脚本と俳優の演技力で選んだ平成のテレビドラマ・ベスト10とテーマソング・ベスト10
平成のテレビドラマ・ベスト10
『Dr.コトー診療所』 2003年
この五島が、医師がいなかった志木那島にやって来て、医療の現場に勤める五島健助(吉岡秀隆)。最初の頃、村人たちは信用せずに、頼ろうとはしませんでしたが、病気を患って一刻も早く手術をしなければ危険な状態という患者が訪れ、その村人の手術を成功させ、これをきっかけとして村人の信頼を少しずつ得ていきます。決して設備が整っているとは言えないような小さな診療所にて、どういった病気やけがなどに対しても諦めることなく命がけでオペや治療に取り組み、その知識とテクニックを持って多くの方々を救うために立ち向かっていきます。ロケ地沖縄県の与那国島の自然の中で、医療という現場を通して、五島健助と島人それぞれの思いも変化していきます。離島に生きる人たちの思い、離島に診療所があることが、島に暮らす人たちにとってどういった意味をもたらすのかなどが描かれています。
第1シリーズ最終回の11話は絶品でした。島を去ってしまったコトー(吉岡秀隆)は、手術の執刀依頼のあったかつて勤務していた大学病院へ向かいます。担当していた政治家(幹事長)である患者が自らコトーの執刀を望んでいるとのこと。手術の助手は、あの事件の三上医師が担当します。失敗すれば責任を負われ、成功しても功績を横取りされてしまう。しかしコトーは、患者の命だけを考えて手術に臨みます。一方その頃志木那島では、責任を感じていた星野(小林薫)は胃の痛みをずっと抱えていて、とうとう吐血してしまいます。コトーがいない診療所…彩佳(柴咲コウ)は、必死に手当をしますが不安になって、東京のコトーに電話をします。手術当日、途中で検査の結果にはなかった状態に呆然とするコトー。三上がわざと陥れようとしたことでした…三上は、転移があったことをコトーに説明してあるとその場で嘘を言う。三上はコトーが当然、手術を中止すると踏んでいたが、意外にもコトーは手術を続行。見事に素早いオペで病巣を取り除いていく。三上はその見事さに感動する。その技術は、執刀を依頼した奥村教授(大和田伸也)も舌を巻くほどだった。ほとんどオペが成功で終了しようとしたとき、突然奥村がオペ室に現れ、コトーと交替した。オペが終わると、三上はコトーに謝罪。すると、コトーが逆にあの過去の件で頭を下げる。三上に責任を押し付けようとしたことを。幹事長の手術成功を報告する記者発表が行われた。当然、コトーはその席にはいない。自分の手柄のように執刀の様子を語りだす奥村。ところが、それを遮るように三上が突然立ち上がり、手術はコトーが行ったと真実を話し出した。驚く記者たち。テレビ放送されていたこの会見は、島の人たちも見ていた。突然、コトーの名前が流れ、島の人間は、あらためてコトーの医者としての実力を知ったのだった。
ここは自分の居場所ではないと実感したコトーは、病院を去ろうとしたとき、コトーの前に剛利と剛洋の親子が現われた。島民がコトーを必要としていることを訴える。全てを言い渡すと、剛利たちは帰っていった。島では、星野がコトーの件で責任を感じ、胃の痛みを訴え寝込んでしまっていた。彩佳と和田は、心配でたまらない。ついに、星野は吐血した。ガンのおそれがあり、本土の病院で診て貰おうというのを、島の診療所以外では治療を受けないと宣言。意地を張るが、意地にも限界があった。星野の友達の安藤重雄は、星野を本土の病院に連れて行くための船を準備していた。漁港には、正一を見送る島民が集まっている。すると、沖合いに剛利の船が現われた。船には彼ら親子と、もう一人コトーが乗っていた!島に戻ったコトーは、早速、正一を診察する。正一は、ガンではなかった。喜び合う彩佳、重雄、和田、つる子たち。コトーは、島の人たちに再び受け入れられた。
ここが自分の居場所。幸せを感じるコトーだった。
コトー先生演じる吉岡秀隆は、離島の環境に馴染んで、島の人とも徐々に打ち解けていきますが、命がけで医療に携わっていくという姿を、とてもカッコ良く演じていて、そのメリハリのある演技が秀逸でした。柴咲コウ、筧利夫、小林薫、時任三郎、桜井幸子、千石規子などキャスティングも素晴らしく、エンディングの中島みゆき「銀の龍の背に乗って」も効果的でした。
『JIN-仁-』2009年
南方仁(大沢たかお)は東都大学附属病院に勤める脳外科医でしたが、幕末にタイムスリップしてしまい、電気も消毒薬も抗生物質もない世界で、医師南方仁の戦いが始まります。現代に野風と瓜二つの仁の恋人・友永未来(中谷美紀)というドラマオリジナルの人物を登場させ、南方を助ける橘咲(綾瀬はるか)咲を加えた3人による恋愛要素を盛り込んでいます。南方仁は、自らの手術の失敗で恋人を植物状態にしてしまい、心にトラウマを抱えているという設定になっていいます。坂本龍馬(内野聖陽)勝海舟(小日向文世)緒方洪庵(武田鉄矢)など、実在の人物も絡ませ、ドラマに厚みを持たせていました。主人公の南方仁が自らを奮い立たせる「神は乗り越えられる試練しか与えない」という言葉が効果的に使われていました。
『それでも、生きていく』 2011年
1996年夏、深見洋貴の妹・亜季が洋貴の友人である少年Aこと三崎文哉(風間俊介)によって殺害され、この事件によって深見家は家庭崩壊し、洋貴(瑛太)は父(柄本明)とともに釣り船屋で働いて過ごしていました。一方、少年Aの家族は密告者からの嫌がらせをいたるところで受け、そのたびに引っ越しを繰り返し、父親(時任三郎)は子供のために母(風吹ジュン)と離婚し、子供に母親の姓を名乗らせていいました。そんな洋貴の前に少年Aの妹、双葉(満島ひかり)でした。「あの時私が殺されていれば、事件は起きなかったかもしれない」そう言って自分を責め続ける双葉。彼女の本当の母親が、自分の目の前で自殺し、出所した兄は更生しておらず、また犯罪を犯したことなど、更に彼女を苦しめる事実が明らかになります。
どう考えても、ほんのわずかの希望すら見いだせないような境遇に置かれながら、満島ひかり演じる双葉からはしっかりと生きる力が感じられました。病んでいる洋貴に対し、ズレたせりふと絶妙の表情で双葉(満島ひかり)は、独特の距離感をもって返す。おびえながら、戸惑いながら、それでも彼女は生きてゆく。演じている満島ひかりから放たれる、本能的な命の輝が唯一の光となって、見応えがありました。
このドラマの完全オリジナルストーリーで脚本を書き下ろした坂元裕二は、1991年、『東京ラブストーリー』が社会現象となる大ヒットし、20代の若さでトレンディドラマの旗手として、野島伸司とともに脚光を浴びましたが、その後低迷期があり、犯罪被害者家族と加害者家族の交流という難しいテーマのこの作品に『それでも、生きてゆく』に起死回生をかけて、キーとなる加害者の妹役は初めから、当時無名だった満島ひかりで決めていたそうです。その後、『Mother』『Woman』『カルテット』と名作ドラマを生み出し、東京芸術大学大学院映像研究科映画表現技術脚本領域教授に就任しました。
辻井伸行の音楽と小田和正の主題歌 -「東京の空」もこの暗く重たいドラマに光を与えていました。
『二千年の恋』 2000年
常生活に何か物足りなさを感じているOL・真代理得(中山美穂)は、外務省に勤める野上浩(金城武)と運命的な出逢いをします。明るい性格だが時々悲しい冷たい目を見せる野上に理得は次第に惹かれていきます。だが、実は野上はアジアのテロ支援国・ユーラル共和国から来た工作員であり、理得に近づいたのは任務の遂行に必要な情報を得るためでした。ドラマのポイントの場面で、「禁じられた恋」を象徴するワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』が効果的に使われていました。
理得とのかなわぬ恋に揺れる野上を演ずる金城武の演技は、愛と哀しみの表見の中にも清々しい男の色香が漂い、プラトニックなラブストーリーの愛の姿の規範となるような絶品の演技でした。このドラマは、金城武が日本の映画、ドラマを通じて最後の作品となり、ワールドキャラクターとして活躍し、本場アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーの会員候補として選定されて、アカデミー賞に投票権を持つことになる見込み。
『半沢直樹』2013年
池井戸潤による小説のテレビドラマ化作品で、銀行という世界の細かいリアリティが随所に登場し、注目の若手俳優・女優などは起用せず、クセのある実力派俳優を結集し、ドラマの面白さというものを十分に味あわせた快作でした。主人公の半沢直樹役の堺雅人は、普段の優しい笑顔からは想像しがたい切れ味の良い激しい演技で魅力をいかんなく発揮。敵役の銀行の実力者・大和田暁に香川照之、国税局査察部統括官の黒崎に片岡愛之助も悪役的存在を演じていましたが、第一部の敵役に、テレビドラマ初出演で、ミュージカル界のトップスター・石丸幹二を起用したのは新鮮な魅力を発していてよかったと思います。銀行に潜む闇に立ち向かう半沢直樹が、「やられたらやり返す、倍返しだ!!」、「クソ上司め、覚えていやがれ!」と実力派俳優がクセのあるキャラクターに敢然と立ち向かう痛快さ見事でした。
『ケイゾク』1999年
迷宮入りした事件を担当する警視庁捜査一課弐係に配属された、東大卒のキャリア警察官僚・柴田純(中谷美紀)は、東大卒業のキャリア組でバツグンの頭脳を武器、身なりには気を使わず、風呂に数日入らなくても平気なせいで常に頭が臭いなど奇人女刑事が、元公安の叩き上げ刑事・真山徹(篤郎篤郎)と難事件を解決しています。事件の小ネタを散りばめたコメディー要素の強い一話完結で、シリーズ後半に向けての伏線を少しずつ描いてゆくドラマ構成ですが、中谷美紀と篤郎篤郎の演技対決が魅力でした。中谷美紀の存在感が際立ち、コミカルな役どころの演技にも違和感がなく彼女の魅力が引き立ちました。篤郎篤郎は30歳から31歳、まだ30代半ばほどの渋さはないが、大人のカッコよさを十分に見せてくれました。
『デート~恋とはどんなものかしら~』 2015年
ロボットのように規則正しい糞マジのエリート理系女子・藪下依子(杏)と「高等遊民」と自称するニートひきこもりの文学青年・谷口巧(長谷川博己)の奇妙な恋愛をコミカルに描き、この年のドラマの作品賞、主演女優、助演男優、脚本、監督の5部門を制しました。「緻密に計算されたせりふ、熱演、演出。最初から最後まで気持ち良く見られた」「最終回の〝どんでん返し復縁〟はドラマ史上に残るユニークさだった」など、後味の良さも良かったです。杏が演じた藪下依子は極端に個性的なキャラクターで、その真逆と言える谷口巧を、共演女優を引き立てることでは「家政婦のみた」などで折り紙付きの長谷川博己の演技が軽妙で、楽しめるドラマに仕上がっていました。
『恋のちから』 2002年
広告代理店の庶務課に勤める本宮籐子(深津絵里)に、自分が勤める会社から独立して起業した売れっ子広告デザイナー貫井巧太郎(堤真一)から引き抜きの誘いがかかる。悩みぬいた末、憧れの貫井からの誘いに応じたが、実は人違いであったと言われてしまう。仕事への不安、恋の不安、将来への不安などを抱える30代の心情をとらえたドラマで、仕事、人生、恋に苦悩しながら、真っすぐ素直に生きる姿を深津絵里が可愛く演じています。主題歌の小田和正『キラキラ』が、深津絵里の役のイメージを見事に引き立て、大ヒットしました。
『カルテット』2017年
松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平という実力派キャスト4人と、人気脚本家・坂元裕二とのコラボで制作したオリジナルドラマ「カルテット」が、その年のその年のドラマ作品賞、主演女優賞、助演女優賞、脚本賞、監督賞、ドラマソング賞の6冠を達成しました。会話の内容は"から揚げにレモンをかけるか"など、ムダ話のようなものが大半。俳優4人の性格が全く異なるものの、絶妙な"間"が心地よさを生みそれぞれの嘘が判明する毎に、言葉の応酬一つ一つにも緊張感が生まれ、ただの日常会話に見えて、から揚げにレモン論争が真紀の過去に関する発言へ繋がるなど、重大な伏線も潜んいて会話劇としても見ごたえがありました。35歳にして何事も持続しない、こだわりが強く理屈っぽい性格が災いして長く続かないめんどくさい性格の家森諭高を演じた高橋一生、かつて超能力者として世間にもてはやされたものの、実父の詐欺だと発覚後は様々な苦悩を経験し、屈折した性格の世吹すずめを演じた満島ひかりの演技が特に光っていました。
『真田丸』 2016年
大河ドラマ『真田丸』」は、珍しい敗者をヒーローにしたドラマですが、父・真田昌幸(草刈正雄)に薫陶を受けて育ち、後世「日本一の兵」と呼ばれるようになるまでの物語として描いていました。圧倒的に不利な状況で、真田幸村は冬の陣では大坂城最南端に築いたとりで「真田丸」に立てこもって、徳川の3万人の大軍を5000人で追い払い、家康の陣地のすぐ近くにまで突撃して家康に恐怖を与えました。最後まで諦めず希望に満ちていたことでこのドラマを楽しく見られました。
真田幸村に堺雅人、徳川家康に内野聖陽と最高のキャストを揃え、織田信長(吉田鋼太郎)・豊臣秀吉(小日向文世)・上杉景勝(遠藤憲一)・石田三成(山本耕史)・毛利勝永(岡本健一)・大谷吉継(片岡愛之助)・真田信之(大泉洋)、女優人では、豊臣秀吉の正室(鈴木京香)・側室の茶々(竹内結子)の豪華配役人は三谷幸喜ならでは賑やかな配役でした。
ドラマで一瞬の輝きでも、感動を与える輝かしい演技を見せてくれた俳優を選んでみました。
① 吉岡秀隆 (『Dr.コトー診療所』)
② 堺雅人 (『半沢直樹』『真田丸』『リーガル・ハイ』)
③ 大沢たかお (『JIN-仁-』『解夏』)
主演女優
① 深津絵里 (『恋ノチカラ』)
② 中谷美紀 (『ケイゾク』『永遠の仔』
③ 仲間由紀恵 (『ごくせん』『ありふれた奇跡』
『美しい隣人』)
助演男優
① 金城武 (『二千年の恋』『神様、もう少しだけ』)
② 渡部篤郎 (『ケイゾク』『永遠の仔』『ラビリンス』
『ストーカー 逃げきれぬ愛』』)
③ 高橋一生 (『おんな城主直虎』『カルテット』)
助演女優
① 満島ひかり (『それでも、生きていく』
『カルテット』)
② 中谷美紀 (『JIN-仁-』)
③ 柴崎コウ (『Dr.コトー診療所』『ガリレオ』)
憂鬱な気持ちになる私たちの心に晴らしてくれる元気を与える名作ドラマ・映画のテーマソングを10曲選んでみました。
空と君のあいだに/中島みゆき
『家なき子』1994年~1995年 日本テレビ・ドラマ
1994年 劇場版・映画化
企画/野島伸司 主演/安達祐実
https://www.youtube.com/watch?v=U2jEWTrExsg
『Dr.コトー診療所』2003年、2006年 フジテレビ・ドラマ
原作/山田貴敏 主演/吉岡秀隆
https://www.youtube.com/watch?v=5YARVIC5Lgk
晴れたらいいね/DREAMS COME TRUE
『ひらり』 1992年~1993年 NHK連続テレビ小説
脚本/内館牧子 主演/石田ひかり
https://www.youtube.com/watch?v=7Ckm1g_V3HU
LOVE LOVE LOVE/DREAMS COME TRUE
『愛していると言ってくれ』 1995年 TBS系ドラマ
脚本/北川悦吏子 主演/豊川悦治、常盤貴子
https://www.youtube.com/watch?v=kEPznDgVv8w
さぁ鐘を鳴らせ/DREAMS COME TRUE
『救命病棟24時(第5シリーズ)』 1995年 TBS系ドラマ
出演/松嶋菜々子、佐々木蔵之介、時任三郎
https://www.youtube.com/watch?v=kyBsp0A5YHs
Tomorrownever knows/Mr.Children
『わかもののすべて』 1994年 フジテレビ系ドラマ
脚本/岡田惠和 出演/萩原聖人、木村拓哉、深津絵里
https://www.youtube.com/watch?v=Nxwt_s1lM04
名もなき詩/Mr.Children
『ピュア』 1996年 フジテレビ系ドラマ
脚本/龍居由佳里 出演/和久井映見、堤真一、高橋克典
https://www.youtube.com/watch?v=QCiERL2m3Ss
東京の空/小田和正
『それでも、生きてゆく』 2011年 フジテレビ系ドラマ
脚本/坂元裕二 出演/瑛太、満島ひかり、柄本明、大竹しのぶ
https://www.youtube.com/watch?v=89dIsRLGlBI
キラキラ/小田和正
『恋ノチカラ』 2002年 フジテレビ系ドラマ
脚本/相沢友子 出演/ 深津絵里、堤真一、坂口憲二
https://www.youtube.com/watch?v=ctJ9yivGZJg
春よ、来い/松任谷由実
『春よ、来い』 1994年~1995年 NHK連続テレビ小説
脚本/橋田壽賀子 出演/安田成美、中田喜子、赤井英和
https://www.youtube.com/watch?v=qX7pFYH9O04
ここで、令和の年号になってからの出来事を振り返ってみましょう。


