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芸術と自然の美を巡る旅  

グランド・バレエの最高傑作の魅力あふれる舞台

バレエ『眠れる森の美女』

Ballet "Sleeping Beauty"

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『眠れる森の美女』はチャイコフスキーの三大バレエの中でも最もスケールの大きいグランド・バレエの最高傑作と言われる作品です。それだけに、主役のオーロラ姫のテクニックと体力が十分でないと踊りこなせない。ソリストが活躍する小作品が数多くちりばめられているため、魅力的な踊り手の数が少ないとキャスティングできない、など上演の難しい作品でもあります。しかしチャイコフスキーの音楽は、他の三大バレエに勝るとも劣らない優れたメロディーメーカーの本領が発揮されたスケールの大きな音楽で、度々観たい演目でもあります。




"SleepingBeauty" is a great work of most scale also inTchaikovsky's three majorballet. And it is the work which is said to be a masterpiece of grand ballet.To dance the leading role of Princess Aurora, the heroine will be requiredtechnique and stamina. Since scene soloist plays an active part in many cases,requires a lot of attractive dancers. "Sleeping Beauty" is adifficult piece of performance, but it was a stage with a spectacular highlightin continuous.


「眠れる森の美女」。オーロラ姫が生まれてから再び目覚める100年間はフランス文化が最盛期の16~17世紀、太陽王ルイ14世ヴェルサイユ宮殿の時代で、その繁栄を象徴する贅沢な舞台背景と、華やかな衣装で演じられます。プロローグの妖精たちの特徴ある楽しい踊り、物語の進行役も務める善の精リラは薄紫色の衣装で登場します。悪の精カラボスは女性が踊ります。


【プロローグ】 

序曲は邪悪な妖精カラボスを表す暗く重厚なテーマで始まります。続いてホルンで始まる安らかなリラの精のテーマが演奏されます。この2つのテーマがバレエ全体を貫くライトモチーフとなります。リラの精のテーマが盛り上がった後幕が開きます。


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 フロレスタン14世の娘、オーロラ姫の誕生し、荘厳な行進曲にあわせて貴族たちが入ってきます。オーロラ姫の入ったかごも運びこまれます。穏やかな音楽に乗って妖精たちが入ってきます。夾竹桃の精、三色ヒルガオの精、パンくずの精、歌うカナリアの精、激しさの精、リラの精の妖精たちが招かれ、妖精たちを中心とした優雅な踊りが展開されます。6人の妖精たちがゆったりと踊り、妖精たちはオーロラ姫に授け物をします。


最後にリラの精がオーロラ姫のかごに近づこうとすると,暗く不気味な音楽に一転し,ねずみの大群に引かれた邪悪な妖精カラボスが登場します。自分が招待されなかったことに怒り、オーロラ姫に「姫は16歳になったら紡錘で指を指し,それがもとで死ぬだろう」と呪いをかけます。リラの精のテーマにのってリラの精が登場し、幸運にもラの精だけはまだ姫に何も授けていなかったため、次のように宣言する。「カラボスの呪いの力は強すぎて完全に取り払うことはできませんので姫は指を刺しますが死ぬことはありません。100年間の眠りのあと王子様がやってきて、彼の口づけによって目を覚ますでしょう。」音楽は、カラボスのテーマとリラの精のテーマが入り混じりますが,最後はリラの精のテーマが打ち勝ち。高々にリラの精のテーマが演奏される中,第1幕は締められます。



【第一幕】 

オーロラ姫は成長し、16歳の誕生日を迎えた時祝宴を開きます。宴会に呼ばれた村の男女が手に手を取って楽しげに民族舞踊を踊っています。紡錘を手に持っている娘が紡錘を集めてまわります。音楽がゆったりしたものに変わり,オーロラ姫に求婚しに来た4人の王子を伴って王と王妃が現われます。有名な豪華でシンフォニックなワルツにのって庭園で娘たちと若者たちが手に花をもって華やかなワルツの群舞が展開します。



グランド・バレエの最高傑作の魅力あふれる舞台_a0113718_3551660.jpg オーロラ姫が,ひとり求婚者の前で初々しい魅力を放ちながら踊ります。4人の王子とオーロラ姫が絡んで踊る有名な「バラのアダージョ」の場面に入ります。ハープのカデンツァの後,低弦の弦を指ではじく演奏の上にメロディが演奏されます。オーロラ姫は4人の王子に支えられながら優雅に踊り,バラの花束を受け取ります。豪華で華麗な音楽のもとオーロラ姫が片足でつま先立ちをしたまま,腕を差し出し,4人の王子の手を順に取り,ぐるりと回したりする。オーロラ姫はつま先立ちのままフラフつきもせずに踊るのは,非常に難易度が高い技、プリマバレリーナの技量の見せどころでもあります。

ヴァイオリンの軽快なメロディを木管楽器が引き継ぐ演奏にのって、侍女と小姓たちが快活に踊ります。

序奏に続いて独奏ヴァイオリンがカデンツァを演奏し、その後はオーロラ姫がひとりで静かで優美なワルツを踊ります。途中で全休符が何回か入りますが、それに合わせてオーロラ姫が愛らしく体を片脚で支えそれを軸に,そのままの位置で体を回転させます。16歳のオーロラ姫の愛らしさに観客は酔いしれます。最後は早いテンポで華麗に踊りを結びのす。

侍女や王子たちによる踊りの後,オーロラ姫踊りになります。ここでいつの間にか現われた老婆からオーロラは紡錘を受け取り、誤って指を刺してしいます。カラボスは邪悪な本性を表して勝ち誇り姿を消します。そこにリラの精のテーマにのってリラの精が登場し「姫は死んだのではなく,長い眠りについたのだ」と語り,姫を城の中に運ばせます。魔法の杖を手にとったリラの精は,このまま城全体を眠らせてしまいます。城の周囲からは木が生えてきて,城全体を包み込みます。音楽の音がしだいに小さくなって幕が下ります。


【第二幕】

 100年が経った頃、角笛のファンファーレが聞こえ、デジレ王子が一行を率いて狩りをしに登場します。鬼ごっこ、貴族たちによるメヌエット,ガヴォットといった踊り、元気なマズルカが演奏されますが、王子は1人になりたいと一行から離れます。思い悩む王子による憂鬱な踊りの後,ハープの音に導かれリラの精のテーマが聴こえリラの精が現れます。リラの精はオーロラ姫の話をします。王子は初め信じませんが、リラの精はオーロラ姫の幻影を映し出すと、王子はその美しさの虜となります。チェロのソロの歌うようなメロディは,「白鳥の湖」のグラン・アダージョのヴァイオリン・ソロと似た雰囲気の音楽です。この音楽に合わせ,追いかける王子から逃げるようにオーロラ姫は動きまわります。群舞から再度穏やかな音楽に戻り,オーロラ姫がソロで踊ります。その後不安の潜んだ音楽になり、群舞の後,オーロラは静かに走り去り幻影は消えます。


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 恋の虜となった王子の気持ちを表す音楽に続いて、王子はリラの精にオーロラ姫の元へ連れて行くよう頼み込み、リラの精は龍の船に乗せて森を導いていきます。ハープの伴奏とヴァイオリンのテーマは時空を超えるような幻想的な雰囲気を感じさせ、船は水面を滑るように進んでいきます。王子は剣で藪を切り開いて進み城にたどり着きます。リラの精はオーロラ姫の名づけ親だが、デジレ王子の名付け親でもありました。暗闇が次第に明るくなり,王や王妃,家来たちが眠る不思議な情景を、ヴァイオリンの単一音の小刻みに演奏を交えて描き出します。次第にオーケストラが盛り上がっていく時,王子がオーロラ姫に接吻をすると,ドラの音が鳴り眠っていた城が息を吹き返し。王子は姫への愛を告白し、結婚を申し込みます。二人は手と手を取ります。音楽は明るい雰囲気の中でアレグロアジタートとなり幕を閉じます。



【第三幕】

行進曲で始まり、大広間に客人たちが大勢入ってきます。婚礼では妖精たちも招かれ、結婚を祝福するのは、金の精、銀の精、サファイアの精、ダイヤモンドの精で、リラの精もカラボスも出席しています。華麗なダンスが次々に踊られます。リラの精をはじめとする妖精たちも入ってきます。シャンデリアなど豪華なセットで華やかさを演出しています。金,銀,サファイア,ダイヤモンドという宝石の精4人の踊りが繰り広げられます。まず木管と低弦楽器の穏やかな音楽による全員の踊り。金の精のワルツ、銀の精の軽快なポルカ、サファイアの精の弦楽器のピツィカートの響く踊り、ダイヤモンドの精のきらめくような踊り、そして宝石の精が全員登場して,華やかに締めます。次は長靴をはいた猫と白猫のペアが猫のユーモラスな踊りを見せます。オーボエとファゴットが途切れ途切れに演奏するメロディは,猫の鳴き声を巧みに描写しています。

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バレエ全体のクライマックスで、オーロラ姫とデジレ王子によって踊られます。元気の良い序奏に続いて,二人の幸福な結婚を象徴するように、適度にゆっくりとオーボエが情感あふれるロシア民謡に基づく旋律を聞かせます。音楽は次第に大きくなって盛り上がっていきます。バレエ全体のクライマックスで女性が体を片脚で支え体を回転させた後身体を前に倒し男性が支えて脇に抱え込むといった身体を前に倒し,それを男性が支えて脇に抱え込む独特のポーズが数回登場します。最後は王子が姫を大きく持ち上げた後,フィッシュ・ポーズで結ばれます。続いてイタリア、ナポリのテンポの速い舞曲で王子のエネルギッシュ踊り、豪快にステージ上を回転しながら大きな円の軌跡を描きます。次に軽妙なポルカでヴァイオリン独奏が活躍しオーロラ姫が軽快なステップで踊ります。2人はリズミカルな音楽に乗って生き生きと踊り豪華なパ・ドドゥで締められます。豪快にリズムのマズルカに乗って,登場人物が次々とステージ登場し、オーロラ姫とデジレ王子の結婚を祝福して,バレエ全体の幕となります。



TheOgress Queen Mother sent the young Queen and the children to a house secludedin the woods, and directed her cook there to prepare the boy for her dinner,with a sauce Robert. The humane cook substituted a lamb, which satisfied theQueen Mother, who then demanded the girl, but was satisfied with a young goatprepared in the same excellent sauce. When the Ogress demanded that he serve upthe young Queen, the latter offered her throat to be slit, so that she mightjoin the children she imagined were dead. There was a tearful secret reunion inthe cook's little house, while the Queen Mother was satisfied with a hindprepared with sauce Robert. Soon she discovered the trick and prepared a tub inthe courtyard filled with vipers and other noxious creatures. The King returnedin the nick of time and the Ogress, being discovered, threw herself into thepit she had prepared and was fully consumed, and everyone else lived happilyever after.



プロローグでは、第1幕の見所はローズ アダージョ。16歳になったオーロラ姫が恥じらいと初々しさをみせながら、婚約者の候補の4人の王子達を相手に優雅に踊ります。トウシューズの爪先立ちでバランスをとりつづけて、四人の求婚者が一人ずつ手を添えて回していく場面では、プリマバレリーナの美しいバランス技が求められ非常に難しい技術が要求さます。登場した主人公オーロラ姫は、登場しただけでみんなを魅了するような華やかさが必要されます。第2幕では、オーロラ姫は幻影として舞台に上がり幻想的な舞いでデジレ王子を魅了します。



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 第3幕の結婚式では、金や銀、ダイヤモンド、サファイアなどの宝石の精達がソリストとしての技量を競います。披露します。「赤ずきん」や「長靴をはいた猫」、「青い鳥」とフロリナ王女、シンデレラとフォルチュネ王子のペロー童話の主人公達もお祝いに駆け舞台を楽しく彩ります。特に「青い鳥」若手の有望なソリストが演じます。クライマックスはオーロラ姫とデジレ王子によるパ・ド・ドゥで。オーロラ姫は妖精たちに美徳を授けられ、明るくて、気品のある女性に成長して行きます。

ヒロインのオーロラ姫を演じた小野絢子さんはここ数年この人の舞台を観てきましたが、新国立バレエ団を代表するプリマバレリーナとして技術・表現力とも1弾と実力をつけてきたように感じました。1幕の16歳の愛らしい少女と2幕王子を魅了する幻影、3幕の結婚式を迎えた大人の女性を魅力的に演じ分け、それぞれに気品と明るさと華やかさで存在感を見せつけられました。高度な技術と表現力に自信を持ってきたようで、全幕を踊り抜く体力のバランスの感覚にも、それぞれの表現にも余裕を感じました。震災と原発時以来海外の有力ダンサーが来なくなってしまったためか、バレエは日本人キャストだけの上演になり、それはそれで日本人ダンサーの自覚とレベルアップにつながり成功していると思いますが、バレエファンとしては、今のレベルでザハロワやコジョカルのような世界のトップダンサーにどこまで迫っているかを比べてみたいと思いました。

 デジレ王子の福岡雄大さんは小野絢子さんの呼吸もぴったりで確実に力をつけているという感じがしました、他にリラの精の寺沢亜沙子さんも大変魅力的でした。プロローグの妖精たちの踊りや、3幕の宝石の精たちの踊り、フロリナ王女と青い鳥の踊りなども見事で、カラボス役の湯川麻美子さんも存在感があり、舞台を盛り上げていました。久しぶりの『眠れる森の美女』でしたが、新国立バレエ団が総力をあげただけあって見せ場がたくさんある見ごたえのある舞台でした。





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by desire_san | 2023-11-25 16:13 | アメリカ | Comments(0)

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