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芸術と自然の美を巡る旅  

スヴェトラーナ・ザハロワが躍る南スペインを舞台にした傑作バレエ

バレエ「ドン・キホーテ」
Ballet "Don Quixote"

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 『ドン・キホーテ』は文学作品としては世界中で出版されている大ベストセラー小説です。騎士道物語を読み過ぎて妄想に陥った主人公が、自らを伝説の騎士と思い込み、愛馬のロシナンテにまたがり、従者サンチョ・パンサを引きつれ遍歴の旅をする物語です。映画や舞台作品にもなり、アメリカの作家デイル・ワッサーマンが脚色した『ラ・マンチャの男』も有名ですが、オーストリア出身の作曲家レオン・ミンクスの音楽にプティパの振付したバレエ『ドン・キホーテ』はクラシックバレエの傑作です。





"DonQuixote" is the large best-selling novel published all over the world as aliterary work.The hero who read the knighthood tale too much and fell intodelusion is a tale which is convinced a legendary knight of oneself, takesfollower Sancho Phansa of favorite horse, and travels in travels.Although"Man of La Mancha" which also became a movie and a stage work andAmerican writer Dale Wasserman dramatized is famous, ballet "DonQuixote" choreographed for the music of composer Leon Minkus from Austriais a masterpiece of classical ballet.


 バレエでは、ドン・キホーテに想像上の思い姫・ドルシネア姫と間違われる宿屋の娘・キトリが主役で、物語の中心は若い男女の恋物語となっています。ドン・キホーテは物語の端々に登場する狂言廻し的な役として登場します。主役のプリマバレリーナは、宿屋の娘・キトリとドン・キホーテの夢のシーンでドルシネア姫を踊り分けます。


 私が初めて観たバレエ『ドン・キホーテ』は、英国ロイヤルバレエ時代の吉田都主演の新国立劇場での舞台でした。吉田都のキトリは、抜群の安定感とスピード感があり、動く時は動き,止まる時はピタリと静止するという踊りに抜群のキレがあり、日本人にこんなバレリーナがいるのだと感激したのを覚えています。バジル役のウヴァーロフ(ボリショイ劇場バレエ)も,スピード感がありとジャンプも大きく、息もぴったりでリズム感もある素晴らしい舞台でした。キトリは、お茶目でいたずら好きののびのびとして明るい町娘という設定です。吉田都は自由奔放な町娘を明るく軽やかに演じていました。


 今回の新国立劇場の舞台は、ウクライナ出身のロシア・ボリショイ劇場のプリマバレリーナ、スヴェトラーナ・ザハロワの舞台でした。ザハロワは「白鳥の湖」「バヤデール」「ライモンダ」についで4回目でしたが、第1幕に登場したときから舞台に大輪の花が咲いたように輝かしく華やかで、気持ちの高揚を感じました。ザハロワが踊りだすともう舞台がザハロワの一人舞台となるほど華やかでした。


 ザハロワは長身で小顔、抜群のスタイルで体の線も柔らかく綺麗で、体の柔らかさを生かした優雅で上品な踊りでした。ザハロワのキトリは町娘というよりお姫あるいは女王様という雰囲気でした。



 回転や跳躍にスピード感があり、軽やかで自由奔放な町娘の雰囲気があふれていた吉田都のキトリと比べると二人の資質の違いを感じました。快活な町娘という物語の設定に対しては吉田都のキトリの方が合っていたように思えましたが、ザハロワのキトリも大変魅力があり十分満足できるものでした。


 一方、ドゥルシネア姫のザハロワは、上品で優雅な踊りが生えて、まさにドン・キホーテの夢の中に登場したお姫様の雰囲気で輝きを感じました。吉田都のドゥルシネア姫も決して悪くはなかったのですが、この役に関して言えば、華やかさの点でザハロワの方が勝っていたように思えました。


 町娘・キトリとドン・キホーテの夢であるドルシネア姫という全く違った役を躍り分けることは『白鳥の湖』の白鳥と黒鳥を演じ分けるよりもある意味で難しく、『ドン・キホーテ』がプリマバレリーナにとって難しい演目であることを改めて感じました。

20091012日、新国立劇場)







by desire_san | 2009-11-03 23:08 | バレエ・演劇 | Comments(12)
Commented by maruchin13 at 2009-10-20 00:31
はじめまして。さっそく訪問しました。

12日の公演は、ものすごい盛り上がりだったようですね。いまから思うとボクも観にいけばよかったと後悔しています。今公演のDVDが出るようなので、ぜったい買います。

バレエはいいですよね。心を浄化してくれると思います。バレエに限らず、絵画や音楽・・それに写真も。素敵な写真も拝見しました。

また遊びにきます。これからも、よろしくお願いいたします。
Commented by cocodargent at 2009-10-20 17:20
私はロンドンで吉田都さんの踊りを一度だけ見ましたが、あの小さな体で躍動感あふれる踊りに感動したのを覚えています。

ザハロワは見たことがないので、是非見てみたいです。どうしても小柄で踊ると大きく見えるタイプのダンサーに惹かれがちではあるのですが、ザハロワのように長身で体躯に恵まれているダンサーは迫力があるのでしょうね。
Commented by shushu at 2009-10-21 06:54 x
拙ブログにお越しいただきありがとうございました。写真が素敵ですね。

華やかで楽しい舞台でしたよね。おっしゃるとおり、全く異なる雰囲気のキトリとドルシネア姫を同一人が踊る難しさがありますね。私はキトリの踊りが好きなので、そこが決まってくれれば満足しちゃいますけど。ザハロワは今回かなりイケてましたよね。

それにしても、ナマで吉田&ウヴァーロフを見たなんてうらやましいです。記録映像を見ましたが、ウヴァーロフが吉田さんをリフトすると
ころとか、吉田さんが小柄だからすごーい高さに見えて驚嘆しました。
Commented by desire_san at 2009-10-21 20:20
maruchin13さん コメントありがとうございます。
生のバレエの舞台は心が洗われますね。
Commented by desire_san at 2009-10-21 20:24
cocodargenさん 迫力という意味では、吉田都さんの方が迫力を感じました。
ザハロワは華やかさが魅力ですね。一見の価値があります。一度是非生で観てください。
Commented by desire_san at 2009-10-21 20:27
shushuさん  私もキトリの踊りが好きです。
今回のザハロワはほんとうに素敵でした。
Commented by いっこさん at 2009-10-21 21:57 x
私のブログにコメント、ありがとうございました。
吉田都さんのキトリ、見てみたいです。ロンドンのROHでコッペリア、くるみ割り人形、ロミオとジュリエット他を見ましたが、可憐で清楚な役がほとんど。都さんのキトリがどんなふうなのか興味があるところです。
Commented by desire_san at 2009-10-21 22:03
いっこさん 吉田都さんは表現力が豊かでコッペリアは有名ですね。
ラ・シルフィードでは優美でしたが、キトリでは快活な町娘に成りきっていました。
Commented by allegro33 at 2009-10-21 22:18
拙ブログにコメント、ありがとうございました!
新国の初演のドン・キ、そうです、
都さんとウヴァーロフの回、私も見ていました。
あの時の都さんは絶好調で、1幕でピルエットを5回転とか軽々
回っていていました。
端の席だったので、袖にはけた都さんが
ご自身でも会心の出来にとても嬉しそうにしていたのも見え、
とてもいい舞台だった記憶がありました。
Commented by desire_san at 2009-10-21 22:38
allegro33さん  吉田都さんの「ドン・キホーテ」を観られたのですね。
ほんとうに躍動感のある素晴らしい舞台でしたね。
Commented by whitemirror at 2009-10-24 21:43
ブログコメントありがとうございます。
都さんのドンキはコケッティッシュな町娘で大好きでした。
本島さんのキトリも素敵。髪の黒さがさらにラテンなのかもしれませんね。
また是非ブログご訪問ください。
Commented by desire_san at 2009-10-25 13:25
whitemirrorさん 本島さんも何度か舞台を観たことがありますが魅力ある人ですね。吉田都さんは、新国立劇場に出なくなってしまって寂しいですね。
また時々、whitemirrorさんのブログに訪問させていただきます。

by desire_san