが、一般的には通俗的歴史や風俗画が横行し、退嬰的な状態でした。ターナーでさえもコンスタブルが亡くなった後は、晩年のターナーに批判的は批判にさらされ孤立無援の存在でした。


 しかし、ターナーを擁護する美術批評家ジョン・ラスキンは「自然は神の創造物であり、それを忠実に写し取ることこそ芸術の使命である」考えていました。ラスキンの「近代絵画論」に書かれている「芸術は自然を忠実に再現すべきである」という考え方を精神的支柱として、自然をありのままに、正確に描写することを目指しました。


 ジョン・ラスキンの「近代絵画論」に若い画学生が共感し、芸術を型にはめようとするロイヤル・アカデミーの方針に反乱を起こしました。1848年、ロイヤル・アカデミー付属美術学校の学生であったダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・エヴァレット・ミレイによって結成され、後にロセッティの弟ウィリアム・マイケル・ロセッティ、ジェームズ・コリンソン、批評家のフレデリック・ジョージ・スティーヴンス、彫刻家のトーマス・ウールナーも加わり、ラファエロ以前の明瞭ですっきりした、飾らない優雅さに魅せられ、「ラファエル前派」と名乗りました。


Pre-Raphaelitepainters, rebounded to academic to find the format beauty was mere facadeRaffaello as a norm, tried to Tachikaero to Raphael previous rustic initialRenaissance and Flemish art. The Pre-Raphaelite Brotherhood is designedharmonic format paintings of Raphael had considered to be artificial andrepressive. Pre-Raphaelite painter was a model rustic initial Renaissance andFlemish art. They tried to accurately Utsushidaso natural unvarnished.


 反アカデミズムを掲げた美術史上最初のグループは、1809年、ウィーンで6人の学生によって結成された「聖ルカ兄弟団」で、アカデミズムに反発し中世美術へと立ち返ろうとしました。聖ルカ兄弟団の画家たちはその後ローマへと移り住み、「ナザレ派」と呼ばれるようになりました。ナザレ派は、素朴な中世ドイツに対する懐古趣味から生じ、技術一辺倒のアカデミズムを否定して、自然の中に潜む真実の姿を描くことを目指しました。そのためには素朴な生活をして道徳感や良心などを培う必要があると考え、中世の生活をまねて廃墟となった修道院で共同生活を送りました。しかし、ローマで年月を重ねるうちに、ラファエロの影響を受け、形式主義に陥って折衷形式へと移行し、最終的にメンバーの多くがアカデミーの教授となってドイツに帰国し、ドイツ・アカデミズムの礎を築くこととなりました。


 ラファエル前派より以前に形成された反アカデミズム・グループには、他に「古代人たち」あり、このグループは、ウィリアム・ブレイクに傾倒したサミュエル・パーマーを中心とする9人の若者たちが1820年代に結成したものでした。ウィリアム・ブレイクは、18世紀イギリスで活躍した「幻視」を描く鬼才です。「古代人」も中世美術の素朴さへの回帰を目指し、自然を正確に模倣するのではなく、極端な単純化や誇張によって魂の奥底にある原風景を描こうとしました。ナザレ派が中世に憧れていたのに対して、ラファエル前派はアカデミズムが規範とするラファエロという枠を破壊すること自体が最初の目的でした。


 ラファエル前派の画家は、ラファエロを規範として形骸化した形式美を求めるアカデミズムに反発し、ラファエロ以前の素朴な初期ルネサンスやフランドル美術に立ち返ろうとしました。ラファエル前派は、ラファエロの設計された調和的形式的な絵画は人工的で抑圧的であると考えていました。ラファエル前派は、ラファエロ以前の素朴な初期ルネサンスやフランドル美術を模範とし、ありのままの自然を正確に写し出そうとしました。ラスキンの言葉「細部への探究こそが、創造主たる神の叡智、計り知れない創造の神秘を讃えること」と信じているかのようです。


 英国ラファエル前派の特徴は、強調された線描写、旧来の明暗法から解放された明るい色彩です。初期ルネサンスや15世紀の北方美術を一部取り入れていれることが多く、暗の弱い明るい画面、鮮やかな色彩、細密描写などが特色です。特に精密な描写を特徴とするフランドル絵画の影響が大きく、背景となる自然や室内の調度品の細やかな描写は時にはファン・アイク兄弟の『ヘントゲントの祭壇画』を彷彿させます。高度な写実性や明暗対比など表現技巧に凝った多様な色彩描写が多いことも特色です。人物描写の面では、ロマン主義的な感情の支配する瞬間に説得力のある写実描写を特色としていました。


Painting of thefeatures of the Pre-Raphaelite Brotherhood, the highlighted line depiction, isthe bright colors that have been freed from the legacy of chiaroscuro. Pre-Raphaelitepainters were affected by the Flemish art of the early Renaissance and the 15thcentury. Painting of the features of the Pre-Raphaelite Brotherhood, the weakbright screen of the dark, vivid color, is a fine depiction. Features of thePre-Raphaelite Brotherhood is that a variety of color depiction elaboraterepresentation finesse and advanced realism and dark contrast is large. Portraitof the Pre-Raphaelite Brotherhood is a graphic depiction compelling at themoment of the rule of romantic feelings.


 シェイクスピア『ハムレット』」「オフィーリアは、きれいな花輪をつくり、その花の冠を、しだれた枝にかけようとして、まるで人魚のように川面をただよいながら、祈りの歌を口ずさんでいたという。死の迫りくるのも知らぬげに・・・」


 この場面を絵画で表現したミレイの『オフィーリア』では、ハムレットの恋人のオフィーリアが、水草に覆われた小川の一角で野の花を手に、蒼ざめた表情ではかなく散っていく背景に、シェイクスピアの「ハムレット」に書かれている、きんぽうげ、いらくさ、ひな菊などを、くまなく描いている。その精密な描写はむしろ逆に詩的効果をたかめているかのようです。

ジョン・エヴァレット・ミレイ『いにしえの夢─浅瀬を渡るイサンブラス卿』

ラファエル前派と唯美主義の魅力と美術史に果たした役割_a0113718_07450529.jpg ミレイの初期の最も野心的でロマンティックな作品です。頼もしい老騎士が2人の子どもを馬に乗せたかを示したトム・テイラーの詩が添えられていますが、馬が全体の画面構成より大きく描かれています。風景や遠景の女性はフランドル絵画のように精密に描かれ、遠景だけ切り取っても一つの絵になりそうです。他は何の解説はなく観る者の自由な想像に任されています。


ジョン・エヴァレット・ミレイ

ラファエル前派と唯美主義の魅力と美術史に果たした役割_a0113718_07462165.jpg『ブラック・ブランズウィッカーズの兵士』1860年 油彩

 ブラック・ブランズウィッカーズとは、イギリス・オランダの連合軍と同盟を組んでナポレオンと戦ったプロイセンの部隊で、この絵は戦いの前の晩、兵士と恋人の別れの瞬間を描いたものです。戦争のため別れを強いられる恋人たちはミレイの描いた絵の主要でした。壁の鮮やかな緑が女性のドレスと男性の制服姿を効果的に印象付けています。服の質感の表現は極めて美しく、ミレイの絵の技量の高さを強烈に感じます。


ジョン・エヴァレット・ミレイ『春(林檎の花咲く頃)1859年 油彩

ラファエル前派と唯美主義の魅力と美術史に果たした役割_a0113718_07473219.jpg 描かれているのは妻やその妹たちなど身近な人々で、全体の雰囲気は希望と期待に彩られ、それは瑞々しい春の開花と芽吹きによって示されていますが、美しい花を背景に描かれている女性たちの表情は幸福か不幸を暗示しており、はかない存在の不吉な象徴として画面右側に大鎌の刃が絵画かれています。すでに唯美主義の傾向がみられる作品です。


ジョン・エヴァレット・ミレイ『森の中のロザリンド』

 小品ですがすが、女性の肢体は魅惑的です。ミレイは非常にきれいな絵を描く画家で、作品を見ても、どこにアカデミーへの反逆があるのかわかりませんでした。


 フランス絵画の歴史における新古典主義に続くロマン主義と写実主義では、テーマも画風も全く異なるものであったが、ラファエル前派の画家たちの作品は、ロマン主義の躍動感と写実主義の現実性を同居させることによって、日常的なドラマ性を強調しようとしました。

 ラファエル前派アカデミズムが規範とするラファエロという枠を破壊したかったわけで、共通した美学を持っていたわけではありませんでした。そのため、各人がそれぞれの道を歩むようになました。細部の精密な描写とドラマ性が、ラファエル前派の特徴ですが、ハント、ミレイとともに、ラファエル前派の代表的画家である、ダンテ・ガブリエル・ロセッティの作品はかなり趣が異なっています。


ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ『シビラ・パルミフェラ』1865-70年 油彩

ラファエル前派と唯美主義の魅力と美術史に果たした役割_a0113718_07562048.jpg 超越的な「美」の偶像として玉座に座る女性単身像。シビラ・パルミフェラとはヤシを持つ巫女で、ヤシは美の勝利を表します。左に愛を象徴する目隠しされたクピドと薔薇、右に死の運命を暗示するポピーと頭蓋骨と魂の象徴である蝶が描かれています。




 ロセッティもその初期の作品では、聖書、文学等に題材を求めた、背景の正確な描写と画面に展開する心理劇というラファエル前派の特徴を備えていますが、技術的に仲間の他の画家たちのような徹底した精密な描写をロセッティは得意ではなく、しだいに感覚的、耽美的な画風を持つ女性肖像画へと移っていきました。


 1860年以降のロセッティの絵画は、全体の色調を揃え、花や装飾品に満ち溢れた女性半身像で、豊かな髪の流れ、肌の輝き、ゆるやかな衣などが特徴です。描がれている表情は、19世紀末に流行した、「宿命の女」でした。これは、19世紀半ば)のフランス文学の中に描かれたエミール・ゾラの「ナナ」、デュマフィスの「椿姫」のような高級娼婦の影響も大きいと思われます。このような特徴から、ロセッティは世紀末画家の先駆者と言われました。


 ハントやミレイは厳格なリアリズム的性格を持っていますが、ロセッティの絵画は、柔らかで豊潤な色彩感を感じさせ、フランドル絵画というより、ジョルジョーネ、ティッツァーノなどヴェネツィア派絵画からの影響が感じられます。


 ロセッティは16世紀イタリア絵画の技法をもって、19世紀半ばから世紀末の病的な感受性を感じさせる唯美的で背徳的な傾向、非社会的で倦怠感を感じさせる唯美的で背徳的な美を象徴するような絵画を描きました。


 代表作である『プロセルピナ』は、冥界の王プルートにさらわれ、地下世界の住民となることを運命づけられた、伝説上の女性ですが、絵画上の表情は、やはり19世紀的な、「宿命の女」そのものでした。


 こういった、ロセッティの創作姿勢は、当然ハントやミレイと対立し、ミレイはロセッティの作品について「描写力は見事であるが、単なる眼の満足にすぎず、動物的な情熱を芸術の目的としている」と批判しています。


 フレスコ画からの技法的影響から絵の主題として古代の神話、聖書、中世の騎士物語などロマンティックで物語性のある伝説や聖書、神話の物語をテーマに描かれた、キリスト教や文学、歴史上の逸話や出来事を扱いました。主題として中世の伝説や文学のほか、同時代の文学も題材として扱っています。ラファエル前派は古くさい主題から離れることはほとんどできませんでした。しかし、例えばキリスト教的テーマを扱う場合でも、伝統的な構図を無視して新しい構図を採用している場合が多くみられます。


 英国におけるラファエル前派と唯美主義は、その境界があいまいで画家たちも共通して出現します。耽美主義やヴィクトリア朝美術など当時の英国の美術様式を巻き込み、その後の英国芸術に大きな影響を与え、象徴主義の先駆的な役割を果した。


アルバート・ジョゼフ・ムーア『夏の夜』1890年 油彩

ラファエル前派と唯美主義の魅力と美術史に果たした役割_a0113718_08223401.jpg 古代ギリシャ風の衣装を身にまとった女性たち。色や形を巧みに装飾的に組み合わせ、絵画的美と女性美を極限まで追求したムーアの典型的唯美主義の作品です。



ローレンス・アルマ=タデマ『お気に入りの詩人』1888年 油彩

 古代の設定の中で二人の女性が意識的に対比し、一人はパピルス紙の巻物を熱心に読み、もう一人はクッションになまめかしく身を横たえています。半透明の透き通った布地のドレスにより身体の美しさを表現さしています。


エドワード・ジョン・ポインター『テラスにて』1889年 油彩ラファエル前派と唯美主義の魅力と美術史に果たした役割_a0113718_08232724.jpg

 遠景はナポリ湾越しに見えるカプリ島、団扇の上には虫いて、少女が羽根でもてあそんでいます。古代世界の倦怠感に満ちた日常を描いています。


フレデリック・レイトン『ペルセウスとアンドロメダ』1891年 

 ペガサスに乗ったペルセウスはポセイドンへの生贄として岩に繋がれたアンドロメダ姫を救出に来ました。ペルセウスの物語はイングランドの守護聖人聖ジョージの神話の対となり、ヴィクトリア朝の騎士道を象徴と考えられていました。


ウィリアム・ホルマン・ハント『藁を編むイタリア・トスカーナの少女』

 南方系の少女の肩には、彼女の優しさを象徴する鳩が描かれています。青みがかった遠景はイタリア・ルネサンスの作品の典型的な背景の色を真似たものです。


 ラファエル前派が次第に象徴主義への影響を高めていきます。後期ラファエル前派の主導的画家バーン=ジョーンズは野心的で挑戦的な主題を導入し、自由な実験的作品も描いています。彼は象徴主義の潮流を形成し、20世紀イギリス美術の扉を開きました。バーン=ジョーンズは作品の神秘性を高めながら、装飾性にもこだわっていきました。『黄金の階段』では、天上の世界と地上の世界を結びつけようとしたラファエル前派の特徴が表れていますが、曲線を多用して、清純な理想的な世界を描く、ボッティチェリやマンテーニャの影響も見られます。


エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ

スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁』1891年 水彩

 『旧約聖書』の「雅歌」を主題とする3mを超える水彩画の大作。花嫁の両側には純潔の象徴である白ユリが咲き、空中には北風と南風の擬人像が女性の姿で表されています。虚ろな眼差しの花嫁には愛の体験がもたらす喜びと悲しみの情趣が漂っています。


エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ『フラジオレットを吹く天使』

ラファエル前派と唯美主義の魅力と美術史に果たした役割_a0113718_08002502.jpg 天使がまとう衣の赤と青が翼や背景の沈んだ色調と美しく調和し、中世を思わせるテンペラに似た効果が、格別の優雅さと甘美さを色彩に与えています。木管の古楽器が独特の情趣を醸し出しており、初期ルネサンス絵画を彷彿させます。





バーン=ジョーンズ『スポンサ・デ・リバノ』1891 水彩ラファエル前派と唯美主義の魅力と美術史に果たした役割_a0113718_08034665.jpg

 巨大な水彩画で、作品の主題は『旧約聖書』の古代キリスト教の中でもとりわけ詩的で官能的な「雅歌」を主題とする3mを超える水彩画の大作。花嫁の両側には純潔の象徴である白ユリが咲き、空中には北風と南風の擬人像が女性の姿で描かれています。虚ろな眼差しの花嫁には、この画家の作品にしばしば見られ、愛の体験がもたらす喜びと悲しみの情趣が漂っています。


 バーン=ジョーンズが英国で画家として活動を始めたのはフランスでモネが斬新な作風を世に問うた第1回印象派展よりも20年ほど前ですが、バーン=ジョーンズはフランスの新しい動きとは無縁に、物語性豊かな魅力的な画風を展開します。


 一方、バーン=ジョーンズが19世紀英国の装飾芸術運動を主導していたウィリアム・モリスとともに活動し、モリスが経営していたモリス商会で手がけたステンドグラスの1000の主題のうち、バーン=ジョーンズは600以上のデザインを担当し、ピアノの蓋裏に装飾的な図柄を描いていました。


 『眠り姫』の主題を繰り返して描いていましたが、これはモリス商会からの室内装飾用タイルの図案制作の依頼がきっかけだったからだそうです。代表作の一つとなった『眠り姫』は、散りばめられた花や、巧みに描き込まれた布の装飾性と迫真性の象徴です。装飾が美術に果たした価値を示し、デザインとアートの垣根がなくなりつつある現代美術界を暗示しています。


Burne-Jones wasworking with William Morris, which had led the British 19th-century decorativearts movement. Burne-Jones has painted decorative pattern responsible for thedesign of the stained glass in the Morris firm request and to cover the back ofthe piano. In Burne Jones masterpiece "Sleeping Beauty", studdedflowers and, skillfully been incorporated to draw, have a decorative andverisimilitude of cloth. Burne-Jones showed the value that decoration is played


 彼らラファエル前派の活動は、イタリア・ルネサンスの巨匠ラファエロ以前へ戻ろうという意味で、復古主義的な意図が含まれています。後期ルネサンスのマニエリスムがマンネリズムの語源となったように、ラファエロ以降はすべてマンネリ化した模倣という蔑称に使われ、14世紀、15世紀の絵画芸術に対する憧憬は、英国に限らず西洋の画家たちに共通してありました。


ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス『デカメロン』1916年 油彩

 唯美主義の傑作です。ボッカッチョの『デカメロン』の一場面で、美しい庭園で物語に耳を傾ける男女が描かれています。語られているどの物語にグループの男女が浸透していき、女性の反応は様々ですが、それは見る人の推測に委ねられています。


ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス『エコーとナルキッソス』1903年 油彩

ラファエル前派と唯美主義の魅力と美術史に果たした役割_a0113718_08094615.jpg ギリシャ神話の美青年ナルキッソスと彼に恋する「こだま」の妖精エコーの物語。ナルキッソスは泉に映る美しい若者が自分の姿とは知らず魅了されてしまいます。水辺の草花にラファエル前派流の精密な自然描写が見られます。


エレノア・フォーテスク=ブリックデール『乙女エレン』1905年 油彩

ラファエル前派と唯美主義の魅力と美術史に果たした役割_a0113718_08102537.jpg 貞節な乙女エレンは、冷酷な恋人の子どもを身ごもり、彼に召使いのように仕えます。エレンは恋人の言いつけに従い、彼の要求で嘘をつくため、少年に見えるように隠れて美しい髪を切ろうとしています。手前には脱ぎ捨てられたドレスが描かれています。少女の運命の悲しみがミレイを思わせる精密なリアリズム描写により、残酷なまでに見る人に伝わってきます。




 ラファエル前派はアカデミズムが規範とするラファエロという枠を破壊したかったわけで、共通した美学を持っていたわけではありませんでした。そのため、各人がそれぞれの道を歩むようになり、1860年代以降ラファエル前派は解体していきます。テーマや技法、主義主張を克服するといったものにはなりませんでした。社会の矛盾が激しく噴出し始めた19世紀半ばの英国に、ブルジョワジーの「現実逃避」として「徒花」のごとき流派、それがラファエル前派だったという見方もできるかもしれません。


 それは議論の余地があるとしても、ラファエル前派の運動自体は確かに短命に終わってしまいました。しかし、ラファエル前派の視点を人間の内面に向ける傾向をもたらし、後期のロッセッティの耽美的な女性像は象徴主義に、ミレイとハントの細密的写実画はリアリズム絵画に影響を与えました。また、ラファエル前派の芸術全体を改革しようとする志は、ロセッティ、ラスキン、バーン=ジョーンズ、ウィリアム・モリスを経て手工芸の復興をはかる「アーツ・アンド・クラフツ」運動へと発展していきました。

2016.12.28 Bunkamura ザ・ミュージアム)



参考文献

リバプール国立美術館所蔵「英国の夢 ラファエル前派展」総合カタログ

ローランス デ・カール (), 高階 秀爾 (監修)

「ラファエル前派―ヴィクトリア時代の幻視者たち」2001

齋藤貴子() ラファエル前派の世界」東京書籍株 2005



ラファエル前派の画家たちが反発した『アカデミズム絵画』とはなにかに興味のある方は、下記の文字をクリックすると、アカデミズム絵画の詳しい説明にリンクします

美術におけるアカデミズム




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ラファエル前派 Pre-Raphaelite Brotherhood 







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by desire_san | 2016-03-14 06:30 | 美術展 & アート | Comments(32)
Commented by hastamanana21 at 2016-03-01 21:37
こんばんは。
絵を見てこられただけではなく、
いろいろと考えて研究されているのですね。
私は、美術は専門でもないのでよくわかりません。
ただ見て、直感的に感じるかどうか、だけなんです。
一つの展覧会で1点でも心に訴えてくれるものに
出会えあたらうれしいです。
Commented by bernardbuffet at 2016-03-01 22:11
見事な論評ですね。
思わず唸りました。
この短い記事の中で、ここまで深くかつ広範囲な関連を縦横に織りなして破たん無く論を展開する透察にはただただ圧倒されるばかりです。
Commented by desire_san at 2016-03-01 22:14
hastamanana21さん、コメントありがとうございます。
絵は直感的に感じるかどうか?そうなんです。hastamanana21さんのおっしゃる通りです。いくら知識があっても、絵を見る感性がなければ、絵を見て感動することはありませんめ。
ただ。その絵がどこがよいか?ということがわかっていれば、絵を見る感性を高くなります、最近分かってきたことですが、今までわからなかった絵でも少し違った絵の見方を知ると、素晴らしさが分ってくるんですね。どこが素晴らしいか?を理解し、感性を高めるために勉強しています。世の中には絵に限らずすばらしいものがたくさんあり、心に訴えてくる芸術に出会うチャンスは限りなくあると思っています。ある程度知識があれば、楽しみは尽きることがないと信じています。
Commented by desire_san at 2016-03-01 22:19
bernardbuffetさん。私のブログを読んでただいてありがとうございます。ブログを書き始めてから、絵についても少し勉強するようになりましたが、勉強すればするほど、疑問が出てきて、また勉強の繰り返しですね。ラファエル前派の絵は、何が革新的なのか全く分からず、少しでも理解したいと勉強を始めました。やっと皆様にわかりやすく?説明できるようになりました。これを機会によろしくお願いいたします。
Commented by utakatamahoro at 2016-03-02 11:58
こんにちは!コメントをありがとうございました。
アカデミズムは、美術界のある流れの最高峰であったと思いますが、その既定の厳格さゆえに自由を排斥する結果となったと思います。
映画「Mr Turner」にもその当時の美術界のこと、描かれているので、ぜひご覧ください。
その映画によれば、ターナーはラファエル前派に批判的だったようです。
映画の中、コンスタブルはじめ、ラスキンかはたまたサー・ジョン・ソーンズかといった、当時の画家や批評家が出て来るシーンもあって、見所満載です。
Commented by blackfacesheep2 at 2016-03-02 14:54
こんにちは、黒顔羊と申します。
素晴らしい博識に感動いたしました。^^
私も英国のラファエル前派は大好物なんですが、とてもここまで詳しい論評は書けません。
感性の違いなんだろうなあ・・・^^;
それにしても、このラファエル前派展は見ごたえがありましたよね。
私は名古屋市美術館で見ました。↓
http://blackface.exblog.jp/25136247/
Commented by desire_san at 2016-03-02 16:55
utakatamahoroさん、映画映画「Mr Turner」のご紹介ありがとうございます。大変興味のある内容のようですね。
せひ、見て学びたいと思います。ありがとうございました。
Commented by desire_san at 2016-03-02 16:59
黒顔羊さん、コメントありがとうございます。
名古屋市美術館から、東京に巡回してきたのですね、
今回のラファエル前派展は、今までなにく充実していて見ごたえがありましたね。私も、ラファエル前派の絵画についての意識が変わりました。
Commented by tabinotochu at 2016-03-02 20:48
desire_san。拙ブログをご覧いただきありがとうございました。好きだから好き。ラファエル前派には、そう言える画家、作品がたくさんあります。でも作品の好みや感想は人それぞれ。自分の感覚に忠実であることが楽しみだと思います。今回の展覧会では、私はラファエル前派よりも、彼らが遺したものの素晴らしさと、そういうものを生み出した時代の精神を強く感じました。この時期の良い作品が多く見られて、良かったと思っています。
Commented at 2016-03-02 21:14
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by marupuri23 at 2016-03-02 21:23
こんばんは。拙ブログへのコメントありがとうございました。
先日の日曜に、この展覧会へ行ってきたばかりでしたので(会期終了が近かったので…)、力の入った記事を拝読させていただき、改めて展示を振り返ることができました。大変参考になります。

ちょうど、ボッティチェリ展も開催中ですね。ボッティチェリを観た後ですと、ラファエル前派との繋がりを具体的に感じることができたのも良かったです。あえてフレスコ画のような質感を出しているところなど、なるほどと思いました。

また、フランドル絵画の影響が大きいということは初めて知りました。私にとって、フランドル絵画は好きなジャンルですが、あの精緻さにはいつも驚かされます。ラファエロ前派の中ではミレイが好きなのですが、やはり共通する部分があったのだと、自分の中で納得してしまいました。

勉強になりました。また記事を楽しみにしています!
Commented by klavier1022 at 2016-03-02 22:19
こんばんは。はじめまして。
絵画に全くの素人である私の拙い展覧会の感想に、コメントを頂きまして恐縮です。
desire_sanの、非常に専門的で見識の深いブログ記事に、驚きと感銘を受けました。私にはよく分からなかった事なども含め、興味深く読ませて頂きました。また他の記事なども読ませて頂きたいと思います。私の知識の足りなさで、なかなか理解に追いつかないかもしれませんが、これからも色々と参考にさせて頂きたいと思います。ありがとうございました!
ブログにコメントありがとうございました♪

ラファエル前派展、素敵な絵がいっぱいでしたよね。
強調された線描写と、明るい色彩に、
イキイキとしたエネルギーを感じました!!

私は、ウォーターハウスが気になって、
ネットで検索してみたら、他にも素敵な絵がいっぱいで、
ラファエル前派に益々興味を持ちました。
バーン・ジョーンズもいいですね♪

dezireさんの解説、
とても詳しく書かれていて参考になりました。
Commented by desire_san at 2016-03-03 07:47
marupuri23さん、私のブログを読んで頂きありがとうございます。
子指摘のように、ラファエル前派の「ラファエルの前」とは、フィレンツェルネサンスのフラ・アンジェリコやフランドル絵画だつのではないかと思っています。
ボッティチェリ展についても、近日レポートしたいと思います。よろしかったらまた読んでいただけると嬉しいです。
Commented by desire_san at 2016-03-03 07:53
klavier1022さん、私のブログをお役に立てていただけることはうれしい限りです。美術展でも音楽でも、せつかく体験したので、整理して理解しておこうとブログを描いています。海外旅行記ももう2度と行けないし思い、頭に刻み込んで思い出に焼き付けておこうと思って、結構真面目に描いています。お役に立ちそうな議事があれば、私も大変うれしいです。これを機会によろしくお願いいたします。
Commented by desire_san at 2016-03-03 08:01
川村留美子様、私のブログを読んで頂きありがとうございます。
今回のラファエル前派展は、この時代のロイヤル・アカデミーの枠を超えようとした、いろいろな画風の大作が展示されていて、見ごたえがありましたね。ウォーターハウスは唯美主義的な絵画で極めて美しく、バーン・ジョーンズはアール・ヌーボーを彷彿する前衛性があり、絵としては非常に面白いですね。
次回の美術展レポートは、人気のボッティチェリ展を詳しく掘り下げてみたいと思います。ご興味がありましたら、またご訪問頂けれると、大変うれしいです。
Commented by zouchan6 at 2016-03-04 04:05
desire_sanさん
私のブログを読んでいただき、ありがとうございました。
desire_sanさんのブログも、楽しく拝読しました。
ラファエル前派の全体と個々の絵の特徴を書いていただき、とても参考になります。
書かれていることに異論ありませんし、全くその通りと認識しています。
desire_sanさんに詳細を書いていただいているお陰で、私は詳細や全体を書く必要が無く、その意味でも助かっています。
こちらでも触れられている「美術鑑賞の知識と直感のバランス」は、とても難しく奥が深いテーマです。直感だけでも不十分ですし、知識だけでも惹きつけられません。直感も大事にしつつ、自分の直感をより共感してもらう(=説得力を裏付ける)ために知識を付けることは大切です。また、直感でぴんと来なかった作品でも「この作品に感銘を受ける人もいるはず。何より画家の意図があるはず」と信じ前向き・冷静に分析することも大切です。
そう考えています。
これからもお邪魔させていただきます。ご投稿を楽しみにしています。
今後もよろしくお願いします。
Commented by kanakei22 at 2016-03-04 06:51
こんにちは。コメントありがとうございました。
私は、駅に貼ってあったポスターの「デカメロン」に惹かれて出かけたわけですが、思った以上に私の好みでした。こちらのブログの解説で、今また作品を味わっています。
Commented by desire_san at 2016-03-04 07:28
zouchan6さん、コメントありがとうございます。
「美術鑑賞の知識と直感のバランス」についてのコメント、私も共感致します。最終的に優れた絵画を鑑賞する目的は、その美しさや自意識に感動し生きていることに喜びを感ずることと思っております。そのためには感性を磨き鍛えることが必要ですが、ある程度知識がないと良さに気かつかなかったり分らないことが多いですね。他の方に共感してもらおうと説明を試みると、ご指摘の通り信じ前向きで冷静な分析が必要なことができて、その行為が自らの感性を磨く力になりますね。私はアートでも音楽演奏でも、批判はできるだけ書かないようにしています。芸術家に対する敬意が芸術を鑑賞するエチケットだと思っているからです。zouchan6さんと同じようなことを描いてしまいましたね。これを機会によろしくお願いいたします。
Commented by desire_san at 2016-03-04 07:33
kanakei22さん、私のブログを読んでいただいてありがとうございます。私も以前英国のテートギャラリー所蔵のラファエル前派展に一度行っているので今回はパスしようと思いましたが、行ってみたら思っていた以上に美しい大作が多く、ラファエル前派に対する理解が深まったように感じました。
Commented by newkadode at 2016-03-04 12:38
リリー@gooブログ「ことば百選」
こんにちは。

 私も2015年の10月に名古屋市美術館で「ラファエル前派展」を観ました。
 さて、dezireさんのジョン・ラスキンの「近代絵画論」から端を発し、反アカデミズムの台頭、ラファエル前派結成、1860年代以降ラファエル前派の解体までをそれぞれの絵画と画家たちを紹介しながらの論考は白眉きわまります。
 また「社会の矛盾が激しく噴出し始めた19世紀半ばの英国に、ブルジョワジーの「現実逃避」として「徒花」のごとき流派、それがラファエル前派だったという見方もできるかもしれません」という時代背景をからめた論は、頷けます。
 ロセッティの唯美的で背徳的な絵画、特にファムファタル「宿命の女」と、ハントやミレイのそれとは、同じ「ラファエル前派」と言っても異質です。ミレイがロセッティの作品について「描写力は見事であるが、単なる眼の満足にすぎず、動物的な情熱を芸術の目的としている」と批判しているのも当然の事。 すなわち、ラファエル前派と唯美主義は、その境界があいまいで、画家たちにもそれが言えていますね。
 名古屋美術館のラファエル前派展のポスターはエドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ『フラジオレットを吹く天使』でした。
 お見事な論考と整った解説にラファエル前派の輪郭がすっきりと胃の腑に落ちました。
 美しい絵のご紹介と文に畏敬の念をおぼえました。ありがとうございます。


Commented by desire_san at 2016-03-04 16:14
newkadodeさん、ご丁寧なコメントありがとうございました。
お書きになっておられ値ように、ラファエル前派といっても、
ミレイとロセッティとバーン=ジョーンズでは全く美に対する美意識が全く異なり、共通する志は、「社会の矛盾が激しく噴出し始めた19世紀半ばの英国の権威に対する反発という点だけのような気もします。しかし、今の日本のように、経済中心の政策に対して、マスコミも含め何も大きな反発が広がらず、一部の人たちの利益のために邁進していることに対して、反対運動が盛り上がらないのと比べると、英国でラファエル前派のような運動が盛り上がったのは健全な姿で、後の世代により大きな変革の芽を残したという意味で、大きな意味があったように思いました。
Commented by みっきー at 2016-03-05 23:32 x
コメントくださってありがとうございます。
拝読させていただきました。丁寧な内容で読んでいますと個々の作品や会場の雰囲気が思いだされました。今年はボッティチェリ、カラヴァッジョ、クラナーハやベネチア・ルネサンスと続きますね。どれかご覧になった時の記事も期待しております。
Commented by snowdrop-momo at 2016-03-06 06:20
おはようございます。モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動につながるラファエロ前派の世界を堪能させて頂きました。フラ・アンジェリコを思わせる奏楽天使や、ウェジウッドのカップの絵柄のようなギリシア風人物など、楽しく拝見しました。いつもながら総合的な解説もとても勉強になりました。

京都では、かつて柳宗悦の民芸運動から染織作家として出発した志村ふくみの展覧会が開かれています。desireさんのおかげで日本の東西の展覧会で、洋の東西の美の世界を往来できました。
Commented by knockeye at 2016-03-06 08:41 x
先日はご来訪いただきありがとうございました。
風邪で伏せっておりましたため、返事が遅くなりました。
面白くてためになる、丁寧な文章で、気持ちよく拝読いたしました。
ラファエル前派の画家では、個人的には、バーン・ジョーンズとミレイが好きで、ロセッティに関しては「下手だな、こいつ」くらいだったのですが、
何回か展覧会で見るうちに、やっぱ、ラファエル前派はロセッティなんだなと思うようになりました。
文章を読んでいて、以前、ウイリアム・モリスとバーン・ジョーンズの展覧会にも行ったことを思い出しました。記事にもあるステンドグラスです。
モリスとロセッティは、一時期、ルームシェアしていたそうです。
ラファエル前派が反アカデミズムだからこそ、アーツ・アンド・クラフツへとアートを脱構築していったんだなと今更ながら気付きました。
Commented by desire_san at 2016-03-06 08:47
みっきーさん、私のブログを読んでいただき、ありがとうございました。
ボッティチェリは近日中にアップします。カラヴァッジョは来週行ってみたいと思っています。クラナーハやベネチア・ルネサンスは珍しいですね。他に、ルノワール展、ゴッホ展もあり、今年は忙しいですね。
Commented by desire_san at 2016-03-06 08:55
snowdrop-momoさん、コメントありがとうございます。
バーン=ジョーンズがモリスのアーツ・アンド・クラフツ運動とつながっていることは、この美術展で初めて知りました。人生、まだ知らないこと、知りたいことが山ほどあり、日々勉強の毎日です。
snowdrop-momoさんの美術と写真和歌と英語の絶妙なコンビネーションも素晴らしいですね。
Commented by desire_san at 2016-03-06 09:34
knockeye さん、ご丁寧なコメントありがとうございます。
私もこの美樹展では、バーン・ジョーンズとミレイが一番好きな画家です。全く異質なところもいですね。ロセッティは個性的な絵を描くので、ラファエル前派の看板的存在ですね、
モリスとロセッティが一時期ルームシェアしてい田という話は初めて知りました。毎日美術談義や議論をして生活していたのではないかと想像すると楽しくなりますね。
Commented by sustena at 2016-03-07 00:00
あらためてブログを拝見し、ラファエル前派の特長が実にクリアに頭にすっとしみわたるように感じました。ジョン・エヴァレット・ミレイの『いにしえの夢─浅瀬を渡るイサンブラス卿』は、展示の解説では馬が大きすぎてバランスが悪く苦労したという意味のことが書いてありましたか、このほうがいいなぁと思ったことなどが思い起こされましたし、『乙女エレン』の表情が眼前に浮かんでくるよう!ありがとうございます。
Commented by desire_san at 2016-03-07 19:06
sustenaさん、コメントありがとうございます。
ミレイは非常に絵の技量が高い画家だと思っていますが、『いにしえの夢─浅瀬を渡るイサンブラス卿』は、知の作品、『オフェーリア』『春(林檎の花咲く頃)』『ブラック・ブランズウィッカーズの兵士』などと比べると、尼が大きすぎることもありますが、ミレイにしてはあまり上手ではないなあ~と感じました。
Commented by cobu-cha at 2016-03-07 19:10 x
先日はブログへのコメントありがとうございました。
desireさんの分かり易い解説、改めて勉強になりました。

『春(林檎の花咲く頃)』の大釜の刃の存在感は生と死が隣り合わせになっている様で、興味深いですね。

ラファエル前派の人物画は表情があいまいな物が多く、見る人の主観が入り易い気がします。何度か同じ絵を観ていますが、見るたびに印象が違って見えるのも面白い所だと思っています。

来月NYへ美術館巡りに出かけます。近代、現代アートにもご興味があれば???またブログの方にも遊びにいらして下さい(^^)
Commented by desire_san at 2016-03-07 21:12
> cobu-chaさん 私のブログを読んでいただきたいありがとうございます。
ラファエル前派の人物画は表情が複雑なのは確かに気になりますね。

NYへ美術館巡り、羨ましい限りです。近代、現代アートももちろん興味があり、アメリカの画家では、特にポロックが好きで、ポロック展があったときレブューを書いてみました。
http://desireart.exblog.jp/15205457/
NYへ美術館巡りのブログ楽しみにしています。美術館巡りの旅行記が始まりましたら、トラックバックするなど、何らかの形で教えてください。よろしくお願いいたします。

by desire_san