平成の成長戦略が生んだ、科学研究者の地獄のような現状
小保方晴子さんのSTAP細胞論文の疑惑がまだ記憶に新しいことですが、ノーベル医学生理学賞受賞者の山中伸弥教授が所長を務める「京都大学iPS細胞研究所」所属の特定拠点助教(36)の論文捏造・改竄が明らかになりました。この助教が、この3月までの期限付き雇用だったことから、「9割以上が非正規雇用」という研究所の特異な雇用実態が明らかになりました。「不正論文執筆に走る心理は同情の余地がおりませんが、精神的に追い詰めた状況が、研究者のモラル低下の背景にあることは否定できません。
国立大学法人化は、文科省と国立大学が一体となって取り組んできた教育研究の質の向上を切り離し単なる財政問題として処理しました。91年の大学設置基準大綱化で、東京大学以外は教養部を廃止しました。教養部は高校と大学教育を接続する機関で、大学生が専門分野だけでなく、哲学、歴史、経済学などから他の科学分野を学び、幅広い教養を身に着ける機会でした。それに続けて大学院重点化が行われ、企業サイドの求めに応じて、運営費交付金の重点化と削減が行われ、競争的資金を打ち立たてことから、研究者はその獲得競争に邁進させられることになりました。研究の成果を専門知識のない素人が評価することは不可能なはずですが、政府は研究論文数と経済効果を指標としました。研究者は、実質的な研究時間が削って、論文書きと研究の宣伝に時間を割く結果となり、企業は躍起になって「高度人材育成」「社会に役立つ人材」を求めたため、成功すれば画期的な研究でも、成果を上げるのが難しい研究は、政府と企業のミスマッチ、から挑戦する研究者が激減しました。
「京都大学iPS細胞研究所」の研究員の9割以上が非正規雇用というのは驚きでしたが,早期の研究成果圧力の中で、それに見合う予算が与えられないため、山中教授自身がマラソン大会で資金集めしたり、誰が説明してもよいようなテレビ番組に出演して足りない研究費を工面している実情で、山中教授の管理責任を問うのはあまりに酷な話だと思います。
国立大学が法人化された現在、研究者の任期制雇用は当たり前のこととなっているのを皆さんご存知でしょうか。任期制雇用は「特任准教授」だ。博士課程まで進んでいます。任期制雇用の割合を自然科学系の分野別でみると、理学分野は69%で、終身雇用制の19%を大きく上回っていました。ポスドクの給与水準は調査対象者の半数は月給30万円未満で、20万円に満たない人も1割程度いました。
特任准教授は、終身雇用の准教授と同じですが、4年間の任期終了後に雇用を打ち切られます。ポストを失う恐怖や、失ったときの社会的なスティグマは相当強く、研究者は毎日成果主義に終われ、素人の官僚や企業に気に入られる成果を上げることに邁進し、それも追い込まれるとデータ捏造という禁断の果実に手を出す人も出てくるのです。
ノーベル賞級の研究というのは、素人には奇跡としか思えないような計り知れない高度の発見や発明であり、今の日本の制度では、20年後、30年後にノーベル賞級の画期的研究成果化が生まれるのは宝くじの特賞を当てるより確立が低いのではないでしょうか。
昔はオーバードクター、今はポスドク…
響きが軽くなった上、状況はさらに悪化していますね。
文系だけでなく理系でもこんな状態だとは…
(学芸員も入場者数をより気にするようになっているとか)
今のままでは、文理ともに将来のノーベル賞受賞者は激減するかもしれません。
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私も18年くらい前に鹿島槍ヶ岳~五龍岳~唐松岳~白馬岳を縦走しました。あいにくの曇り空で、殆ど山々の姿が見えませんでした。
其のあと、別ルートからこれらの山々は一通り観ることができましたが、五龍岳の雄姿はさいこうにすてきでした。