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心に残った旅・芸術とアートとの出会い   

ヴェネツィアの小さな紘広場とアパートでを舞台とした庶民のアンサンブル

E.ヴォルフ=フェッラーリ『イル・カンピエッロ』

Ermanno Wolf-Ferrari Il campiello


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 イル・カンピエッロ(小さな紘広場)」は 1756年のヴェネチア・カーニバルのために、偉大なヴェネツィアの劇作家カルロ・ゴルドーニによって書かれたコメディの台本に基づいた、エルマンノ・ウルフ・フェラーリの3つのオペラのオペラです。この作品は、モーツァルトとヴェルディの最後のオペラ「ファルスタッフ」の影響を受けたアンサンブル・オペラです。上演される機会の少ないこの作品が新国立劇場オペラ研修所の公演で招宴されましたので、鑑賞してきました。





Ilcampiello (The Little Square) is an opera in three acts by ErmannoWolf-Ferrari. The Italian-language libretto was by Mario Ghisalberti, after thefamous comedy of the same name written for the 1756 Venetian Carnival by the greatVenetian playwright, Carlo Goldoni.


Referredto as a commedia lirica, it is an ensemble opera influenced by Mozart, as wellas Giuseppe Verdi's last opera Falstaff. It is concerned with the public livesof the volatile inhabitants of Venice and is sung in the local dialect (exceptfor two Neapolitan roles).




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 このオペラの舞台は イル・カンピッロ(小さな紘広場)です。ここの隅には、浪費家で女好きのナポリの騎士・アストルフィ(バリトン)が滞在している宿があります。旅館周辺の家屋には、男性や夫を探している独り者の女性が多数暮らしています。界隈一のインテリ娘ガスパリーナ(ソプラノ)は、彼女の叔父のファブリーツィオ(バリトン)と一緒に住んでいる生活を楽しんでいる女性であり、ナポリの人でもあります。ルシエータ(ソプラノ)は、アンゾレト(ベース)と呼ばれる雑貨売りと恋仲の若い美しい女性です。彼女は母親の戸・カーテ(テナー)と一緒に住んでいます。ルシエータのライバルは彼女の母ドン・パクスタ(テナー)と一緒に住むニェーゼ(ソプラノ)と呼ばれる魅力的な女の子です。両方の母親は男性が演じる喜劇的役割です。グネーゼはゾルツェトという男の子と恋に落ちています。彼はまた、母親オルゾーラ(メゾソプラノ)と共に広場に住んでいます。



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 このオペラは、どの幕もロマンチックな美しい序曲で始まります。「イル・カンピエッロ」は、貴族ではなく、ヴェネツィアに庶民が集まるある広場があり、それに面している家々の住人がいて、当時のヴェネツィアの庶民の生活が滲み出ています。庶民の娘たちは、時には若者とバカ騒ぎをして楽しんでいる様子が描かれています。



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 このオペラの主役はガスパリーナ、ルシエータ、ニェーゼの3人の若い魅力的な娘たちで、3人3様性格の違いが表現されています。ニェーゼは夢見る可愛らしい乙女で、ゾルゼートを心から愛しています。ガスパリーナの父親は、もともとナポリの貴族でしたが、決闘して居られなくなりヴェニスに逃げてきたのです。そこで身分の違う女性と結婚し娘ガスパリーナを残して亡くなった。そこに突然父親のお兄さんのファブリーツィオが後見人として現れ、ガスパリーナの面倒をみることになったのです。ファブリーツィオは、ああでもない、こうでもないと彼女に文句ばかり言っています。



 庶民と貴族の階層社会的な一面も表現されています。「イル・カンピエッロ」にナポリからある青年騎士アストルフィがふら~っとやって来ます。 アストルフィは自分の生き方とナポリの貴族社会がしっくりいかず、放蕩して破産したのですが、まあ一度しかない人生だから楽しもうという感じで、2月のカーニヴァルの時期にヴェネツィアに楽しみに来たわけです。アストルフィは貴族で、楽天家ですが、、ドン・ジョバンニとは違い世界を旅行して世の中を見、勉強はしたけれどお金は無くなったのでまあしょうがないなという感じです。



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 アストルフィは、3人の若い魅力的な娘たちのうちのガスパリーナに目をつけますが、ガスパリーナがすぐ家の中に入ってしまうので、ルシエータとニェーゼにも気色を示します。みんなと友達になって、あるお金で贈り物をして、周りが喜んでくれれば幸せで、いくらか残ったらからとか、貯蓄など興味がなく、それはその時よという感じで経済感覚は無いのです。見ず知らずの女の子にも気前がよいので、一見お金持ちに見えます。 あまり怒らない性格ですが、三幕ではとにかく皆が喧嘩ばかりするので、皆を一喝するときはさすが騎士の迫力があります。本質的には楽天家で博愛主義者です、貴族社会の儀礼的なところに辟易しているところもあります。


 ガスパリーナは自分なりのプライドがあり、私はこの辺の庶民とは違う、フランス語は話せるし、何とか語も何とか語もしゃべれるし、劇場へ行けば、すぐ劇の良し悪しもわかるし、音楽も分かると言う自負があり、付近の庶民が使う”ス”というヴェネツィア弁を使わず、彼女だけは、ざーます弁という感じで、ツ、ツ、ツ、ツという音の勝った発音をの言葉をしゃべるのです。こういう娘なので、伯父さんファブリーツィオがうるさい連中とは付き合うなというので、周りの人が気になるけれど、彼女は庶民の中には入っていけないのです。騎士アストルフィはそのガスパリーナに興味を持ちます。ファブリーツィオはもう一度ナポリに帰りたいが、彼は宝くじをあててはいるけれど身分は無い、アストルフィは身分がある、アストルフィは破産した状態で負債があるので、ガスパリーナと結婚したら、ファブリーツィオからもらう持参金で負債を埋めたいという思惑があります。お互いの思惑が一致して、若いインテリ娘ガスパリーナと破産した騎士アストルフィを結婚用とします。最終的には伯父さんはナポリで宝くじにあたって一山あてたためお金があり、アストルフィはその伯父さんが姪のガスパリーナにもたせる持参金で、別のところに暮らすというハッピーエンドになるのです。



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 このオペラでは、喧嘩のシーンがたくさんあります。日常茶飯事の他愛もない口論などどたばたも多いです。しかし、喧嘩のところも歌担っています、レツィターティーヴは殆どなく、ガスパリーナとアストルフィのアリアがあるくらいです。まさにこういう種類のイタリアのアンサンブル・オペラです。アンサンブル・オペラは、主役がいてアリアが中心になるのでなくて、皆が適当に少しずつ歌ってオペラを作っていきくます。それぞれの役柄がはっきりしていて、歌手たちがお互いのことを気にしながら合わせよう合わせようと市ながらオペラを作っていくもののだと思います。だから音楽は美しいだけでなく、とても楽しい野だと思います。このオペラも、音楽はきれいで、粟国淳さんの演出の舞台は時代考証もきちんとしていてよかったと思います。とにかく、婚礼場面の騒ぎを始め、このオペラは多数のアンサンブルに溢れていて、典型的なアンサンブル・オペラといえます。



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あらすじ

第1幕

ルシエータが最初に登場し、次にアストルフィが登場、お互いに儀礼的に挨拶します。ルシエータは、アンゾレットが遅れているため、アストルフィは彼女と一緒にうろつきます。アンゾレートが雑貨を売りに来ると、見知らぬ男のアストルフィがルシエータのために買おうと提案したので、アンゾレートは嫉妬します。ニェーゼは、いくつかの針や糸を購入したいと思って、アンゾレートを呼び出します。アストルフィはニェーゼのためにも何かを買うことを言い出します。アストルフィは多くの非常に美しい女性が集まっているのを喜んでいます。アストルフィはニェーゼと一緒にいますが、ルシエータにも気があり、母親ドナ・カーテに会います。アストルフィは彼女の母親が巧みに傍受するリングをニェーゼに提供し支払いを申し出ます。


 ドナ・パスクアとオルソラは、ニェーゼとゾルゼートの将来の結婚について話しています。ルシエータとニェーゼが現れて喧嘩を始めゾルゼートも現れます。アンゾレートはルシエータのデザインを否定するアストルフィに挑みかかります。アンゾレトはルシエタとできるだけ早く結婚しなければならないと決心します。 ガスパリーナが再び登場し、今度はアストルフィが彼女と長い会話をして彼女が利用できるかどうかを調べようとしています。



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第2幕

ルシエータ、ニェーゼ、ゾルゼートとその3人の親は、ファブリーツィオが迷惑に思っている広場で大きなパーティーをしています。アンゾレートが来て、指輪をルシエータにプレゼントします。アストルフィもみんなに協力して参加しています。宿で夕食を支払うために!彼はアストルフィとファブリーツィオに加わることを勧めますが、ファブリーツィオは断ります。ウェイトレス、乞食、ポレンタ行列などのバレエが続きます。ガスパリーナはアストルフィに彼女の叔父のぞっとする行動について話しています。ちょうどファブリーツィオが登場し、アストルフィに話しかけます。彼はまたナポリです。彼はアストルフィが誰であり、彼が破産していることも知っています!アストルフィはファブリーツィオが有名な宝くじの勝者であることを知っています。ファブリーツィオは、アストルフィがガスパリーナと結婚したいと思っていることも知っています。


 飲み会は広場に広がっていますが、彼らの高貴な精神は再び宿に戻る前に再び口論になります。ファブリツィオは、この騒がしい広場を離れて生きるために他の場所を見付けようと決めています。アストルフィはガスパリーナに注意を集中しており、パーティーは再び正方形の歌と踊りに溶け込む。



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第3幕

騒々しいカンピエロに耐えかねて、ファブリーツィオは新しい家を決め、引っ越しの準備中です。ガスパリーナと結婚したいと持ち掛けるアストルフィを、ファブリーツィオは家に招き入れます。 アストルフィが家に張ったことを盗み聞きした若い娘たちはうわさ話に花を咲かせます。母親たちは男たちが酔っ払っている間に、オルソラは花嫁の心得を話そうとルシエータを家に招き入れます。



アンゾレトはルシエータを探しに来て、彼女がオルソラの家に行ったことしると、その息子ゾルゼートに嫉妬し、ルシエータが現れるといきなり彼女を殴ります。ドナ・ケイトは乱暴な男に娘を嫁がせるわけにいかないと詰め寄りますが、殴られたルシエータもアンゾレトと結婚したいと訴えます。



アンゾレトがゾルゼートを怒鳴るのを聴き留めたニェーゼは、ゾルゼートに口を滑らせたためゾルゼートは憤り、アンゾレトの家に石を投げますが、石はアンゾレトの姑にあたるドナ・カーテの頭に命中し、アンゾレトは怒り狂って出てきてゾルゼートと喧嘩になります。日ごろからライバル視し合っているカーテとバスクアも取っ組み合いを始め、カンピエロは大騒ぎとなります。



 結婚話をまとめたアストルフィが、ファブリーツィオの家から出てきて、皆を一喝すると、その気迫に押されても一同は押し黙ります。 アストルフィはみんなが仲直りすれば、晩餐を振る舞おうと提案します。仲直りを見と解けたアストルフィは、今夜自分も結婚して旅立つことになったことを皆に告げます。花嫁として登場したガスパリーナをカンピエロのみんなは温かく祝福します。 今夜は飲み明かそうとも、アストルフィに寄り添い、ガスパリーナが生まれ育ったヴェネツィアに別れを告げます。「生まれ育ったカンピエロは醜い場所なんて言いたくないわ。大好きなものこそ、美しいもの」と歌って幕を閉じます。




出 演 新国立劇場オペラ研修所 第18期生、第19期生、第20期生賛助出演市川浩平、清水那由太、渡辺 大、伊藤達人(第14期修了)

ガスパリーナ 宮地江奈    ドナ・カーテ   水野優

ルシエータ  砂田愛梨    ドナ・パスクア  濱松孝行

ニェーゼ   吉田美咲子   オルソラ    十合翔子

ゾルゼート  荏原孝弥(   アンゾレート   氷見健

アストルフィ 高橋正尚    ファブリーツィオ 清水那由多

管弦楽新国立アカデミーアンサンブルエレクトーン西岡奈津子合 唱国立音楽大学・昭和音楽大学・桐朋学園大学・武蔵野音楽大学 有志

              (20081月8日、新国立劇場中劇場)



参考文献




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by desire_san | 2018-04-24 17:49 | オペラ | Trackback | Comments(5)
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Commented at 2018-04-14 22:59
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by desire_san at 2018-04-15 11:08
snowdrop-utaさん、コメントありがとうございます。

私の十五年戦争に対する歴史観は、学生事態に読んた家永三郎さんの本がきほんとなつています。そういう意味で snowdrop-utaさんと共通の視点でお話しできそうですね。 
ソ連崩壊後の日本の右傾化に伴い、家永三郎さんに対しては批判的な意見が主流になり、というより若い世代の人たちは家永三郎さんの名前すら知らないのではないでしょうか。
家永三郎さんの十五年戦争に対する歴史観がすべて正しいとは思いませんが、今の右傾化した日本だからこそ、多大の犠牲者を出した戦争の過ちに対して真摯に向き合うために、家永三郎さんの著作を読み、歴史観を考え直すことが、現代日本にとって必要なことではないかと思つています。
日本の侵略戦争を黙認した川端康成ヲはじめとした文学者や日本人の戦争意識高揚に加担した日本の画家たちは、戦後心の痛みを背負って制作活動をしていたと信じたいですね。
Commented by snowdrop-momo at 2018-04-21 06:30
おはようございます。
コメントをどうもありがとうございました。
以前から構想していた記事を、このたび書き上げました。
まだまだ不十分ですが、今年の桜の終わりに合わせました。
desireさんのおかげで私なりに考えを深められたように思います。ご覧くださると光栄です。
「イレーヌ」に会ってこられたのですね!
また改めてゆっくり拝読させて頂きます。楽しみです。
今日は取り急ぎお知らせのみで失礼いたします。
Commented by snowdrop-nara at 2018-04-24 21:48
こんばんは。
楽しいオペラがあるんですね!
ヴェネツィア弁は豆をパラパラ蒔くような響きだと聞いたことがありますが、よくわからなくて…
「ツ」でなくて「ス」なら、やわらかいんでしょうか。
ファルスタッフの影響も受けた、カーニヴァルのためのオペラ…東京ならではの通好みの公演だったのですね!
第一幕だけ動画(音声のみ)が見つかったので、聴きながら拝読しました。ありがとうございました。
Commented by desire_san at 2018-04-25 10:31
snowdrop-naraさん、コメントありがとうございます。

ローマやナポリと比べると、ヴェネツィアは庶民の街という風潮が強く、気位の高いローマやナポリの貴族は、ヴェネツィア人は田舎者という意識はあったようです。
しかし、ヴェネツィアには庶民文化が発達し、このような気軽に楽しめるヴェネツィア・オペラもその一つで、庶民には幸せな町だったようです。庶民が親しんでいたヴェネツィア・オペラは、本来正装して畏まって行くものではなく、庶民たちは日本浅草オペラのような感覚で楽しんでいました。残オペラも話はドタバタですが、これが本来庶民の楽しむオペラの原点といもいえると思います。。