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心に残った旅・芸術とアートとの出会い   

シェイクスピアに、プロコフィエフの音楽、マクミランの演出が融合した総合芸術

バレエ『ロメオとジュリエット』
BalletRomeo andJuliet

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 バレエ『ロメオとジュリエット』は、イギリスの文豪シェイクスピアの純愛の悲劇『ロミオとジュリエット』に、ロシアの作曲家・プロコフィエフがバレエ音楽を作曲して作られた、古典バレエの傑作です。物語は誰もが知っているように、敵対する家に生まれたふたりが恋に落ち、死によって思いを遂げるという4日間のラブストーリーです。





"Romeoand Juliet" is a masterpiece of pure love tragedy of great writerShakespeare of the United Kingdom. Russia Great composer Sergei Prokofiev hascomposed the excellent ballet music for this "Romeo and Juliet". Maestro· Kenneth MacMillan gave a best choreography to the music of Prokofiev, In thisway, the masterpiece of the ballet "Romeo and Juliet" was born.


a0113718_09173678.jpg 私が『ロメオとジュリエット』を鑑賞したのはこれが3回目でした。1回目は初主役の舞台から観客の老いも若きも総泣きしたという伝説的なアリーナ・コジョカルのジュリエットで、その芸術性の高い至福の時間に魅了されました。2回目がこれも英国・ロイヤル・バレエ団のリアン・ベンジャミンのジュリエットで、あどけない少女から、恥らう乙女、恋する大人の女、強い意志を秘めた女性へとジュリエットが変貌していく様子を踊りで巧みに表現していました。そして3回目。初めて新国立バレエ団の看板バレリーナのひとりである日本人・米沢唯さんの舞台を鑑賞しました。


 シェイクスピアの魅力は、言葉と情景が絡み合い、映し出す音楽や絵画に似ている面があり、狂気の底で垣間見せる理性、物語を超越した言葉、異なった価値感を映し出す多面性、不可解かつ意味深なセリフが作品全体に深みを与え、人の心や生と死に対する人間の普遍的」な心理を描いています。そこがシェイクスピア作品をオペラ化、バレエ化する難しさでもあります。


 プロコフィエフ作曲による初演は、振付師のラブロフスキーの協力で、52曲からなる壮大なバレエ音楽が出来上がりました。ボリショイ・バレエのラブロフスキー版『ロメオとジュリエット』の英国公演を観た当時のバレエ演出界の巨匠マクミランは35歳の時プロコフィエフの音楽に魅了され、この振付の重要なインスピレーションを得ました。今回上演反れたマクミラン版は、マクミランが英国ロイヤル・バレエ団のために演出したもので現代上演される代表的なものです。マクミラン版『ロメオとジュリエット』は超絶技巧が随所に盛り込まれた、難易度の高い作品となり、軸やステップが崩れるか崩れないかの絶妙なバランスの中に、様々なテクニックが散りばめられていますが、誰にも止められない熱い想い・情熱・青春の1ページが、巧みに表現された振り付けにより、芸術性の高い作品に仕上がっています。



前奏曲

 若い二人の愛を凝縮した詩情豊かな前奏曲。「愛」、「優しいジュリエット」、「雄々しいロメオ」の順に提示される三つの主要が演奏されます。


第1幕

 舞台は14世紀ネッサンス時代のイタリアの都市ヴェローナです。 この都では、名門モンタギュー家とキャピュレット家の間では、長年に血で血を洗う抗争が続いています。


第1場

a0113718_09223812.jpg ファゴットのソロの平穏なヴェローナの夜明けが描かれ、街に人々が集まります。コール・ド・バレエによる群舞の見せ場。「朝の街が、ヴェローナの朝の広場の活気を表し、人々は力強い音楽と、小唄風の音楽で踊ります。 そこで、キャピュレット家の息子・ティボルトと、モンタギュー家のロメオと友達の間に喧嘩が始まります。クレッシェンドして威嚇するようなトゥッティの不協和音に達する2回の大波のような音楽で、キャピュレット卿、モンタギュー卿まで乱闘に加わり、街頭での両家の小競り合いは死者が出るほどの騒乱になりかかったとき、ヴェローナの大公エスカラスが警鐘と共に現れ、「今後、平和を乱す者は死刑に処す」と宣言すします。この場面で、プロコフィエフは不協和音を絶壁的に断ち切った後、ロ短調の和音が身をすくませたように残る絶妙なオーケストレーションを施しており、この領主の描き方は威圧感を感じさせます。弦による騎士たちの踊り」とホルンが居丈高に咆哮する「決闘」の間に、フルートによる楚々とした「ジュリエットの踊り」が絶妙な対比をみせます。


a0113718_09234421.jpg ジュリエットが舞台に登場、十代前半の娘らしく活発に飛び跳ねる様子を表現する「少女ジュリエット」音楽に乗っても米沢唯さんは、12歳の子供という設定らしく、乳母と戯れる姿は可愛らしい子供らしさを発散させはじけたような踊りをみせます。そこにキャピュレット卿夫妻が現れ、ジュリエットに求婚していた裕福な貴族パリスを紹介します。


第3場

 キャピュレット家の舞踏会に招待客が到着します。ロメオ、マキューシォ、ベンヴぉーリオは仮面をつけて返送し、舞踏会に紛れ込みます。



第4場

 ジュリエットは12歳ですが、当時は早婚で、原作では母キャピュレット夫人がジュリエットに「私がお前の年頃には、お前という子を生んでおりました」という台詞があり、パリスとの婚姻を勧めるため、年頃だからと舞踏会に招待されています。

a0113718_09254196.jpg キャピュレット家の仮装舞踏会に招かれた客人達の踊り。入場の音楽を思わせる冒頭のメヌエット主題がロンド主題的に客人達の踊りが群舞として繰り返されます。この場面では、支配的な重厚で威圧的な旋律は、騎士と貴婦人たちの舞踏の音楽が印象的です、それぞれ性格の異なったソロ・ダンサーの踊るクープも次々登場し賑わいに華を添えます。 ロメオ、マキューシオ、ベンヴォーリオの親友3人組は、仮面を付けて敵方の屋敷の舞踏会に客として紛れ込んでいます。陽気で冗談好きなマキューシオは、『真夏の夜の夢』〉の妖精パックに似ていて、シェイクスピアの台詞もあることから、プロコフィエフはそれを意識した音楽で表現しています。極めて美しく感傷的な旋律の音楽に乗って、ジュリエットは両親が結婚を勧める青年パリスと踊ります。


 ジュリエット出会ったロメオは一目惚れし、巡礼と名乗って近づいて接吻を交わします。乳母の言葉からキャピュレットの娘だとロメオは知りますがが、恋の炎を消すことはできません。ジュリエットも恋に落ちのすが、乳母からモンタギューの息子と聞かされて愕然します。


a0113718_09264101.jpg イタリア発祥のポリフォニックな声楽曲・マドリガルその後の「セレナード」による「愛の歌」、音楽は「ロメオへの想い」で始まり、「優しいジュリエット」とその変奏、更に「愛の目覚め」と続き、ジュリエットに芽生えた恋心を繊細に描き、傑出したプロコフィエフ流ロマンティシズムが音楽で表現されます。米沢唯さんもの踊りと表情で、少女のようなジュリエットが恋に落ちることで大人の女性へと成長していく姿を感じさせます。


第5場

 タイボルトはロメオに気づき、客たちが帰る中、タイボルトはロメオの後を追おうとしますが、キャピュレット卿にたしなめられます。


第6場

 ロメオとジュリエット』の中でも最も有名な「ルコニーのシーン」の場面です。月の出ている夜、眠れないジュリエットは、バルコニーに一人出てロメオのことを考えています。バルコニーでシェイクスピアの戯曲では、ロメオが屋敷に忍びこんできているのも知らず、ジュリエットの有名セリフが独白されます、「ロミオ様、ロミオ様、なぜあなたはロミオ様なのでしょう」。恋に落ちた相手が仇敵モンタギュー家の一人息子だと知ったジュリエットの嘆きの言葉です。「だけど、名前がいったい何だと言うの?皆がバラと呼んでいるあの花だって、違う名前で呼んだとしても、その香りは変わることはないはず」家名がモンタギューでなくとも、自分が思いを寄せるロミオであることには違いないとジュリエットは訴えています。キャピュレット家の舞踏会で若い二人が出会い、仇敵同士とは知らずに恋に落ち、それが分かった時のジュリエットの悲しみが次のセリフでよく表現されています。「ただ一つの私の恋愛が、ただ一つの憎しみから生まれるなんて。あまりのも早く出会ってしまい、知ってしまったときには手遅れだった。」


 胸の鼓動を暗示する伴奏に乗った「ロメオへの呼びかけ」に始まり、駒の近くをこする弦の不気味なスル・ポンティチェロが、忍んできたロメオを表します。ジュリエットの独白を聴いてロメオが姿を現します。


a0113718_09311216.jpg プロコフィエフの音楽の『バルコニーの場面』では、問いかけたジュリエットは、声でロメオだと確信。音楽は、完全に恋人達だけの世界となり、一気にスケールが拡大する。熱い恋心がほとばしるような甘美で情熱的な音楽の道被せかれて、バルコニーのパ・ド・ドゥでの恋人達の瑞々しく心がとろけてしまうような美しさです。ロメオがハイスピードの回転やジャンプを情熱的に繰り広げ、ジュリエットに想いをぶつけます。そこに嬉々としてからんでいくジュリエットの軽快なステップはまさに恋に浮足立つ乙女の胸がきゅっと締め付けられるよう心情。高揚するふたりの気持ちを表現したアクロバティックなリフトがふんだんに盛り込まれています。もう誰にも止められない熱い想い、青春の情熱を巧みに表現された振り付けはまさに芸術的です。「愛の目覚め」から、より雄大で確信に満ちた「愛の抱擁」へと続いて頂点が築かれた後、愛を受け止めたロメオの雄々しさを表し、再現部を経て消えるように結ばれます。相愛を確かめあった二人が、式を挙げようと誓います。


第2幕

第1場

 町の広場、ロメオはジュリエットと結婚することを夢見て、それで頭がいっぱいです。ジュリエットの乳母が、ジュリエットの手紙をロメオに渡すために、人ごみをかき分けてやってきます。手紙には、ジュリエットがロメオの妻となることへの同意が書かれてありました。


第2場

a0113718_09334115.jpg モンタギュー家とキャピュレット家の争いが終わることを願うロレンス神父により、ロメオとジュリエットは密かに結婚します。







第3場

 街頭でキャピュレット婦人の甥ティボルトの挑発にのって争いとなり、親友マキューシオがティボルトに殺されてしまいます。親友を殺されたロミオは逆上し、ティボルトを自らの手で殺してしまいます。ヴェローナの大公エスカラスにより、ロミオはヴェローナから追放されることになります。


第3幕

第1場

a0113718_09365279.jpg ロメオが街から追放される日の朝、家の者が来る前にロメオは出ていかなければなりません。ジュリエットの寝室で、夜の静寂のなかでロメオとジュリエットが愛を確かめ合い、ロメオが旅立つ場面の音楽で始まる。この短い時間での「寝室のパ・ド・ドゥ」は「バルコニーの場面」と同じ曲と振付がベースになっています。しかし、バルコニーのシーンではあんなにも力強く希望に溢れていた二人の未来が、重くのしかかるような音楽と身体の表現により、強い絶望感を描かれています。


 ロメオが立ちサメと同時に、ジュリエットの両親がパリスを連れて入ってきます。ジュリエットはパリスとの結婚を拒絶し、傷ついたパリスも去っていきます。ジュリエットの両親は激怒し、ジュリエットはロレンス神父のところに急ぎます。


第2場

 ジュリエットはロレンス神父の足元に泣き崩れ助けを求めます。神父は42時間、仮死状態に陥る薬を飲ませ、葬儀が行われ、遺体は納骨堂に安置された後、目覚めた頃にロメオが納骨堂に入り、二人してヴェローナを去るという策をジュリエット授け、薬をジュリエットに与えます。


第3

 その晩、ジュリエットはパリスとの婚約を受け入れますが、翌朝パリスを伴って両親が訪れると、生気の全くないジュリエットがベットに横たわっています。


第3場

 胸の鼓動を暗示する弦の刻みの再現に乗った「花嫁の含羞」の静かな描写に続いて、低弦を中心としたロメオを表す音楽となります。ホルンがロメオの決意を力強く示し、クラリネットのソロが応えるが繰り返された後ヴィオラのソロからサックスで繰り返される「愛の抱擁」主題変奏に他ならない。


 合奏奏の長大なクライマックスはホルンが「出発の決意」でロメオの雄々しさをヒロイックに表現。最後は「愛」で締められます。フルートの低音による長大なコーダの中心主題を「仮死の暗示」として、後にロレンスの策で薬を飲むことが、結果的に死に繋がることを「死」が予告させます。ロレンス神父の策を伝える手紙が追放されていたロミオにうまく伝わりませんでした。ロメオは「ジュリエット死す」の伝聞を聞いて納骨堂に忍び込み遺骸として横たわるジュリエットの姿に愕然とします。


 曲は「死」を変奏的に繰り返す悲痛な哀歌。打楽器の強奏を伴う最後のクライマックスで、ジュリエットが死んだと思ったロミオは、絶望のあまり彼女の墓で毒を飲んで死を選びます。静かなコーダで「ロメオへの呼びかけ」の背景で第2ヴァイオリンがリズミックな「ジュリエットの幻影」が奏されます。生への憧れなのか、死の刹那にロメオの脳裏を過る生き生きとしたジュリエットの姿を描いたのかもしれません。次第に意識のもどるジュリエットの脳裏にも浮かびます。この曲はジュリエットの死を暗示するコーダが加えられています。



 仮死状態から目覚めたジュリエットは、服毒自殺したロメオの遺骸を目にして絶望し、自ら短剣で命を絶ってロメオの後を追います。曲は、全てが終った後の情景、「ジュリエットの死」を導入として「悲劇と浄化」が二人の死を悼む。クラリネットによる⑯「愛の抱擁」の短かな回想を経て、「恋への憧れと不安」を変容させた息の長い主題をオーボエが奏してしめやかに閉じられる。


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 バレエ「ロメオとジュリエット」の最大の魅力は、プロコフィエフのドラマティクでは起伏のある、躍動感のある音楽です。プロコフィエフの音楽はマクミランのこの振付の重要なインスピレーション源で、音楽も雄弁にこの物語の悲劇性を描きます。格闘シーンの躍動感あふれる音楽、両家の対立と悲劇を印象づける重厚な音楽が、マクミランによる演劇的振付と絶妙に連動して物語を奥深く描き出します。ジュリエットが悲劇へと突き進むことになる一大決心をする直前の場面の音楽は、マクミランの振付との相乗効果により、演劇的な表現の奥深さを引き出しています。


 ケネス・マクミラン版『ロメオとジュリエット』は超絶技巧が随所に盛り込まれた、難易度の高い作品です。、軸やステップが崩れるか崩れないかの絶妙なバランスの中に、様々なテクニックが散りばめられていいます。「バルコニーのパ・ド・ドゥ」ではロメオがハイスピードの回転やジャンプを情熱的に繰り広げ、ジュリエットに想いのたけをぶつける。そこに嬉々としてからんでいくジュリエットの軽快なステップはまさに恋に浮足立ち、胸が締め付けられ乙女の心情。高揚するふたりの気持ちそのままに、アクロバティックなリフトがふんだんに盛り込まれています。熱い想い、青春の情熱を巧みに表現した振り付けられています。


a0113718_09532124.jpg マクミラン振付ではジュリエットの性格ジュリエットの性格も明確に表現しています。ロメオとのパ・ド・ドゥではジュリエットは自然で情熱的であるのに対し、パリスとのパ・ド・ドゥでは、無関心から確固たる拒絶に変化していきます。ロメオと出会う前とロメオと結婚式を挙げた後のパリスとのパ・ド・ドゥにも彼女の全く違った心理状態が明確に表現しています。



 ロメオとジュリエットのパ・ド・ドゥも、最初の出会い、バルコニーシーン、仮死状態の墓廟でで、2人のほとばしるような喜び、幸福感、絶望の感情が身体を通して演じ分けるように振り付けられていて、バレエの多様で深味のある表現により、言葉の代わりに音楽と振り付けで、シェイクスピアの戯曲の芸術性を彷彿させる作品に仕上がっているように感じました。


 今回ジュリエットを演じた米沢唯さんは、高度のテクニックと流れるような滑らかの動きに加え、少女のであったジュリエットが、恋をすることで大人の女性へと成長姿を見事に演じ、ジュリエットとして自然に湧き上がってくる感情を伸び伸びと開放的に楽しん観ながら演じているように感じました。想像力によりジュリエットの感情を自らの心の動きに転嫁して放出し、自由に生き生きと舞っている姿は、今まで何度か見てきた米沢唯さんの舞台でも群を抜いて最高の舞台だったと思います。


 ロメオ役である英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル、ワディム・ムンタギロフさんによるところも大きいと思いました。相手役がムンタギロフさんだからこそ、思いっきり舞い飛んでも余裕をもって受け止め、ジュリエットの踊りの流れをより美しくつなぎ、アクロバティクな踊りの場面でも、彼の腕に支えられながら思いのままに情動を乗せて、思いっきり自由に踊る喜びを感じながら演ずることができたのだと思います。


 今回の『ロメオとジュリエット』は新国立劇場バレエ団が日本人キャスト主体で上演するようになってから今まで見た舞台で、最高レベルの感動を心に残してくれました。

2016.10.30 新国立劇場・オペラパレス









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by desire_san | 2016-11-03 20:24 | バレエ・演劇 | Trackback(1)
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タイトル : シェイクスピアの純愛悲劇を原作とする傑作バレエ
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